蒼穹の昴
以下はWikipediaより引用
要約
『蒼穹の昴』(そうきゅうのすばる)は、浅田次郎著の長編小説、及びこれを基にしたテレビドラマ、ミュージカル。1996年(平成8年)講談社刊。
概要
清代の中国を舞台とした歴史小説。第115回(1996年(平成8年)7月)直木賞候補作。浅田自身「私はこの作品を書くために作家になった」と、帯でコメントした。なお浅田は続編として『珍妃の井戸』、『中原の虹』(ちゅうげんのにじ)、『マンチュリアン・リポート』『天子蒙塵』(てんしもうじん)を書いており、これらを含めて『蒼穹の昴シリーズ』とする(いずれも講談社刊)。
2010年に日中共同制作でテレビドラマ化された(全25回)(中国版は28回)。2009年(平成21年)4月に脚本楊海薇・監督汪俊(中国語版)のもと撮影が開始され、翌年1月2日から7月10日までNHKデジタル衛星ハイビジョンで字幕版が放送されたほか、9月26日からは日曜夜にNHK総合テレビジョンでも日中2か国語により放送されている。DVDソフトは2010年に出た中国版に続いて、全8巻の日本語版が発売(2010年12月に1 - 4巻、2011年1月に5 - 8巻)された。
2022年、宝塚歌劇団により舞台化。
あらすじ
舞台は光緒12年(1886年(日本:明治19年))から光緒25年(1899年(日本:明治32年))までの清朝末期。貧家の子、李春雲(春児)は糞拾いによって生計を立てていたが、貧しい家族のために自ら浄身(去勢)し、宦官となって西太后の下に出仕する。一方、春児の義兄で同郷の梁文秀(史了)は、光緒12年の科挙を首席(状元)で合格し、翰林院で九品官人法の官僚階級を上り始める。
清朝の内部では、政治の実権を握っている西太后を戴く后党と、西太后を引退させて皇帝(光緒帝)の親政を実現しようとする帝党とに分かれ、激しく対立していた。后党と帝党の対立は、祖先からの清朝の伝統を守ろうとする保守派と、衰えた清朝を制度改革によって立て直そうとする革新派(変法派)の対立でもあった。両者の対立は、やがて西太后と皇帝の関係にも、深い溝を生んでゆく。
春児は西太后の寵を得てその側近として仕え、一方、文秀は皇帝を支える変法派若手官僚の中心となる。敵味方に分かれてしまった2人は、滅びゆく清朝の中で懸命に生きていく。
登場人物
実在の人物と架空の人物が混ざり合って、物語を作り上げている。振り仮名は、日本語読みをひらがなで、中国語風の読みをカタカナで表記。小説内のルビは小書きではないが、ここでは拗音に読める箇所を「チユ」⇒「チュ」などと記した。
主要人物
李春雲(り しゅんうん、リイ チュンユン) / 春児(チュンル)
梁文秀(りょう ぶんしゅう、リァン ウェンシュウ) / 史了(シーリャオ) / 少爺(シャオイエ)
李玲玲(リイ リンリン)
清朝第9代皇帝咸豊帝の妃(1835年11月29日 - 1908年11月15日)。実子である第10代皇帝同治帝と甥の清朝第11代皇帝光緒帝を据えて垂簾政治を行う。光緒24年(1898年)、光緒帝の親政の為に一度は頤和園へ隠退するが、戊戌の変法の100日後戊戌の政変で復帰。
若き清朝第11代皇帝(1871年8月14日 - 1908年11月14日)。西太后の甥。父は醇親王奕譞(1840年 - 1891年)。母は西太后の妹醇親王妃、葉赫那拉・婉貞。妻も西太后の姪である隆裕皇后葉赫那拉・静芬。史実では寿安公主(中国語版)は叔母にあたる。
清朝官吏
楊喜楨(ようきてい、ヤン シーチェン)
王逸(おういつ、ワンイー)
順桂(じゅんけい、シュンコイ)
天津の直隷総督府に居る清の外交・軍事の最高実力者、直隷総督兼北洋通商大臣。漢民族の将軍。進士。<1823年2月15日 - 1901年11月7日> 物語の始まる光緒12年(明治20年、1887年)には、清仏戦争の責任を非難していた政敵・塞防派の左宗棠が2年前に死去しており、一手に軍事面を掌握していた。翌光緒13年(1888年)、膨れ上がった淮軍は洋式海軍を組織し、丁汝昌率いる北洋艦隊(後の北洋軍)が登場する。
穆彰阿に抜擢されて太平天国の乱鎮圧に功績を挙げた同治中興の忠臣。漢民族の将軍(湘軍)。進士。洋務運動を主導し、李鴻章(淮軍)と左宗棠(楚軍)を育てた。
後宮・宦官勢力
隆裕皇后(りゅうゆうこうごう)/喜子(きし、シーツー)
西太后の側近で后党の筆頭。<1836年4月6日 - 1903年4月11日> 満洲正白旗人瓜爾佳(グワルギヤ)氏で、西太后の姉妹の子。西太后とは年齢も近く、かつては許婚であった。西太后の女心を巧みに利用し、汚職より罷免されてもその都度復帰し、権勢を振るった。1895年、袁世凱を抜擢して新建陸軍を創設する。宣統帝溥儀の母は、栄禄の娘、瓜爾佳幼蘭。戊戌の政変で董福祥(甘粛軍)・袁世凱(新建陸軍)・聶士成(武毅軍)を指揮した。
李蓮英(り れんえい、リィ リェンイン) / 李老爺(リィラオイエ) / 小李子(シャオリィヅ)
皇族
光緒帝の伯父で、道光帝の第6子。咸豊帝の弟でもある。<1833年1月11日 - 1898年5月29日> 軍機処の大臣として李鴻章・曽国藩などの漢族官僚を起用して洋務運動を支えていたが、1884年、清仏戦争敗戦の責任を被され、西太后によって罷免された。皇族の中では頭の切れる存在で、清朝の難局を乗り越えられる数少ない人物であったが、才気溢れる性格が父帝に危惧され、後継者には指名されなかった。後に政権に復帰するが、まもなく病死した。
光緒帝の実父。道光帝の第7子。<1840年10月16日 - 1891年1月1日> 清仏戦争の事後処理を任されていたが、気弱な性格で、西太后の権勢に立ち向かうだけの度胸はなかった。わが子光緒帝の行く末を案じつつ世を去る。
軍人・学者
李鴻章の副官。漢族の軍人。<1859年9月16日 - 1916年6月6日> 滅満興漢の視点から李鴻章の洋務運動を支え、帝党には表面上は協力の姿勢を見せる。新建陸軍の洋式化で新軍(後の北洋軍/北洋政府)を作り上げる。新軍には、馮国璋(直隷派)・段祺瑞(安徽派)・張作霖(奉天派)らが所属する。徐世昌は幼なじみ。
公羊学者。<1858年3月19日 - 1927年3月31日> 劉逢禄・龔自珍の弟子で公羊学者。洋務運動を唱えていたが、香港・上海でイギリス人宣教師ジョン・フライヤー(中国語版)ら外国人との交流から、変法による内政改革で立憲君主制を目指すようになり、洋務運動を推進していた李鴻章とは一線を画す急進的政策となっていったが、容閎ら幅広い層から支援を受け続けていた。(容閎は後に孫文を支持、辛亥革命によって康有為の帰国が叶う。)進士となり、光緒帝を擁して戊戌の変法を主導するも失敗。イギリス人のティモシー・リチャード(英語版)牧師の助けで一旦上海のイギリス領事館に保護され、その後宮崎滔天や宇佐穏来彦らの手引きで香港を経由して日本に亡命した。
康有為の弟子。<1865年3月10日- 1898年9月28日> 中国全土の20省以上(新疆省を含む)を訪れて国民の貧困を間近に観察し、洋務運動を志す。その頃、譚嗣同の政策は改革のための学、経世致用であった。当時100冊以上の中国語翻訳書を書いていたイギリス人宣教師ジョン・フライヤーを上海まで尋ね、西洋の科学技術にも精通していた。1897年、唐才常・熊希齢・蒋徳鈞(中国語版)・陳三立らとともに時務学堂(中国語版)を創設。梁啓超、康有為らとともに清朝改革をはかるも失敗し、戊戌六君子の一人として菜市口処刑場(中国語版)で刑死となった。
外国人
北京東交民巷(中国語版)の日本公使館駐在武官。会津出身。
イギリスの退役軍人。北京駐在公使(1895年 - 1900年)。香港の植民地拡大交渉「展拓香港界址専条」(1898年5月28日)を委任され、香港総督サー・ヘンリー・ブレイク(英語版)からの依頼を受けている。
日本の明治維新の志士の一人。元内閣総理大臣(第三次伊藤内閣:1898年1月12日 - 6月30日)。騒乱直前の北京を訪問し、光緒帝に謁見する。改革派からは大きな期待を受けていた。
その他
ミセス・チャン
安徳海(あんとくかい、アンドゥハイ)
白太太(パイタイタイ)
過去の人物
乾隆帝(けんりゅうてい) / 愛新覚羅・弘暦 / チェンロン皇帝
ジュゼッペ・カスティリオーネ / 郎世寧(ろう せいねい)
兆恵(中国語版)(チャオホイ)
書籍情報
講談社(1996年4月発行)
- 上巻 ISBN 978-4-06-207497-1
- 下巻 ISBN 978-4-06-208039-2
講談社文庫(2004年10月発行、全4巻)
- 第1巻 ISBN 978-4-06-274891-9
- 第2巻 ISBN 978-4-06-274892-6
- 第3巻 ISBN 978-4-06-274893-3
- 第4巻 ISBN 978-4-06-274894-0
テレビドラマ
- 日本国内での放送は全25回(中国版は28回)。
- 撮影に当たり、浙江省東陽市横店影視城に原寸大の紫禁城や当時の香港の街並みの壮大なセットが造られた。
- 日中共同制作だが、放送局本体ではなく、日中の民間の制作プロダクションが対等に行っている。 日本側はNHKが日本国内放映権をプリセール形式で購入しているほか、元NHK出身者がプロデュースに関与している。
- 西太后を演じたのは日本の女優、田中裕子 である。清の重要人物であるが、現代中国でも評価の分かれる人物のため、中国人が演じたがらず、キャスティングが難航。結果田中が演じる事となった。
キャスト(テレビドラマ)
- 李春雲(春児):余少群(ユィ・シャオチュン) <声 - 水島大宙>、(少年時代)王鶴宇
- 梁文秀:周一囲(ジョウ・イーウェイ) <声 - 福田賢二>
- 李玲玲:趙麗穎 <声 - 嶋村侑>、(少女時代)蒋依依(中国語版)
- 西太后:田中裕子 <中国語版の声 - 曹雷>、(少女時代)闞清子(中国語版)
- 光緒帝:張博(中国語版)(チャン・ボー) <声 - 平川大輔>
- ミセス・チャン:殷桃(中国語版)(イン・タオ) <声 - 藤本喜久子>
- 楊喜楨:王奕 <声 -佐々木睦>
- 王逸:屈楊 <声 -飯島肇>
- 順桂:周駿 <声 -丸山壮史>
- 康有為:王衛 <声 -丸山壮史>
- 栄禄:初暁 <声 -岩崎ひろし>
- 袁世凱:薛勇 <声 -楠大典>
- 李蓮英:石小満 <声 -後藤哲夫>
- 醇親王:張芸 <声 -佐々木省三>
- 恭親王:王偉軍 <声 -伊藤和晃>
- 礼親王:安瑞雲 <声 -魚建>
- 隆裕皇后:桑桑 <声 -永木貴依子>
- 珍妃:張檬(中国語版)(チャン・モン) <声 -木下紗華>
- 謹妃:張暁辰 <声 -小幡あけみ>
- 晴雪:庄玉停 <声 -田中晶子>
- 蘭琴:李彦明 <声 -野島健児>
- 安徳海:劉長生 <声 -辻親八>
- 黒牡丹:杜福元 <声 -髙橋耕次郎>
- 白太太:付亜南 <声 -すずき紀子>
- 蓮子:陳依沙 <声 -八十川真由野>
- 青筠:徐百卉(中国語版) <声 -根谷美智子>
- 燕子:田娜 <声 -榊原奈緒子>
- 畢五:徐朝 <声 -魚建>
- 岡圭之介:小澤征悦
- トーマス・E・バートン:J・ジョンストン <声 -高越昭紀>
- 柴五郎:田中隆三
- 伊藤博文:平田満
- 乾隆帝:<声 -勝部演之>
スタッフ
- 監督:汪俊(中国語版)(ワン・チュン)
- 主題歌:浜崎あゆみ 「BALLAD」
- 脚本:楊海薇(中国語版)(ヤン・ハイウェイ)、黄珂
- 撮影:程源海(チョン・ユエンハイ)
- 衣装:陳同勲(チェン・トンシュン)
- 音楽:童立強
- 題字:王子江
- 語り:松平定知(日本語版)
- 中国制作プロデューサー:羅立平
- 共同制作プロデューサー:樋口麗子(A&Aエンターテインメント)
- プロジェクト統括:今津宏巨
- プロデューサー:平山武之(ギャンビット)
- 制作統括:廣瀬哲雄、劉徳宏
- 制作プロダクション:華録百納
- 中国語版製作:華録百納、北京テレビ
- 日本語版製作:アジア・コンテンツ・センター、華録百納、博報堂DYメディアパートナーズ
放送スケジュール
字幕版
- 放送時間と媒体:NHK BShi/土曜 22:00〜22:45
- 放送期間:2010年(平成22年)1月2日〜7月10日
- 期間中随時キャッチアップのための集中アンコール編成も行われた。
- 期間中随時キャッチアップのための集中アンコール編成も行われた。
吹き替え版
この編成は、テレビジョン放送の完全デジタル化をにらんだ秋の大規模改編の一環として行われる。海外ドラマ枠としての前番組であった『プライミーバル』シリーズは昼前の放送だったが、この番組から再び夜の編成となる。
- 放送時間:日曜 23:00 - 23:45(NHK総合)
- 2010年12月は『坂の上の雲』が放送されるため、15分繰り下げ。その他編成の都合で時間が変更される場合もある。
- 放送期間:2010年(平成22年)9月26日 - 2011年(平成23年)3月27日
2010年12月は『坂の上の雲』が放送されるため、15分繰り下げ。その他編成の都合で時間が変更される場合もある。
3月13日は、東日本大震災の報道特別番組を放送した為に休止された。
話数 | 放送日時 | 題 | 視聴率 |
---|---|---|---|
1 | 2010年9月26日 | 紫禁城 | 4.6% |
2 | 2010年10月3日 | 母と子 | 5.3% |
3 | 2010年10月10日 | 修業 | 4.8% |
4 | 2010年10月17日 | 皇后選び | 3.8% |
5 | 2010年10月24日 | 宮廷へ | 3.6% |
6 | 2010年10月31日 | 皇帝のお気に入り | 6.2% |
7 | 2010年11月7日 | 噂(うわさ) | 4.5% |
8 | 2010年11月14日 | 龍玉の歌 | 6.0% |
9 | 2010年11月21日 | 恋ごころ | 4.0% |
10 | 2010年11月28日 | 結婚祝い | 5.2% |
11 | 2010年12月5日 | 初めての取材 | 5.2% |
12 | 2010年12月12日 | それぞれの戦(いくさ) | 5.8% |
13 | 2010年12月19日 | 日清開戦 | 4.3% |
14 | 2010年12月26日 | 変革の波 | 4.5% |
15 | 2011年1月9日 | 暗殺計画 | 4.1% |
16 | 2011年1月16日 | 楊喜楨(ようきてい)の死 | 3.7% |
17 | 2011年1月23日 | 復讐 | 5.0% |
18 | 2011年1月30日 | 黒幕は誰か | 6.2% |
19 | 2011年2月6日 | 急ぎすぎた改革 | 5.9% |
20 | 2011年2月13日 | 袁世凱(えんせいがい) | 4.3% |
21 | 2011年2月20日 | 裏切り | 5.2% |
22 | 2011年2月27日 | 中秋節の宴 | 6.8% |
23 | 2011年3月6日 | 流血の政変 | 5.6% |
24 | 2011年3月20日 | 命乞い | 7.1% |
25 | 2011年3月27日 | 永遠の昴 | 6.3% |
NHK総合テレビ 日曜23:00 - 23:45枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
あなたが主役 50ボイス
※23:00 - 23:29 大人ドリル ※最終日曜23:00 - 23:29 【最終日曜8:35 - 8:59枠へ移動】 東京カワイイ★TV ※23:30 - 23:59 【土曜23時台前半枠へ移動】 |
蒼穹の昴
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舞台
宝塚歌劇団雪組により、2022年10 - 12月に宝塚大劇場・東京宝塚劇場において上演。
脚本・演出は原田諒。主演は彩風咲奈・朝月希和。
雪組トップ娘役・朝月希和の退団公演。
キャスト (舞台)
- 梁文秀:彩風咲奈
- 李玲玲:朝月希和
- 李春児:朝美絢
- 李鴻章:凪七瑠海(専科)
- 順桂:和希そら
- 光緒帝 載湉:縣千
- ミセス・チャン:夢白あや