蟬花
以下はWikipediaより引用
要約
『蟬花』(せみばな)は、山上龍彦の小説。『小説すばる』1994年1月号から1995年1月号にかけて掲載されたもので、1995年に集英社から刊行された。
概要
益子修造の家族と、彼をとりまく周囲との人間模様を描いた小説である。「蟬花」「温容」「海女房」「文色」「うどんげ」「笹魚」の6篇で構成されている。
あらすじ
蟬花(せみばな)
娘である玲子の婚約者の家庭を知りたいと思った修造は、一人江原家へと向かう。中をのぞいて見たいと思ったとき、玄関のドアが開いて母親らしき女が出てきた。機転でやり過ごした修造は、彼女が学生時代の遊び仲間である押田雅代だったのを見て……。
温容(おんよう)
修造の家に、西尾良助なる人物から電話がかかってきた。聞けば、佐藤一郎の浮気相手である西尾敏恵の父親だという。良助の会いたいとの会話につられて、修造は承諾し、ターミナル駅で待ち合わせることにしたのだが……。
海女房(うみにょうぼ)
最後の家族旅行を楽しむべく、修造たち五人は旅館「万風荘(まんぷうそう)」へとやってきた。思い出の旅館は「帆風苑(はんぷうえん)」という名前だったが、記憶違いで予約してしまったのだ。部屋の見晴らしは悪く、サービスも最悪と感じた左永子と玲子は、さっさと感じのいい帆風苑へと移ってしまう。二人に習おうかと万風荘に戻ってきた修造は、うって変わって立派な部屋に案内された。フロントの話によると、先ほどのお詫びと、玲子の結婚祝いを兼ねて最上級のもてなしをしようとする女将の指示らしい。次々と立派な料理が運ばれてくるなかで、好意の板ばさみに苦悶する修造であった……。
文色(あいろ)
梅雨の一日、佐藤一郎は情人である敏恵の兄、西尾豊和の訪問をうける。豊和は、良縁があるので敏恵と別れて欲しいと一郎に告げる。一方、修造の家を訪ねた西尾良助は、相手の家庭に問題があるから破談にしたいと持ちかける。朝子の幸せは、一郎と敏恵が別れることにあると考えている修造は相手にせず、ボランティア活動をしている朝子と連絡を取った……。
うどんげ
玲子と正義の結婚式を1ヵ月後に控えたある日、知人の葬式に出席した修造は、江原弘と偶然出会う。知人のペンションへと誘う弘の熱心さにほだされた修造は、招きに応じるべく車に同乗した。バケツをひっくり返したような豪雨の中で、修造は温厚篤実だと思っていた弘の違う一面を見て……。
笹魚(ささうお)
二人の結婚式も無事終わったある日、家作である「よへえマンション」の住民武見から、上の階でなにやら怪しい音がするとの苦情を受ける。上階の上野優子からは、武見が度々怒鳴り込んでくるので迷惑しているとの苦情も聞いた。公平かつ円満に解決しようと考える修造は、ひとまず夕食の仕度をはじめる。左永子と玲子がいないので、自ら料理をすることになったのだ。悪戦苦闘する修造のもとに、上野優子から夕食を誘う電話がかかってきて……。
登場人物
益子家
益子修造(ましこ しゅうぞう)
益子友昭(ましこ ともあき)
佐藤朝子(さとう あさこ)