赤い氷河期
以下はWikipediaより引用
要約
『赤い氷河期』(あかいひょうがき)は、松本清張の長編小説。近未来のヨーロッパを舞台に、エイズ・ウイルス(HIV)を利用した細菌兵器の策謀を描く予見的長編。『赤い氷河 - ゴモラに死を』のタイトルで『週刊新潮』に連載され(1988年1月7日号 - 1989年3月9日号)、加筆訂正の上、1989年6月新潮社から刊行された。ソビエト連邦での改革が失敗し独裁政治が復活、ヨーロッパ諸国はこれに対抗して連邦を結成しつつある、という世界設定になっている。
あらすじ
ドイツ・ミュンヘンの南に位置するシュタルンベルク湖で、首のない人間の死体が発見された。事件をめぐり、ネオナチによる生贄殺人、ヒトラーの金塊をめぐる仲間割れ、などの説が広まる。だが、犯人はなぜ首を切断したのか?
スイス・チューリッヒを拠点にエイズを研究する山上爾策は、ひょんな縁で謎の男・福光福太郎と出会った。事件に疑問を持った福光は、バイエルン州からバーデン=ヴュルテンベルク州を探索し、山上には不思議な示唆を与える。徐々に山上の前に、エイズ・ウイルスをめぐる策動の存在が浮上してきた。
主な登場人物
エピソード
- 本作執筆の動機に関して著者は、1991年に以下のように説明している。
- 加えて著者は、社会主義国の発表するエイズ患者数の数字がでたらめであること、世界保健機関(WHO)がその数字を鵜呑みにしていること、各国は社会的なパニックを恐れて感染者数を発表しないのではないかと指摘している。小説の舞台に関しては、本当は日本にしたかったが、この小説を書いたころは、いろいろと差し支えが生じると思った、と説明している。本作では、エイズウイルスとインフルエンザウイルスのハイブリッドによって人類を殺すことが想定されているが、当時は治療を目的とするハイブリッド抗体の研究が、実験的に行われている段階であった。
- 当時編集を担当していた堤伸輔が松本清張に「何か最近面白い話はないか」と言われ、エイズが特集された『Newsweek』1983年4月18日号を持って行ったところ、「それは現代のソドムとゴモラだな」「よしそれを小説にしよう」となり小説が書かれた。