赤ひげ診療譚
以下はWikipediaより引用
要約
『赤ひげ診療譚』(あかひげしんりょうたん)は、山本周五郎の連作短編時代小説集。1958年(昭和33年)に『オール讀物』3月号から12月号に連載、1959年(昭和34年)に文藝春秋新社より刊行された。短編8篇収録。江戸時代中期の小石川養生所を舞台に、長崎で修行した医師・保本登と、実在した江戸の町医者・小川笙船をモデルとする「赤ひげ」こと新出去定を主人公として、患者との葛藤を描いたヒューマンストーリー。
『赤ひげ』と題して1965年(昭和40年)に黒澤明監督、三船敏郎主演で映画化されたほか、たびたび映像・舞台化されている。
この小説から転じて、貧しい人から金銭を要求しない医師、多くの人に親切な医師などを「赤ひげ先生」、「赤ひげ」などと呼び、医師の理想の姿とされる(赤ひげ大賞も参照)。
現在は新潮文庫版が出版されている。新潮文庫版の累計部数は100万部を超える。
収録作品
- 狂女の話(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉3月号)
- 駆込み訴え(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉4月号)
- むじな長屋(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉5月号・6月号)
- 三度目の正直(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉8月号)
- 徒労に賭ける(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉9月号)
- 鶯ばか(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉10月号)
- おくめ殺し(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉11月号)
- 氷の下の芽(初出:『オール讀物』1958年〈昭和33年〉12月号)
あらすじ
狂女の話
お杉は養生所の一角に監禁された狂女・おゆみを世話する女中だった。登は医師としておゆみに興味を持つが、殺人癖があり情事の最中に相手の男を殺すおゆみは、新出以外の者が診察できる状況ではなかった。そんなある晩、お杉は「新出先生の見立ては間違っている」と、おゆみの身の上を語りだす。
駆込み訴え
むじな長屋
三度目の正直
徒労に賭ける
鶯ばか
「千両で売れる鶯を手に入れた」と思い込んだ男を診ることになった登は、同じ長屋に住む長次と言う少年と知り合う。長次は一家の貧しい生活を助けるため、あちこちで様々なものを拾い集めていた。しかし同じ長屋に住む元遊女・おきぬは、長次をはじめ長屋中の者たちの陰口を叩き、登や男たちに色目を使い、長屋中から煙たがられていた。そんなある日、長次の一家が心中を図ったと言う知らせが飛び込んで来る……
おくめ殺し
氷の下の芽
同じ頃、養生所に白痴の妊婦おえいが母親のおかねに連れられてきた。おかねは子堕ろしを強く望むが、おえいは子を産み育てたいと言う。渋る母親を帰し、登が詳しい事情を聞くと、おえいは「自分の白痴は、子供を食い物に道楽を繰り返す両親から逃れるための演技」だと言う……
主な登場人物
新出去定(にいで きょじょう)
保本登(やすもと のぼる)
書誌情報
- 『赤ひげ診療譚』文芸春秋新社、1959年。
- 『赤ひげ診療譚』講談社〈ロマン・ブックス〉、1962年。
- 『山本周五郎全集 第6巻』講談社、1963年。
- 『赤ひげ診療譚』新潮社〈新潮文庫〉、1964年。
- 『赤ひげ診療譚』(改版)新潮社〈新潮文庫〉、1983年。ISBN 4101134065。
- 『山本周五郎小説全集 第10巻 (赤ひげ診療譚)』新潮社、1967年。
- 『赤ひげ診療譚』講談社、1972年。
- 『赤ひげ診療譚 五瓣の椿』新潮社〈愛蔵決定版 山本周五郎全集 第11巻〉、1981年。
- 『赤ひげ診療譚』角川春樹事務所〈ハルキ文庫〉、2008年。ISBN 9784758433822。
- 『赤ひげ診療譚・おたふく物語』新潮社〈山本周五郎長篇小説全集 第7巻〉、2008年。ISBN 9784106440472。
- 『赤ひげ診療譚』(改版)新潮社〈新潮文庫〉、1983年。ISBN 4101134065。
オーディオブック
映像化作品
映画
- 赤ひげ(1965年) 東宝・黒澤プロダクション制作、監督:黒澤明、主演:三船敏郎
テレビドラマ
- 赤ひげ診療譚(1960年) フジテレビ、主演:フランキー堺
- 鶯ばか(1961年) TBS、主演:河津清三郎
- 赤ひげ(1972年) NHK、主演:小林桂樹
- 赤ひげ(1989年) TBS、主演:萬屋錦之介
- 赤ひげ(1997年) テレビ朝日、主演:藤田まこと
- 赤ひげ(2002年) フジテレビ、主演:江口洋介 黒澤版のリメイク
- 赤ひげ(2017年) NHK BSプレミアム、(2018年) NHK総合、(2020年) NHK BSプレミアム・BS4K、主演:船越英一郎