赤目のジャック
題材:フランスの歴史,
以下はWikipediaより引用
要約
『赤目のジャック』(あかめのジャック)は、佐藤賢一による歴史小説。発表時の題名は『赤目 ジャックリーの乱』であり、文庫化にあたって改題された。ジャックリーの乱を題材としている。
概要
のちに直木賞を受賞する佐藤賢一の第3作にあたる。初出は『鳩よ!』1997年5月号から7月号に連載されたもの。単行本はマガジンハウスから『赤目 ジャックリーの乱』の題で1998年3月に出版され、改めて『赤目のジャック』として集英社文庫から2001年に発売された。
年代記作者ジャン・フロワサールの史料などを参考として執筆されており、ジャックリーの乱の残虐性を生々しく描いている。前作の『傭兵ピエール』がジャンヌ・ダルクという日本人にも馴染みのある題材を扱っているのに対し、本作はジャックリーの乱というマイナーなテーマを扱いながらも背景知識がなくても読めるように配慮されている。
あらすじ
14世紀なかば、北フランス・ボーヴェ地方のベルヌ村に住む農民の若者、フレデリは、美しい婚約者の少女マリー、双子の兄のロベール、兄の婚約者のシルヴィアたちと幸せに暮らしていた。しかし、百年戦争の集結により職にあぶれた傭兵たちの手によってその平和は破られる。傭兵たちがベルヌ村で激しい略奪を行うさなか、ロベールは傭兵に殺され、マリーとシルヴィアは傭兵たちによって輪姦されてしまう。絶望するフレデリたち村人たちに、村に住む赤い目の乞食の托鉢修道士であるジャックがある提案をする。その内容は、傭兵から村を守れなかった貴族に復讐するべきだというものだった。ジャックの扇動によって領主の住むベラトゥール城を襲撃した村人たちは、貴族たちを虐殺し、令嬢のシャルロットを凌辱する。村人たちは暴力を振るうことをためらわない人間となり、その目は赤くなっていた。フレデリはその様子に嫌悪感を催すが、城主の奥方にして絶世の美女のブリジットに手ひどく侮辱されたうえに逃亡されたことから、改めて貴族への憎しみを深くする。
ジャックの指導のもと反乱の規模はさらに拡大する。ボーシャン副伯を葬った暴徒たちは金品を略奪し、多くの貴族女性を慰み者としていた。そのさなかでフレデリは、処女の修道女マリーと出会う。婚約者と同じ名前の彼女に同情したフレデリは、男たちに彼女が襲われないように守ろうとし、彼女と親しくなっていく。だが、暴徒たちは彼女をもその毒牙にかけようとした。旅芸人のジェロームの仲裁でその場は収まるが、その直後にジャックはマリーを強姦するように命令する。ためらう彼にジャックは、実はフレデリの婚約者マリーが姦通を行っていた事実を告げる。衝撃で錯乱した彼は修道女マリーを暴力的に犯してしまう。
その後、反乱は徐々に劣勢となっていった。ジェロームの勧めで反乱軍から脱退したフレデリは、自身に屈辱を味わわせたブリジットに報復しようとする。修道女マリーを旅芸人一座に身売りさせた代わりに手に入れた馬車でブリジットに追いついたフレデリは、彼女を捕縛する。監禁した彼女を数日間にわたって凌辱した。やがて彼女を死刑執行人に売り払ったフレデリは村へ戻り、婚約者のマリーと結婚する。すでにジャックは敗北し、処刑されていた。その20年後、マリーとジャックの子であるジェロモがふたたびイタリアの労働者反乱であるチョンピの乱を起こすところで物語は終わる。
登場人物
反乱軍
ベルヌ村の人々
貴族
シャルロット・ドゥ・ベラトゥール
貴族の令嬢。ブリジットの娘で、修道女マリーの姪にあたる。14歳の金髪の美少女。領民からは崇拝されていた。ベラトゥール城が陥落すると、薄手の寝間着姿のまま暴徒の前に引きずり出された。猿轡を外されると、美しく凛とした声で暴徒たちの非を責めたため、暴徒たちは貴族への畏敬から彼女に暴行を加えることをためらう。しかし、ジャックは彼女の服に水を浴びせて、乳首や女性器が露わな状態にさせた上で、暴徒たちにシャルロットを犯すように命じた。その結果、暴徒たちはついにシャルロットに襲いかかる。シャルロットは新しい男性器が挿入されるたびに「ノン!」と泣き叫び、許しを乞うが、結局、60人の暴徒すべてが彼女を輪姦した。その様子はフレデリに激しい嫌悪感と情欲を抱かせた。その後、他の村からも参加者を募るための材料として他の女性たちとともに監禁され、性的奉仕を強要され続けた。
マリー・ドゥ・ボーシャン
書誌情報
- 赤目 ジャックリーの乱(単行本、マガジンハウス、1998年3月発売 ISBN 978-4838708543)
- 赤目のジャック(集英社文庫、2001年5月発売 ISBN 978-4087473209)