連ちゃんパパ
以下はWikipediaより引用
要約
『連ちゃんパパ』(れんちゃんパパ)は、ありま猛による日本の漫画作品。
概要
1994年春ごろから1997年秋ごろにかけて『パチプロ7』(綜合図書)にて連載されていた。
パチンコ漫画雑誌の連載作品ではあるが、パチンコのテクニックよりも真面目で善良な教師であった主人公がパチンコへのめり込むことにより救いようのない卑劣漢へと成り果てていく描写に重点が置かれている。
電子書籍として2018年より秋水社より配信されている。全43話。また、2020年9月12日と10月12日にKADOKAWAより描きおろしあとがき漫画を収録した全4巻の単行本が発売されている。
あらすじ
第1話 - 第13話
東京で妻子と共に暮らす高校教師・日之本進。ある日に妻の雅子がパチンコで300万円の借金を作り、失踪する。借金取りの男からその事実を知らされた進と息子の浩司は借金取りから逃げ、失踪した雅子を探して鎌倉・大阪・京都と旅をしていくが、その道中で進は旅費を稼ぐため初めてパチンコに手を出す。捜索の結果2人はついに京都で雅子を発見するも、雅子は間男と共に再び蒸発してしまう。
雅子を探すため失職した進は、借金取りの家に居候させてもらい正業にも就かずパチンコにのめり込む。その傍らでパチンコの軍資金を得るために借金取りの元で取り立ての代行を始め、債務者から卑劣な方法で借金を回収するのに成功したことで悪の才能に目覚める。一方、別の間男の元で羽振りの良くなった雅子が現れて300万円で浩司を引き取ることを提案、金に目の眩んだ進は浩司を売り渡した。しかし雅子の2番目の間男は、実はネズミ講会社を経営する詐欺師だった。その間男が全ての責任を雅子へ押し付けて失踪したのが発覚すると、雅子も浩司を置き去りにして三度行方を晦ました。
その頃、進は浩司の担任である美保絵里を強姦し、彼女を妊娠させたことにより奇妙な成り行きを経て、著名な財閥の一族である絵里の実家に招き入れられる。進は期せずして財閥の後継者の地位を手に入れるも絵里の妊娠が想像妊娠だったことが判明して用済みとなり、あえなく追放される。
第14話 - 第28話
借金取りに頼み込んで居候を再開した進は正業へ就くことを決心するも長続きせず、進の失職を知った元教え子たちが善意でカンパした金までもパチンコにつぎ込むなど、堕落した生活を送る。
借金取りの家を追い出された進は浩司の手引きにより、新たな間男との間に授かった双子を妊娠していた雅子と再会。雅子の勤めていた弁当屋で働き始めた進は、弁当屋の土地の地上げを目論んでいた借金取りと結託して弁当屋の店長をパチンコの泥沼へ引きずり込み、地上げを成功させて大金を得る:17-23話。
借金取りの元で本格的に取り立て代行の仕事を始めた進は、取り立て上の失敗などで大金を失うもののそれでもパチンコを止められず、自らも借金取りから大金を借り受ける。だが借金取りは膨らんでいく借金をなかなか返済しない進にしびれを切らし、ついに雅子と共謀して進に対する保険金殺人を計画する。借金取りは進をフィリピンへ連れ出し暗殺しようとするも、進は持ち前の悪運によってマニラのカジノで大金を稼ぎ出し借金を精算することで無事帰国した。
第29話 - 最終話
あくまでもパチンコ狂いを続ける進に愛想を尽かした雅子は、本格的に彼へ離婚を迫る。進は医師の指導の下でパチンコ依存症の治療を試みるも成功せず、半ば強制的に離婚させられる。
そんな進を見かねた借金取りは彼に学習塾の仕事を斡旋する。学習塾のオーナーから叱咤激励を受けた進は教育者としての本分に立ち返り、学習塾の経営に邁進する。また、オーナーから紹介された老舗の和菓子店の娘・美佐子との縁談も纏まり、進の生活には徐々に光が差し始める。一方、新しい彼氏である奥野の元で暮らしていた雅子は自らも再びパチンコ依存症を発症し、借金を奥野に被せたまま子どもたちをも残してまたもや蒸発する:34-38話。
浩司を跡取りにしたいという美佐子の両親の希望もあり、進は学習塾を畳んで美佐子の実家である和菓子店にて働き始める。ところが不妊症だったはずの美佐子の妊娠が判明すると美佐子の両親は、進に無断で浩司を児童養護施設へ入れてしまう。借金取りが浩司を引き取るよう迫ったことで美佐子の両親も一旦は考えを改めるが、その矢先に進の作った商品から食中毒が発生し怒り狂った美佐子の両親によって進と浩司は家から追い出される:39-41話。
またしても行くあてを失くした進と浩司は、借金取りからの情報を頼りに雅子がいる鹿児島へ向かい紆余曲折の末に復縁。進と雅子は再婚し東京で再起を誓うもパチンコへの誘惑を断ちきれず、一家は借金取りが所有する田舎の土地に移住する。パチンコ屋のない環境で平和な日常を送る一家だったが、彼らがいずれまたパチンコと関わる未来を暗示する描写と共に物語は幕を閉じる。
登場人物
主な登場人物
日之本 進
日之本 浩司
その他の登場人物
進の親族・家族
進の愛人
荒井 勝子
美保 絵里
雅子の間男
その他
高島 勝子
弁当屋の社長
阿部/平和荘の住人たち
辰巳建設の社員たち
小谷
高田 学(小川 学)
書誌情報
ありま猛 『連ちゃんパパ』 KADOKAWA、全4巻
- 第1巻 2020年9月12日初版発行、ISBN 9784041107799
- 第2巻 2020年9月12日初版発行、ISBN 9784041107812
- 第3巻 2020年10月12日初版発行、ISBN 9784041107829
- 第4巻 2020年10月12日初版発行、ISBN 9784041107836
反響・評価
2020年5月11日ごろからインターネット上で話題が広がり、翌5月12日には当時本作を無料配信していたマンガ図書館Zにて、会員登録しなくても全編が読める手軽さから閲覧が集中し、サーバーが一時ダウンするなどの反響が起こった。
ほのぼのとしたホームドラマを思わせるタイトルや、『BARレモン・ハート』『釣りバカ日誌』のような柔和でコミカルな絵柄でありながら、『闇金ウシジマくん』のように自己中心的な人物ばかりが登場する生々しい内容が特徴である。パチンコの資金を得るために手段を選ばなくなった主人公の進が、「債務者の子供が通う小学校の児童らに借金のことを言いふらすことで、いじめを誘発し借金取り立てを行う」シーンなどが話題となった。
反響を受けて、2020年9月から10月に初めて紙の単行本として全4巻が発売された。
マンガ解説者の南信長は「鬼畜のような所業を連発し、周りの人間をも泥沼に引きずり込みながら、無邪気に笑う姿はサイコホラーの域に達する。1話ごとに急転するストーリーはまさに弾かれたパチンコ玉のようで、結局は奈落に沈む。パチンコ好きには身をつまされる話だろう」と評した。
フリーライターの藤井夏樹は「パチンコに関する描写よりも借金にまつわる描写が多く、闇金漫画と言えるかもしれない。しかし、パチンコにハマる人の描写には妙なリアリティーがある」と述べている。
作者のありまの他作品は絵柄通りの人情ものが多く、本作は異色作といえる。ありま曰く絵柄と内容のギャップは意図的に演出したものである。ありまは過去のギャンブル依存の経験からパチンコに良いイメージを持っておらず、出版社からパチンコ漫画の執筆依頼を受けた際、断られるつもりで「パチンコ依存で破滅する人間の話なら描ける」と提案したところ、快諾されてしまったという連載経緯がある。突然のブームに対しては、ギャンブル依存症に限らずアルコール依存症やセックス依存症の場合でも結果は同じだと言い、「人は誰しもこの3つの内の1の依存症にハマる可能性があると思ってます」「この作品は取り扱い注意啓発本として見て頂ければ幸いだと思ってます」と語っている。また、主人公・進のモデルは師匠にあたるあだち勉で、パチンコも彼に引きずり回されて覚えたものであるという。