小説

連城訣


題材:脱獄,冤罪,復讐,

各種表記



以下はWikipediaより引用

要約

『連城訣』(れんじょうけつ、簡体字: 连城诀、拼音: Liánchéngjué)は、金庸の武俠小説。長編が多い金庸の作品の中では短い部類に入り、後期にあたる作品である。また、唯一金庸の体験が元になった作品でもある(作者あとがきより)。

概要

1963年発表。主人公・狄雲が幻の「連城訣」の騒動に巻き込まれていく物語。狄雲は金庸の作品の中で最も不幸とされている人物である。彼以外にも戚芳、丁典、水笙といった善側の人々はことごとく悲惨な目にあう。悪役側はほとんどが二面性を持っており、陰険な人物ばかりが揃っている。ストレートな悪人である血刀老祖は例外と言っていい。

他の金庸作品と比べ、登場人物や武功は少なく、比較的読みやすい作品である。物語は短いが、雪山での壮絶な死闘やその後の半年間にわたるサバイバル、「連城訣」の謎解きなど見所は多い。だが、その悲惨さゆえに評価は「面白い」と「つまらない」の両極にはっきりと分かれている。

なお、徳間文庫版には「金庸版・岩窟王」と紹介されているように、物語はデュマの『岩窟王(モンテ・クリスト伯)』とかなり類似している。金庸自身、デュマを愛読していると公言しているので、参考にしていると見られる。

あらすじ

主人公の狄雲は師匠の戚長発、妹弟子の戚芳と共に、師伯である万震山の誕生祝に訪れる。それが大きな悲劇の始まりだった。万圭と七人の弟子によって、狄雲は身に覚えの無い罪を着せられた。師匠は「連城訣」のことを万震山に問い詰められて姿を消し、愛する戚芳は自分のもとを離れ、万圭に嫁いでしまった。 狄雲は牢獄に閉じ込められ、丁典という男に出会う。丁典は全ての争いの元凶である「連城訣」について語った。

二人は「連城訣」の秘密を探りに来る刺客を次々と倒し、ある日遂に脱獄を遂げる。丁典はそこで愛人、凌霜華の最後を知ることになるが……。

やがて、再び一人になった狄雲は師匠の復讐を誓う。その過程で「連城訣」の謎は明かされていくのであった。

登場人物

狄雲(てき うん)

戚長発の一人弟子。「連城訣」の争いに巻き込まれ、次々と悲惨な目にあう。
戚芳(せき ほう)

戚長発の娘。狄雲のきょうだい弟子。
戚長発(せき ちょうはつ)

「鉄鎖横江」の異名を持つ。梅念笙の弟子だったが、師兄二人と共に彼を裏切る。その後、「連城訣」の秘密を探るために平穏な田舎暮らしを装った。
万震山(ばん しんざん)

「五雲手」の異名を持つ。梅念笙の一番弟子である。「連城訣」を狙う。八人の弟子がいる。
万圭(ばん けい)

万震山の一人息子。彼の三番弟子でもある。戚芳に一目惚れして、邪魔者である狄雲を陥れる。
言達平(げん たっぺい)

梅念笙の二番弟子。その実力は三人の弟子の中で最も上とされる。乞食の身なりをして「連城訣」の秘密を探る。
梅念笙(ばい ねんしょう)

「連城剣法」を極め、「連城訣」の秘密を握る人物。弟子達に襲われ、危機を救ってくれた丁典に「連城訣」の秘密を託した。既に故人。
丁典(てい てん)

狄雲と同じ牢獄にいた男。梅念笙から「連城訣」の秘密を知らされた。「神照経」を会得するため自分から牢獄に入る。最初は狄雲を疑っていたが、後に誤解が解け強い味方となる。
凌霜華(りょう そうか)

丁典の愛人。父の凌退思によって仲を引き裂かれてしまい、自分の顔を傷つけて彼の愛に殉じた。
凌退思(りょう たいし)

「連城訣」を狙う。そのために娘を利用しようとするが……。
血刀老祖(けっとうろうそ)

残虐な振る舞いで有名な血刀門の親玉。必殺武器の血刀は抜群の切れ味を誇る。美人に目が無い。雪山で落花流水との死闘を繰り広げる。
落花流水(らっかりゅうすい)

江南四老と呼ばれる四人の使い手かつ義兄弟。「仁義陸大刀」の陸天抒、「中平無敵」の花鉄幹、「清風柔雲剣」の劉乘風、「冷月剣」の水岱である。「落花流水」のあだ名は彼らの苗字に由来する。雪山で血刀老祖と死闘を繰り広げる。北四怪の風虎雲竜と並べました。
陸天抒(りく てんじょ)

落花流水の長兄。三弟である劉乘風の死後、血刀老祖と雪下で死闘を繰り広げるも、幼少時から雪下での戦闘に慣れていた血刀老祖に対して、雪の上に出て息継ぎをしようとしていたところを首を刎ねられ、死亡。死後、遺体は花鉄幹に食されてしまった。
花鉄幹(か てっかん)

落花流水の次兄。三弟である劉乘風と共に血刀老祖と交戦し、血刀老祖が劉乘風と戦っている隙を突き、背後から自身の槍で討とうとするも気付かれ、勢いあまって劉乘風を誤殺してしまう。三弟を誤殺してしまったことで精神が不安定となり、長兄と四弟も死亡したことから降伏した形となった。その後、狄雲や血刀老祖、水笙を含めた4人での雪山でのサバイバルに突入するがその頃から醜い部分が表出し始め、空腹を満たすために、長兄と三弟の遺体を掘り起こして、その人肉を食すという非道に及ぶ。雪山を脱出した後、ラストで宝がある建物へ突入し、争いに末に死亡したと思われる。ドラマでは雪山からの帰還後、血刀老祖を討った者と賞賛され武林の盟主に推挙される。しかし、長兄と三弟の遺体を食したことによる精神的動揺と長兄と三弟、末弟の亡霊に悩され、食事で肉が出てきた時は感情が激しくなっていた。その後、狄雲と水笙により、長兄と三弟の遺体を食したことを告白し、周囲の人々に非難される。最期は狄雲と交戦、敗北し、死亡した。
劉乘風(りゅう じょうふう)

落花流水の三弟。次兄である花鉄幹と共に血刀老祖と交戦するが、次兄に槍で誤って突き刺され死亡した。死後、遺体は次兄に食されてしまった。落花流水で最初の死亡者である。
水岱(すい たい)

落花流水の末弟にして水笙の父。陸天抒と劉乘風の死後、花鉄幹と共に血刀老祖と交戦するが足を切断されて再起不能にまで追い詰められ、狄雲を罵ることにより、血刀老祖に対抗しようとするが花鉄幹の弱腰を悟り、最期は狄雲によって引導を渡された。彼の遺体だけは狄雲と水笙の奮戦により、花鉄幹に食されなかった模様。
水笙(すい しょう)

水岱の娘。血刀老祖にさらわれる。成り行きで彼の弟子になっていた狄雲を、最初は悪人と思っていた。だが、半年に渡る雪山の生活で、彼に信頼を寄せるようになる。

キーワード

連城訣
全ての争いの発端である「連城訣」。その謎は「唐詩選」に隠されている。
連城剣法
別名「唐詩剣法」とも呼ばれる。詩を吟じながら使う。その技は教え方によって威力を変える。戚長発も「躺尸剑法」‘剣に出せば、屍体になるという意味です‘の名を狄雲と戚芳を騙す。
神照経
丁典の会得した最上の内功。時間が経っていなければ、死人さえ生き返らせることも可能。
血刀法
血刀老祖の血刀による技を載せた剣譜。狄雲の手に渡り、短期間で会得した。

書誌情報

文庫本

  • 徳間文庫・岡崎由美 監修/阿部敦子 訳

上 菊花散る窓 2007年4月6日刊行 ISBN 978-4-19-892583-3、下 雪華舞う谷 2007年4月6日刊行 ISBN 978-4-19-892584-0

映像化作品

映画

  • 『連城訣』 1980年 香港 … 呉元俊(狄雲)※日本未公開

テレビドラマ

  • 『連城訣』 1989年 TVB 香港 … 郭晋安(狄雲)※日本未公開
  • 『連城訣』 2003年 中国 … 全33話。ウー・ユエ(狄雲)

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