運命の人 (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『運命の人』(うんめいのひと)は、山崎豊子による小説。沖縄返還時の日米密約を題材に、国家権力とジャーナリズムの戦いを描いたもの。第63回毎日出版文化賞(毎日新聞社主催)特別賞受賞(2009年)。
概要
『月刊 文藝春秋』で2005年1月号から2009年2月号に長期連載され、2009年に単行本・全4巻で出版された。文庫版は2010年12月から2011年2月に同じく全4巻で刊行された。取材と執筆に約8年を要した長編作品で最後の刊行作品であり、生前に出版された最後の小説でもある(後作の『約束の海』は絶筆未完作で遺作として刊行)。
「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と冒頭に記載されている。1971年の沖縄返還協定に関する取材で入手した機密情報を記事にする以前に野党国会議員に漏洩した毎日新聞記者の西山太吉らが国家公務員法違反で有罪となった実際の西山事件を想起させる内容である。
あらすじ
特ダネ記者である毎朝新聞政治部の弓成亮太は、大詰めとなった沖縄返還の取材中に、日米間で進められている密約の存在に気づく。激しいスクープ合戦の中、弓成は証拠となる機密文書を外務省事務官の三木昭子から入手するが、二人が男女の仲であったことを材料に、国は機密漏洩を追及し、やがて世間の関心は国民の知る権利と国家権力の戦いから、二人の関係の詮索へと変質していく。
登場人物
【】内は作者が意図するモデルと思われる実在の人物・企業。ただしこの作品はあくまでもフィクションであり、実在の人物との関連は無い。
弓成の家族、関係者
弓成家
弓成亮太【西山太吉】
弓成洋一
弓成純二
外務省
政治家
弁護士
書誌情報
『運命の人』 文藝春秋
『運命の人』 文春文庫
『山崎豊子全集 第2期 1・2・3 運命の人』新潮社、2014年9月-11月
第2期は全4巻(最終4巻は、未完作・約束の海、エッセイほか)、第1期は全23巻
第2期は全4巻(最終4巻は、未完作・約束の海、エッセイほか)、第1期は全23巻
テレビドラマ
2012年1月15日から3月18日まで、TBS系列『日曜劇場』枠(毎週日曜日21:00 - 21:54、JST)で放送された。主演は本木雅弘。原作者・山崎豊子の生前最後の映像化作品。
概要
弓成亮太役の本木雅弘は原作者・山崎豊子の推薦であり、「強靭さと悲劇性を併せ演じられる俳優さんだと、お見受けしたからだ」という。柳葉敏郎、北大路欣也、伊武雅刀、大和田伸也等、山崎豊子原作の映像化作品出演経験のある俳優が多く起用されている。
山崎豊子の作品が「日曜劇場」枠で放送されるのは、2007年1月期の『華麗なる一族』(木村拓哉主演、当時SMAP)以来5年ぶりとなる。しかし、本作の平均視聴率は12.0%を記録し、「華麗なる一族」のようなヒットにはならなかった。
キャッチコピーは「未来は変えられるのか - 日本中を揺るがせたあの大事件の裏側には、1人の男と2人の女の秘められた真実があった…」。
キャスト
○は最終話・沖縄編にも出演している登場人物。
主要人物
○弓成亮太
毎朝新聞社政治部記者。外務省記者クラブキャップ→永田町記者クラブキャップ
○弓成由里子
弓成亮太の妻。自宅で弓成ゆりこピアノ教室を始める。
○三木昭子
外務省安西審議官付事務官→京陽不動産事務員→陵南運送事務員
○山部一雄
読日新聞社政治部記者。外務省記者クラブキャップ→永田町記者クラブキャップ→編集局長→論説委員長。
佐橋慶作
内閣総理大臣。沖縄復帰記念式典後、退任。
演じる北大路欣也は、同じ原作者の作品である『華麗なる一族』と同様、主人公と対立をする役割をもつ。
毎朝新聞社
司修一
政治部部長→論説委員
清原了
政治部記者。外務省記者クラブ→永田町記者クラブ
金田満
政治部記者。外務省記者クラブ→永田町記者クラブ
仲村明
政治部記者。永田町記者クラブ所属。
荒木繁
社会部デスク。
斉田透
社会部司法担当者。
萩野孝和
整理部デスク。
恵比寿史朗
販売部部長。
久留聡一
主筆。
大館智文
取締役社長。
外務省
安西傑
経済担当審議官→アメリカ大使
山本勇
安西審議官付事務官。
林
事務次官。
吉田孫六
アメリカ局長。
川崎一郎
北米第一課長。
砂川
人事課課長。
児玉
人事課課長。
政治家
愛川輝一
外務大臣(佐橋内閣)→大蔵大臣(田淵内閣)。原作版では愛池大臣に相当する。
田淵角造
自由党幹事長。通商産業大臣(第三次佐橋内閣)→内閣総理大臣
福出赳雄
大蔵大臣→外務大臣(第三次佐橋内閣)
鈴森善市
自由党総務会長。
小平正良
自由党小平派会長。外務大臣(田淵内閣)
曽根川靖弘
自由党曽根川派会長。通商産業大臣(田淵内閣)→内閣総理大臣
横溝宏
社進党衆議院議員、元弁護士。
警察
十時正春
警察庁長官。
井口
警視庁捜査第二課知能犯第4係班長。
郷田
警視庁捜査第二課課長。
岩代
警視庁捜査第二課警部補。
法曹
高槻
弓成亮太弁護団。
山谷
弓成亮太弁護団。
○大野木正
中央法律事務所所属。弓成亮太弁護団。
演じる柳葉敏郎は、同じ原作者の作品である『華麗なる一族』と同様、主人公の味方をする役割をもつ。
坂元勲
三木昭子担当弁護士。
正木道夫
東京地方検察庁次席検事。
藪谷哲司
東京地方検察庁特別捜査部検事。
笠間繁昌
東京地方検察庁特別捜査部検事。
森靖之
東京地方検察庁公判部検事。
本山拓
東京地方裁判所裁判長。
増見豊
東京高等検察庁公判部検事。
木柿
東京高等裁判所裁判長。
週刊誌
○鳥井裕三
週刊「ジャーナル」記者。
○松中雄也
週刊「潮流」記者。
弓成家・八雲家
弓成正助
弓成亮太の父親、北九州青果協同組合弓成青果社長。
弓成しづ
弓成亮太の母親。
弓成洋一
弓成亮太・由里子の長男。
弓成純二
弓成亮太・由里子の次男。
八雲泰造
弓成由里子の父親。
○八雲加代
弓成由里子の母親。
○青山芙佐子
弓成由里子の妹。
青山美奈
青山芙佐子の娘。
鯉沼玲
弓成由里子の従兄妹、建築家。
三木家
○三木琢也
三木昭子の夫、元外務省官僚。
その他
坂元千恵子
坂元勲の妻。
枝川清美
女性人権活動家。「三木さんを守る会」代表。
長谷川勝次
弓成青果番頭。
中原平吉
中原みかん農園経営者。
ブティックの店長
沖縄編
以下の登場人物は最終話のみ出演。
謝花ミチ
与那嶺琉球ガラス工房職人。
渡久山朝友
謝花ミチの叔父。
渡久山ツル
謝花ミチの叔母。
照屋賢勇
与那嶺琉球ガラス工房職人。
与那嶺真栄
与那嶺琉球ガラス工芸家。原作版では稲嶺に相当する。
儀保明
琉球新聞社社会部部長。
天願崇
琉球新聞社社会部記者。
島袋善祐
反戦地主。
安仁屋猛
軍用地地主会会長。
我楽政規
琉球国際大学助教授。
少女
スタッフ
- 原作 - 山崎豊子「運命の人」(文藝春秋刊)
- 脚本 - 橋本裕志
- 音楽 - 佐藤直紀
- 演出 - 土井裕泰、吉田健
- プロデュース - 瀬戸口克陽
- 製作著作 - TBS
放送日程
各話 | 放送日 | サブタイトル | 演出 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1月15日 | 疑惑の一夜 | 土井裕泰 | 13.0% | 30分拡大 |
第2話 | 1月22日 | 漏れた秘密 | 11.3% | ||
第3話 | 1月29日 | 裏切りの代償 | 11.6% | ||
第4話 | 2月 | 5日暴かれた関係 | 吉田健 | 11.6% | |
第5話 | 2月12日 | 引き裂かれた家族 | 10.8% | ||
第6話 | 2月19日 | “女”の復讐 | 土井裕泰 | 9.9% | |
第7話 | 2月26日 | 衝撃の判決 明暗を分けた結末!! | 13.2% | ||
第8話 | 3月 | 4日逆転判決!? 暴走する女の執念 | 吉田健 | 10.4% | |
第9話 | 3月11日 | 終幕へ-下される最後の審判 | 11.9% | ||
最終話 | 3月18日 | 栄光と挫折〜再生の物語が沖縄で遂に完結!! 40年前の真相と奇跡が招く衝撃の結末 -運命に翻弄された3人の未来とは |
土井裕泰 | 14.1% | 54分拡大 |
平均視聴率 12.0%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
備考
- かつて、1995年にNHK総合テレビで放送された同じ原作者の作品『大地の子』(上川隆也主演)では、主人公・陸一心(松本勝男)役を本木雅弘と希望していたことがある(後に、原作者・山崎豊子は上川隆也でよかったと述べている)。余談であるが、本作で政治部記者・仲村明役を務めた笠原秀幸は、同作では幼少期の陸一心(松本勝男)役を演じた経験がある。
- 香港では「命運之人」のタイトルで、無綫精選台で毎週土曜16:45 - 18:30(又は22:45 - 0:30)に2012年10月27日から同年12月1日までに放送された。
- 台湾も「命運之人」のタイトルで、緯来日本台で毎週月曜~金曜22:00 - 00:00に2014年2月13日から同年2月27日までに放送された。
TBS 日曜劇場 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
南極大陸
(2011年10月16日 - 12月18日) |
運命の人
(2012年1月15日 - 3月18日) |
ATARU
(2012年4月15日 - 6月24日) |
1993年 | |
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1994年 | |
1995年 | |
1996年 | |
1997年 | |
1998年 | |
1999年 | |
2000年 | |
2001年 | |
2002年 |
2002年 | |
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2003年 | |
2004年 | |
2005年 | |
2006年 | |
2007年 |
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2008年 | |
2009年 |
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2010年 | |
2011年 |
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2012年 | |
2013年 |
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2014年 | |
2015年 | |
2016年 |
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2017年 | |
2018年 |
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2019年 | |
2020年 | |
2021年 | |
2022年 | |
2023年 | |
2024年 |
モデルとされる人物からの批評
山部一雄のモデルとされている渡邉恒雄はドラマ版を視聴し、「劇中に登場する山部のエピソードが、どれも事実と異なる作り話」であると憤慨したという。渡邉は『サンデー毎日』2012年2月19日号に「私は『運命の人』に怒っている!」と題した寄稿を行った。また主人公のモデルとされている西山太吉は、原作について「まったく事実と反する所が山と出てくる。ナベさんが怒っている以上に私が怒っている」と述べているという。