重機甲乙女 豆だけど
以下はWikipediaより引用
要約
『重機甲乙女 豆だけど』(じゅうきこうおとめ まめだけど)は、真鍋譲治による日本の漫画作品。『週刊漫画TIMES』(芳文社)にて、2016年12月30日号(2016年12月16日発売)まで不定期連載された。コミックスは全7巻。
現実世界と同じ1480年代の大陸構図でありながら、第二次世界大戦期の技術水準を有する仮想世界を舞台としており、登場する兵器も現実世界とは多少異なる形を持つ。
ストーリー
1480年代イタリア。ローマ法王庁を中心とする貴族たちにより平穏は保たれていたが、急激に版図を拡大していたオスマン帝国のオトラント占領とイタリア半島内陸部への侵攻により平和は破られた。事態を重く見た法王・ペロンⅠ世は法王庁を中心とした神聖同盟(十字軍)を結成し、各諸侯に参戦の号令を下し、小国ガルマを治めるジョヴァンニ・ダンピアーノもその命を受ける。ガルマは傭兵料で国を支えている貧乏国家であり、装甲師団として法王庁と契約をしており、貧乏師団はオスマン帝国を打ち破るべく参戦した。
これは、主力戦車が豆タンクで、軍事力や財政に乏しい貧乏国家が、知略と手腕、そして持ち前の明るさを以て軍事帝国と対等に立ち振る舞った軌跡を、数人の登場人物の目を通して語られる物語である。
登場人物
神聖同盟(十字軍)
ガルマ侯国
物語の中心となる国家及び軍隊。内陸に位置する小国で、交通の要衝ではあるものの産業が乏しいため、国をあげて傭兵業を行っている。軍隊は陸軍のみで、戦車隊も豆タンクの二個中隊のみ。「女性の方が敵軍も戦いに躊躇しやすく、また周囲への気配りに長けている」という理由から、軍首脳陣はジョヴァンニ以外女性のみで構成されている。第二次世界大戦期の日本陸軍、およびハンガリー王国陸軍の軍服に準じたデザイン。
アンリエッタ・ペチーノ
マルコ・ゼン
ジョヴァンニ・ダンピアーノ
メリッサ・ダンピアーノ
リリア・マクレーヌ
シンシア・グリコーン
テレサ・アントニア
ロッサーヌ
マルケージ
歩兵第一中隊長。階級は大尉。初老の男性士官で、ロッサーヌの下で先任将校として前線での指揮を一任されている。支庁舎攻略の際に援軍に駆け付けたペチーノ小隊を「腹の足しにもならん」と見下していたが、ペチーノの活躍で支庁舎攻略に成功。中隊にペチーノへの「かしら右」を命じ、自身は敬礼を以て勇戦を讃えた。
ボルジア作戦失敗後、撤収の際にウーラ率いる戦車隊の奇襲に遭い、ロッサーヌを逃がすと挺身隊を率いて敵戦車に肉弾攻撃を展開。足止めを図り味方撤退のための時間を稼ぐが、衆寡敵せず敗北。部下諸共捕虜となる。
ウーラからジョヴァンニの場所を訊かれるが、「我が主人は既にローマの別荘でワインで乾杯し高いびき。とんだ無駄足だったな。さっさと蛮族の地に帰れ」と笑い飛ばし、ウーラに手ずから眉間を射抜かれて死亡。部下達もウーラの護衛に悉く銃殺された。
ローマ法王庁
神聖同盟の中核をなす。キリスト教の総本山。ローマ法王庁の枢機卿や軍人の軍服は、第二次世界大戦期のイタリア・ファシスト党の国防義勇軍(MVSN)の軍服に準じたデザイン。
リアーリオ
神聖同盟総司令官代理で、爵位は枢機卿。左頬の傷跡が特徴。ペロンⅠ世の甥だが庶子との噂もある。愛国心と野心が強く、前線の各軍に指令を出すのみならず、自ら前線に出ることも厭わないが、ゆくゆくは「イタリアを統一しその指導者になる」という野望を持っている。また女好きな一面もあり、バルバラ曰く「ジョヴァンニと同類」。
メリッサとは同じ志を持つ者として、また一人の女性として好意を持ち、生涯の伴侶とすべく彼女に告白し、彼女の唇を奪ったところ、逆に彼女を怒らせて鉄拳を浴びてしまい、それでも度々彼女に連絡を取り付けるが、その度に様々な物資を要求され、結果としてパトロンになっている。
オスマン空軍によるローマ空襲で指揮系統が大打撃を受けた後、グレオに代わって二代目総司令官として全軍を指揮している。
ペロンⅠ世
ローマ法王。ボルジア家出身。オスマン帝国によるイタリア侵攻に際し、「異教徒撲滅」を掲げて周辺諸国に参戦を呼びかけ、神聖同盟を結成させた。
元々田舎出身の司教で、法王になって権力を得てからは、信仰心を煽って民衆から御布施をまき上げ、親族を枢機卿の位に引き上げ周囲に就かせ、さらにはグレオを差し置いて自ら総司令官気取りで神聖同盟を指揮しようとするなど、その自己中心的な言動から、貴族たちから「俗物」「田舎出自の成り上がり者」と陰口をたたかれている。
オスマン空軍によるローマ空襲で自身に危険が迫ってくると、それまでの楽観的な考えから一転、己の保身のためにリアーリオから空軍の指揮権を取り上げて法王庁の護りに就かせたり、いざと言う時の「逃げ道」を確保しようとするなど、自己中心的な言動に拍車がかかっている。
ドーリア
ランツィケネッキ師団
神聖ローマ帝国軍の新教徒(後のプロテスタント)で編成された機甲師団。皇帝マクシミリアンⅠ世の命により異教徒撲滅の目的で同盟軍に参戦している。欧州屈指の軍事力を持つが、同盟軍との衝突が絶えないことで有名。軍人の軍服は、第二次世界大戦期のドイツ陸軍戦車兵の軍服に準じたデザイン。
ゾルゲ
ランツィケネッキ師団の戦車連隊長。階級は大佐。強面の隻眼軍人で規律に厳しく、戦線から離脱しようとする友軍は負傷兵ですら容赦なく粛清する。当初ガルマ軍を軽視していたが、メリッサの妙案やペチーノたちの活躍に「じゃじゃ馬たち」と呼びながらも実力を認め、奮闘したペチーノに自身の勲章「功一級鉄十字章」を授けた。三度の飯より戦争好きで、反面事務的な政治家が大の苦手で、本国の指令より戦況を最優先にして判断・行動するなど、司令官としても類稀な才覚を持つ。
ボルジア作戦でウーラの策に嵌りオスマンの浮き砲台で神聖同盟軍は壊滅状態となり、味方部隊の撤退を支援するべく殿軍を務め、激しい攻防の末に戦死、ゾルゲの亡骸にウーラは敬礼で応えた。
イタリア貴族
ガレアッツォ・スフォルツァ
カテリーナ・スフォルツァ
フェランテ
ニコロ・マキャベリ
ヴェネツィア共和国
イタリアとオスマン帝国領の狭間に位置する中立国家で、イタリア一の海洋国家でもある。強大な海軍力を保有し長年中立を守っており、オスマン帝国のイタリア侵略に際しても双方に付かず中立を守っている。
アゴスティーノ・バルバリーゴ
オスマン帝国
コンスタンティノープルを陥落させ東ローマ帝国を滅亡させたのち、次の征服先をイタリア半島に定め進軍する。将兵の軍服は第二次世界大戦期のドイツ国防軍陸軍に準ずるデザインであるが、ヘルメット左側と軍服右胸部の主権紋章(ハーケンクロイツを掴んだ鷲)は省略されている。また歩兵の主装備はMP40に酷似した短機関銃になっている。
メフメトⅡ世
ヤコポ・ダ・ガエタ
チリアコ・ダンコーナ
カリル・パシャ
イエニチェリ
スルタンの親衛隊。スルタンへの愛と生涯不婚を誓った女性のみで構成され、前線での戦闘のみならず、督戦隊としての役割も務める。
ウーラ・ラスナー
イエニチェリを率いる将軍。顔の下半分を覆面で覆い、左目辺りには縦に一閃されたかのような大きな傷跡がある。スルタン以外の命令には一切従わず、勇猛果敢な女将軍として国内外に知られており、過去に戦った経験のあるゾルゲ曰く「ずる賢い女狐」。スルタン直々に電文で「わが愛のために死ね」と発破をかけられ、妹アリ・ラスナーの仇討ちの機会を与えてくれたスルタンに感謝すると共に全身全霊を以て神聖同盟の殲滅を誓う。
ボルジア作戦時のサン・ジュリアーノ湖での戦闘で宿敵であるゾルゲを葬った後、妹・アリを葬ったガルマ軍を発見し殲滅すべく進軍、自ら手勢を以て奇襲を仕掛け、リリアとシンシアの両中隊長を死に追いやって戦車隊を壊滅させ、歩兵隊にも甚大な被害を与えるなど猛威を振るった。その際戦闘中にペチーノと一騎討ちになり、果敢に攻めるペチーノを自ら狩るに値する相手と覚えた。
アリ・ラスナー
登場兵器
対戦車兵器についてはモンロー/ノイマン効果を利用した成型炸薬弾は実用化に至っておらず、対戦車ライフルや対戦車砲、対戦車地雷が主で、それ以外は収束手榴弾や火炎瓶などの急造兵器に頼っている。
航空戦および海戦については、無線通信は実用化されているがレーダーは実用化されておらず、対空索敵は地上の監視所における目視や空中聴音機に頼っている。
神聖同盟
陸上兵器
L1戦車“チャリオッツ”
甲3型戦車
M13/57“ビアンキ”
T-44“ファランクス”
マルクⅣ
海上兵器
ジュリオ・チェーザレ
ゴリッツィア/ガリバルディ
航空兵器
主力戦闘機G.50“トルッキーノ”
機体のモデルはフィアットG.50。
主力爆撃機SM.79“パッキェロッティ”
そのほか
ガリレオ
オスマン帝国
陸上兵器
主力戦車“ヤウズⅠ”
オイルタンカー
多砲塔戦車“スレイマン”
海上兵器
潜水艦
旧式戦艦
航空兵器
多目的戦闘機“セリム”
大型爆撃機
スルタン専用機
書誌情報
- 真鍋譲治 『重機甲乙女 豆だけど』 芳文社 〈芳文社コミックス〉、全7巻
- 2013年12月31日発売、ISBN 978-4-8322-3385-0
- 2014年7月1日発売、ISBN 978-4-8322-3406-2
- 2014年12月16日発売、ISBN 978-4-8322-3431-4
- 2015年6月16日発売、ISBN 978-4-8322-3454-3
- 2015年12月16日発売、ISBN 978-4-8322-3483-3
- 2016年6月16日発売、ISBN 978-4-8322-3504-5
- 2017年4月14日発売、ISBN 978-4-8322-3537-3