銀と金
漫画
作者:福本伸行,
出版社:双葉社,
掲載誌:アクションピザッツ,
レーベル:アクションコミックス,
巻数:単行本:全11巻文庫版:全8巻新装版:全10巻,
話数:全108話,
以下はWikipediaより引用
要約
『銀と金』(ぎんときん)は、福本伸行による日本の漫画作品。1992年から1996年まで『アクションピザッツ』(双葉社)に連載された。単行本は全11巻。「銀王」と呼ばれる裏社会のフィクサー、平井銀二と、それに見いだされて才能を開花させ、やがて銀を超える「金」になるという望みを抱くようになる青年、森田鉄雄というふたりの男を中心とした、株の仕手戦や政治家との裏取引などの駆け引き、殺人鬼や復讐に身を委ねた男との命を懸けた死闘、さらに福本が得意とするギャンブル勝負を描いた作品である。
物語中ところどころで語られる謎を残したまま休載というかたちで連載終了し、現在に至っても再開されていない。当初は銀二と森田を戦わせる展開で、物語を終わらせる予定だったと福本は語っている。
2005年12月から文庫版全8巻が出版されている。コンビニコミック版では金銭や経済情勢に関わる事象や事件などについてのコラム記事「マネーレポート」が掲載されている。2014年7月28日に単行本の新装版が発売された。
2017年1月からは、テレビ東京でドラマ化作品が放送された(後述)。
ストーリー
第1話 - 第14話
答えあぐねる森田に対し、銀二は徐々に札束を減らしていく。森田はいったん立ち去るが、ふたたび銀二の前に戻り、「人殺しはできない、だけど裏社会で生きたい」と懇願する。そんな森田に、「その気持ちを忘れるな」と告げ、次の計画、日本旭との株の仕手戦の内容を話す。銀二と仲間たちは仕手戦を制し、政権与党である自由民政党の大物議員・伊沢や、帝日銀行の頭取である土門とも協力関係を取り付ける。
第15話 - 第21話
有賀が捕らえられている部屋に案内された森田は、銀二から一丁の拳銃を受け取るが、その銃は銃弾が込められていない、脅しだけのものだった。その場は無事にやり過ごした森田だったが、交代した組員の不用意な行動から凶器を手に入れた有賀は、凄惨な殺戮を始める。組員たちは皆殺しにされ、残った森田も追い詰められてゆく。間一髪のところで、銀二が駆けつけて有賀をたやすく制圧し、瀕死の森田を病院に運ぶ。
第22話 - 第33話
街を放浪し、情報を手に入れるためにホテル内の喫茶店に入り浸るうち、森田は画廊の中条と稚拙な画力の美大生・青木との会話を耳にする。さらにその後、業界紙で土門が紹介していたセザンヌの絵画「ジャ・ド・ブッファンの眺め」(Jas de Bouffan)の記事を見たとき、ある作戦を思いつく。
その後、うまく中条と知り合いになった森田は、罠に嵌められかける。そこに現れて危機を救った男・川田と協力関係を結び、本格的に計画を進める。森田は土門のもとから入手したセザンヌの絵画を餌にして中条にギャンブルを持ちかけ、大金の入手に成功する。川田は今後も森田と協力しようとするが、森田は手段を選ばない川田のやり方を許せず、決別することになる。
第34話 - 第42話
その場は森田の勝ちで収まるが、西条は屈辱に燃え、青天井でのポーカーの勝負を挑み、森田もそれを受ける。その後、知り合いの女の子たちから情報を得た森田は、西条たちが何らかの不正をしていると踏むが、結局方法が分からないまま勝負の日を迎え、方々から金を工面して勝負に臨む。壮絶な金の積み合いとトリックの応酬の果てに、森田は西条を下す。
第43話 - 第58話
数あるギャンブルの種目のなかから、森田はあえて蔵前が得意とする麻雀を選ぶ。彼なりの作戦があってのことだったが、莫大な資金と巧みな勝負経験を持つ蔵前には通用せず、あっという間に危機に追いやられる。
茫然自失となった森田に、銀二は「飼われる前に死ね」とナイフを渡す。死ぬ覚悟を決めた森田の前に現れた銀二は、蔵前が持つ資産すべてを吹き飛ばすほどのある秘策を告げる。ぎりぎりの博打の結果、銀二たちは大勝利を得ることになる。
第59話 - 第64話
そのことを危惧した土門から、伊沢がアメリカの銀行から一千億もの莫大な融資を受けていることを知った銀二は、この裏に秘められた真実を見抜く。後日、銀二・伊沢・土門の三者会談で、伊沢は事情を説明する。すべては政治資金を稼ぐための、伊沢の自作自演だったのだ。その後、伊沢とふたりきりになった銀二は自身の野望、すなわち日本全体の経済を支配する壮大な野望を語る。
第65話 - 第88話
森田は秀峰が懇意にしている病院の看護婦・田中沙織と協力し、秀峰を救い出したあと、神威家が建設した開業前のホテルへ移動し、そこへ兄弟たちを集める。秀峰は兄弟たちに家長権の重大さを説くが、子飼いの暴力団の組員らを味方につけた兄弟たちにより、逆に危機に陥る。運よく逃げ出した森田は、沙織が兄弟側の人間であることを悟り、このままではふたりとも殺されると説得し、逆襲に転じる。
幾度とない苦難のすえに兄弟たちを組み伏せ、安全を確保した森田たちは無事帰還できるかと思われたが、そこに現れた侵入者により組員らが虐殺され、「神威家鏖」とのメッセージを伝えられる。敵対する暴力団組織の殺し屋かと騒ぐ兄弟たちに対し、秀峰は「鏖」は「みなごろし」と読み、つまり標的は神威家だと説明する。侵入者の正体は、能力が劣るゆえに家のなかで差別され、虐待を受けてきた神威家の四男と五男で、森田は死闘のなかで復讐に燃えるふたりをなんとか救おうとするが、結果的にふたりは殺され、元凶である秀峰らが生き残る。この件をきっかけに森田は裏の世界から抜けることを決意し、銀二たちとも袂を分かつことになる。
第89話 - 第108話
そのために、銀二はふたたび競馬場で出会った新たな相棒・川松良平を仲間に誘う。さらに優良馬や一流の騎手が河野陣営に奪われていくなか、銀二側は最強の騎手である岡部を味方に引き入れることに成功する。
厩務員などへの裏工作も着々と進行し、勝負の勝ち目が見えてきたかと思った矢先、河野側に工作が漏れ、水泡に帰す。しかし、銀二は落ち着いたまま、「本当の仕掛けは別」と話す。そして決着の日、銀二の策は河野の予想を上回り、鼻の差で銀二陣営の勝利に終わる。銀二は今回をもって引退するつもりでいたが、辛勝であったことで「勝ち逃げ」を許さないという何者かの意思を感じ取り、近い将来の敗北を予感しつつ、最後まで戦いつづけることを決意する。
登場人物
銀二のグループ
平井 銀二(ひらい ぎんじ)
本作品の主人公。「銀王」の異名を持つ裏社会のフィクサー。愛称は「銀さん」。あらゆる面で卓越した能力と、独自の人生哲学を持つ。森田を「条件」に当てはまる男として裏社会に引き込み、その才能と成長に期待する。悪魔じみた思考で弱者や悪党から金を搾り取るが、「巨悪を征するのはそれより大きな巨悪」という思想を持ち、伊沢を始めとする有力な政治家を使って国の経済界を支配することを最大の野望としている。
森田を後継者として成長させていく過程で彼に多大な信頼を抱くようになるが、彼が銀二との別れを決意したことで「自分の中の何かを失った」と思い引退を決意していた。しかし、河野との競馬勝負での辛勝が「何者かが自分を引きとめた」と感じ、破滅の時まで戦い続けることを宣言する。継続を決意するものの、自分が敗れるのは次かその次だと直感し、物語は幕を閉じる。
ドラマ版においては、森田と別れたあとに上記同様、近いうちに敗れると感じていたと語るが、森田が敵として対峙する時まで負けられないと仲間に告げる。
福本初期の短編「銀ヤンマ」に同姓同名の「平井銀次」というキャラクターが登場する。口調や顔つきは似ているものの、まったく別のキャラクターである。
森田 鉄雄(もりた てつお)
声 - 池田秀一(ポーカーチェイス)
本作品のもうひとりの主人公。ただのギャンブル中毒の素寒貧だったが、競馬場で平井銀二に声をかけられたことをきっかけに、悪党たちが金を握る裏世界で生きる決意をする。相手の虚を天才的に見抜いて勝ちぬく鋭さを持つ一方、銀二たちにはない損得抜きの行動原理で動くこともあり、強運の持ち主でもある。銀二の悪党ぶりと金を手にすることの天才的な才能に憧れて、銀を超える「金(キン)」と呼ばれる人間になりたいという志を抱く。
数々の戦いのなかで、悪党として生き抜く決意や勝つために命を捨てる覚悟を固め成長していくが、神威家を巡る戦いで、その境遇ゆえに救い出したいと願った勝広と邦男を救えず、結果的にすべての元凶である秀峰の得となる結果になったことから、「自分たちのすることで得をするのは悪党だけ」と思いつめるに至り、裏の仕事から足を洗うことを決意し、銀二と袂を分かつ。
ドラマ版では「誠京麻雀」戦後、銀二との対決を求めるために独立し、原作と異なり引退はせず、3年後に銀二と再会し勝負に挑むところで終わる。
その他
土門 猛(どもん たける)
伊沢 敦志(いざわ あつし)
梅谷 哲(うめや てつ)
有賀 研二(ありが けんじ)
中条 明夫(なかじょう あきお)
川田 三成(かわた みつなり)
西条 進也(さいじょう しんや)
蔵前 仁(くらまえ ひとし)
一代でのし上がった巨大グループ「誠京」の会長で、巨万の富を持つ老人。
政治家を招いたギャンブルパーティーを開き、客が勝てば支払い、負けても低金利の借用書で済ませた上、政策などで見返りをよこした者からは請求しないという方法で政治権力と癒着する。
その一方、支払いのできない人間には「飼育」と称して、文字通り「死ぬまで」檻に閉じ込め(食事は与えるが衣類や外からの情報は時刻も含めて一切よこさない)、食事と排泄以外何もさせてもらえない状況(稀にアダルトビデオを檻の前で上映して猛烈に依存させたり等する)で人間としての尊厳を崩壊させ獣のように堕していく様子を酒を嗜みながら眺めるのが何よりの愉悦という、狂気の思考を持っている。森田・銀二と特殊麻雀「誠京麻雀」で対決し、怪物じみたギャンブルの腕と豊富な資金で序盤は圧倒するが、最後は銀二が考え出した一発逆転の手段を森田が成功させ生み出した圧力の前に屈する。
その資産は3兆円を超えると説明されるが、あくまで企業としての資産であり、本人が自由にできる資金は限界でも1500億円とされる。
神威 秀峰(かむい ひでみね)
神威 勝輝(かむい かつてる)
神威 勝信(かむい かつのぶ)
神威 勝幸(かむい かつゆき)
神威 勝広(かむい かつひろ)
吉住 邦男(よしずみ くにお)
田中 沙織(たなか さおり)
岡部 幸範(おかべ ゆきのり)
オリジナルギャンブル
金の橋
部屋を薄暗くし、3枚の絵のうち1枚は隠す。最初は5メートル離れた位置から100万円につき1cm近づける。中条が用意した資金は4億円。その札束を並べて上に乗り進んでいき、床に足を着いたら失格。特例として、一時的にではあるが5000万を支払って照明を斜め上から当てることが認められる。
誠京麻雀
開始時に蔵前が指定した金額を借り、それを賭ける。これは挑戦者が一生かかっても払えない額、いわばその人物の「買い取り金額」をあらかじめ指定してあるため、負けた場合は生殺与奪の全てを蔵前に握られることになる。(西条は15億+持ち込み11億、銀二達は銀二400億、巽・安田40億ずつ、森田20億の計500億)
場代として牌をツモるごとに供託金を支払い、卓の下に設置された箱へ入れていく(箱が一杯になれば、現金の代わりに同額分のチップを入れる)。供託金は一局ごとに100万から始まり、親はツモ順が巡って来た時に倍々に上げられる権利を持つ。供託金を払いたくない場合は「降り」を宣言し、その局の投資を止められるが、以後は全てツモ切りしなければならないため、他者へ放銃する危険性が高くなる。なお、親は降りても場代のアップ権は維持される。
ツモった牌が気に入らなければ、場代の3倍を支払って隣の牌をツモり直せる。隣の牌から元の牌への変更と降りたあとは不可。
役満を振り込んだ場合、変動相場制の役満祝儀が発生する(場代が400万・供託金が12億の場合は0.4×12億で4億8000万円)。相手側にツモられた場合も祝儀を支払うという台詞があるが、どの程度支払うのかはっきりしていない。
そのほかにも、相応の金を出したうえで相手の合意を得ればある程度の不正は認められる。ただし既に捨ててある牌や見えている牌を拾ってくるような決定的な不正は当然認められない。ルール上支払う額が明確になっているのは二度ヅモのみであり、それ以外は相手との交渉が必要である。
半荘ごとにトップを取った者が場の供託金を総取りし、挑戦者が借りた金額と同額を得るか、どちらかの資金が尽きるまで続行する。途中退場や棄権はいっさい認められない。
300億サシ競馬
既刊一覧
- アクションコミックスピザッツ(双葉社) 全11巻
- 6Coinsアクションオリジナル(双葉社、コンビニコミック) 全5巻
- 双葉文庫名作シリーズ 全8巻
- アクションコミックス (双葉社、新装版) 全10巻
オリジナルビデオ
中条きよしが平井銀二役を演じるオリジナルビデオも販売された。第1巻 - 第5巻で森田鉄雄役に豊原功補、第6巻 - 第7巻で川松良平役に金子賢を起用している。
なお、第4巻では原作にあった描写に矛盾が生じているため、一部の展開が変更された。
- 闇金の帝王 銀と金 (1993年9月22日)
- 闇金の帝王 銀と金2 (1994年1月28日)
- 闇金の帝王 銀と金3 (1994年4月28日)
- 闇金の帝王 銀と金4 地獄の裏麻雀 (1995年6月2日)
- 闇金の帝王 銀と金5 相続殺人 (1996年4月5日)
- 闇金の帝王 銀と金6 戦慄の罠 (1997年1月1日)
- 闇金の帝王 銀と金7 裏競馬地獄 (1997年3月28日)
パチンコ・パチスロ
- パチンコ:CR銀と金(2010年、マルホン工業)/CR銀と金2(2012年、マルホン工業)
- パチスロ:銀と金(2011年、タイヨーエレック) /銀と金2 (2015年、タイヨーエレック)
テレビドラマ
同名タイトルのテレビドラマが、2017年1月8日より3月26日まで、テレビ東京系のドラマ枠「土曜ドラマ24」で、毎週日曜の0:20 - 0:50(土曜深夜)に放送された。主演は池松壮亮。
全12話のうち、第1話から第3話は「株の仕手戦編」、第4話から第6話は「セザンヌ編」、第7話から第9話は「ポーカー編」、第10話から第12話は「麻雀編」の4部構成となる。
また、Amazonプライム・ビデオ限定で1話を7日から先行配信、テレビ東京では放送されなかった第13話「連続殺人鬼・有賀編」を同年3月26日より配信。
原作とは時代背景が大きく異なり、一部の設定などが時代に合わせ変更となっている。
キャスト
レギュラー・準レギュラー
- 森田 鉄雄 - 池松壮亮
- 平井 銀二 - リリー・フランキー
- 安田 巌 - マキタスポーツ
- 巽 京子 - 臼田あさ美
- 船田 正志 - 村上淳
- 土門 猛 - 大石吾朗(帝日銀行頭取)
- 伊沢 敦士 - 嶋田久作(自由民政党のナンバー2)
- 海堂 正行 - 丸山智己(自由民政党議員)
- 梅谷 哲 - ダンカン(ホテル経営者。仕手戦の本尊)
- 三上 紗英 - 齋藤めぐみ(BAR FULLERの店員)
ゲスト
第1話 - 第3話
第4話 - 第6話
第7話 - 第12話
スタッフ
- 原作 - 福本伸行
- 監督 - 古厩智之、中前勇児
- 脚本 - 山岡潤平、根本ノンジ
- 音楽 - 諸橋邦行
- 主題歌 - amazarashi「ヒーロー」(ソニーミュージックアソシエイテッドレコーズ)
- 制作協力 - 大映テレビ
- 製作著作 - テレビ東京
放送日程
テレビ東京系 土曜ドラマ24 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
潜入捜査アイドル・刑事ダンス
(2016年10月9日 - 12月25日) |
銀と金
(2017年1月8日 - 3月26日) |
マッサージ探偵ジョー
(2017年4月9日 - 7月2日) |
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