銀のトゲ
以下はWikipediaより引用
要約
『銀のトゲ』(ぎんのトゲ)は、喜多尚江による漫画。『月刊メロディ』(白泉社)において2000年2月号から2005年11月号まで連載された。全20話。
平安時代の日本を舞台にした少女漫画。"渡辺綱と茨木童子の物語"をもとに、吸血鬼の主人公とその幼馴染の友情を描いている。
あらすじ
時は平安時代。源頼光に仕える渡辺綱はある日、ふとしたことで幼馴染の茨木童子と再会する。しかし茨木は盗賊団の副将となっており、綱は都に仕える四天王。敵同士でありながら、綱は茨木を気遣い、支えていく。
登場人物
主要人物・盗賊団・貴族・その他に分けて解説する。
主要人物
茨木童子(いばらぎどうじ)
主人公。優しく他人思いな性格。生まれつき銀髪に金の瞳という風貌で幾度となくいじめられてきた。茨の中に捨てられていたのを綱に助けられる。後に床屋の親方に育てられるが、自分が人の生き血を吸わなければ生きられない体質だと気づき、家を出る。その後盗賊団首領である酒呑と出会い大江山に移住、盗賊団の副将となる。母親譲りの美形ゆえ、よく女と間違われている。母親は中納言家の娘・桜児。美女の血が好物だが綱によく「せめて体力のある男の血にしろ」と言われているので基本的には男の血を吸っている。女性にモテるが、茨木自身は女の子とあまり親しくならないようにしている(男とはもっと親しくならない)。苦手なものはニンニク・陽の光・魔除け(薬玉や八稜鏡など)。陽の光を浴びても死にはしないが、多少体が弱る。幼名は銀(しろがね)。茨木童子という名は茨の中に捨てられたことから自分でつけた。子どもの頃は泣き虫だったが、ある事件で「一生泣かない」という誓いを立てた。恋人の山吹を失った時をのぞき、その後は何があっても泣かなかった。
渡辺綱(わたなべのつな)
盗賊団
酒呑童子(しゅてんどうじ)
唐熊童子
佐由理(さゆり)
猪熊童子
貴族
山吹(やまぶき)
憲平親王
桜児
登場する地名
- 大江山 - 本作品で茨木達が住んでいる山。同じ京都ではあるが、日本海に近いため平安京とはかなり距離がある。
- 一条戻橋 - 茨木と綱が再会した場所。現在は普通の橋となっており、晴明神社に古い橋の一部が残されている。
- 鬼岩洞 - 鬼童丸が住んでいる洞穴。モデルは香川県の女木島。しかし京からはかなり離れているため場所はフィクション。
登場する和歌
- 第三話 - 山振の立ちよそひたる山清水くみに行かめど道の知らなく(高市皇子 万葉集巻一・一五八)
- 第三話 - 花咲きて実はならねども長き日に思ほゆるかも山吹の花(読人不知 万葉集巻十・一八六四)
- 第六話 - 二人して結びし紐を一人して吾は解き見じ直に逢ふまでは(読人不知 万葉集巻十二・二九三一)
- 第七話 - 妹が名にかけたる桜花さかば常にや恋ひむいや年のはに(読人不知 万葉集巻十六・三八〇九)
- 第八話 - ほととぎす鳴くや五月の菖蒲草あやめも知らぬ恋もする哉(読人不知 古今集四六九)
- 第九話 - ちはやぶる神代もきかず竜田川韓紅に水くくるとは(在原業平 古今集巻五)
- 第十一話 - あしひきの山のしづくに妹待つと我立ち濡れぬ山のしづくに(大津皇子 万葉集巻二・一〇七)
- 第十一話 - 我を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづくにならましものを(石川郎女 万葉集巻二・一〇八)
- 第十二話 - 我が背子が来べき宵なりささがにの蜘蛛のふるまひかねてしるしも(衣通姫 日本書紀と古今集、能の土蜘蛛に引用)
- 第十三話 - 春霞たなびきにけり久方の月の桂も花や咲くらん(紀貫之 後撰集一八、能の羽衣に引用)
- 第十三話 - 山桜我が見に来れば春霞峯にも尾にも立ち隠しつつ(読人不知 古今集巻一・五一)
- 第十三話 - 春霞何隠すらむ桜花散る間をだにも見るべきものを(紀貫之 古今集巻二・七九)
- 第十六話 - 秋の野の草のたもとか花すすきほにいでてまねく袖とみゆらん(在原棟梁 古今集二四三)
題名
本作品の題名で多いのは植物の名前や人名である。その話に出てくるゲストキャラクターや、話の中心にある植物を使っている。第15・16・17話は芒、第18・19・最終話はふじで統一されている。なお、「ふじ」では植物の藤と他の言葉を掛け合わせているためひらがなとなっている。
- 第一話 茨木
- 第二話 桂
- 第三話 山吹
- 第四話 梛
- 第五話 鬼童丸
- 第六話 貴人
- 第七話 銀
- 第八話 あやめ
- 第九話 紅の葉
- 第十話 涙の雪
- 第十一話 しづく
- 第十二話 盗賊村
- 第十三話 春霞
- 第十四話 赤い指
- 第十五 - 十七話 芒
- 第十七 - 最終話 ふじ
書誌情報
- 喜多尚江 『銀のトゲ』 白泉社〈花とゆめコミックス〉、全5巻
- 読切『飛ぶ花』収録(花とゆめ 1999年13号)
- 読切『月のたまご』収録(ザ花とゆめ 2000年3月1日号)
関連作品
- 鬼がふり返った刻 - 酒呑童子がメインの話。茨木や頼光四天王も登場している。