銀牙伝説ノア
以下はWikipediaより引用
要約
『銀牙伝説ノア』(ぎんがでんせつノア)は、高橋よしひろによる日本の漫画作品。『銀牙〜THE LAST WARS〜』の続編として、『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて2019年6月7日号(5月24日発売号)から2022年7月15日号(7月1日発売号)まで連載された。物語は『銀牙 -流れ星 銀-』と『銀牙伝説WEED』のような年月の間隔はなく、前作と比較的直結した物語になっている。
2020年12月時点で累計発行部数は150万部を突破している。
あらすじ
かつて犬達と死闘を繰り広げた赤カブトの血を継ぎ、ナワバリ奪還と犬族への復讐のため楽園と奥羽軍を襲った巨熊モンスーン。そのモンスーンとの決戦は、オリオンの活躍により奥羽軍の勝利で終わった。しかし、誰にでも良心があると信じ、モンスーンとの共生を理想としたシリウスは、その理想がほとんど誰にも理解されないまま終戦の間際に命を落としてしまう。その兄の理想を過剰な優しさと怒り理解しなかったオリオン。しかし、次第にその怒りは虚しさへと変化していく。誰にも打ち明けられず、堪えきれなくなったオリオンは雪融けの季節を迎える前に楽園から姿を消し、放浪の旅に出る。シリウスやオリオンについて誰もが無言だったなか、半年後、狂四郎と佐助がコンビを組みオリオンの行方を追い始める。そしてまた、彼らの後を追うように楽園中の若者すべてが全国へと散っていった。
一方、オリオンはシリウスの訃報を母の小雪と妹にベラに伝えられずにいるまま石川県に滞在していた。しかし、日本海の近く「ノア」と名乗る老犬と彼を慕う若者達と遭遇する。狂四郎と佐助は捜索の道中にならす者の集団と戦闘になった後、彼らに虐げられる仔犬「広太」に出会い、ならず者から彼を助けることを決心する。また、出立の決心をしたオリオンは石川県を発ち、旅先の福井県でいないはずの麗華達と再会する。出会った彼らから話されるのは、モンスーン一味の襲撃以降、奥羽軍が壊滅し全国的に覇権争いが起きたという全国の無法状態だった。
その中の一つで軒猿たちの領地を奪った赤蟻軍団と戦争状態となるが、その最中に突如として巨大隕石が飛来。火山活動の誘発等周囲に甚大な被害をもたらす。更に第二、第三の隕石が飛来して戦争どころではなくなり、オリオン達はノアの指示によって佐平治の洞窟に避難。そこで過去の奥羽の戦士たちの武勇伝を聞く。半月後、被害が収まってきたところでオリオンはアンディらと共に赤蟻三兄弟と決着をつけに行くが、首領の王王は調査に来た自衛隊員を襲って射殺されてしまう。残る二兄弟を追うオリオン達だったが、その眼前に謎の巨大触手生物が現れたのだった。一方、射殺された王王を確認しに来た赤蟻二兄弟は謎の触手を全身から生やしながら起き上がる王王と対面していた。
主な登場キャラクター
ノアとその居候
石川県の日本海に近い森に住んでいる野犬の集団。
ノア(ハイエナ) / ワイマラナー
本作のタイトルとなっている犬。「ノア」は二度目の飼い主により命名。共に住む仔犬たちからは主に「先生」と呼ばれ慕われている。一時は楽園を飛び出したオリオンを保護していた。
正体は、かつて奥羽軍司令官だったスナイパーの元側近「ハイエナ」。
スナイパーとのもみ合いの末に洪水に巻き込まれたときの怪我等がもとで、記憶を失っている。
二度目の飼い犬としての三年間で人間から愛情を注がれ、聖者のような善良な性格に変わっている模様。
オリオンが一度ノアのもとから離れた後に、兵力を増やす目的で訪れた朱王と対面する。彼の不躾な態度を遠回しな表現で咎めるも、そのノアの態度に逆上した朱王の攻撃を受け重傷を負う。その傷がもとで両目を失うも、全てを視ることができる能力を得たようである。
奥羽軍
オリオン / 秋田犬と紀州犬の雑種
奥羽軍の大将と呼ばれている。三代目総大将ウィードの次男で、前作および前々作の主人公とされる。ギリシャ神話に登場する狩人オリオン(英語ではオライオン)にちなんで大輔に命名された。
容貌は赤褐色の毛並みで曽祖父のリキに瓜二つとされるが、性格は荒々しく頑固であり短気。今作では初対面のノアに敬意を払い、助言も素直に受け止めている部分もある。また、危機感に人一倍敏感であるために、周囲に心ないことを言ってしまうときがある。それは赤蟻三天王に怯え反旗を翻せない手下に戦闘を強いるほど。
今作の冒頭ではシリウスの死をきっかけにして謎の失踪を遂げていたが、後の再登場で、前作で伊賀(三重県)の赤目山に留まっていた母である小雪と妹のベラにシリウスの死を伝えにいくために無言で出て行ったことが判明した。葛藤の最中にブナ、コゴミ、そしてノアと出会う。 伯父である誠の夢を見た後は、ノアたちに暇乞いをして自分探しの旅に出るが、朱王の追手に傷つけられたタマ三郎達と遭遇し経緯を聞き、赤蟻軍団と戦うことを決意。山彦達とも合流し、朱王を撃退した後には赤蟻の本拠地へと進んでいった。
その後、ウィード救出の為に駆け付けたリゲル達と合流を果す。部下の離反もあった赤蟻三天王に対し優勢だったものの、第2の隕石が落ちたことで中断。難を逃れた後には援軍として来た銀達とも合流するが、銀達と先に合流したキン太のノアからの伝言で決戦を延期せざるを得なくなり、赤蟻から離反した元部下を含めた全軍を率いてノアに指定された佐平治の拠点に避難する。
ノアの預言通り襲来した第3の隕石から半月経ち災害が落ち着くと、先の編成を止め少数だけで出撃する。この際に抜け駆けを咎めるリゲルがいたものの、総大将という立場に縛られ己のやりたい事ができなくなるということを理由に、半ば強制的にリゲルに総大将の座を明け渡している。
楽園にいる犬たち
銀(ぎん) / 秋田犬
赤目(あかめ) / 紀州犬
オリオンを探しに楽園を出た者たち
佐助(さすけ) / 柴犬
白銀 狂四郎(しろがね きょうしろう) / 紀州犬
ロケット / ボルゾイ
剣(けん) / サルーキーとグレートデンの雑種
哲心(てっしん) / 和犬系雑種
敏光(としみつ) / 和犬系雑種
ジェロム / ジャーマン・シェパード
ウィード / 秋田犬と紀州犬の雑種
奥羽軍の三代目総大将。前々作に比較していくらか目つきが鋭くなった。総大将ではあるが銀よりも存在感がない。
楽園中の若者がオリオンの捜索のために出ていくなかで、初めは出て行った若者達の代わりに楽園を守る理由で残っていた。
しかし後にはミホの父を探すために助郷赤土へと旅立ち、狂四郎達と合流した。
総大将の座はオリオンに譲っているが、彼自身はまだ奥羽軍のなかでも若犬である。後述のクロウとの勝負で彼を一蹴する強さを見せる。敵であっても相手に良心があることを信じて見逃す点は過去作と一貫しているが、後述の王王相手に楽園開城を承諾する三男のリゲルを見て「臆したなら今ここで噛み殺す」と直接話すことから、身内に対する過激さは増している。
クロウ一味との抗争後は、全国の争いを止める為に再び旅を出ており、その先で赤蟻軍団の小隊と遭遇している。
リゲル / 秋田犬と紀州犬の雑種
山彦(やまびこ) / 甲斐犬
楽園の外地にいる奥羽軍
麗華(れいか) / 秋田犬の雑種
ヒロの妻であり、キン(キン太)・タマ(タマ三郎)・次郎太(白次郎)・紅太(赤姫)の母。
前作『銀牙 THE LAST WARS』では、モンスーン一味から逃れるために子ども達やトーノフと共に楽園を脱出し、赤目の命で信濃国に身を寄せていた。今作では経緯は不明だが福井県の冠山の境でオリオンと再会。
キンとタマの他の兄弟についてオリオンに問われると、泣きながら次郎丸(白次郎)・紅太(赤姫)・トーノフの死を伝えた。感情的になりやすく、時には息子達よりも感情を自制できず、当時の現総大将であるオリオンの裁定でさえも融通が利かない。それ以外では口数が少ない。
ノアの森でしばらく居候をしていたが、ノアの頼みによりブナ達を連れて奥羽の楽園へと向かって行った。
キン / キン太 (キンた) / グレート・ピレニーズと秋田犬の雑種
奥羽軍に関わる他勢力
真田入道雲斎(さなだにゅうどううんさい)
赤カマキリ(赤カマ) / アイリッシュウルフハウンド(雑種)
かつてウィードたちと戦った備後のカマキリの息子。単にカマキリと呼ばれるときは彼を指す。容貌と性質が一番父に似ており、改心以前はその暴虐ぶりが部下たちに恐れられていた。
過去作『銀牙伝説WEEDオリオン』では父と同じように弟たちと非道を繰り返していたが、遭難していたシリウスを拾い、後に彼に助けられるなど様々な出来事を踏まえ、改心し奥羽軍入りを果たした。
凶暴な自分を恐れず寄り添ってくれたシリウスに恩義を感じているが、前作『銀牙 THE LAST WARS』ではそれが顕著であり、また暴走のきっかけともなった。
奥羽軍から離脱し二子峠を去るシリウスを追い奥羽軍に三行半を叩きつけたが、それは咎められなかったようで、本作では黒カマキリと楽園にいる。若者が全員二子峠をでたなかで彼ら兄弟もいたかは不明。
山形(羽黒山および助郷赤土)にいる勢力
羽黒山のクロウ
謎の巨犬。野犬たちの親分で数倍の体躯を持つが犬種は不明。狂四郎を人質に奥羽軍を迎え撃つが、体格の割には微妙な強さで、広太やその母を蹂躙する力はあるが、譲二・ロケット・影虎には敵わず一時撤退をする。
理由は不明だが奥羽軍を敵視しており、過剰なまでに奥羽軍との接触を避け、また狂四郎たちの動向を探るために彼らの監視を配下に命じている。
広太たちの群れで雄の成犬たちがいた頃は大人しくしていたようだが、宗史たちがモンスーン討伐に参加して戻ってこないことを知った途端に豹変したとされる。2日に一度広太たちの村から食糧を徴収しに来るようである。また、奥羽軍を含む外部との接触を一切させないように彼らに釘をさしていた。
ウィードとの勝負で敗れ、子分達にも裏切られ逃げ出す。その後、赤蟻軍団の小隊と接触するが、赤蟻の噂を聞き駆け付けたウィードたちとも遭遇。赤蟻の情報を話しその場を去った。
広太(ひろた)
広太とミホの母
広太とミホの祖父
宗史(むねちか)
ボブ / ドーベルマン
北陸(福井から新潟)にいる勢力
赤蟻(あかあり)軍団
新潟県の軒猿一族がモンスーン討伐から不在の隙に取って代わった後釜。クロウの話により兵力が200ほど存在している。赤蟻軍団の「小隊長」と名乗る部下が複数の班を率いて、ノアの元から南下し福井県の冠山付近にいたオリオンと遭遇した者もいれば、山形と新潟の県境に滞在していた小隊長もいるため新潟から福井まで活動範囲を広げている模様。後者の小隊長は赤蟻軍団の噂を聞き来たウィード一行と遭遇している。ウィード一行と争いになったものの敗北し逃走、その後は直接の死亡シーンはないが上層部により粛正された可能性もあり、軒猿の遺児たちに同情されつつ埋葬されている。幹部は全て赤毛の巨犬であり、クロウいわく奥羽軍で伝説となった男達と同等の力をもっているという。
辰巳(たつみ)
軒猿衆
長助(ちょうすけ)
赤蟻三天王
軒猿の頭領である謙信不在の越後を襲い乗っ取ったとされる赤蟻軍団の上層部。羽黒山のクロウと同じく恐怖で手下を支配しており、犬望は一切なかったようで、奥羽軍の襲撃と宗史たちの離反もあって、200匹もいたとされる部下を全員失い敗走した。
後の回想で二つ前の冬に三兄弟と共に大陸から船で運ばれていたが、荒波の影響で檻が壊れ、船員を食い殺し脱出したという過去が明かされた。
朱王(しゅおう) / チベタンマスティフ
紅王(べにおう)/ チベタンマスティフ
王王(ワンワン)/ チベタンマスティフ
「王乃王」と名乗っており三天王の首座で赤蟻軍団の首領。詳細な発動条件は不明だが、オリオンの抜刀牙が直撃した際には目つきが変わるほどの変貌がなされ、逃げだした部下を一瞬で虐殺するほどの際立った残虐性を露わにした。顔の傷は日本に来た当時から存在している。
第二・第三の隕石の災害すらも兄弟と共に生きのびていたが、第三の隕石が落ちた場所が避難先の隠れ家と近い事もあり、自衛隊が操作していたドローンや軍事捜索ロボットと遭遇、これを破壊する。その後、隕石を調査しに来た自衛隊、米軍兵士を襲ったため、オリオン達に妨害され、そのまま射殺されるが、謎の生物に寄生されて復活する。その状態でも兄弟たちを認識はしているが、謎の生物を「魔王様」と呼んでいる。
言及・回想
ノアの飼い主
GB / イングリッシュ・セッター
シリウス / 秋田犬と紀州犬の雑種
ウィードと小雪の長男でオリオン・リゲル・ベラの兄、銀の孫。ウィードよりも徹底した不戦主義を信条にしていた。
心優しいとされ、過去作では赤カマ兄弟を改心させるに至った実績を持つ。しかし、前作では、二子峠を襲撃し奥羽軍を壊滅寸前にまで追い込んだ巨熊モンスーン一味による一連の行為の発端が、奥羽軍の非道であると見て共生と不戦を説くが、その徹底した信条が仇となり、またモンスーン一味が異なる種族であり犬食を好むことから奥羽軍に警戒され、理解されずに孤立を招いた。
紆余曲折を経て多数の協力の下モンスーンの信用を得ることができたものの、双方が不戦を望まないことから決戦は避けられず、またモンスーンの誤りで彼の攻撃を受け、その傷がもとで死亡した。
ヒロ / セント・バーナードとグレートピレニーズの雑種
書誌情報
- 高橋よしひろ『銀牙伝説ノア』日本文芸社〈ニチブンコミックス〉、全17巻
- 2019年8月29日発行、ISBN 978-4-537-13964-8
- 2019年10月28日発行、ISBN 978-4-537-13996-9
- 2019年12月19日発行、ISBN 978-4-537-14180-1
- 2020年2月28日発行、ISBN 978-4-537-14207-5
- 2020年4月27日発行、ISBN 978-4-537-14237-2
- 2020年7月29日発行、ISBN 978-4-537-14267-9
- 2020年9月28日発行、ISBN 978-4-537-14284-6
- 2020年12月19日発行、ISBN 978-4-537-14321-8
- 2021年2月27日発行、ISBN 978-4-537-14345-4
- 2021年5月19日発行、ISBN 978-4-537-14372-0
- 2021年7月29日発行、ISBN 978-4-537-14394-2
- 2021年10月7日発行、ISBN 978-4-537-14416-1
- 2021年12月9日発行、ISBN 978-4-537-14437-6
- 2022年2月9日発行、ISBN 978-4-537-14461-1
- 2022年5月27日発行、ISBN 978-4-537-14508-3
- 2022年7月19日発行、ISBN 978-4-537-14528-1
- 2022年9月29日発売、ISBN 978-4-537-14551-9