銃夢火星戦記
漫画
作者:木城ゆきと,
出版社:講談社,
レーベル:KCデラックス イブニング,
巻数:既刊9巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『銃夢火星戦記』(ガンム マーズクロニクル、GUNNM MARS CHRONICLE)は、木城ゆきとのSF漫画。『イブニング』(講談社)にて2014年22号より連載。同誌の休刊後は、『コミックDAYS』(同)で連載することが発表されている。
サイボーグの少女ガリィを主人公とした「銃夢シリーズ」の最終章とされ、前作『銃夢 LastOrder』の続編として始まりつつ、それまで明確には描かれなかった第1作『銃夢』の前日談も描く。
ストーリー
過去編
その後、3人はエーリカの故郷にたどり着くが、エーリカは両親を殺害していたことを思い出し愕然とする。その頃、18人の領主があつまり太陽鏡反射権を決めるエドム会議の場に、怪人バロン・ムスターが現れ、シドニア領から反射権を奪うよう脅迫していた。陽子は母を名乗る人物に引き取られ、エーリカは落ち込むが、そこに陽子にかけられた賞金を狙う賞金稼ぎが現れる。エーリカはムスターに救われるも、それはエーリカが父から盗んだ本が目的であった。ところが、エーリカの生い立ちを聞いたムスターは、悪の後継者として彼女を育てることを決める。
引き取られた陽子は火星18大公のひとつシドニア公ドルンブルク家の分家・バウムブルク家で育てられるが、分家当主であるマルキが本家当主であるシドニア公・カグラから領主の座を奪うための駒とされる。元から因縁を持っていたムスターの暗躍もあり、シドニア領都は崩壊した。
e.s.374年(西暦2330年)、シドニア領都を脱出したエーリカと陽子はゴロツキのダスに紹介された「カオフマンのクアン」に会うためにラドー・シュタットにあるモズビー商会を経て墜落した宇宙船跡に作られた街「デジャー・ソリス」に潜入する。
現代編
「独立自治権」を与えるという名目の、LADDER(太陽系条約調停議会)による擬似戦争に過ぎなかった「ZOTT(森羅天頂武闘会)」を制し、また、ムバディによる洗脳からLADDERを解放したことで、地球と火星の運命、ひいては全宇宙の今後のあり方を変えたガリィ(陽子)は、かつてマミアナがあった土地に立っていた。そこにエーリカが現れ、戦いを挑んでくるが、彼女は「屍人兵士(ネクロ・ソルジャー)」であり、本人は200年前にガリィが殺害していた。ガリィは彼女を蘇らせた者が黒幕「ダーザイン」であると告げるが、同じくネクロ・ソルジャーとして蘇ったゲルクトが現れ、エーリカを連れて去っていく。
直後ガリィは、リメイラ女王の暗殺未遂容疑でザジに拘束される。リメイラ女王はすでに回復しているものの、ガリィは彼女もネクロ・ソルジャーではないかと不安を募らす。大巫女ムイによって解放されたガリィは、エーリカを人間に戻す方法を求めて、ムイに紹介されたS・ノヴァに「ネクロ・ソルジャーに施された外部からの制御を解き、自由意志を持つ人間に戻す治療法の研究」を依頼する。
登場人物
主要人物
ガリィ/陽子(ヨーコ)
主人公。過去編では元の名前の陽子で呼ばれる。前作のZOTTで優勝を果たした。機甲術の使い手。ZOTTから3年、金星でエージェント「LastOrder」としての仕事を果たしたのち、200年ぶりに火星に帰還した。前作で大幅な進化を遂げたイマジノス体はある事情から再生力が低下している。
火星の戦災孤児で、生まれた時からサイボーグとなっている。エーリカと共に孤児院で過ごすが、後に母を名乗る人物に引き取られる。火星18大公のひとつ・シドニア公カグラの後継者とされるが、それはムスターによる偽装で、本来は生き別れていたムスターの妹・ノリンの人面腫から生み出された摘出児だった。陽子自身はこの時点ではただの子供であり、それ以上でも以下でもないが、シドニア脱出を図った際には追跡者である戦闘サイボーグ・ギラテインに触れるなど子供ゆえの怖いもの知らずな度胸が見受けられる。ヤコレワに囚われた際には、無垢な幼児としての振る舞いはエーリカの望みを察したものであったことが判明。銃を突きつけられたことで、闘争本能が覚醒し始める。
エーリカ・ヴァルト / フラウ・X
陽子(ガリィ)の幼馴染で、同じく機甲術の使い手。過去にガリィが殺害したが、ネクロ・ソルジャーとして蘇った。彼女自身はそれを知らず、ガリィから教えられた際にショックを受けていた。
犯罪者の父と売春婦の母を持ち、激しい虐待によって左目と左手を失う。自宅の窓から見える看板に描かれた家族の絵に逃避した結果、父の盗品を狙った強盗犯に手を貸して父と母を殺害。その後は陽子と同じ孤児院で過ごし、陽子と離れ離れになった後はバロン・ムスターに拾われて「悪の後継者」として育つことになる。
いかなる時も自身の欲や願望を優先、時には興味本位の殺人にさえ及ぶ「悪の素養」はあるものの、自身が得ることが出来なかった「家族」を求める一面もある。
現代編
ダンコ
カエルラ・サングウィス
クー・ツァン
ゼクス
ムイ
S・ノヴァ
ツァイクロウ
ゲルクト
過去編
フィンチ
ニノン・ズィルバー
バロン・ムスター / イタル・ソナン
各地であらゆる犯罪を犯している凶悪犯。黄金の杖と無数の仮面が着いた衣装を着た怪人。シドニア領に対して恨みを抱いており、エドム会議にてシドニア領から反射権を奪うよう大公たちを脅迫し、シドニアの滅亡を図る。その体は人面腫(マスケトーマ)という奇病に侵されており、治療法を求めて「不滅の秘宝」を探している。その手掛かりである、エーリカの父が盗んだ「クラウゼヴィッツ戦争論下巻」を手に入れるためエーリカを誘拐するが、彼女の過去を聞いて弟子にすることを決める。
過去編からさらに13年前のエピソードでは考古学者クルヒト・ソナンの息子であり、容姿には恵まれなかったが才能あふれる若者でエーリカの父ヨハンとは友人だった。シドニア公主カグラの依頼からシドニア領にあるメルリ・ヨタ遺跡(人面岩)の発掘調査をしていたが、遺跡から「黄金杖(ゴルトシュトック)」が見つかると証拠隠滅に処分されそうになる。ヨハンからの連絡と侍女であったポルヴィットを人質に離脱するが、逆に発掘隊を虐殺した罪で指名手配される。妹のノリンが重傷を負い、治療のために出頭することを決めた際に宝の手がかりとなる「杖と本」をヨハンと手分けする。しかし、恋慕していたカグラ、そして友人と信じていたヨハンに立て続けに裏切られたショックから、これほどの苦難=罰に見合うだけの罪業を犯さなければならないと決意し、バロン・ムスターを名乗って稀代の悪漢となる。カグラをこの上なく憎悪しつつ、同時になお愛していることを自覚している。治療の望みが絶たれたことで、復讐と心中を同時決行する形で自身諸共カグラとシドニアを滅ぼし、悪人としての人生を全うする。陽子の伯父にあたることがのちに判明する。
ノリン・ソナン
ドクトル・ヌゲマ・ヌーバウアー
ヨハン・ヴァルト
カグラ・ドルンブルク
火星18大公のひとつ、シドニア公の名を持つ女性。ムスターと同じ人面腫に侵されている。当初は陽子の母親と思われていた。美男子を拷問死させる過程で排出させた精液でマンドレイクという名の茄子科の毒植物を育てる残酷な趣味を持つ。過去編の時点で既に全身を人面腫に侵されており、人前に姿を現すことはない。ポリセラの死後は叔父のマルキ公爵によって陽子と領主の地位を交代させられることとなる。領主交代の「継承の儀」の最中、ムスターに扮したゾーイの手によって醜い肉塊と化した体を晒された上に目の前で重臣たちを殺され、本物のムスターの待つオデオンバッハの操縦室に監禁させられる。人面腫の影響で脳波による操作が正常に行われず暴走するオデオンバッハによって自らの領民と領地を壊滅させられ、さらにムスターを拷問する際に用いたフッ化水素酸を全身に浴び、三日三晩悶え苦しんだ挙句ムスター共々溶け合って死亡するという壮絶な最期を遂げた。
過去編からさらに13年前のエピソードでは当時はまだ公主という立場ながらソナン博士にメルリ・ヨタ遺跡の調査を依頼するが、黄金杖が見つかると発掘隊を襲い証拠の隠滅を謀る。およそ自分以外の存在は道具としか認識していないが、ポリセラの死に関して怒りを見せたところから同性愛者だった模様。
ポリセラ・ポルヴィット
ゾーイ
ダムヤン
ダス、ロッコ
サイボーグのゴロツキ。コンビを組むフリーランスの何でも屋。ダスはクラシックなガンマンスタイルで、ロッコは昆虫を思わせる異形でメカニズモ出身、立体的行動と重火器に扱いに長ける。ギラティンを加えた3人でポルヴィットの依頼を受けて陽子を探していた。その後、エーリカの依頼を受けてシドニア領からの脱出を手助けし、ギラティンとは追手として対立した。
ゴロツキながら仁義を重んじ風情も楽しみ、子供の前では格好つける大人としての一面もある。先にロッコが足止めに残って戦死。ダスはエーリカが歳相応の子供としての顔を見せた数少ない相手の一人だが、仕事人としての矜持から一緒に逃げることを辞し、クアンを頼るよう言い残してギラティンと対決し、かろうじて勝利。無駄と知りつつ追っ手への抗戦の意思を捨てず、矜持を全うした。
ギラティン
鉄眼のモルタン
クアン
グリューンタル出身の機甲術者で、ゲルダとも旧知の仲。靴屋・モズビー商会(実態はグリューンタルの諜報部門)で営業・諜報・新人の勧誘を担当する「カオフマン」と呼ばれるエージェント。本人曰く「ロートル」だが、かつて勇名を轟かせた腕は健在である。かつての戦争で脳に負った傷により、睡眠発作を起こす。そのため任務時には薬で発作を抑えている。
恋人の死の真相を知る手がかり、特に一人の男の記録を追ってデジャー・ソリスに潜入していたが、ダスの紹介をもとに探しに来たエーリカたちと接触する。ダスとは北伐と呼ばれる戦争で共に戦った戦友。当初は「貸した金も踏み倒してくたばったヤツの頼みなんぞ利く義理はねえ」という態度で、エーリカの恨みを買うことになった。
ワミ・ワイズハート
ナイプ・ナゲンドラ・ナイトホース(NNN)
ユニエ・ホルベルク
デジャー・ソリスで掃除婦として暮らす少女。夢見がちな天然ちゃんで潜入してきたエーリカと陽子を妖精さんと呼んでいる。クアンに恋心を抱き、彼が探している「手帳」を一足先に入手するが、クアンがそれを求める理由を知り悩む。
「塵旋風(ダスト・デビル)憑き」と呼ばれる発作症状を抱えており、幽体離脱で本人の意識が離れると熟練の戦士のような身体操作を見せる。この状態では身体能力のリミッターも外れるため常人離れした運動力を発揮する(いわゆる火事場の馬鹿力)が、身体の負担はきわめて大きく、しかも彼女の意志ではコントロールできなかった。しかし、ミカたちの心中に巻き込まれそうになり、そのことよりも子供たちを襲う不条理への憤りから、初めて自らの意志で幽体離脱なしにダスト・デビルの力を発動させて拘束を引きちぎる。
ビッグ・マダム
ヤコレワ・ヤンツェン
ジャポロ
ミカ、コウ、他3名
トリケファリ
用語
ダーザイン
屍人兵士(ネクロ・ソルジャー)
治療に関してはS・ノヴァをして「現物を診なければ何とも言えない」と答えている。
英霊団(エインヘルヤル)
機甲術(パンツァー・クンスト)
機甲術使い(キュンストラー)はその技量に応じて「1.初心者(アンフェンガー)」「2.熱心者(ツェレター)」「3.門弟(レーアリング)」「4.戦職人(ゲゼレ)」「5.戦士(クリーガー)」「6.上位戦士(ヘーア・クリーガー)」「7.達人(マイスター)」「8.被免達人(アデプト)」「9.長老(エルトメイスト)」の9位階に分けられている。実際に機甲術使いとして認められ、実戦任務に参加できるのは4位である「戦職人」からで、技量や適性含めて、そこまでに達しなかった者は生身の身体のまま別部門に所属して働いたりしている。
グリューンタル
天蓋協会(MBV、Mars Baldachin Verein、エムベーファオ)
天蓋(バルダヒーン)
エドム会議
人面腫(マスケトーマ)
ドクトル・ヌゲマによって適切な方法で育成した腫瘍は摘出後に一個体といえるレベルにまで成長することが明らかとなる。摘出された個体「摘出児(ヘラオスキント)」は人面腫が発症しないどころか、「LO」終盤のガリィ(生脳)の様に生身の肉体を得ることも可能。
結晶化毒(クリスタルモルテン)
それ自体は無毒な上、無味無臭で摂取しても1週間ほどで体外に排出されるが、体内に残留した状態で特定の周波数の超音波を受けると粒子が共振して周囲のタンパク質を瞬時に結晶化させる。チンモイ博士に研究委託して対象が砂と化して崩れる「砂状化毒(サブルムモルテン)」も試作された。
暗殺などに使用する他、ムスターは自身の経営するフロント企業で戦死者や難民などの大量の死体処理を手がけ、結晶化毒で建材に再生販売するという冒涜的ビジネスを行っていた。
不滅の秘薬(ほろびずのくすり)
護国天使(エトナルク)
デジャー・ソリス
火星に墜落した残骸を拠点に同名の街が形成された。軍閥組織・ファージャルグに支配されている。
メカニズモ
所属するサイボーグには非人間型や人体構造と異なるボディを持つ者が多い。彼らの多くは新技術のモニター扱いであり、作戦の成功時に組織内でのみ通用するポイントが付与され、それによって更なる強化改造を受けることができる。モニター同士の改造ランキングも行い、互いに競わせている。
TGIV計画
書誌情報
- 木城ゆきと『銃夢火星戦記』、講談社〈KCデラックス イブニング〉、既刊9巻(2022年11月22日現在)
- 2015年5月22日発売、ISBN 978-4-0637-7195-4
- 2015年11月20日発売、ISBN 978-4-0637-7357-6
- 2016年7月22日発売、ISBN 978-4-06-377488-7
- 2017年5月23日発売、ISBN 978-4-06-393195-2
- 2017年12月22日発売、ISBN 978-4-06-510608-2
- 2018年11月21日発売、ISBN 978-4-06-512862-6
- 2020年11月20日発売、ISBN 978-4-06-519223-8
- 2021年11月22日発売、ISBN 978-4-06-525955-9
- 2022年11月22日発売、ISBN 978-4-06-530199-9 / ISBN 978-4-06-530219-4(特装版)