闇金ウシジマくん
漫画
作者:真鍋昌平,
出版社:小学館,
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ,
レーベル:ビッグコミックス,
巻数:全46巻,
話数:全492話,
以下はWikipediaより引用
要約
『闇金ウシジマくん』(やみきんウシジマくん)は日本の漫画家である真鍋昌平による漫画。2004年から2019年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で不定期連載された。
2010年10月より、山田孝之主演で毎日放送(MBS)の制作によりテレビドラマ化され、その映画版が2012年8月25日より公開された。また2014年1月にはドラマの新シリーズが放送された他、5月16日には新作映画が公開された。詳細はテレビドラマの記事ならびに映画の記事参照。
概要
10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。なお「○○くん」というタイトルは、当時流行した「むじんくん」(アコム)、「お自動さん」(アイフル)などのサラ金(消費者金融)の自動契約機のネーミングから着想を得ている。
2022年3月時点で累計発行部数は2100万部を記録している。
第56回(平成22年度)小学館漫画賞一般向け部門受賞作品。
連載を終了した理由として、作者は「闇金業者という犯罪者の視点で描く話に限界を感じていた。『突き詰めて描けば描くほど読者が離れる』」と述べている。その後、弁護士を主人公とした『九条の大罪』を連載開始した。
あらすじ
丑嶋馨が経営する闇金融『カウカウファイナンス』は、10日5割(トゴ)の超暴利(ただし返済の実績を積むことにより、利息が下がる場合もある)。彼の元に訪れる客は、丑嶋から借金をしたことをきっかけに運命が動き出す。この物語は、そんな『カウカウファイナンス』に訪れる客と、その関係者の様々な人間模様、そして社会の闇を描いたものである。
登場人物
カウカウファイナンス
丑嶋馨(うしじま かおる)
本作品の主人公であり、全エピソードにおける狂言回し。金融会社「カウカウファイナンス」の社長。また、副業として不動産屋や風俗店の経営にも携わる。
年齢は「バイトくん」編の時点で23歳。作中でも相応の時間の経過を示唆した描写はあるが、最終的な年齢は不明。
常に冷静沈着かつ物怖じしない性格で、若手ながらも卓越した手腕で闇金業を営み、裏社会の修羅場を幾つも乗り越えてきた生粋のアウトロー。幼い頃から壮絶な環境を生きてきたため、時折深い人生哲学を覗かせる。自身の職業を「人並み以下でありながら人並みの生活をしているクズの人生に終止符を打つ職業」と称し、「世の中は奪るか奪られるか、俺は奪(と)る方を選ぶ」と極端な弱肉強食観を語っている。
そのカリスマ性は部下はもちろん一部同業者や協力企業から畏れと尊敬を集める反面、同時に数多くの敵も生み出し彼らから妬みや恨みを買い、また多くの登場人物を徹底的に不幸のどん底に追い込むことで表現されている。しかし同時に物事や債務者の本質を見抜き、それらに対して冷静な観点で見ている。
融資の審査はかなり厳しく、負債者の前では「田嶋」の偽名を名乗り一貫して非情かつ高圧的な姿勢で当たる。返済の為とあれば手段や場所を一切選ばず、債務者の関係者に借金を肩代わりさせることにも一切の躊躇はない。債務者を陰で「奴隷くん」呼ばわりし、集金は言葉通り1円たりとも負けない。債務者に対しては良くも悪くも放置することは無く、徹底して追い込むこともあれば、債務者個人のトラブルや悩みなどの解決に手を貸すこともある。
一方、返済意志のある者やどん底から立ち直ろうとしている者に対してはある程度寛大な態度を見せ、丑嶋の出した入社試験をクリアした芳則や、立ち直りの意志を見せた宇津井などの自分が認めた者には正当に評価し、時には労働環境は過酷だが相応に給料額の良い職場を紹介したりする。また、乗り合わせたタクシーの運転手が取り立て相手であっても、乗車料金はきっちり払うなどの筋を通す。
従業員に対する仲間意識は強く、彼らに対しては基本的に寛容であまり怒ることはないが、(忠告したのにもかかわらず)債務者に逃げられるなどのヘマをしたり勝手な行いをした場合は容赦なく鉄槌を下す。幼馴染でもある柄崎・加納との結束は特に強く、柄崎には毎年誕生日プレゼントを用意したり、加納の退職時には退職金として店を回すための元金を渡すなど、仕事以外での交流も描かれる。
外見
癖のある短髪にリムレスの眼鏡(縁なしの丸眼鏡でレンズがやや大きい)をかけ、アゴヒゲを生やした強面な顔立ちと、身長180cmを超える大柄な体格を持つ、威圧的な風貌をしている。ヒップホップ系ファッション(主にパーカーやティンバーランドを愛用)を着ており、真夏は主に半袖のポロシャツや、半袖のスカジャン系Tシャツ(初期のみ)を着用している。
また、表紙や扉絵などのイラストだけだが、ドクロ柄のバンダナをマスク風に着用していたり、普通のTシャツも着ることがある。耳には5つのピアスを開けている。
人物
亡き母が飼っていたウサギ(うーたんという名前は彼がつけた)を中学生のころから大事に飼っている。「ヤミ金くん」編では4代目の子孫である16羽を飼っており、ペットシッターも驚くほどこまめに世話している。また動物霊園にはこれまでに飼育していて死んだウサギを大量に祀っている。
ウサギ飼育以外の日課としてジムでのトレーニングも毎日やっており、「ヤミ金くん」編で登場した鰐戸一曰く「セキュリティがしっかりしてそうなタワーマンション」の自宅にもトレーニングマシンを置いている。
愛車はエルグランド(E51 後期型)だったがハマーH2に乗り換えた。携帯電話は作中の描写からiPhoneと推察される。
28巻の「中年会社員くん」編からはS&W製のタクティカルペンとタクティカルライトの両方を持ち歩いて平常武装している。
喫煙者だが、車を運転する際には『車内禁煙』『「靴の汚い者」は自分の車に入れない』(やむを得ない場合は靴にビニール袋をかぶせる)というルールを設けている他、電車の吊り革をティッシュを介して掴むなど潔癖症な一面を持つ。
基本的にどのような場面でも冷静沈着であり、たまに軽く微笑む程度で表情の変化もあまり見られない。
だが、親友であった竹本を自らの闇金業者としてのポリシーを貫き強制労働行きにした際は、「後悔はしていない」と思いつつも、車内で顔を覆い落涙しているかのような描写がされていたり、「ヤクザくん」編終盤で加納の遺体から離れる際には手を合わせたり、ドラマ版では自殺した債務者の老婆に花を手向けたりするなど人情ある態度も稀に描写される。債務者の子供に対しては自身の生い立ちと重ね合わせながらもあえて救いの手を差し伸べはせず、自身と同じように自立していく事を望んでいることが節々に伺える。「洗脳くん」編では涙を流すまゆみに対してティッシュを渡すなどの気遣いも見せた。最終話では客の一人であるホームレスから容赦なく集金するも、人知れず寝ている別のホームレスの側に差し入れている。
ヤクザなどに金をせびられた時などは露骨に不快感を示す。また、最終章では滑皮に大事に飼っていたウサギの一羽を殺された時に初めて号泣した。
竹本の家に同居していた小百合が行き場を無くした際、カウカウファイナンスの受付嬢に起用するなど、親しき者の関係者に対しては義理堅い面も見せる。
前述の通りポーカーフェイスであるが、初期の頃は借金の申し込みに来た女ににこやかな笑顔で丁寧に応対したり、ウサギを過度に溺愛する姿と、冷酷な取り立てを行う本来のウシジマ像との対比が激しかった。他にも不敵に笑ったり、柄崎と共に土下座して謝罪するマサルを嘲笑うシーンもあった。
経歴
「妾の子」として極貧の家に生まれ育つ。最愛の母親を早くに亡くし、酒浸りかつ寝たきりである身内(丑嶋は『じいさん』『じじい』と呼んでいたが、続柄は不明。実写映画版での役名は丑嶋の祖父となっている)の介護に追われていたが、厄介者としてしか扱われていなかった。これらの境遇が、現在の価値観さらには上記の闇金としての哲学が生まれたきっかけになったと思われる。
中学のころから喧嘩の強さは知られており「頭めがけて金属バットをフルスイングできる」別世界の人間として恐れられていた。
小学6年生になると同時に一度転校して地元を離れるが、中学2年の冬に故郷に出戻り(この辺りの詳細な経緯は不明)、柄崎と加納がいた2年C組に再度転校する。この2人は当時C組の絶対的な存在であり、彼らに逆らったことが原因で竹本以外のクラスメイト全員からリンチを受け病院送りになる重傷を負う。しかし退院後、お礼参りとして、柄崎と加納を筆頭とした自身をリンチした者全員に単独行動中を狙って報復している。その強さを見込まれ、鰐戸三兄弟から脅迫されていた柄崎に助けを求められるも、その過程で警察官の目の前で鰐戸三蔵の頭へ躊躇いなく金属バットを振り下ろして半殺しにし、特別少年院に送られる。退院後は一時的に母親の知り合い(退院時の身元引受人でもある)が経営する産廃処理場に勤務していたが、獅子谷兄弟の兄・鉄也の勧誘を断り切れず半ば強制的に、闇金業者「シシック」に就職する。その後、紆余曲折を経て柄崎と加納と共にシシックから逃げるようにしカウカウファイナンスを設立する。闇金業を営む中で、愛沢や肉蝮、鼓舞羅などの裏社会の人間たちと衝突し、その度に返り討ちにするが、飯匙倩との一件後には滑皮と距離を置くためと裏切ったマサルを追って沖縄へと渡る。そしてマサルとの決着をつけた後は、柄崎と共に2年間台湾に高飛びした後に、再び新宿へと戻って来た。
帰国後、債務者の菊池千代に自身の所在を密告されたために滑皮と獅子谷兄弟の弟・甲児から高田や小百合を人質に強請を受けるようになり、本格的に彼らと敵対するようになる。甲児から隠し金庫のありかを吐かせるため拷問を受けるも、拷問に屈したと見せかけて上手く罠に嵌めて甲児の殺害に成功。その後、滑皮から自身の配下になるか、死ぬか、どちらかを選べと迫られる。一度は滑皮に服従する選択を妥協しようと考えたが、滑皮から一方的に金を搾り取られ、滑皮の舎弟の中学生にコケにされたりするなどの屈辱を味わい、最終的に滑皮と敵対する道を選ぶ。しかし、大切なウサギを殺されたりなどの報復を受け、精神的に追い詰められる。最終的には滑皮の罠によって身代わりとして警察に出頭するか、今度こそ死ぬかを選ぶよう迫られる。遂に服従することを選んだかのように振る舞うも、逆に柄崎・戌亥と共に滑皮を罠に嵌めて刑務所送りにする。その後はいつも通り集金をしていたが、最終話で債務者の一人である菊池文香を殺そうとした彼女の弟・辰也から文香を庇い、ナイフで刺される。直後には何事も無いように振る舞い、予定通り文香の借金もきちんと回収するが、柄崎と電話で会話した後に道端で倒れた。
最終回掲載後、小学館より刊行された『漫画家本SPECIAL 闇金ウシジマくん本』では、作者自身が描き下ろした「もしもくん」が収録されており、本編とは別のパラレル展開の最終話が描かれている。
外見
人物
亡き母が飼っていたウサギ(うーたんという名前は彼がつけた)を中学生のころから大事に飼っている。「ヤミ金くん」編では4代目の子孫である16羽を飼っており、ペットシッターも驚くほどこまめに世話している。また動物霊園にはこれまでに飼育していて死んだウサギを大量に祀っている。
ウサギ飼育以外の日課としてジムでのトレーニングも毎日やっており、「ヤミ金くん」編で登場した鰐戸一曰く「セキュリティがしっかりしてそうなタワーマンション」の自宅にもトレーニングマシンを置いている。
愛車はエルグランド(E51 後期型)だったがハマーH2に乗り換えた。携帯電話は作中の描写からiPhoneと推察される。
28巻の「中年会社員くん」編からはS&W製のタクティカルペンとタクティカルライトの両方を持ち歩いて平常武装している。
喫煙者だが、車を運転する際には『車内禁煙』『「靴の汚い者」は自分の車に入れない』(やむを得ない場合は靴にビニール袋をかぶせる)というルールを設けている他、電車の吊り革をティッシュを介して掴むなど潔癖症な一面を持つ。
基本的にどのような場面でも冷静沈着であり、たまに軽く微笑む程度で表情の変化もあまり見られない。
だが、親友であった竹本を自らの闇金業者としてのポリシーを貫き強制労働行きにした際は、「後悔はしていない」と思いつつも、車内で顔を覆い落涙しているかのような描写がされていたり、「ヤクザくん」編終盤で加納の遺体から離れる際には手を合わせたり、ドラマ版では自殺した債務者の老婆に花を手向けたりするなど人情ある態度も稀に描写される。債務者の子供に対しては自身の生い立ちと重ね合わせながらもあえて救いの手を差し伸べはせず、自身と同じように自立していく事を望んでいることが節々に伺える。「洗脳くん」編では涙を流すまゆみに対してティッシュを渡すなどの気遣いも見せた。最終話では客の一人であるホームレスから容赦なく集金するも、人知れず寝ている別のホームレスの側に差し入れている。
ヤクザなどに金をせびられた時などは露骨に不快感を示す。また、最終章では滑皮に大事に飼っていたウサギの一羽を殺された時に初めて号泣した。
竹本の家に同居していた小百合が行き場を無くした際、カウカウファイナンスの受付嬢に起用するなど、親しき者の関係者に対しては義理堅い面も見せる。
前述の通りポーカーフェイスであるが、初期の頃は借金の申し込みに来た女ににこやかな笑顔で丁寧に応対したり、ウサギを過度に溺愛する姿と、冷酷な取り立てを行う本来のウシジマ像との対比が激しかった。他にも不敵に笑ったり、柄崎と共に土下座して謝罪するマサルを嘲笑うシーンもあった。
経歴
「妾の子」として極貧の家に生まれ育つ。最愛の母親を早くに亡くし、酒浸りかつ寝たきりである身内(丑嶋は『じいさん』『じじい』と呼んでいたが、続柄は不明。実写映画版での役名は丑嶋の祖父となっている)の介護に追われていたが、厄介者としてしか扱われていなかった。これらの境遇が、現在の価値観さらには上記の闇金としての哲学が生まれたきっかけになったと思われる。
中学のころから喧嘩の強さは知られており「頭めがけて金属バットをフルスイングできる」別世界の人間として恐れられていた。
小学6年生になると同時に一度転校して地元を離れるが、中学2年の冬に故郷に出戻り(この辺りの詳細な経緯は不明)、柄崎と加納がいた2年C組に再度転校する。この2人は当時C組の絶対的な存在であり、彼らに逆らったことが原因で竹本以外のクラスメイト全員からリンチを受け病院送りになる重傷を負う。しかし退院後、お礼参りとして、柄崎と加納を筆頭とした自身をリンチした者全員に単独行動中を狙って報復している。その強さを見込まれ、鰐戸三兄弟から脅迫されていた柄崎に助けを求められるも、その過程で警察官の目の前で鰐戸三蔵の頭へ躊躇いなく金属バットを振り下ろして半殺しにし、特別少年院に送られる。退院後は一時的に母親の知り合い(退院時の身元引受人でもある)が経営する産廃処理場に勤務していたが、獅子谷兄弟の兄・鉄也の勧誘を断り切れず半ば強制的に、闇金業者「シシック」に就職する。その後、紆余曲折を経て柄崎と加納と共にシシックから逃げるようにしカウカウファイナンスを設立する。闇金業を営む中で、愛沢や肉蝮、鼓舞羅などの裏社会の人間たちと衝突し、その度に返り討ちにするが、飯匙倩との一件後には滑皮と距離を置くためと裏切ったマサルを追って沖縄へと渡る。そしてマサルとの決着をつけた後は、柄崎と共に2年間台湾に高飛びした後に、再び新宿へと戻って来た。
帰国後、債務者の菊池千代に自身の所在を密告されたために滑皮と獅子谷兄弟の弟・甲児から高田や小百合を人質に強請を受けるようになり、本格的に彼らと敵対するようになる。甲児から隠し金庫のありかを吐かせるため拷問を受けるも、拷問に屈したと見せかけて上手く罠に嵌めて甲児の殺害に成功。その後、滑皮から自身の配下になるか、死ぬか、どちらかを選べと迫られる。一度は滑皮に服従する選択を妥協しようと考えたが、滑皮から一方的に金を搾り取られ、滑皮の舎弟の中学生にコケにされたりするなどの屈辱を味わい、最終的に滑皮と敵対する道を選ぶ。しかし、大切なウサギを殺されたりなどの報復を受け、精神的に追い詰められる。最終的には滑皮の罠によって身代わりとして警察に出頭するか、今度こそ死ぬかを選ぶよう迫られる。遂に服従することを選んだかのように振る舞うも、逆に柄崎・戌亥と共に滑皮を罠に嵌めて刑務所送りにする。その後はいつも通り集金をしていたが、最終話で債務者の一人である菊池文香を殺そうとした彼女の弟・辰也から文香を庇い、ナイフで刺される。直後には何事も無いように振る舞い、予定通り文香の借金もきちんと回収するが、柄崎と電話で会話した後に道端で倒れた。
最終回掲載後、小学館より刊行された『漫画家本SPECIAL 闇金ウシジマくん本』では、作者自身が描き下ろした「もしもくん」が収録されており、本編とは別のパラレル展開の最終話が描かれている。
私生活
その他
私生活
柄崎貴明(えざき たかあき)
『カウカウファイナンス』のNo.2。格闘家を目指していた時期があり、その強さは有名。会社の金銭の管理を任されており、仕事熱心で電話の対応のしすぎで耳から膿が出たほど。丑嶋とは中学生のころから付き合いがあり、彼を深く尊敬している。丑嶋からの信頼も厚いが、彼の携帯電話には「柄崎うんこ野郎」、ドラマ版『ザ・ファイナル&闇金くん編』では「柄崎焼き豆腐」と登録されている。
中学時代の丑嶋の髪型を真似て坊主頭にしている。原作後半では基本的にパーカーの上に作業着を羽織っている。靴はナイキのスニーカー。
丑嶋が逮捕された際は被害者に話をつけに行ったり、警察の強制捜査が入る前に事務所を移転したり、さらには「ヤクザくん」編の終盤で、肉蝮の急襲を受け窮地に立たされた丑嶋を間一髪で助けたりと、何かと身を尽くした。
加納とは会話がほとんどないが、不仲というわけではなく、加納が結婚し退職することを聞いた際は、一度激昂しその場を離れる素振りを見せつつも、陰で男泣きしながら喜んでいた。
大晦日や自身の母の誕生日を実家で母と丑嶋の3人で過ごしたり、普段も丑嶋のスケジュールを細かく把握したり、まめに飲みに誘ったりと、丑嶋と仕事以外でも一緒に過ごすシーンが描かれている。
中2の冬に丑嶋が出戻りで転校してきた時はクラスのボス的存在であり、転校生の丑嶋が反抗的な態度をとったために、クラスメイト全員(竹本を除く)を強制的に引き連れ集団でリンチしたが、丑嶋の退院後にお礼参りを受けた。その後の鰐戸三兄弟との一件で、結果的に丑嶋に守られたことへの感謝が、現在の力関係の元となっている。丑嶋が少年院を出所した時には加納と共に『シシック』で働いており、丑嶋を闇金の世界に誘った張本人でもある。
カーナビ付きの車で道に迷うなどの方向音痴。債務者に使う偽名は「柄原」や「木崎」。
番外編「柄崎くん」では誕生日に彼女との約束より急遽呼び出された丑嶋の買い物に付き合い、誕生日プレゼントに欲しがっていたサングラスを丑嶋から贈られた一方で「彼女No.1」からはフラれてしまった。
最終章では丑嶋とすれ違いを起こしたり、滑皮に勧誘されるなどの様々な苦難が襲ったものの、最後まで丑嶋を裏切ることはなかった。
柄崎貴子(えざき たかこ)
柄崎の母親。初登場は「ヤミ金くん」編の回想シーン。名前は「ウシジマくん」編にて判明。作中時点では船橋に引っ越している。中学時代の回想では狭い一軒家を住居としていたが、船橋移住後は団地住まい。前述のとおり、誕生日や大晦日はほぼ毎年息子や丑嶋といっしょに過ごすのが恒例。ヤンキーとなった息子にこれまでと変わりなく接していたり、初対面の丑嶋に夕食を振る舞うなど面倒見のいいところがある反面、「ウシジマくん」編では柄崎の中学時代の体操着を平気で部屋着にしていたり、回想シーンで原チャリの無免許運転を咎めている様子がないなどかなりマイペースな一面もある。
「ウシジマくん」編では痩せて容姿が大きく変わっており、やや若々しく描写されている。また、丑嶋からは「貴子さん」と呼ばれ、敬語を使われるようになった。滑皮に追い詰められたことを苦に拳銃で自決しようとしていた丑嶋の元に偶然電話をかけ、図らずとも彼を思い留まらせる。その後、丑嶋から誕生日プレゼントで電動自転車を与えられた。
柄崎貴子(えざき たかこ)
柄崎の母親。初登場は「ヤミ金くん」編の回想シーン。名前は「ウシジマくん」編にて判明。作中時点では船橋に引っ越している。中学時代の回想では狭い一軒家を住居としていたが、船橋移住後は団地住まい。前述のとおり、誕生日や大晦日はほぼ毎年息子や丑嶋といっしょに過ごすのが恒例。ヤンキーとなった息子にこれまでと変わりなく接していたり、初対面の丑嶋に夕食を振る舞うなど面倒見のいいところがある反面、「ウシジマくん」編では柄崎の中学時代の体操着を平気で部屋着にしていたり、回想シーンで原チャリの無免許運転を咎めている様子がないなどかなりマイペースな一面もある。
「ウシジマくん」編では痩せて容姿が大きく変わっており、やや若々しく描写されている。また、丑嶋からは「貴子さん」と呼ばれ、敬語を使われるようになった。滑皮に追い詰められたことを苦に拳銃で自決しようとしていた丑嶋の元に偶然電話をかけ、図らずとも彼を思い留まらせる。その後、丑嶋から誕生日プレゼントで電動自転車を与えられた。
加納晃司(かのう こうじ)
カウカウファイナンスのNO.3。長髪で、髭を生やしている。肥満嗜好の持ち主。「キレると何をするか分からない」らしい。柄崎とは同僚の関係性で仲も悪くはないが、会話はほとんど無い。口が堅く、敵対者から拷問、暴行されても決して口を割らない。連載当初から登場しているが、柄崎と比べると過去の経歴などを描かれることが少ない。当初は柄崎とコンビを組んでいたが、現在は高田とコンビを組んでいる。仕事時は「加山」という偽名を使う。
中学生のころはクラスで柄崎に次ぐ絶対的存在の不良生徒であり、転校して間もない丑嶋をクラスメイト全員でリンチしたが、退院した丑嶋から完膚なきまでに叩きのめされている。
「ヤクザくん」編の序盤で丑嶋と柄崎に、自身の恋人・麻里が妊娠したこと、結婚して闇金から足を洗い、普通の金融業で生計を立てることを打ち明け、二人に祝福を受け退職した。柄崎と同様、丑嶋が買ってくれたペンを常に携帯している。しかし、飯匙倩らから丑嶋の居場所を探るべく拷問を加えられた後、その場に居合わせていた熊倉からは自身が辱めを受けたことの口封じとして絞殺される。下の名前は、死後に丑嶋が麻里に香典代わりの金を送る際に判明した。「ウシジマくん編」で子供が生まれており、自身の名前から一文字取って「晃(あきら)」と名付けられている。
ドラマ版では「カウカウファイナンス」の社員としては登場しないが、映画版「ザ・ファイナル」で、丑嶋、柄崎らの中学時代の同級生として登場した。
高田(たかだ)
第1話で入社した元ホスト。下の名は不明。実年齢は丑嶋や柄崎よりも年上(初登場時、少なくとも24歳以上)。「ホストくん」編および「元ホストくん」編のキーパーソンの1人。
以前は「ニューロマンサー」というホストクラブで「瑠偉斗(るいと)」という源氏名で働いていた。しかし太客の愛華(17才)に、自身の売り上げのため高額なボトルを何本も注文させ、数百万円もの借金を背負わせるも、冷たい態度をとっていたため愛華が自殺してしまい、いたたまれなくなって退職。その後はサパークラブで働いていたが、酒で肝臓を悪くしたため、こちらも辞めている。
その矢先、愛華がカウカウの顧客であった縁から丑嶋と出会う。最初は闇金の仕事に怯えていたが、次第に慣れていく。冷徹になりきれず、丑嶋に厳しく叱咤されることもあったが、「元ホストくん」編終盤では負債者に全力で向き合いながらドライでいられるまで成長し、丑嶋が渡さずにいた愛華の遺品を受け取った。
再登場時は頭髪が伸び、髪色が上下で金色と黒のプリンになっていた。マサル入社後は彼の世話係を任せられる。社内で唯一の美形であるため、携帯電話の電話帳には女性の債務者が多く、債務者には「高木」の偽名を名乗っている。また自らのルックスを生かし、女性警官を情報屋として利用している。非常に面倒見が良く、丑嶋への復讐を誓うマサルでさえも、高田に対しては尊敬の面を見せる。カウカウの顧客である貧困な家庭の子供や、親から雑な扱いを受ける子供に食べ物を与える描写も見られ、「ヤクザくん」編では丑嶋のウサギの世話を任される。
「ウシジマくん」編では引き続きウサギたちの世話をしつつ、自らも細々と金融屋を営んでいる(「ヤクザくん」編で丑嶋にこれまでの仕事ぶりを認められ、独立を勧められたこともある)。小百合と共に滑皮の監視下にある。丑嶋が滑皮との本格的な対決を覚悟し、滑皮に殺されるよりはとウサギたちを殺処分しようとした際は身を呈してかばっている。その後はウサギ達を連れて逃亡し、その際に丑嶋から渡された逃走資金を元手に、沖縄でうさぎカフェを開いている。
ドラマ版では最初から『カウカウファイナンス』の社員であり、性格や髪型が再登場以降のものに近い。
加賀勝(かが まさる)
第9話で入社した不良少年。「ヤクザくん」編および「逃亡者くん」編のキーパーソンの1人。通称:マサル。
貧しい母子家庭に育ち、高校にも行かない無為な日々を過ごしていた。そんな中、愛沢とトラブルを起こし『カウカウファイナンス』に連れて来られたことがきっかけで入社。その後、愛沢に殺されかけ丑嶋に助けを求めるが、会社の顧客名簿を盗み、丑嶋に内緒でその客に金を融資していたため見殺しにされる。しかし間一髪で高田に助けられる。その後、丑嶋に土下座をして、カウカウファイナンスをクビにはならず働き続けることになる。
その後はこの一件に加え、カウカウファイナンスから金を借りていた自分の母親を風俗に売ろうとしていた丑嶋を恨み、復讐の機を伺うようになる。当初から比べ徐々に風貌が変わり、「目つきの悪いチビ」と言われ、鍛えてもいるようで力は強くなり、風貌はヤンキーそのものとなる。闇金から金を借りている母親を軽蔑しながらも、母親思いな一面も見られる。コンビで行動する時は高田と共にいることが多い。返済の意思を見せない債務者へは暴力も厭わないが、丑嶋に追い込まれた債務者を「ちゃん」付けの愛称で呼び、最後まで心配する描写も見られた。
「ヤクザくん」編では、丑嶋に恨みを持つ飯匙倩組や肉蝮と手を組み丑嶋への復讐を実行する。カウカウファイナンスを辞めた加納を拉致するなどして、丑嶋への復讐作戦は順調に進めているように見えたが、熊倉に説得されたことにより飯匙倩組の金庫番を殴り、中の金を奪い途中で逃亡し、復讐自体も最終的には失敗した。
「逃亡者くん」編では、逃亡先の沖縄で闇金業を営む金城の元で「村田仁(むらた じん)」という偽名を使い生計を立てている。沖縄でも債務者から厳しく取り立てを行う一方で、のどかの境遇を見て彼女を救うために動く。しかし、復讐前に高田へ持ち掛けた話の内容から沖縄へ潜伏していることを丑嶋に勘付かれ、戌亥に居場所を特定されたことにより丑嶋に捕まり、自身の行いによって加納の死を招いたという事実を突きつけられ愕然とする。一時は丑嶋に殺されることも覚悟していたが、奪った金を取り戻して帰ろうとする丑嶋にあっけにとられ思わず本音を叫ぶ。最終的には丑嶋と和解するも別れを告げられ、のどかの元からも去り、その後は大阪で手配師をしながら過ごす。
最終話では高田と沖縄で再会し、手配師を辞め細々と金融業をやりながら暮らしていることが明かされた。
小百合(さゆり)
『カウカウファイナンス』の受付嬢。フルネームは不明。回想シーンなどから、本編開始の1〜2年前に入社した模様。
美人で愛想も良いが、奇抜なファッションセンスの持ち主。初期のころは準レギュラー扱いだったが、話が進むにつれてあまり登場しなくなった。しかし、会社が危機に陥った際(「ヤンキーくん」編・「ヤミ金くん」編など)は、金銭や書類の処理に一役買っている。
長らく経歴について描かれなかったものの「ウシジマくん」編で以前はキャバ嬢として働いており、竹本の家に同居していたことが明かされた。竹本のことは「竹本」と呼び捨てるか「お兄ちゃん」と呼んでいた。
しかしキャバ嬢としては客の名前やNG行動を覚えられず、同僚が上に「ヘルプに入れないでほしい」と言うほどに仕事が出来なかった。また丑嶋の名前も覚えられず、「カウカウくん」と呼んだことが『カウカウファイナンス』という社名の由来となっていたことが判明している。
物語終盤からは地元に帰郷しているが滑皮の監視下にあり、まもなく丑嶋が本格的な対立を決めた際はタイに渡った。
準レギュラー
滑皮秀信(なめりかわ ひでのぶ)
本作品のもう1人の狂言回しであり、丑嶋の天敵。若琥会若琥一家二代目猪背組の幹部候補生→猪背組系列滑皮組組長。熊倉と共にカウカウファイナンスのバックにつく。
初登場エピソードは「ヤンキーくん」編。丑嶋よりも少し上の世代であり、かつては暴走族・悶主陀亞(モンスタア)連合総長を務めていた。
冷酷非道かつ野心的な性格で、成り上がるためには一切の手段を選ばない。
暴走族時代から敵対者の唇を切断するなどの凶行で恐れられ、愛沢浩司、鰐戸三蔵と並んで丑嶋の地元で「絶対に逆らってはいけない人物」と言われていた。だが、先述の2人をいずれも凄惨に痛めつけているため、3人の中でも別格の存在と言える。
「ヤンキーくん」編では逆立てた髪にジャンパーを着たチンピラ風の外見だったが、「ヤミ金くん」編以降は坊主頭にスーツ姿というヤクザ然とした風体に様変わりしている。
丑嶋とは何かしらの因縁があるらしいが、最後まで明かされることはなかった。
登場当初は、勘違いによって熊倉から制裁を受けたり、出世を狙って鳩山に献上した高級乗用車を即、愛人に下賜されるなど、あまり報われない描写が目立った。その後はしばらく登場しなかったものの、「ヤミ金くん」編の最終盤にて久々に登場し、悶主陀亞連合が奪い取った丑嶋の金を上納させていた。
「ホストくん」「元ホストくん」編では熊倉を殴打した鼓舞羅を射殺するが、熊倉を守れなかった事など諸々の責任を取り指を詰めることになった。
「ヤクザくん」編では死体処理班に配属されており、丑嶋に無理押しして大量の銃を預け、飯匙倩と抗争を起こす。
「ウシジマくん」編では、丑嶋が台湾に高飛びしている3年の間に急速に力をつけ、自らの組を持ち、獅子谷をはじめとする多くの半グレや不良を傘下にし、猪背組の3代目組長の候補に名前が浮上するまでに成り上がっている。熊倉を殺害した丑嶋の復讐のため、様々な策で丑嶋を追い詰めるが、あと一歩のところで柄崎と戌亥に嵌められ、殺人罪で警察に逮捕される。また、この際に豹堂と鹿島を殺害したことが発覚したため猪背組を絶縁処分になり、第二審裁判でも死刑を求刑されたことが戌亥の口から語られている。
過去についてのエピソードはあまり語られていないが、出世しても直らないほど食べ方が非常に汚かったり、父親の母親に対するDVが日常的にあったと語るなど(「死んだ親父の車の臭いを思い出す」という理由で自分の車を禁煙にしている)、育ちの悪さを伺わせる描写は多い。
その冷血さゆえ、丑嶋から「腐れ外道滑皮秀信」と連絡先を登録されていたり、逮捕された際に柄崎から「散々酷いことをしてきた因果応報」と切り捨てられているが、元猪背組の老人たちに金銭援助を行う、熊倉のことを最後まで「かっこいい兄貴」と慕う、死んだ弟分の梶尾を悼むなど、任侠道は持っている。また、戌亥からの「あなたのことは好きです(が、あなたの態度は嫌いです)」という発言や、獅子谷甲児の部下からの「ヤクザは嫌いだが、滑皮さんは別」という評など、前述のように確かなカリスマ性も持ち合わせている。「悪役キングコンテスト」「悪役総選挙」ともに5位。
戌亥洋介(いぬい ようすけ)
普段は探偵として働いている裏世界の情報屋。短髪に黒いスーツ姿。初登場エピソードは「楽園くん」編。
丑嶋とは小学生からの幼馴染。カウカウファイナンスをはじめ、滑皮を筆頭にヤクザとも交流がある。実家はお好み焼き屋。大の駄菓子好き。丑嶋に対して「くん」付けで呼んでいる。柄崎や加納とは腐れ縁の仲。
「楽園くん」編では、丑嶋に飯匙倩に関する情報を与え、キミノリからショップの裏帳簿を買い取った。「元ホストくん」編では、丑嶋に隼人、長谷川に関する情報を与え、隼人を追跡。その後滑皮に鼓舞羅に関する情報を集めることを命令されていた。「ヤクザくん」編では丑嶋の窮地を救い、続く「逃亡者くん」編でもマサルの捜索を請け負った。
「ウシジマくん」編では滑皮との繋がりを維持しつつも、丑嶋や柄崎らに助言・忠告をする。その後、滑皮の追い落としを目論む豹堂・巳池に脅迫され、鹿島殺害犯は滑皮であることを報告した。その後、丑嶋や柄崎共々、滑皮たちに捕らえられてしまうが、最後は丑嶋らの策略に乗じて滑皮がヒットマンを始末する動画を録画し、彼を逮捕するための証拠を作って生還する。
熊倉義道(くまくら よしみち)
二代目猪背組理事長(若頭)。顔に二箇所の刀傷がある。初登場エピソードは「ヤンキーくん」編。
丑嶋にたびたび数百万円の大金を強請するため、丑嶋からは蛇蝎のごとく嫌われている。配下の滑皮にもヤクザらしい暴虐さで接しており、ごく些細な粗相でも流血するほど叩きのめす。
「元ホスト君」編で鼓舞羅に丑嶋と間違われ、スラッパーで殴り倒される。その後、頭蓋骨陥没の後遺症から高次脳機能障害を起こして失態を繰り返し、二代目猪背組々長の後継を取り消された。
「ヤクザくん」編では丑嶋を利用して飯匙倩から一億円の強請を試みるが、逆に身柄を拐われ、カマを掘られ手足の爪に釘を打たれるなどの凄惨な拷問を受けた。マサルに助けられた後、辱めを受けた傍に居た加納を口封じとして殺害したが、それが仇となり終盤で丑嶋に悟られ射殺される。
「ウシジマくん」編の回想にも登場しており、本編時よりも痩せていた。当時まだ部屋住みだった滑皮を可愛がり、加えて多くの愛人とシノギを抱えた切れ者として描かれている。また、当時小学生だった光輝という息子も登場していた。
肉蝮(にくまむし)
本名は不明。強盗殺人を犯したと噂される大男。初登場エピソードは「ギャル汚くん」編。
歯の尖った凶相に「片手小指一本逆立ち」を軽々とこなす強靭な肉体を持つ。また、全身に刺青が彫られており背中に般若の面や、上半身正面に、通称の元になった蝮などが描かれている。自身の腕っ節に慢心している反面、丑嶋の仲間たちによる連携や不意打ちに何度も不覚を取り、隙を突かれると狼狽しやすいという弱点もある。
言動や精神が異常で、夏でもファーコートを顔を隠すように着用している。バンプスのナオヤが自分の女(恐喝のための理由付けであり関係があったかは不明)を強姦したとして凄惨な拷問を加え、イベントの売上金を狙って代表であるジュンを恐喝する。
その後、ジュンが丑嶋たちに追い詰められたところに鉢合わせ、包丁を片手に丑嶋を威圧するが、ワゴン車で突き飛ばされ、右腕を折られる。さらに、落とした包丁を丑嶋に奪われて本気の殺意を込めた脅しを受け、しぶしぶ敗北を認めた。その直後に、丑嶋に対する復讐を誓った。
「ヤクザくん」編でも再登場。「100人斬りの強姦魔」や「女子高生をアナルレイプするのが趣味」など、さらに凶暴な面が誇張された恐ろしいキャラとなっている。
後にマサルの丑嶋への復讐協力に同意する。飯匙倩や熊倉を始末し終えた丑嶋を急襲するが、再び駆けつけた柄崎のクレーン車に撥ねられ、前回と同じ展開で重傷を負う。
その強さは丑嶋をもってして「タイマンではかなわない」と言わしめたものの、車の修理代として500万円を要求されたことに悪態をついて終わる。その後は本編に登場しておらず、生死不明の扱いになっている。「悪役キングコンテスト」「悪役総選挙」ともに2位。
スピンオフ作品『闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説』では主人公を務める。お決まりの不意打ちに弱い描写はあるが、桁外れの強さ、意外なほどの博識さ、頭の回転の速さを見せている。また、自分が認めた者にはある程度の寛大さをもって接するなど、本編では確認できなかった新たな一面が描写されている。
飯匙倩(はぶ)
蛇腹組藪蛇組の構成員→飯匙倩組の組長。初登場エピソードは「楽園くん」編。
獅子谷鉄也よりも少し上の世代。腕や首に刺青がある。
覚醒剤ビジネスを行っている売人(プッシャー)の他、若者にショップ経営への融資を請け負っている。自身の面子のためには手段を選ばず、自分の覚醒剤に混ぜ物を入れて販売した人物を監禁し、金槌で指の爪を叩き割ったり、失態を犯した協力者を拷問して殺害するなど、性格は極めて残忍で冷酷非道。腕っ節も強いが、丑嶋との戦闘で殴られた瞬間に藪蛇組長から招集されて場を離れる羽目になり、これが「素人に殴られて逃げた」と悪い形で拡散。以後は業界の笑い者になり、丑嶋を恨むようになる。
「元ホストくん」編の時点では、覚醒剤ビジネスで逮捕されたことが明かされ、「中年会社員くん」編でまもなく出所することが語られた。
「ヤクザくん」編で本格的に再登場を果たす。以前に比べて形相がさらに凶悪化しており、クールでシニカルな言動が目立つようになっている。
自らの飯匙倩組を立ち上げ、マサルと協力して丑嶋殺害計画を着々と進めるが、最終的に丑嶋の策略によって、全身にガソリンを浴びて火だるまになって焼死するという壮絶な最期を遂げた。
「ウシジマくん」編でも回想シーンに登場。獅子谷鉄也に覚醒剤を売りつけており、彼が敬語を使うほどの人物として描かれている。
獏木(ばくき)
飯匙倩組の構成員。普段は工場らしき建物を根城にしている。
かつては地元で敵無しと恐れられていた不良で、無意味に人の耳をライターで炙るなど傍若無人に過ごしていた。組では一番の下っ端となり、先輩組員からきつく当たられているが、飯匙倩からは貴重な生きのいい若い衆として可愛がられている。
「中年会社員くん」編では加茂を脅迫して、カウカウに金を借りさせようとする。その件で丑嶋と交戦するがタクティカルペンで撃退され、最終話で肉蝮に片目を潰される。以後、眼帯を装着している。
以降の話にも登場するが、銃を持つと手が震える、死体を見て吐き気を催すなど初登場時の大物感はすっかり影を潜めてしまっている。「ヤクザくん」編では肉蝮と丑嶋への恨みからマサルを手助けするが、最終的に飯匙倩に自ら止めをさす格好になってしまった。その後、丑嶋に射殺されたと思われたが実際は生存しており、滑皮に熊倉殺害犯は丑嶋であることを伝えた。最後の頼みとして丑嶋を殺させてくれと懇願するも結局、滑皮にそのまま殺され、遺体を土の中に埋められる。
各編の登場人物
「奴隷くん」編
「債務者くん<ウシジマくん<金主くん」編
「若い女くん」編
村田久美子(むらた くみこ)
本エピソードの債務者。OL。26歳。独身。長野県出身で実家の酒屋には結婚している妹がいる。
OL同士の見栄の張り合いで、ブランド品などを買い漁って多額の借金を重ねる。そこで丑嶋からも金を借りたために金利で首が回らなくなり、「ちはる」という源氏名で風俗で働くことになる。しかし、見栄の張り合いに虚しさを感じてOL派閥を抜けたため、制裁として売春行為を会社中に言いふらされ、退社を余儀なくされる。
これら度重なるストレスに耐えかね、最初はショッピングでウサを晴らしていたが、やがて風俗店同僚の由美子からもらったリタリンを乱用するようになる。さらには仕事の過程で多数の性感染症のキャリアとなり、HIVの疑いすらある身体となる。恋人のタカシにもその状況を打ち明けられないまま性交渉を繰り返し、無関係の彼にまで淋病を感染させてしまう。その後、薬の影響もあって心身ともに崩壊し、意味不明な言葉を呟きながら千円で体を売る最下級の街娼となる。そこでも、奇怪な佇まいから「妖怪人間ベラ」と呼ばれ、噂を聞きつけた不良たちに「妖怪退治」と称して理不尽な暴行に遭うなど、転落の一途を辿る。
最後は自分と同じような境遇の男性たちを自宅に集め、怪しげな集会を開いている場面で同エピソードは幕を閉じる。
ドラマ版では恋人の設定が読者モデルの健介という設定であり、彼がロシア漁での強制労働に従事することで、最終的に借金が帳消しになる。原作のような薬物の乱用、自我崩壊は起こしていない。
上原由美子(うえはら ゆみこ)
「バイトくん」編
「闇金狩りくん」編
「ヤンキーくん」編
愛沢浩司(あいざわ こうじ)
本エピソードのキーパーソン。暴走族「愛沢連合」の頭。滑皮と同世代と思われ、昔は丑嶋の地元で「滑皮や鰐戸三蔵と共に逆らってはいけない一人」と言われていた。強盗や強姦、時に殺人までも辞さない凶悪な性格。
妻子持ちであるが、別姓で借金を重ねるための結婚であり愛情は一切無く、子供の本当の親も誰か分からない。「日本中のバカが集まる工業高校を中退している」と回想で語っており、知り合いに紹介された会社勤めも何一つ続かず、自身の唯一の誇りである「愛沢連合」の存続のため、猪背組の滑皮にケツ持ちを頼んでおり、代償として恐喝を受け負債に喘いでいる。
自身の単車を壊したマサルを半殺しにした上、借金させて慰謝料を支払わせるためにカウカウファイナンスに連れて行った。前述の滑皮からの恐喝によって困窮しており、マサルの仲間や助っ人の苅部一派といった不良少年を引き連れ、カウカウファイナンスへの強盗を目論む。柄崎と加納を負傷させ高田とマサルを拉致するが、マサルの機転によって失敗。最後は無断で持ち出した滑皮の拳銃で丑嶋を恐喝しようとするが、丑嶋の計略で熊倉と滑皮に鉢合わせさせられ、全ては水泡に。滑皮への負債と不始末を精算するために、保険金目当てで大型トラックに当たり屋をさせられる結末を迎える。
その後、「フリーエージェントくん」編では退院して町を歩いているところをマサルに目撃されるが、以前の覇気は無く、完全に心が折れているように見えたとのこと。
ヤクザや丑嶋にはまるで頭が上がらない小物だが、「悪役キングコンテスト」では強姦などの凶行を評価され6位。
鳩山大成(はとやま たいせい)
吉田(よしだ)
「ゲイくん」編
森下タカシ(もりした タカシ)
本エピソードの債務者。36才のゲイで、通称は「ジャニヲタ」。容貌は醜い。他のエピソードでも度々登場する。仕事をせず、神奈川県にある実家に寄生しており、ジャニーズ系の追っかけやパチスロなどで借金を重ねる。光GENJI世代。
小学校のころから「3クラス合同最下級人間コンテスト1位」といじめられており、中学校時代にはアチーブメントテストで学年最下位だった。そのことは同情を買うために無知で多感な10代のゲイとの売春の際によく話している。
一度自己破産をしているもその上でなお、丑嶋から借金をしている。マゾヒストで取り立ての電話をかけてきたマサルの罵声で性的に興奮する。借金のことで母親と喧嘩になり家を追い出され、ゆーちゃんの家に数日間泊めてもらい、さらに借金を肩代わりしてもらった。
ゆーちゃん
さまんさ
「ギャル汚くん」編
小川純(おがわ じゅん)
本エピソードの債務者。イベサー「バンプス」の代表。
サークル内の最年長者で、他メンバーからは「お父さん」と呼ばれている。
よく鼻水が出る。「にーっ」が口癖で、喜びや恐怖で感情が高ぶった時に発声。自信の無い自分へのコンプレックスからイベサーで成り上がろうとしている。
家族には両親と中学生くらいの妹がいるが、後述の借金のせいで絶縁されている。
一見周囲の人気者だが、実際の人望は皆無に等しい。
周囲への見栄の張り合いやバンプスのイベント資金を集めるため借金を重ね返済も滞っていたため、金融業界では既にブラックリスト化しており、闇金にしか借入先がない状態であった。その借金を帳消しにするため、荻野ら3人の女性達を誘い入れ、カウカウファイナンスからわざと借金をした上で丑嶋を恐喝で訴え、示談金を取ろうと画策する。しかし、柄崎と橋爪の連携により失敗し、さらに無心した金の債権もカウカウファイナンスに買い取られ、計675万円の借金を負う。
ラストはワインと蜂蜜を身体にかけられて樹海に放置され、匂いを嗅ぎつけた虫たちが身体中に群がるという描写で終わる。
イケメンゴレンジャイ
春樹(ハルキ)
尚也(ナオヤ)
根岸裕太(ねぎし ゆうた)
ジュンの幼馴染。通称:ネッシー。
八王子の暴走族「駄威我蛙(タイガア)」の元メンバー。石塚から上半身にブラジャー型の根性焼きをされた痕がある。不良崩れにしては悪知恵が働き、柄崎から「小物だが油断できない」と評される。まいたんやジュンと組んで美人局をしており、ジュンに闇金業者から金を取る方法を教えた張本人でもある。
自分では思い通りにいかない世界に苛立つ性格がある一方で、まいたんの夢を語ったり、ジュンに「イベサーをやめるべきだ」と説教をする一面もある。ジュンはそのことを「中身の無い単なる受け売り」だと思っていたが、ジュンが周囲に軽んじられていることを的確に言い当てており、ある程度ジュンを思いやったものであったことも確かである。
肉蝮に脅されたジュンに密かに情報を売られており、肉蝮に襲われ金は全て奪われ意識不明になる。
まいたん
広島県出身の家出少女。16歳。
売春や美人局で金を稼ぎ、漫画喫茶やラブホテルで暮らす。ネッシーに懐いている。18歳になったら風俗嬢になることが夢。不特定多数の男性と無防備に性交渉を行っているため、多種類の性病に感染していると思われている。避妊薬の影響(本人談)で乳房を始めとする脂肪が硬化しつつあり、それを好む援助交際者からは評判が良いが、街の同世代の少女たちからは「エンコーまいたん」と呼ばれいじめられている。
肉蝮の襲撃を受けた重体のネッシーに付き添っており、丑嶋たちに追い詰められたジュンに最後の望みで電話に出るも、自分では何もできなかったことをジュンに打ち明けたが、その会話がジュンとの今生の別れになることを知る由もなかった。
なお、彼女の知り合いには、かつて肉蝮に強姦されたことのあるデリヘル嬢がおり、後にマサルはそのデリヘル嬢から情報を得て肉蝮と接触した。
石塚ミノル(いしづか ミノル)
八王子の暴走族「駄威我蛙(タイガア)」ヘッド。ヤクザの最末端に近い準構成員。丑嶋と同世代。周りの人間からは陰で「豚塚」と呼ばれている。
低い身長と太った体を持ち、通称の由来になっている。弱者には容赦がなく若者の間に噂が広まるほどの嗜虐主義者だが、強者とは衝突を避ける小心者。バンプスのバックについているため、ジュンから月五万円のみかじめ料を巻き上げている。ジュンが丑嶋たちに連れて行かれそうになった時に助けを求められ、嫌々ながら丑嶋に喧嘩を売るが全く相手にされず、ヤクザとの繋がりをアピールして虚勢を張るので精一杯だった。後の「ヤミ金くん」編にも中学時代の姿が登場。顎戸三蔵から激しい恐喝を受けており、大事にしているペットのハムスターの子供を殺されかけた上、上半身にブラジャー型の根性焼きをされた。
山脇(やまわき)
橋爪正男(はしづめ まさお)
「フーゾクくん」編
葉山陽子(はやま ようこ)
杏奈(あんな)
23歳のホテヘル嬢で、『エロリン派遣ガール』の元No.1で現No.2。美人だがサービスは悪く、最近は落ち目。2年前まで月収200万のフードルだった。堕胎経験あり。「-なのだ」が口癖。友人などには優しく、瑞樹が沼田から逃げるため店に寝泊りしていた時も自分の家で一緒に過ごすよう促していた。負債を負った芳則のために沖縄へ行き、裏風俗で働くことになる。最終話は彼女がモコに「また一緒に遊ぼう」とメールして終了となっている。
「逃亡者くん」編で再登場。沖縄に来た当時は魂が抜けたようになっていたが、いつの間にか裏風俗のNo.1になっていた。高良のどかと仲良くなり、親切ごかしに東京に一緒に行くように誘う。しかし、のどかを救おうとするマサルの妨害を受けた上(「フーゾクくん」編の時点で既に面識があり、その頃とは風貌が変わっていたものの杏奈はすぐに気づいた)、当人も最終的に非情に徹しきれなくなり、高良を「足手まとい」と突き放して一人で帰京。市場から立ち去る際、寂しげな表情を浮かべていた。
瑞樹(みずき)
『エロリン派遣ガール』のNo.1ホテヘル嬢。ゲップがよく出る。体型は太目だがサービスは上手く、毎日どうやったら売れるか熱心に研究している。「キモ客」と呼ばれる客を掴み、太客とし、経済的にパンクさせることも厭わない。特に彼女なりの上客については「エース」と名前をつけている。彼女に執着する過去の客である沼田から過去にストーキングされ、住所を特定して襲われたため、しばらくの間、同系列の別の店舗に寝泊まりする。恋人も友達もおらず、家族も頼りにならないため、預金残高だけが心の支えだったが、杏奈に悩みを相談されたことをきっかけに、杏奈やモコと親しくなる。
コインロッカーに隠していた3000万の貯蓄がある通帳を、同じ店で働くアサミに盗まれてしまう。そのショックから自暴自棄になり、禁止されている「本番行為」を客に勧めて金を稼ごうとし、店を解雇される。路頭に迷いながらも、沼田が指名手配を受けているニュースをビルの大画面で目の当たりにし戦慄した後、すれ違った丑嶋に「困ったら事務所(カウカウファイナンス)に来い」と言われて出番は終わる。
『闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん』において、意外な形での再登場を果たす。
鷺咲(さぎさき)
芳則(よしのり)
野村(のむら)
丸山(まるやま)
厚木市在住。瑞樹のエース(常連客)。太めの体格で通称:雨男。服装のセンスは無く、瑞樹を1日指名した際には子供のように喜ぶなど精神的にも幼稚。介護が必要な父親と暮らしている。瑞樹に好意を寄せるあまり、1日指名を行ったりして170万円以上あった父の貯金を浪費してしまい、パンク寸前として瑞樹に切られ絶望する。その後は、自分と父のことを気にかけてくれたヘルパーの娘に思いを寄せるようになる。
「ゲイくん」編に登場する森下タカシの同級生。「最下位人間コンテスト」では2位であり、森下共々全裸でボクシングをさせられるなどしていじめられていた。瑞樹曰く「自分がイケてないことをわきまえている客で、安心して接することが出来るタイプだが、一歩間違えると沼田のようになる」と評されている。
沼田幸一(ぬまた こういち)
佐野ハジメ(さの ハジメ)
村田(むらた)
輝稀(てるき)
アサミ
宇野(うの)
浅倉(あさくら)
中山(なかやま)
「フリーターくん」編
宇津井優一(うつい ゆういち)
本エピソードのキーパーソン。宇津井家の一人息子。35歳。相模原市在住。最終学歴は高卒。
両親と同居し、日雇い派遣とパチスロで金を稼いでは使い、一般の消費者金融で借金を重ね、そんな退廃的な自身の生活やその日起きた不快な出来事などを「鬱ブログ」というブログで記している。
自己中心的で幼稚且つ怠惰な性格の持ち主であり、社会常識も著しく欠如している。それ故、接した相手の大半からは強い悪印象を持たれており、親族からも前述の借金から母親共々縁を切られたがる程。
生活費の件で母と喧嘩の上実家を勘当され、ネットカフェで生活の後、ゲストハウスに入居するも孤立。日雇い労働の中で椎間板ヘルニアを患ってしまったことでゲストハウスの部屋代を払うことができなくなり、果ては、不良少年たちにお金を盗られ殺されかけたことで、両親に電話で謝ろうとした際に母が倒れたことを知らされる。命辛々母の入院する病院へ行き、両親と和解。その後、搾取されながら丑嶋に縋り続ける両親の悲惨な姿に痛嘆し、丑嶋に啖呵を切りながら両親を自分が守ると宣言。その成長ぶりに丑嶋から興味を持たれ、借金を現実的な利息に軽減される。
自己破産後は訪問介護の仕事やパン工場の夜勤で堅実に借金を返済していき、これまでのような稚拙な振る舞いも無く、寧ろ勤勉で人当たりのよい性格になるなど、人間的にも大きく成長。皮肉にも、自己破産して家を奪われた後の方が家族仲も良くなり、幸せな生活を送ることになった。
宇津井美津子(うつい みつこ)
本エピソードの債務者。優一の母。好物は団子と落花生。早期退職に無断で応じた夫や、無気力な無職である上にギャンブル狂な一人息子に愛想を尽かしており、家族間の交流はほぼ皆無に近い。だが、自身も後述のように借金のリスクがある行為に安易に手を出すなど、息子同様に短慮な一面が見受けられる。
家族が当てにならない状況の中で、自分がなんとかしなければいけないというプレッシャーから株の信用取引に手を出すも、追証が原因で借金をしてしまう。さらに丑嶋と樺谷の策略に乗せられ借金が莫大な金額まで膨れ上がる。親族に借金の申し込みをするもにべもなく断られた上に見放され、結局は自身の母親を道連れにする形で金を作るも、丑嶋のペーパーカンパニーによる支払督促を受けた裁判所からの特別送達を優一が渡し忘れていたために異議の申し立てが出来ず、財産も家も全て取り上げられた。破産後は何もかも失ったショックから心理的な過労で倒れるがそれをきっかけで優一と和解。その後は自身が徴収されているだけに過ぎないことを薄々理解しながらも、必死に丑嶋を肯定的に考えながら縋る毎日を送っていたが、その丑嶋に対して優一が家族を守ると啖呵を切った際には、憑き物が取れるかのように感涙を流した。
宇津井優作(うつい ゆうさく)
優一の祖母
樺谷(かばや)
木都根(きつね)
栄枝英一(さかえだ えいいち)
幸(さち)
橋本(はしもと)
優一の小学校時代の同級生で中学からは私立中学に通っている。大卒のサラリーマン、所帯持ちで息子が二人いる。優一ととあるショッピングモールのフードコートで偶然再会する。初めは優一との再会を素直に喜んでいたが、自堕落な生活を送りながらも見苦しい自己弁護や卑屈な言動を繰り返したり、真面目に生きている人間を負け惜しみ同然に蔑もうとする彼の幼稚な態度に呆れて愛想を尽かし、優一が去った後、彼のことを「大人子供(フリークス)」「自分を守るのに必死なお子ちゃま」と散々扱き下ろす。去った宇津井は小学校の同級生とも大きな差をつけられたことを認識し、自信だけを欲しがりながら慟哭した。
しかし自身も金銭的に余裕がなく、妻には頭が上がらずに尻に敷かれるなど、決して幸せとは言い難い生活を強いられている。
「サラリーマンくん」編
小堀豊(こぼり ゆたか)
本エピソードのキーパーソン。医療機器メーカーの営業職。33才。妻と二人の子供がいる。温厚篤実で人に分け隔てなく接する誠実な性格。仕事でも理解ある上司のもとで顧客からも評判が良かったが、東京に転勤して陰湿な上司の志村の下についてからはなかなか成績を上げられず、様々な嫌がらせを受けるなどパワーハラスメントを繰り返され、後輩からもバカにされている。激務の中で次第に家族関係にも亀裂が生じはじめ、仕事の不調と相まって先の見えぬ日々に強いストレスを溜め込んでいた。大声で奇声を上げてストレスを発散する癖がある。学生時代はカメラサークルに所属しており、エピソードの中でも携帯のカメラで風景を撮影するシーンや、結子や板橋の写真を引き伸ばしたアルバムが登場する。
知らぬ間に同僚であった板橋の詐欺に巻き込まれたことで心身ともに限界に達し、自律神経失調症で休職を余儀なくされる。一時はこのまま辞職、離婚して、全てを清算することも考えるが、この間に家族との絆を取り戻し、営業先でも非常に好かれ、信頼されていたことが判明。板橋との付き合いで一時、悪い遊びを覚えつつも、完治後は小堀を見直した同僚たちの後押しで無事に職場復帰し、上司である志村も一応はパワハラをやめたことで、周りを取り巻く環境が改善される。しかしながら一度覚えてしまった闇スロットやサラ金からの借金は継続しており、今後に不安も残す形となっている。
小堀結子(こぼり ゆうこ)
板橋清(いたばし きよし)
本エピソードの債務者。33才。独身。小堀と同じ会社の同期だが、別の事業所に勤務。元は優秀な営業マンだったが、VIP顧客の医師から勧められ、その医師に気に入られるために行った株投資で失敗し、多額の借金を抱えたことを契機に、仕事も私生活も上手くいかなくなる。
自らの不逞のために取引先の病院から出禁にされ、事務所の机でただ時を過ごすこと(いわゆる「追い出し部屋勤務」)を強いられるほどに居場所が無く、直属の上司からは自主退社を迫られ、退職する社員が用意した差し入れも一人だけ貰えず、送別会にも誘われない有様である。
学生時代からの親友の間柄である小堀から度々金を借りているが、その返済の催促には激しい屈辱と逆恨みを募らせている。自身のストレスが溜まった時には、駅員やコンビニ店員など、立場の弱い者に罵倒するなどし、それにより余計に周囲から嫌われている。
丑嶋に持ちかけられた金融詐欺の連帯保証人に指定するために、小堀の印鑑と免許証を盗み出し、借金地獄に引きずり込んだ。その後、詐欺の失敗で它貫に損害を与えたため、ロシアン・マフィアの漁船に売られるか、小堀を勤務先相手の取り込み詐欺に加担させるよう丑嶋に迫られる。しかし小堀との会話を通して自身の行いを悔い、今までの自分と決別し、自ら責任を取ることを決意。丑嶋の車に乗せられ、オホーツク方面に消息を絶つ。
しおり
志村(しむら)
戸越銀二(とごし ぎんじ)
田端(たばた)
広尾 (ひろお)
「タクシードライバーくん」編
足立(あだち)
「出会いカフェくん」編
鈴木美來(すずき みこ)
本エピソードの債務者。高校卒業後、母親が働くスナックでバイトしながら生活を送る美女。パチンコ依存症の実母と義父、異父弟との4人暮らし。情に篤く、思い切りも良い。母親がカウカウファイナンスで借金をした影響から丑嶋と出会う。金に困り、親友の一人である冬美からお茶をするだけでお金が貰えるという紹介を受けて「Me」という偽名を名乗って「出会いカフェ」に通うようになるが、決して身体は売らず、客と食事やカラオケに行くだけのやり方を、性交目的の多くの客から非難される。アキトとは幼馴染だが、恋人のようにも見える仲。JPとは中学時代の恋人だが、彼の女にだらしない性格を嫌い別れた。メールの文体はいわゆる「ギャル文字」であり、丑嶋へも友人たちと同様の文体でメールを送り「読みづらい」と言われながらも金を借りた。ニューリッチとの勝負後はファミレスのバイトを始め、その金で丑嶋に返済していた。
実写映画版では小川純の幼馴染となっており(「ギャル汚くん」編と、「出会いカフェくん」編が一つのストーリーに纏められている)、またジュンの周囲の人間の中で唯一彼を尊敬している。
冬美(ふゆみ)
JP(ジェイピー)
ニューリッチ
「スーパータクシーくん」編
諸星信也(もろぼし しんや)
本エピソードの債務者。KYタクシー乗務員。41歳のバツイチ。元ホスト。日焼けした肌と尻顎が特徴。極度のナルシストかつ女好きで、借金してまで度々、買春を行っている。
以前に暴力団に莫大な借金をしたことが原因でホストを辞めざるを得なくなり、借り入れ先の暴力団員である根杜実に妻と娘を取り上げられる。現在も元妻の美沙からは1億円の慰謝料を請求されており、娘の沙耶とはほとんど会うことが出来ずにいる。
今井から「闇金融からの借金を踏み倒せば世の中の悪人退治」になるとそそのかされ、相保証として『カウカウファイナンス』から借金をするが、最終的には相保証となっていた今井と新庄が逃げたため、合計30万円を返済する羽目になる。そして根杜から、報酬金と引き換えに浦安にあるネズミーランドで娘を渡すよう命令される。さらに今井に児童買春という弱みを握られたため、借金を踏み倒すことも警察に逃げることも出来ず、娘を助けたい一心で丑嶋に借金を願い出るも、自身の売春行為を棚上げしていることを指摘されて突っぱねられた。娘を乗せたタクシーの中で苦悩し、決断を下すところでシリーズ終了となる。「楽園くん」編にも一コマだけ登場している。
今井(いまい)
木村(きむら)
新庄(しんじょう)
佐々木美沙(ささき みさ)
佐々木沙耶(ささき さや)
根杜実(ねづ みのる)
「テレクラくん」編
吉永美代子(よしなが みよこ)
本エピソードの債務者。都営団地で暮らす。42才。自己破産者。行きつけのパチンコ屋では「ギャル代」というニックネームで呼ばれている。
一応定職はあり、スーパーでパート従業員として勤務するも、無断欠勤を頻繁に行う、監視カメラの死角を利用して商品の弁当を万引きする、レジを打っても他のレジに向かわれるくらいに客に嫌悪されるなど、勤務態度や素行は非常に悪い。当然ながらまともな収入は無く、テレクラで売春してはパチンコで散財する悲壮な毎日を送る。
野村に貢ぐ金欲しさに娘に親子売春・3Pを強要するようになる。最後は美奈にも見捨てられ、1回1,000円で売春するホームレスにまで転落する。最後は肉まんまと同じくカポジ肉腫らしき吹き出物が描かれている。少なくとも2回の離婚歴がある。
吉永美奈(よしなが みな)
杉本学(すぎもと まなぶ)
野村(のむら)
「楽園くん」編
中田広道(なかた ひろみち)
本エピソードの債務者。原宿でファッション誌「デザート」の読者モデルを目指す青年。19歳。自らの姓をもじって「センターT」と名乗る。他人からの評価に流されやすく、打たれ弱い一面も持つ。服飾系の専門学校を中退し、ラブホテルでバイトしている。自身の空虚感から、ファッションで名を上げ街の「主人公」となり、読者モデルのカリスマ的存在「オサレ皇帝(エンペラー)」になることを夢見ている。
ひょんなことから「オサレ皇帝」のG10に目を付けられ、ファッションに磨きをかけるためにG10や飯匙倩にそそのかされ、徐々に悪事に手を染めるようになる。
危ない橋を渡りつつも、資金が充実したことで服を買い漁りオサレ皇帝の座を掴む。しかし自身の20歳の誕生パーティーを開催するころには、麻薬売買や読者モデルの女子を売り渡していることなどがネット上で噂されており、誕生パーティーには誰一人、集まらなかった。
その後はG10のアドバイスによってセレクトショップの経営を決意するものの、G10に開設費を持ち逃げされ、与主である飯匙倩に殺されかけるが、キミノリ(と丑嶋)に救われる。
最後はキミノリと将来の展望を語り合う場面で終わる。一見するとハッピーエンドに見えるが、実際にはパピコのタレコミによって覚醒剤売買で逮捕状が発行され、それが表に出ないよう飯匙倩に再度その身柄を押さえられたことが丑嶋と戌亥の会話にて判明しており、口封じとして飯匙倩に殺害された可能性が示唆されている。
森田キミノリ(もりた キミノリ)
中田とルームシェアで同居している青年。服のショップ店員。ファッションにのめり込む中田を冷ややかな目で見ているが、本心では友達として気にかけている。G10を「嘘くさい」との理由で嫌う。自分で料理をし、弁当を職場に持って行くなどの節約をしている。タレント養成の私立高校に通っていた際、目的(夢)のために多くの友人を裏切ってきた過去を後悔しており、ルームシェアしている中田を親友として大切にしている。中田の窮地を救うため、勤めるショップの裏帳簿を担保に丑嶋から金を借りる。
最終的に中田と共に将来を語り合うシーンで出番を終えるが、実際には裏帳簿の持ち出しに憤慨したショップオーナーが差し向けたヤクザにさらわれたことが戌亥の口から明らかになっている。そのため、中田同様に直接的な明言は避けられているものの死亡している可能性がある。
田川ジュンヤ(たがわ ジュンヤ)
千葉から自転車で原宿に通う小柄な高校生。中田からは「田舎者」と呼ばれている。いじめに遭っており、クラスの連中を見返すために読者モデルを目指す。不良中学生に恐喝されたり、中田に10万円する自転車を盗まれたりと散々な目に遭うが、死んだ父親の保険金を元に整形手術をして美少年となり、次期「オサレ皇帝」となる。整形してからは自信の表れか、中田の前でも余裕ある態度を取る。整形前と比べて服選びのセンスも向上したようで、一時期は中田をも凌ぐ勢いを見せるものの、総合順位では3位どまりに終わる。また、自分の自転車を盗んだのが中田であることを知り、自分をいじめていた不良中学生たちを雇って復讐しようとするも、逆に中田のバックにつく飯匙倩に叩きのめされる。
その後、不良中学生たちに腹いせで殴られて顔貌が崩れ、読者モデルとしてやっていくことにも空しさを感じ、進路変更で進学塾に通おうとする。しかし、父の遺産は整形や服で散財したことで底をついており、母親を口論の末に金属バットで生死不明の重態にして消息を絶つ。
パピコとも関係を持っており、中田にパピコを妊娠させたと嘘をついている。
パピコ
G10(ゴト)
ファッション誌「デザート」の読者モデルのカリスマ「オサレ皇帝」の一人。本名は「後藤」(フルネームは不明)。ハットにサングラス、長髪に頭の中央部分を刈り上げた逆モヒカンが特徴。他人を「U」と呼んだり、口癖に「ポーッ」と言ったりするなど独特の喋り方をする。「他人に嘘はつくが自分に嘘はつかない」がポリシー。オサレ皇帝を目指す中田に対してアドバイスを与えるも、その一方で様々な悪事へ加担させてゆく。
「オサレ皇帝」と称され、強いオーラを発するため若者たちには崇敬の対象となる存在だが、その正体は悪質な犯罪者であり、中田を始め数人の若者にショップ経営の話を持ちかけ、借金させて得た金を騙し取るという詐欺を行っていた。中田たちから騙した金で愛人とカナダへ国外逃亡を計るも、飯匙倩の舎弟である青田にいち早く逃亡先を特定されたため、逃げきれず空港で飯匙倩に取り押さえられる。最期は飯匙倩に拷問の末に殺害され、死体を山中に埋められた。
イッセイ
高橋(たかはし)・ジュン
小野(おの)
ノブ
中田と同じラブホテルの従業員。就職氷河期世代で、これまでの人生でかなり苦労しており、強い安定志向を持つ。自らを警部、中田を巡査と呼び、ホテル業務を警察の捜査に例えるなどふざけている一面もあるが、仕事にはそれなりのポリシーを持って真面目にこなしており、当初は中田から敬意を持たれていた。しかし、陰惨な自分語りをしながらファミレスでガムシロップを盗むなど、徐々に卑しさを見せるようになり、軽蔑されていく。
物語中盤でホテルを解雇され、路頭に迷い漫画喫茶で生活していたところ、中田にはした金で裏稼業の片棒を担がされる。逆に中田を強請って小遣いをせしめるなどの強かさも見せるが、中田が飯匙倩に拘束されたために再び路頭に迷い、最後はおにぎりを買う金にも困窮。手持ちの最後の金で包丁を購入し、老婆から金を脅し取ろうとしたところを現行犯逮捕された。
「ヤミ金くん」編
竹本優希(たけもと ゆうき)
本エピソードの債務者。丑嶋の中学時代のクラスメイトで、親友。丑嶋のことを「カオルちゃん」と呼ぶ。中学時代、柄崎がクラスメイト全員を引き連れて行った転校生・丑嶋への集団リンチに唯一参加せず、罰として鉄拳制裁を受けるも、全く気にする様子を見せなかった。また、丑嶋の母が大切にしていたウサギを、とある事情で丑嶋から預かって世話をしており、これらの振る舞いは当時、孤立していた丑嶋にとって救いとなっていた。中学在学当時は学年首席の優等生であり、大学生の時に起業し成功を収めるも、今は日雇い派遣の仕事で生計を立てている。この作品では珍しく善人であるが、良い意味で人間らしさや我欲といったものに欠けており、誰に対しても分け隔てなく慈愛に満ちた優しさと飄々とした態度で接する「聖人君子のような人物」。
ホームレス生活をしていたところを二郎に連れられ、悪徳貧困ビジネス『誠愛の家』に入居することになるが、そこでも善行をとり続け周囲に呆れられている。
ヤサ男な風貌とは裏腹に非常に肝が据わっており、どのような状況であっても狼狽することはない。鰐戸三兄弟に対しても彼だけが積極的に意見をし、三蔵の恫喝にも一切動じず、甲本が鰐戸兄弟に竹本の指を折るよう命令された時も、自ら指を差し出すなど信念には一片の迷いも無い。本編において最後まで自分の信念を貫き、誠愛の家の関係者全員の負債(ケジメ)を一人で抱え、丑嶋自身の手によって劣悪な労働施設に飛ばされた。
本編にはそれ以降は登場していないが、最終章「ウシジマくん」の回想において没落する以前の彼が登場する。社長令息であり、大学一年生の時に父親から、「時給を貰うバイトから得るものは無い」と言われ、1000万円を資金提供され、それを元手に地元の先輩・吉澤と組んでファッションブランド「サンバービィ」を立ち上げる(竹本が社長で、吉澤は専務。)。かなりの成功を収めていたが、吉澤の愚行が原因で会社に猪背組と繋がりが出来てしまい、それを問題視した父親にサンバービィ取締役の座を入れ替わられると同時に社長の座を辞任させられ、吉澤共々、解雇されていたことが明らかになった。
甲本直人(こうもと なおと)
誠愛の家3号室の新入り。ホームレス生活をしていたところを鰐戸兄弟に囲われる。容貌は醜く、無精ヒゲを生やしている。ホームレスになる以前は工場勤めであった。
中学2年の時に同級生の初恋相手の女子にストーカー呼ばわりされて嫌われたことが人生の転落点で、高校は九九ができれば合格できる底辺レベルの工業高校しか行けず、友人もできなかったと自ら回想。ネットの中でも空気が読めず、掲示板でも書き込むタイミングがつかめないなどデジタルな環境ですら居場所を作れなかった。榊原に暴行を受けている黒田に対して「お前がいれば、いじめの矛先は俺には向かわない」と思うなど、性格も歪み切っている。過去には「樹里菜」というキャバ嬢に色恋営業を掛けられ200万を貢いだこともあった。
丑嶋と鰐戸三兄弟のいざこざに紛れた竹本の作戦により、誠愛の家からの脱走に成功する。幾度となく自分を助けてくれる竹本の思いに次第に心を開き始め、最終的にはその思いに報いようとするものの、結局、竹本は一人で関係者全員の負債を負い、その犠牲と引き換えに手に入れたはずの大金(丑嶋の一部財産である5千万円)も悶主陀亞連合に奪い取られ、一文無しに戻ってしまった。このことで元の荒んだ人間に戻りかけ、強盗と強姦を働いて自殺することを考えるものの、竹本の意思を最後に思い出して踏みとどまり、「強盗よりバイトの方が気が楽、強姦よりピンサロの方がお手軽」と考え、もう一度借金できる場所を探して、人生を立て直すことを決意する。
榊原耕司(さかきばら こうじ)
黒田宏志(くろだ ひろし)
畑山明紀(はたけやま あきのり)
鰐戸一(がくと はじめ)
本エピソードのキーパーソンの1人。『誠愛の家』の経営者で、社会的弱者をターゲットとした奴隷事業を営む。
柄崎の地元で「決して逆らってはいけない」と恐れられていた鰐戸三兄弟の長男。三兄弟の中で最も冷静で計算高く、末弟・三蔵のストッパー役でもある。かつては当時中学生の柄崎や加納を筆頭に、地元の後輩たちをパシリに使い、いびっていた。しかし、三兄弟の権勢は末弟の三蔵が恐れられていたことで保たれていたに過ぎず、柄崎が連れてきた丑嶋に三蔵を半殺しにされたことで、あっさりと影響力を失う。これによって今まで虐めていた者たちから凄惨な報復の末に、弟の二郎と69をさせられている動画を流出させられ、以後は田舎でのシノギ生活を余儀なくされることとなった。こうした経緯から、丑嶋に強い復讐心を抱いている。
『誠愛の家』に軟禁した労働者達を「人間以下のクズ」呼ばわりして徹底的に搾取し、医療廃棄物を素手で処理させたり、リンゴ農園でリンゴの窃盗を強要するなどしている。
復讐を実行すべく『カウカウファイナンス』を襲撃し、柄崎と加納を拉致し、丑嶋から金を身代金をせしめるも、悶主陀亞連合が乱入してきたことで展開がもつれ、最終的には悶主陀亞連合に拉致され二郎、三蔵と同様に凄惨な報復を受けた。
鰐戸二郎(がくと じろう)
鰐戸三蔵(がくと さんぞう)
本エピソードのキーパーソンの1人。鰐戸三兄弟の末子。兄弟の中でも随一の凶暴性や残虐性を持ち、丑嶋たちの地元では「絶対に逆らってはいけない3人」の中の一人に入っていた。鈍器や凶器を持ち歩くことが多く、特にレンチを愛用している。兄たちと共に柄崎や加納に無茶な要求をし、大金を奪ったり車上荒らしをさせたりしていた。
唇が剥がされて歯がむき出しになっており、真っ二つに縫い目の通ったスキンヘッドと、異様な容姿をしている。唇はかつて滑皮に切断されており、現在は常に口元をバンダナで覆い隠している。頭の縫い目は、過去に中学時代の丑嶋に頭をバットで殴られた時の傷跡。このことで、丑嶋や滑皮を「殺すリスト」に入れており、非常に強く復讐心を燃やしている。
セックス中に少女の首を締め上げたり、猫を高層ビルから落として興奮したり、実家の自室に動物の死体や骨、さらに刃物が刺さった丑嶋の似顔絵などを飾るなど、根っからのサディスト趣味の持ち主でもある。
『誠愛の家』所長を務め、監禁に近い形でホームレスを囲った上で違法行為の「仕事」をさせ、脱室者には足を切り落とすなどの拷問を加える。他人に指図されることを嫌い、たとえ兄であっても容赦なく怒鳴るが、単純なため、簡単に諭される。
物語終盤、丑嶋の金を奪い取ることに成功するが、都陰を利用した滑皮と戌亥の策に嵌り、悶主陀亞連合の総攻撃を受ける。多勢を前にしても闘争心を剥き出しにするなど凶暴性の高さを見せつけたが、結局惨敗。自作の拷問グッズで拷問を受けるという処刑動画が後に流通する。
山口美香(やまぐち みか)
山口徹(やまぐち とおる)
綺羅理光(きらりひかる)
「トレンディーくん」編
鈴木斗馬(すずき とうま)
本エピソードの債務者。アラサーのエリートサラリーマンで妻子持ち。32歳。実家は東京郊外の酒屋。
孤独を抱えており、結婚しても孤独感は癒されることはなく、毎晩のように、一人の相手に多くを求める女性に対して、より多くの異性との繋がりを求めて浮気を重ねる。出張と偽って浮気をしているため、記録を残したくはない浮気費用は「カウカウファイナンス」からの借金で賄うことが多い。
「人付き合いは悪いけれど、クライアントからの評判はいい」と会社で評されるような優秀な外面(そとづら)とは裏腹に、子供のころから無理をして私立の小学校に通わせられたことや、そのために親が負担を掛けていることを口にされ続けたこと(本人曰く「抑圧された日々の中、『宝島』と『SMスナイパー』が俺の支えだった」や、「まーまーいい大学」に入学したが、金持ちのボンボンが幅を利かせる大学で肩身が狭かったことなどの精神的抑制によって卑屈で孤独な性格が形成された。
「まーまーいい会社」に入社した後は、寂しさを埋めようと人に慣れる努力や女性との付き合い方を研究し、精神面を鍛えて今に至る。
今井万里子との浮気写真を、妻の依頼した調査員に撮られ、口止め料を請求され借金を重ねていく。娘の入院で大切なものが何かをようやく自覚するが、時既に遅く、取り返しのつかないところまで行き着き、大きく後悔する。
債務者の中では「上客」として丑嶋に評価されている人物ではあったが、結局、自分を変えるまでには至らず、そんな自分を自嘲しつつ異性との繋がりを求めて彷徨う。
鈴木君江(すずき きみえ)
鈴木虹奈(すずき にいな)
今井万里子(いまい まりこ)
藤原理絵(ふじわら りえ)
「ホストくん」「元ホストくん」編
隼人(はやと)/夢咲隼人(ゆめさき はやと)
本エピソードのキーパーソン。高田のホスト時代の同僚。現在は営業許可を取っていない違法ホストクラブの店長。オーナーの慶次を裏切り「爆弾(禁止行為)」である裏引き(店を介さず、客から直接金を要求すること)をしたため罰金として700万円を要求された上、もし逃げれば鼓舞羅の手によりコブラピンクの刑という全身蛇柄模様のタトゥーを入れられると脅される。その後、高田を頼りカウカウファイナンスに入社しようとするものの、大金を手にしたまま酒を口にしたことが原因で入社試験は不合格となり、直後に鼓舞羅に捕らえられてタトゥー刑を執行された。これで従順になったと見せかけて再び鼓舞羅を裏切り、投資詐欺によって得た三億円の強奪に成功。しかし、最後は丑嶋たちに捕まって金を奪われた。
鈴木愛華(すずき あいか)
高田がホストのころ、初めての客となった少女。15才。
厳格な父親と、それに盲従する母と優等生の姉、そして引きこもり続ける兄弟のいる家に居場所を求められず、家の金を盗んで家出をしていたところを高田と出会う。高田に好意を持ち、未成年でありながら高田が勤めるホストクラブに通い、高田を売り上げNo.1にするため数百万円以上も借金をして貢ぎ、その返済のために売春に手を染める。しかし、どれだけ貢いでも高田に無下に扱われたため、それが元でストレスが溜まってリストカットをするようになり、最期は投身自殺を遂げ、高田にとって深いトラウマを残した。
父親は厳格ではあったものの、愛華に対しては愛情を持っていたようであり、現在でも欠かさず愛華の墓参りに行っている。
慶次(よしつぐ)
秀輝(ひでき)
霧人(きりと)
鼓舞羅(こぶら)
「ニューロマンサー」のケツ持ちをしている愚連隊の総長。丑嶋の車がひき殺そうと至近距離で直進してきても、ジャンプして飛び越えるほどの高い身体能力を持つ。非常に自己中心的でサディストな性格であり、逃げた新人ホストや裏引きしたホストに対して、戦隊ヒーローに見立てた「珍獣戦隊コブレンジャー」という全身蛇柄模様のタトゥーの刑にするなど極めて凶悪。
隼人や慶次と共に投資詐欺を行い、カウカウファイナンスの社員から多額の金を騙しとるものの、柄崎の策略に引っかかって熊倉を殴打してしまい、滑皮とその配下たちに銃を向けられる。自身も銃で応戦しようとするも、秀輝が事前に銃に細工をしていたために弾が出ず、そのまま滑皮に銃殺された。しかし、この出来事は、後の猪背組における内部抗争の遠因となる。
晴子(はるこ)
ピース尖閣(せんかく)
「生活保護くん」編
佐古 彰(さこ あきら)
本エピソードの債務者。都内のアパートに住む29歳の無職の青年。少年時代のストレスと、社会人になってからの超過労働が原因で過敏性腸症候群になり、緊張するとたびたび脱糞する。新しく職に就いても病が原因で長続きしないため、家賃や電気代も払えないほどの貧困に陥る。本来は他人想いの誠実な好青年であったが、失職後は食べて寝て自慰するだけという無為な日々を送っている。生活保護を申請するも却下されるが、ネット掲示板で「NPO法人 貧困ネットワーク ふれあい」の存在を知り、主催者の嘉瀬の協力によって再度申請したところ、生活保護を受給できるようになる。
頑固な父との不仲や優秀な兄への劣等感を引きずっており、実家の家族とは関わりを避けている。外の人間関係においてもうまく立ち回ることが出来ず「幼稚園でも小学校でも友達は1人も出来なかった」「修学旅行ではクズの集まりの班だった」と述懐している。
ある日、唯一のリアル友達であるよっしーに無為な生活ぶりを詰られて関係が悪くなり、自分も何か社会に貢献しようと、SNSで犯罪自慢を行うアカウントの個人情報を特定する「DQNバスター」を名乗る。犯罪自慢をした剛田の自宅の写真をネットにアップロードして称賛されることに喜びを感じるが、逆に剛田に自宅を突き止められ、自らの糞を食べさせられるなど散々な目に遭って殺されかけたことで「どんな相手であっても、人の人生を左右する行為は自分も背負わなければならない」と反省し、ネットに実名と素顔を公表してDQNバスターを辞めることを決意する。
めしあについていく形で訪れた新潟の田舎町での老人たちとの交流を切っ掛けに本来の優しさを徐々に取り戻し始め、意を決して家族に会いに行こうとした矢先に父の死を知らされる。しかし、葬式において父親が本当は自分を気にかけていたことを兄から伝えられ、さらに嫌いだったはずの兄がその場に現れた丑嶋たちに自分の借金の利子を完済させる計らいを目の当たりにし、今までの自分を悔い涙を流した。家族との和解後は真剣に生きることや働くことを本格的に意識し始め、最終的には自ら立ち上げたビジネスでよっしーに借金を返済できるまでに成長した。
めしあ
ぬ〜べ〜
よっしー
希々空(ののあ)
藤代 彩花(ふじしろ あやか)
三橋(みはし)
卑弥子(ひみこ)
丸井(まるい)
剛田 照己(ごうだ てるき)
「洗脳くん」編
神堂大道(しんどう だいどう)
本エピソードのキーパーソン。「神堂大道」は偽名。過去には「天見」と名乗っていたが、それも本名か偽名なのかは不明。ある日、まゆみと遭遇した謎の男。愛想が良く、紳士的にまゆみに近付き上原家の家庭トラブルを解決していった。まゆみとの結婚を前提に交際を始めるが、交際が進むにつれて凶悪なDV男の一面を見せていき、まゆみの社会的信用を落とすようなDV行為を働くようになる。
拷問とマインドコントロールによって、資産家である上原家の人々を自身の支配下に置き、その資産を譲渡させようと画策していた(神堂は「上原家全財産没収計画」と呼んでいた)。
計画は順調に進んでいたが、計画の最終段階である不動産売却が難航し、焦れた神堂は上原重則を追い詰めるためにさらに苛烈な拷問を行うが、その結果、上原重則は死亡してしまう。
上原重則の死亡により「上原家全財産没収計画」は頓挫し、神堂は残った上原家の人々の始末と逃亡を計画する。
しかし、柏木羊山の介入と、それをきっかけに起きた上原和子とみゆきの狂気をはらんだ暴走、まゆみの妊娠、資金調達のために選んだ闇金がカウカウファイナンスだったなど、予定外の事態が重なり、最終的にはウシジマによってリンチされた上に、詐欺で得た現金と車を全て奪われる。
その後、過去の詐欺と松田家、上原家の人々に対する所業が明るみに出て逮捕される。裁判では死刑判決が下り、被告人の中ではただ一人だけ上告した。「悪役総選挙」ては3位。
上原まゆみ(うえはら まゆみ)
本エピソードの債務者。ライフスタイル誌「ノマド」の編集記者。28歳。独身。趣味はパワースポット巡り。占い師の勅使川原を慕っており、何かと彼女に相談し、依存している。
以前より交際している恋人の「ハシ」がいるものの、結婚まで踏みきれずにいる。ある日、雹が降った際に、突如現れた神堂から傘をもらったことがはじまりで、その後も(神堂が装った偶然で)カフェやジョギングでの遭遇がきっかけでハシと別れ、神堂と結婚を前提とした交際を始める。
最初は優しかったが、次第に本性を現しDVを行うようになった神堂から逃れようとするも、松田明日香に死体遺棄を手伝わされて、さらには家族まで巻き込んだことによって本格的に逃れられなくなり洗脳されていた。
神堂の命令で、堕胎費用の名目でウシジマから金を借りようとした際、その証明として妊娠検査薬を使用したところ本当に陽性反応が出てしまい、そのころから徐々に洗脳が解けはじめ、最終的には神堂の支配から脱却することに成功する。
裁判では死体遺棄と損壊で起訴されたが、洗脳による心神耗弱が認められ懲役6年の判決を受け、獄中で神堂との子を出産した(子供は施設に預けている)。
その後、編集記者時代の元上司である林を身元引受人として仮釈放され、ビル清掃の仕事をして生計を立てている。
上原みゆき(うえはら みゆき)
まゆみの妹。公務員の旦那カズヤがいる。ガールズバーで働いており、カズヤとはそこで出会った。姉とは仲がいいが、大卒で親戚に期待されている姉と比べて自分は駄目だというコンプレックス、将来うまくやっていけるかわからないという不安があり、そこを神堂に付け込まれる。
神堂の勧めでスナックの老婆の店主が副業として経営する違法デリヘルで働くことになり、そこでウシジマに出会い債務者となった。
部屋に乗り込もうとした柏木を和子と共に殺害し、その後、乗り込んできたウシジマも同様に襲撃しようとするも、ウシジマを助けにきた柄崎や加納らに取り押さえられている。
裁判では心神耗弱は認められたものの、柏木の殺人罪が追加され、懲役28年の判決を受ける。
上原重則(うえはら しげのり)
上原和子(うえはら かずこ)
まゆみとみゆきの母。ごく平凡な主婦だが、夫との性的関係に全くと言っていいほど満たされていない。それを見抜いた神堂になし崩し的に肉体関係を持たされ、家族に内緒で不倫関係を続けていた。
重則がスケープゴートにされた後は神堂との性交にのめり込んでいき、彼の気を引くためなら娘たちに暴力を振るうことすら厭わない狂信者に成り果てる。神堂に貢ぐ金を一円も稼げていないことを娘のみゆきから蔑まれ、その報復に路上でみゆきを襲って捨てる予定だった人肉団子のカバンを奪うことで彼女の立場を無くそうと画策するが、すぐに神堂に見破られ、彼に誘導されたみゆきによって顔にスピリタスをかけられ火をつけられ大やけどを負い、その後は頭巾をかぶって顔を隠していた。
神堂に、自分に火をつけたのはまゆみと吹き込まれて彼女を襲い、それを止めたウシジマを襲うが、みゆき同様あえなく取り押さえられている。
裁判ではみゆきと共に懲役28年の判決を受ける。
カズヤ
みゆきの夫。婿養子。公務員。
見た目通りの体育会系で物事を深く考える能力に欠け、上の立場の存在に弱い。大麻を「ガンジャ」と呼んで吸っていたりと素行にも問題がある。
学生時代にはラグビー部の主将で、シゴキを率先して行っていた。そのため神堂の支配下において上原家のリーダーとして傍若無人に振る舞うが、拷問中に加減を誤って重則を殺害し、そのことについて神堂に焚きつけられた和子とまゆみによって食事にタリウムを盛られて衰弱し、部屋の片隅に作られたダンボールハウスに押し込まれていた。
殴られても反応しなくなるなど、白痴化して証言能力を失ったと思われていたが、実は自らの血でハウスの中に毎日の拷問を記録しており、それが神堂逮捕の決め手となった。
勅使川原(てしがわら)
松田明日香(まつだ あすか)
柏木羊山(かしわぎ ようざん)
延川・辻下(のべかわ・つじもと)
大阪府警捜査一課の刑事コンビ(延川が上司)。神堂が絡んだ詐欺事件を捜査中、参考人たちが主犯の社長よりも従犯とみなされていた神堂(当時は天見と名乗っていた)に反応していたことに疑問を持ち、かつて神堂が根城にしていた部屋を捜索し、電源タップや大量のペットボトルの水と粉ミルク缶などの遺留品を発見。そこから、この事件は単なる詐欺事件だけではないとの確信を強めて捜査を続け、最終的に東京に潜伏していた神堂にたどり着き、彼を殺人容疑で逮捕した。
作中でも述べられているが、詐欺事件は捜査二課の担当であり、捜査一課の刑事が直接担当することは本来ならばありえない(神堂に殺人や傷害の容疑がかかっていればその限りではない)。
ハシ
林
岸田可奈子
「中年会社員くん」編
加茂(かも)
曽我部正行(そかべ まさゆき)
瑠璃(るり)
雅花蓮(みやび かれん)
花丸(はなまる)
「フリーエージェントくん」編
村上仁(むらかみ じん)
本エピソードの債務者。「ヤンキーくん」編に登場したマサルの地元仲間。左目の下にホクロが特徴。丑嶋と同い年の兄がいる。
時給900円の人材派遣の肉体労働で生計を立てる生活に嫌気が差していたところ、ネットビジネス講習「天生塾」の広告を見かけ、ウサン臭いと思いながらも無料の初回セミナーに足を運ぶ。セミナーの内容に感銘を受け、そこで出会った清栄真実に背中を押されるまま天生塾に入塾する。その際、入塾料調達のため、両親とマサルに計100万円の借金を背負うことになる。それ以降も優良顧客のメールアドレスなどを購入するため、親の預金通帳を盗み、多額の金を引き出したりなどしている。
地元のヤンキー仲間を「清栄メソッド」を使って商売利用し、さらに自身で立ち上げた「村上メソッド」を成功させて多くの人間から金を騙し取るも、収入の無かったヤンキーたちに拉致され、過去のマサル同様に危機的状況に陥る。一命を取り留めた後、これを機にネットビジネス業界から足を洗う。
その後、家族に金を返済して和解し、人材派遣の仕事に戻るが、かつて騙した被害者が自分の引退後も困窮しているのを知って悔悟し、村上メソッドを人の役に立つ形でもう一度試すという決意をする。自然豊かな地方に安価なレンタルオフィスを建て、メソッドを応用して無職の若者を集めるという地域おこしを進める。
天生翔(てんじょう かける)
たった9ヶ月で月収一億円を突破したネットビジネス業界の風雲児。村上、清栄の師匠筋にあたる人物。
その実態は単なるネズミ講に過ぎないが、メソッドと称した情報商材を引き換えにすることで合法的なマルチ商法だという体裁を保っている。更に、羽振りのいいフリをすることで「このやり方は儲かる」という説得力を生み出し、儲けたいが商才はないという多くの情報弱者を騙していた。
若いころは不良上がりのホームレスであり、恋人が敵対していた暴走族に目の前で輪姦されてから、他人の恋人とセックスして当の本人に見せつけるという歪んだ性的嗜好を持つ。その嗜好が仇となって苅部達の策略に物の見事にかかり、一時は仁とともに生命が危ぶまれる状況に陥った。自身の引退と仁の手助けにより一命を取り留めるも、丑嶋と樺谷の偽の投資話に合意したため全財産を失うこととなる。
後にホームレスとなって少々自虐ネタ的な形で引き続きネットビジネスを行っている様子が伺える。
清栄真実(きよさか まこと)
しんこch(しんこちゃん)
竹山耕太(たけやま こうた)
麻生りな(あそう-)
苅部(かりべ)
「ヤンキーくん」編に登場した、迷彩服を着た少年の内の一人で、マサルと仁の地元の後輩。父子家庭。通称「苅べー」。
かつての愛沢を彷彿させるプリン風のリーゼントヘア、楕円型の縁なし眼鏡、口元に蓄えたちょび髭と抜けた歯が特徴。
見た目通りの短絡的な性格だが、情報商材を売る際に仁の根本的な営業思想を見抜き、その手口を真似て効率よく商材を売り付けたり、障害者年金の受給方法を不良仲間に広めたりと、他の不良仲間に比べて商才はある模様。
仁からネットビジネスの話を聞き、マサルからその資本金をローンとして借金する。その後は仁から情報商材を購入し、自身も「苅べー激アツメソッド」なる商材を売りさばいて大金を稼ぐことに成功。しかし散財を繰り返したために借金は減らず、恐喝まがいの手法を取っていたために警察からも出頭命令が下された。
返済金と示談金を捻出するために仲間を連れて仁に襲い掛かり、そのまま仁の入れ知恵で天生への美人局を敢行。一旦は三千万円を奪うことに成功する。これに慢心し、マサルから借金を踏み倒すばかりか貯金を強奪しようとするが、彼と護衛の獏木たちに仲間共々返り討ちに遭い、ニッパーでアキレス腱を切断され、山奥に放置された。
その後は仁のレクチャーによって障害者年金を受け取れるようになり、車いす生活を余儀なくされながらも仲間と幸せそうに過ごしていた。
「逃亡者くん」編では松葉杖を付いて歩けるようになった。カウカウファイナンスに雇われており、不在のウシジマに代わり闇金の取り立てをしていたが、債務者から完全に舐められた挙句罵られる有様だった。その後「ウシジマくん」編において、ウシジマの帰国を前にカウカウファイナンスを退職したことが語られている。
モエコ
ヤンキー仲間(仮称)
「復讐くん」編
井森(いもり)
「ヤクザくん」編
猪背権蔵(いのせ ごんぞう)
鹿島(かしま)
豹堂(ひょうどう)
猪背組本部長で、鹿島の弟分。「ウシジマくん」編におけるキーパーソンの1人。
初登場の「ヤクザくん」編では、鹿島の行方不明を機に鳩山に本部に呼び出されるシーンのみの登場であった。
「ウシジマくん」編では前述の通りキーパーソンとして暗躍する。鹿島と熊倉の二人が亡くなった猪背組で、鳩山と猪背から後継者候補として名前は挙がるものの、「華が無い」という理由からヤクザとしての実力をあまり評価されておらず、滑皮と競わせられている。豹堂自身は滑皮のことを「ヤクザの仁義も知らない、金儲けしか能のないガキ」と評しており、鹿島の失踪の件をネタに追い落とそうと画策している。「不安が原動力」という持論を持っており、物事を実行に移す際にはあえて不安感を煽る見た目の物を凝視するという習慣をつけている。
滑皮の情報を知るために運転係の若い舎弟と共に戌亥を拷問し、滑皮が丑嶋を使って自身を殺そうとしていたことを吐かせ、逆に丑嶋を使って滑皮の殺害を企てる。その後、戌亥も始末しようとするが、車に乗り込んだ直後、滑皮が雇った外国人の殺し屋2人組に急襲され車内で弟分もろとも銃殺される。死体は丑嶋に罪を擦りつけるための証拠作りとして残された。
梶尾(かじお)
猪背組部屋住み→滑皮組幹部。滑皮の弟分。鳶田とは兄弟分。刈り上げたパンチパーマが特徴。
鳶田にスナックで因縁をつけさせて助けたふりをし、その後、自らが水が不味いと因縁をつけミネラルウォーターを高値で売りつけるなどの恐喝行為を働いていた。
飯匙倩組との抗争で車を動かし、仲間を襲っていた井森を跳ね飛ばす。
「ウシジマくん」編では鳶田と共に滑皮組の忠実な幹部となっている。中学時代に父親を肝臓の病気で無くし、父の死後に自身と弟を女手一つで育てた母親も2年前(時期的に「ヤクザくん」編に相当する)に亡くなったことを涙ながらに滑皮に漏らしていた。
最終的に滑皮を追い落とそうとする豹堂、巳池と、滑皮に恨みを持つ竹腹の共謀により拷問され、滑皮とともに鹿島を殺害したことを自白。その音声を録音された後、銃殺される。
過去編にも登場しており、この時は本編時よりも太っていた。当時は獅子谷の下でシシックで働いており(丑嶋たちとは別の支店)、滑皮にシシックの内情を流していた。
鳶田(とびた)
猪背組部屋住み→滑皮組幹部。滑皮の弟分。梶尾とは兄弟分。スキンヘッドに髭面が特徴。
梶尾と共謀して、スナックに因縁をつける半グレを演じて梶尾の要求を受け入れやすくした。梶尾より年下か後輩かは不明だが、彼には敬語を使う場面が多い。
飯匙倩組との抗争で獏木に頭を撃たれ瀕死の重傷を負うものの、弾丸が頭皮と頭蓋骨の間を一周して脳に達せず、奇跡的に一命を取り留める。彼の治療は滑皮の知り合いである闇医者によって行われた。
「ウシジマくん編」では梶尾と共に滑皮組の忠実な幹部になり、梶尾に対しては対等な口調で接するシーンが見られるようになった。頭部には獏木に撃たれた際の傷口の縫い痕が残っている。梶尾が殺された後も滑皮の片腕となって彼を支えるが、終盤に滑皮と共に丑嶋を追い詰めた際に丑嶋たちの策に嵌められ、滑皮が雇った外国人の殺し屋が仕掛けた毒入りのペットボトルの水を飲んでしまい、泡を吹いて倒れる。その後、病院に運ばれたものの生死は不明。
過去編にも登場しており、当時から滑皮や梶尾と懇意だった。この時はセミロングの髪型をしており、シャブ漬けにして手懐けた愛人を多数囲い、その女性たちを風俗に売り飛ばして売り上げを貢がせるシノギをしていた。
最上(もがみ)
亀田(かめだ)
鴨川(かもがわ)
亀田の悪友で、獏木と最上の後輩。亀田同様にコンビニの前で威張り散らすような小物だが、彼よりは冷静な性格。
肉蝮にまつわる危険な噂を耳にしていることから彼を恐れており、肉蝮相手に最上を差し向けようとする亀田を静止しつつ、亀田共々肉蝮にゲームセンターに連れて行かれる。
交流の深い獏木が肉蝮に復讐心を抱いていたことを知っていたため、隙を見て獏木に連絡を入れる。これを肉蝮に気づかれてしまうが、その後の安否は不明。
ちなみに鴨川が作中で語っていた「いざこざで殺したヤクザ者を刺青から身元がバレないよう全身の皮膚を剥がして山に捨てた」という肉蝮の噂は、スピンオフである『闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説』において事実であったことが判明している。
久米原源太(くめはら げんた)
「逃亡者くん」編
金城忍(きんじょう しのぶ)
沖縄に逃亡したマサルの引き受け人になった闇金グループの社長。
内地の闇金とは勝手が違い、客を潰さず殺さずのやり方で貸付を行っており、あくまでも互助の精神(ゆいまーる)に乗っ取っている。部下が金を着服した時も、その部下にヤキを入れて給料から返済させることで許している。
過去に仕事への倦怠感から、100万円が入った職場の先輩のカバンを盗んで、その金でキャバクラで放蕩したが、最終的にヤクザの型にはめられ倍の借金を背負わされた。だが自らの過ちと、現実から逃げたくない覚悟から、もう一度、闇金に戻り、一日に28人回す苦役を見事果たして借金を完済した。被害者である先輩は、この激務に舌を巻いたのか仲違いも治った模様。曰く「自分が蒔いた種だが苦労したから今の自分がある」とのこと。
仲間(なかま)
高良のどか(たから のどか)
高良栄子(たから えいこ)
新城賢一(しんじょう けんいち)
島袋(しまぶくろ)
安里(あさと)
「ウシジマくん」編
菊池 千代(きくち ちよ)
本エピソードの債務者。丑嶋が闇金業を始めた頃からの客で、社員たちとも顔見知りの間柄。2人の子供がいるが、夫は居ない模様。
カウカウファイナンスを完全に軽く見ており、借金返済の意思はまるで見られない。辰也の給食費を払うことさえままならず、文香にも高校中退を余儀なくさせたために家出され、借金返済を手伝わせる結果を招いている。それにもかかわらず、文香を返済の当てにして自身はヒモ男に依存し、ヒモ男からの麻薬代の無心を易々と引き受け、その無心された金をもさらなる借金で凌ごうとする有様である。
鳶田と内通しており、丑嶋を騙して鳶田と鉢合わせさせ、丑嶋の帰国が滑皮に知られるきっかけを作った。それにより丑嶋からの信用を失い、それまで「10日1割」であった利息を「10日5割」にされてしまった。その後、借金は文香が全て肩代わりすることとなる。
過去編にも子供二人と共に登場しており、当時シシックの社員であった丑嶋に借金を取り立てられていた。
菊池 文香(きくち ふみか)
本エピソードのキーパーソンの一人。千代の娘。17才。元々は成績優秀で家族想いな女子高生であったが、母親の借金により高校中退せざるを得なくなったため、家出していた。現在は母親の借金返済のために未成年ながら丑嶋が裏オーナーを務める風俗で働き、同僚の多栄子の部屋で居候しながら生活している。
良心的な性格の持ち主だが、裏を返せばお人好しとも言え、実際に周囲の身勝手な人物たちから利用されてしまうことが少なくなく、本人もそれを自覚している。それでも「自分は今のままでいい」と語るなど多くを望まない思想を語るが、内心では大学受験を目指す同年代の女子高生を羨ましく思っている。
最終話で丑嶋への返済期日に金銭トラブルで多栄子と争った際、辰也の襲撃に遭って殺されかけるが、直後に取り立てに来た丑嶋に庇われて助かる。辰也が去った後、丑嶋を心配しつつも多栄子から奪い返した金を返済に充てがうが、丑嶋からはその返済分で完済扱いという優遇処置を受けることとなった。
菊池 辰也(きくち たつや)
本エピソードのキーパーソンの一人。千代の息子で中学生。母親の給食費未払いが原因で学校ではいじめを受けているが、唯一の理解者である姉が家出中であり、友人もいないため誰にも相談できず深い孤独を抱えている。
姉を慕う気持ちが高じて半ばストーカーと化していたが、その結果、姉が風俗で働いていることを知り大きく落胆する。
いじめの主犯である仲山に対してキャストアプリで殺人予告を行うが、逆に仲山から住所や家族の素性を晒されて拡散された挙句に「姉を買ってヤリまくる」と言われるなどのさらなる嫌がらせを受ける。
何をやっても好転しない自身の人生と、理不尽な世の中に絶望するがあまりに完全に自暴自棄と化し「自ら死刑になる」という発想の元、文香を殺すことを公言した内容をキャストアプリで配信する。ナイフを手に文香の居候先に乗り込み、その場に居合わせた丑嶋の忠告にも聞く耳を持たず文香に襲いかかるが、ナイフは文香をかばった丑嶋に命中する。しかし文香に再度手をかけようとすることはなく、高笑いしてどこかへと走り去って行った。その後の動向は不明。
過去編にも幼少期の姿で登場。鳩を殺害する残忍な一面を見せていた。
多栄子(たえこ)
仲山 快斗(なかやま かいと)
紗里奈(さりな)
吉澤 敬純(よしざわ たかずみ)
通称「よっちゃん」。竹本の大学時代の先輩で、鉄也や滑皮と同じ地元の出身。実家はラーメン店で、家族には両親と妹がいる。
かつては竹本が父親から継いだ洋服ブランド「サンバービィ」に専務として務めていた。しかし、調子に乗って西麻布で女遊びにハマったことが引き金となり、鉄也に弱みを握られ1億円を恐喝される身となる。これを解決するため地元のヤクザである熊倉に泣きつくが、謝礼として恐喝と同額の1億円を要求された上、鉄也の殺害を教唆したことにされるなど、事態はますます悪化。結局は竹本共々、社長交代と同時にサンバービィを解雇され、しかも熊倉の魔手からは開放されないという結末を迎えた。
本編の登場時では、友人の新木と共に通販サイト「バディムービン」を立ち上げて成功を収めていたが、黒河内の策略に乗せられる形で会社を乗っ取られた。
獅子谷 鉄也(ししや てつや)
本エピソードのキーパーソンの1人。本編開始時には死亡しているため、回想シーンのみの登場。闇金グループ「シシック」の初代社長。悶主陀亞連合の初代総長であり、滑皮と畑山の先輩筋にあたる。
滑皮と飯匙倩の中間にあたる世代。弟に比べてやや小柄な体格だが、その肉体は鍛え上げられている。
部下たちを恐怖政治で服従させ、拷問や制裁など他者を嬉々として加虐し、苦しみ悶える姿を見ることを趣味としている。その中でも耳削ぎを特に好み、敵対者や裏切り者は勿論のこと、丑嶋を半ば強制的にシシックへ入社させる際に「入社試験」として柄崎の耳を切り落とすように迫ったり、営業成績の悪い部下に対しても耳を削ぎ落し、その切り落とした耳を焼肉にして無理矢理食べさせるという情け容赦のない制裁を与える。加えて、自身の権威を見せつけるために、これまで削ぎ落としてきた耳をジャーキーにして数珠状に繋げた自作のネックレスを首から常時ぶら下げるなど、作中でも屈指の残虐性を誇る。一方、弟や出来のよい部下に対しては気さくな一面も見せる。
海老名と鯖野による売上金強奪事件を契機に暴走し、当事者である2人を殺害後、海老名の分け前である3億円の在り処を丑嶋ら3人が知っていると彼らを付け狙い、執拗なまでの暴行を加え続ける。最終的に逃亡した丑嶋たちをなおも執拗に追撃し、その過程で2人の部下が犠牲になるも、それすらも意に介さずにカーチェイスを繰り広げ、その最中に手足を骨折する。態勢を立て直すべく、一度シシックの本社に戻って幹部たちに指示を出すが、報復のためには部下すらもぞんざいに扱う獅子谷のやり方についていけなくなった椚ら幹部たちに反旗を翻される。前述の通り、骨折していたために抵抗する術が無く、観念したように「地獄で待っている」と捨て台詞を残し、5人がかりで撲殺される因果応報の最期を迎えた。死体は椚によって熊倉と滑皮に引き渡された後、グラップルで纏めて切り刻まれ、ゴミ収集車に投げ込まれた。
獅子谷 甲児(ししや こうじ)
本エピソードのキーパーソンの1人。鉄也の実弟。ボクシングのインターハイに出場し、地下格闘技の世界で優勝経験がある実力者。
丑嶋よりも少し下の世代。兄以上に筋骨隆々の巨漢。現在は表向きには兄から引き継いだ地下格闘技団体「獅子谷道場」とその所属選手を社員にした警備会社を営む傍ら、裏では兄亡き後の「シシック」を率いて、振り込め詐欺や覚醒剤密売、時に強盗をして裏社会で暗躍し、膨大な富を得ている。敵対者や裏切り者に対しては耳削ぎなど鉄也と同様の残虐ぶりを見せる一方で、自身を慕う部下たちに対しては優劣関係なく寛大かつ平等に扱い、君づけで呼ばせたり自身に対する軽口や皮肉すら許している。滑皮と揉めていたが、結局は傘下に取り込まれる。
幼少期、傍若無人な性格の父親の虐待からいつも守ってもらっていた経緯から鉄也のことを強く慕っており、兄を裏切り殺害した幹部5人に報復を行い4人を殺害、主犯格である椚を廃人状態にした。また、丑嶋と柄崎も鉄也の死の原因を作ったとして付け狙っていた。
本妻以外にも多数の愛人を囲っており、生まれてきた子供には全員「鉄也(男子の場合)」「徹子(女子の場合)」と、兄に由来した名前をつけている。
潜舵の提案した強盗計画に乗じて丑嶋の殺害も企て、強盗メンバーに丑嶋を加入させキャバクラオーナーの篠田の家を襲撃する。強盗計画は失敗に終わるも、廃墟跡で篠田を口封じした直後に騙し討ちで丑嶋を昏倒させた後、彼を屈服させる。そして殺す前に拷問によって丑嶋に隠し金の在処を吐かせたが、実はそれは獅子谷を油断させ、圧力鍋爆弾へ誘導させるための丑嶋の罠であった。結局、椚によって丑嶋の持つスマホの音声入力アプリで爆弾が発動。直前に着信音でダンボールを開けていた本人は至近距離にいたために下半身を吹き飛ばされる致命傷を負う。直後に自分が嵌められたことを悟ると、丑嶋への呪詛の悪罵を上げながら絶命。後に辛うじて生きていた潜舵によって死体はバラバラにされ、ゴミ袋に詰められ遺棄された。彼の死後、残った「シシック」および「獅子谷道場」は滑皮によって吸収される。「悪役総選挙」では1位。
海老名 誠(えびな まこと)
本編開始時には死亡しているため、回想シーンのみの登場。「シシック」の元支店長の1人。
駆け出し時代の丑嶋、柄崎、加納らの直属の上司。ロリコンの気があり、特に女子中高生が好き。
成績最下位の制裁として、柄崎の目の前で獅子谷に右耳を切り落とされる。後に丑嶋の売上金に目を付け鯖野と共謀して現金を奪い、丑嶋に罪をなすりつけようとするも発覚し、丑嶋と共に拷問される。その後、獅子谷に左手を切断され出血多量で死亡した。
返済が滞る債務者に対しては、自宅のドアに落書きをしたり、家族の職場に複数回電話したりといった悪質な手段を取るものの、闇金業者としては豊富なノウハウを持っており、駆け出しだった柄崎、加納に的確な指示を出し、死亡する直前には丑嶋からも感謝の言葉を告げられている。
鯖野(さばの)
椚(くぬぎ)
「シシック」の元幹部。
親友の畑崎を含めた幹部仲間4人を死に追いやった獅子谷鉄也に対して反旗を翻し、彼の殺害を主導する。
鉄也殺害後、甲児の手により「特別コース」と称した最も凄惨な報復を受け、両腕と両耳をもぎ取られて歯も全部叩き折られた末、母親と姉を目の前で輪姦されたことにより、精神崩壊を起こして廃人同然と化す。以後、甲児によってペット同然の扱いを受け、家族もシシックの監視下に置かれた。
擦り切れたジャージに外でも裸足で歩かされ、もぎ取られた耳にはヘッドホン、歯のない口にはマスクをはめさせられ、「自殺したら家族を更に虐待する」という脅しのため死ぬことすら許されず、禿げ上がった異様な外見となっている。排泄後の処理すら碌に出来ない身体のためにオムツの着用を余儀なくされ、排便の意思を示した際には椚の家族か甲児の部下が付き添う。
周囲からは精神崩壊を起こして白痴化したと思われていたが、実際は理性が残っており、丑嶋からの甲児を裏切れという誘いに同意。丑嶋の企みによって甲児が圧力鍋爆弾の前に誘導された際、叫び声によって丑嶋のスマホの音声入力アプリを起動、甲児を爆殺することに成功する(丑嶋の力添えとはいえ、結果的に獅子谷兄弟を二人とも殺害している)。自身も爆発に巻き込まれ金属片が顔中に刺さり、ジャージに火が燃え移りながらも、復讐成功に喜ぶ笑みを浮かべながら息絶えた。甲児同様、死体は潜舵に解体されてゴミ袋に詰められ、滑皮の元に引き渡された。
畑崎(はたさき)
黒石(くろいし)
潜舵(せんだ)
獅子谷道場の選手。現「シシック」の幹部でもあり、甲児の側近的存在。眼鏡と帽子をしておりラッパー風の服装が特徴。
以前から揉めていたキャバクラオーナーの篠田を暴行し店内を滅茶苦茶に荒らすなど凶暴性は高いが、思慮が浅く小心な本質を持つ。甲児に対して「獅子谷君」と呼び、比較的余裕のある口調で話す。
篠田の店に潜入させたキャバ嬢の美咲を情報屋として使っていたが、豹堂のスパイであった彼女の策略に嵌められた事により甲児や丑嶋らを巻き込む形で警察に追われる格好となり、シシックを危機に陥れる事となってしまう。
その後、警察から逃げ切った後に甲児や金髪の男と共に篠田を口封じに始末し、丑嶋を昏倒させて拷問を加える。しかし丑嶋の仕掛けた圧力鍋爆弾で甲児、金髪の男、椚共々吹き飛ばされ、ただ一人爆発から生還するも火傷を負う。それでもなお手負いの丑嶋に襲いかかるが、間一髪で現れた柄崎に成敗される。
形成が不利になったことで、産まれたばかりの娘の存在を語ることで丑嶋に命乞いをし、もう一個の圧力鍋爆弾を背負わされた状態で仲間の死体の処理を行わされた後、丑嶋に見逃す条件を提示される。それを反故にして裏切り行為を働くが、それらを見越した丑嶋の細工で全て筒抜けであり、最終的に自身のナイフで丑嶋に殺害され、死体も他の3人同様に解体処理される末路を迎えた。
金髪(仮称)
篠田(しのだ)
キャバクラのオーナー。荒野行動が趣味で、響子という女性と同居している(夫婦か同棲しているだけかは不明)。脱税をして大金を溜め込んでいるという噂があるが、その金に目をつけた甲児に恐喝されており、頼みとするヤクザも裏で甲児と共謀しているという八方塞がりの状況にある。頑固に甲児への服従を拒み続けた結果、潜舵に叩きのめされて店を荒らされ、マンションにまで押し込み強盗をかけられ、響子共々拘束される。結果的に脱税の噂は偽情報であったものの、押し込み犯を声で潜舵だと看破したことが仇となり、口封じのために絞殺された。なお、響子の方は「目隠し状態で(ヘッドホンを付けられて)爆音で音楽を聴かされている(なので会話は聞こえていない)」という理由で解放される事になった。
竹腹(たけはら)
巳池(みいけ)
豹堂の舎弟。
後述の経緯から滑皮との間に個人的な因縁を持ち、後輩である彼が出世して幅を利かせていることを不満に思っている。その一方で自身は未だにホストから金を徴収する程度の地回りをしており、現在では滑皮やその舎弟から見下されている。既婚者で、妻はネイルサロンを経営している。
豹堂の命で戌亥を脅迫して手駒にした他、その後もシシックにスパイを送り込んだり、鹿島殺害を自白させるため竹腹と共謀して梶尾を拷問して殺害するなど暗躍する。しかし、単独行動中にシシック出身の滑皮の舎弟たちに見つかり盗難車で轢かれて重傷を負わされ、滑皮の元に身柄を引き渡される。そして梶尾殺害の報復として電動のこぎりによる凄惨な拷問の末、最終的に自白するも殺害され、死体も舎弟の働く工事現場の下水に流された。
過去編にも名前は出ていないが登場。当時は新入りの部屋住みであった滑皮に威張り散らし、嫌がらせをする様子が描かれている。
美咲(みさき)
チュウボウ
プロ
用語
カウカウファイナンス
基本的に一律10日5割(トゴ)で融資するほか、パチンコ中毒者たちの場合は1日3割(ヒサン)だったり、店のツケや他の同業者の回収代行業を行っている。
普段は名簿屋から禁治産者(現:成年被後見人)や多重債務者の名簿を買い、手当たり次第にダイレクトメールを送り付けている。DMでは即日融資や合法的な金利を謳うが、それらはすべて嘘で初見の相手には何かしら理由をつけ、5万円しか貸さない。
返済が滞れば債務者は客から「奴隷くん」に転落し、タコ部屋労働や風俗店に売り飛ばされたり、他の「奴隷くん」から取り立てるための手駒にされるなどの運命が待つ。
若琥会(にゃこかい)
猪背組(いのせぐみ)
悶主咤亞連合(もんすたあれんごう)
シシック
柄崎と加納は当時の店長・海老名の元で働いており、少年院を退院した丑嶋を誘い入社させ、そこで金融のノウハウを学んでいく。鉄也のやり方に不満を持ち、丑嶋らを妬んだ海老名が同じく鉄也に不満を持つ鯖野と手を組み、強盗しその罪を丑嶋に被せることを計画する。
強盗事件を契機に獅子谷鉄也が暴走したことで幹部らの離反を招き殺害される。その事件を切っ掛けに独立して、丑嶋らカウカウファイナンスを設立した。シシックは弟の甲児が継ぎ、表向きは地下格闘技の選手を使った警備会社、裏として詐欺や強盗など半グレ集団として活動している。
藪蛇組(やぶへびぐみ)
絶対に逆らってはいけない3人
取材協力者
「END」と書かれている最終ページの下には、作者が物語の制作のため取材してきた人物たちが記名されている。以下に「取材協力」の文字の下に書かれている人物の名前を表記した。
- 島田文昭(全巻の取材協力をしている)
- 夏原武(島田同様、全巻の取材協力をしている)
- 松永達也(33巻から取材協力をしている)
書誌情報
- 真鍋昌平 『闇金ウシジマくん』 小学館〈ビッグコミックス〉、全46巻
- 2004年7月30日発売、ISBN 4-09-187341-3
- 2005年7月29日発売、ISBN 4-09-187342-1
- 2005年10月28日発売、ISBN 4-09-187343-X
- 2006年3月30日発売、ISBN 4-09-180214-1
- 2006年8月30日発売、ISBN 4-09-180648-1
- 2006年10月30日発売、ISBN 4-09-180788-7
- 2007年1月30日発売、ISBN 978-4-09-181060-1
- 2007年5月30日発売、ISBN 978-4-09-181209-4
- 2007年8月30日発売、ISBN 978-4-09-181386-2
- 2008年1月30日発売、ISBN 978-4-09-181709-9
- 2008年4月26日発売、ISBN 978-4-09-181857-7
- 2008年7月30日発売、ISBN 978-4-09-182095-2
- 2008年11月28日発売、ISBN 978-4-09-182216-1
- 2009年3月30日発売、ISBN 978-4-09-182387-8
- 2009年6月30日発売、ISBN 978-4-09-182499-8
- 2009年9月30日発売、ISBN 978-4-09-182604-6
- 2010年1月29日発売、ISBN 978-4-09-182889-7
- 2010年5月28日発売、ISBN 978-4-09-183190-3
- 2010年9月30日発売、ISBN 978-4-09-183399-0
- 2010年11月30日発売、ISBN 978-4-09-183517-8
- 2011年4月28日発売、ISBN 978-4-09-183794-3
- 2011年8月30日発売、ISBN 978-4-09-184019-6
- 2011年11月30日発売、ISBN 978-4-09-184159-9
- 2012年4月27日発売、ISBN 978-4-09-184453-8
- 2012年7月30日発売、ISBN 978-4-09-184610-5
- 2012年11月30日発売、ISBN 978-4-09-184767-6
- 2013年2月28日発売、ISBN 978-4-09-184888-8
- 2013年6月28日発売、ISBN 978-4-09-185257-1
- 2013年11月29日発売、ISBN 978-4-09-185664-7
- 2014年2月28日発売、ISBN 978-4-09-185875-7
- 2014年5月14日発売、ISBN 978-4-09-186179-5
- 2014年10月30日発売、ISBN 978-4-09-186518-2
- 2015年2月27日発売、ISBN 978-4-09-186790-2
- 2015年6月30日発売、ISBN 978-4-09-187064-3
- 2015年11月30日発売、ISBN 978-4-09-187339-2
- 2016年2月29日発売、ISBN 978-4-09-187475-7
- 2016年6月30日発売、ISBN 978-4-09-187640-9
- 2016年9月20日発売、ISBN 978-4-09-187772-7
- 2017年4月28日発売、ISBN 978-4-09-189488-5
- 2017年7月28日発売、ISBN 978-4-09-189606-3
- 2017年10月30日発売、ISBN 978-4-09-189722-0
- 2018年3月12日発売、ISBN 978-4-09-189797-8
- 2018年6月29日発売、ISBN 978-4-09-189891-3
- 2018年10月30日発売、ISBN 978-4-09-860119-6
- 2019年2月28日発売、ISBN 978-4-09-860223-0
- 2019年5月30日発売、ISBN 978-4-09-860286-5
Beeマンガにて、漫画に音声や特殊効果を加えたムービーコミックが配信されている。2020年5月現在、第364話まで配信中(声の出演:保村真、高木達也、田丸篤志、野島裕史 ほか)。
スピンオフ作品
本作品の登場人物を主人公としたスピンオフ作品。
- やみきんっ・うしじまきゅん - 3頭身キャラとなった登場人物の日常を、ラブリー&ポップ・ちょっぴりブラックに描いた4コマ漫画。
- 闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説 - 登場人物の1人・肉蝮の暴力渦巻く日常を描く漫画。
- 闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん - 登場人物の1人・滑皮の日常における食事を描くグルメ漫画。
- 少年院ウシジマくん - 闇金融と関わる以前の、少年院に収容された丑嶋馨や柄崎貴明などの日常が群像劇として描かれる漫画。
テレビドラマ
映画
関連書籍
- 難波功士『社会学ウシジマくん』(人文書院)2013年2月20日発売、ISBN 978-4-409-24095-3
- 社会学者による本作の分析書。
- 社会学者による本作の分析書。