限りなく透明に近いブルー
以下はWikipediaより引用
要約
『限りなく透明に近いブルー』(かぎりなくとうめいにちかいブルー)は、村上龍によって書かれた小説。村上龍のデビュー作であり、代表作である。
第19回群像新人文学賞受賞を受けて、『群像』1976年6月号に掲載された。同年7月5日、第75回芥川賞を受賞。7月9日、講談社より単行本化された。装丁は著者自身が手がけている。
発行部数は単行本131万部(2005年)、単行本・文庫本の合計で367万部(2015年) に達する。芥川賞受賞作としては史上1位(単行本部数のトップは又吉直樹『火花』)。
概要
詩的な表現や過去に前例の無い文章表現などを多用し、当時の文芸界に衝撃を与えた作品である。荒廃していく若い男女を描いたために、よく石原慎太郎の『太陽の季節』と対比される。ストーリーは村上龍が20代の頃過ごした福生市での体験を基にしている。当初の題名は「クリトリスにバターを」であったが、露骨な性表現のため改題した。
作品評価
受賞
その他
あらすじ
舞台は東京都福生市。横田米空軍基地と米兵用に建築された「ハウス」がある。この街のアパートの一室で主人公リュウや複数の男女がクスリ、LSD、セックス、暴力、兵士との交流などに明け暮れ生活している。明日、何か変わったことがおこるわけでも、何かを探していたり、期待しているわけでもない。リュウは仲間達の行為を客観的に見続け、彼らはアパートでの生活を中心にただただ荒廃していく。そしていつの間にかアパートから仲間達は去っていき、リュウの目にはいつか見た幻覚が鳥として見えた。
ハウス
「ハウス」とは、福生市にある米空軍横田基地周辺にあった(元)米軍住宅である。JR八高線と平行する国道16号に約2000戸あったとされる。朝鮮戦争やベトナム戦争の時に住宅不足のために建てられた。米軍住宅の場合は一種の治外法権地帯であり、ドラッグ・パーティーや乱交パーティーが開かれていたと言われる。戦後「ハウス」は安く借りられる広々とした一軒家として、芸術志向の若者を引きつけた。乱交パーティーの文化はそのまま残ったと言われる。
映画
1979年に村上自身が監督を務め、劇場映画が公開された。村上も映画を撮りたいという気持ちを持ち、キティ・フィルムの多賀英典社長も村上に監督をやらせてみたいと思い、村上は経験がないため映画のプロとして伊地智啓と組ませたが、興行としては惨敗に終わった。
三田村邦彦のデビュー作品で撮影中、自分の考えた画を表現しようとした村上と「(撮り方、表現が)非常識だ」というスタッフ、三田村が対立して現場は暗かったという。また、三田村は原作を読んで8ページで投げ出すほどだったため、出演に全く乗り気ではなかったが、村上と(三田村の)劇団の先輩である蜷川幸雄に説得されて出演した。
中山麻理が濡れ場で乳房露出のヌードを披露する。
キャスト
- 三田村邦彦:リュウ
- 中山麻理:リリー
- 平田満:ヨシヤマ
- 若狭奎子:ケイ
- 伊川東吾:オキナワ
- 都倉成美:レイ子
- 高瀬由梨花:モコ
- 正木五郎:カズオ
- 佐久間宏則:ケン
- 中村晃子:マリ
- アレクサンダー・イーズリー:黒人兵ジャクソン
- アイク・ウイリアムス:黒人兵A
- キム・ウェルス:黒人兵B
- ピーター:黒人兵C
- ベックレー・トーマス:白人兵マック
- パメラ・カー:黒人女
- モアネット・リリー:白人女
- 小松方正:警官A
- 桜井センリ:警官B
スタッフ
- 監督・原作・脚本:村上龍
- 製作:多賀英典
- プロデューサー:伊地智啓
- 制作補:古川石也
- 撮影:赤川修也
- 美術:和田洋
- 音楽:星勝
- 録音:紅谷愃一
- 照明:秋山賢治
- 編集:山地早智子
- 助監督:吉富友也
- スチール:岩井隆志
映像ソフト、サウンドトラック
- VHSがポニーキャニオンより、税抜き12,800円で発売されていた。2024年現在、DVD化はされていない。
- Various Artists『限りなく透明に近いブルー オリジナルサウンドトラック』(1979年、MKF-1044、Kitty Record。再発CD: 1989年、H25K-20153、Kitty Record)
A1. VARIOUS「青白い夕焼け」/A2. 山下達郎「GROOVIN'」/A3. 小椋佳「(WHAT A) WONDERFUL WORLD」/A4. カルメン・マキ「青白い夕焼け("リュウ"のテーマ)/A5. 井上陽水「HOMEWARD BOUND」/A6. アレックス・イーズリー「QUEEN OF EASTERN BLUES」/B1. 井上陽水「CLOUDY」/B2. 有山淳司「DAYDREAM」/B3. 上田正樹「WHEN A MAN LOVES A WOMAN」/B4. 瀬川洋「YOU DIDN'T HAVE TO BE SO NICE」/B5. 小椋佳「LOVE ME TENDER」
その他
- LUNA SEAのセルフ・タイトルのファースト・アルバムには、同名が副題となった楽曲が存在する。この曲はRYUICHIが作品を読み、そこからインスピレーションを受けて作詞をしたもので、内容もドラッグに溺れ、狂っていく主人公からの視点となっている。
- THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのシングル「リリィ」も、この小説にインスパイアされた物。