陰の季節
以下はWikipediaより引用
要約
『陰の季節』(かげのきせつ)は、横山秀夫による日本の短編推理小説。第5回松本清張賞受賞作、第120回直木三十五賞候補作。
2000年から2004年にかけてと2016年4月18日と4月25日にテレビドラマ化された。
概要
それまでの警察小説と異なり、警務課調査官という管理部門(一般警察官の人事責任者)の警官(警視)を主人公に据えた作品である。本作の主人公・二渡(ふたわたり)が所属するのはD県警という架空の警察本部で、「D県警シリーズ」の1つでもある。
収録作品
- 陰の季節(『文藝春秋』1998年7月号)
- 地の声(『オール讀物』1998年9月号)
- 黒い線(書き下ろし)
- 鞄(書き下ろし)
あらすじ
テレビドラマ
原作が短編作品のため、『陰の季節』収録作品以外からも映像化された。原作では二渡は「陰の季節」のみで主人公を務めるが、ドラマでは全作で主人公になっている。
上川隆也版
2000年から2004年までTBS系で放送されたシリーズ。全7回。主演は上川隆也。
放送枠は「月曜ドラマスペシャル」(第1作・第2作)、「月曜ミステリー劇場」(第3作 - 第7作)。
キャスト(上川隆也版)
神奈川県警察本部警務部
二渡真治(ふたわたり しんじ)
警務課調査官。階級は警視。父・幹久も元警察官。県警採用の出世頭だが、同期や部下を大切にする。
七尾友子
警務課。二渡の部下。県警女性初の警部。二渡とは警察学校時代の同期。息子の大介がいる。
白田晋介
警務課長。
上原徹
警務課。二渡の部下。
斉藤香澄
警務課。二渡の部下。
新堂隆義
監察官。階級は警視。息子の悟史がいる。
大黒克己
警務部長。階級は警視長。警察庁採用のキャリア。警務課の腕の見せ所である人事で失敗するわけには行かないと、二渡に発破をかける。
神奈川県警察の関係者
佐々木勝利
留置管理室長代理。情報通で、二渡から度々相談を持ちかけられ、その度に他の部署に異動させてほしいと頼んでいる。
山之内豊
刑事部長。階級は警視長。
青山元幸
本部長。
水谷正人
科学捜査研究所 次長。階級は警部。二渡から度々極秘の調査を頼まれる。
神奈川県港警察署
前島泰雄
刑事課長。二渡とは警察学校時代の同期。
山本明彦
刑事課一係 刑事。
その他
二渡幹久
二渡真治の入院中の父。元警察官。第2作と第3作の間に死去。
吉村梢
小料理屋「あい」の女将。
尾坂部道夫(おさかべ みちお)
経歴:神奈川県警 刑事部長
→ 産業廃棄物不法投棄監視協会 専務理事(第1作)
→ あけぼの保育園 園長(第2作 - )
元神奈川県警 刑事部長。ノンキャリアながら数々の事件を解決した功績により刑事部長の地位まで昇りつめた。定年退職後に天下りし、産業廃棄物不法投棄監視センター専務理事。第2作以降は「あけぼの保育園」園長。第6作で胆石で入院。
ゲスト(上川隆也版)
第1作「陰の季節」(2000年)
第2作「動機」(2001年)
第3作「密告」(2001年)
第4作「失踪」(2002年)
第5作「事故」(2003年)
第6作「刑事」(2003年)
第7作「清算」(2004年)
スタッフ(上川隆也版)
- 原作 - 横山秀夫
- 脚本 - 浅野有生子(第1作 - 第6作)、安井国穂(第7作)
- 監督 - 真船禎(第1作・第3作・第5作・第7作)、中山史郎(第2作・第4作・第6作)
- プロデューサー - 照喜名隆、越智貞夫、井上由紀、角田正子
- 制作 - TBS、THE WORKS
エピソードリスト
話数 | エピソードタイトル 原作 | 初回放送日 | 脚本 | 監督 | 視聴率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 陰の季節 原作:『陰の季節』より「陰の季節」 | 2000年5月1日 | 浅野有生子 | 真船禎 | 18.5% |
人事異動の内示発表の5日前、3年前に民間企業に天下りしていた尾坂部道夫が、“3年で辞める”という暗黙の掟を破り、「辞めない」と言い出す。人事担当の調査官・二渡がその理由を調べ始めると、結婚間近の尾坂部の娘・恵が5年前に被害に遭い、被疑者死亡というわだかまりが残ったまま終わった暴行事件にけりをつけようとしていることを突き止める。 | |||||
2 | 動機 原作:『動機』より「動機」、『陰の季節』より「黒い線」 | 2001年1月29日 | 浅野有生子 | 中山史郎 | 16.3% |
保管庫に収められていた警察手帳30冊が盗まれる。警察官にも手帳から解放される時間が必要であると二渡が主張した一括保管が仇となった。内部犯行が疑われ、記者会見まで2日の猶予が与えられた。そんな中、連続通り魔犯検挙に貢献した婦警が無断欠勤をしていることが分かる。 | |||||
3 | 密告 原作:『陰の季節』より「地の声」 | 2001年12月24日 | 浅野有生子 | 真船禎 | 17.3% |
警視昇任を控えた浜浦署の万年警部の曾根がパブのママと不倫をしている、という密告書が警務課に届く。大きな手柄を立てたこともなく、警察官としての経歴もイマイチの曾根は部下からの評判も芳しくなかった。密告者は一体誰なのか、二渡は浜浦署の刑事で元公安課の柳刑事に極秘に調査を依頼する。 | |||||
4 | 失踪 原作:『看守眼』より「看守眼」 | 2002年10月28日 | 浅野有生子 | 中山史郎 | 14.2% |
冤罪を訴えていた被疑者・柴崎が留置場で自殺を図り、発見者の看守・近藤が彼を救急搬送した後失踪してしまう。懲戒免職が検討されるが、定年を間近に控えていた近藤が簡単な理由で失踪するはずがないと考えた二渡は、冤罪事件と失踪事件の調査のために48時間の猶予をもらう。そして、長年刑事になりたかった近藤がある未解決事件を追っている可能性に行き当たる。 | |||||
5 | 事故 原作:『陰の季節』より「鞄」 | 2003年3月17日 | 浅野有生子 | 真船禎 | 15.2% |
鵜飼県議会議員が県警を揺るがす不祥事に関する「爆弾質問」を出すという情報が入る。議会までの猶予は3日間、二渡は質問内容を掴み備えようとするが、二渡をライバル視する議会担当秘書官(警察官)の柘植は、鵜飼の弱味を探して質問自体を潰そうと企む。 | |||||
6 | 刑事 原作:「刑事の勲章」「警告」 | 2003年9月15日 | 浅野有生子 | 中山史郎 | 14.2% |
大黒警務部長が、警察庁次長の息子の結婚披露宴があるから職務中に亡くなった署員の署葬には出られないと言い出し、署葬を蔑ろにするわけにはいかないと両方に出席できるよう二渡は調整に奔走する。同じ頃二渡は、入院した尾坂部から捜査一課刑事OBの会「一の会」の幹事の代行を頼まれ、その会で二渡は葉山元刑事から過日起こった殺人事件の犯人が同期の猪熊だと伝えられる。二渡は猪熊を信じ調べ始める。 | |||||
7 | 清算 原作:「清算」 | 2004年11月29日 | 安井国穂 | 真船禎 | 15.0% |
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯
仲村トオル版
2016年4月18日と4月25日にTBS系「月曜名作劇場」で放映された。全2回。主演は仲村トオル。
2016年5月7日から公開の映画「64(ロクヨン)」との連動企画であり、同映画で仲村トオルと滝藤賢一は同じ役で出演している。
キャスト(仲村トオル版)
群馬県警察本部警務部
二渡真治
警務課調査官。階級は警視。人事担当。
七尾友子
警務課係長。階級は警部。婦警担当。
今井幸夫
警務課長。階級は警視。
赤間肇
警務部長。階級は警視正。
群馬県警察の関係者
上原勇三
経歴:群馬県警本部 警務部 警務課人事係長(第1作)
→ 群馬県警高田警察署 刑事官(第2作)
階級は警部(第1作) → 警視(第2作)。二渡の下で人事を4年間担当。
森島光男
経歴:群馬県警本部 刑事部 鑑識課長(第1作)
→ 交通部運転免許センター 課長(第2作)
階級は警視。平野瑞穂の上司。
金子
刑事部 捜査一課。荒木田の部下。
特別出演
松岡勝俊
群馬県警本部 刑事部 捜査一課長兼参事官。階級は警視。『64(ロクヨン)』の登場人物。
荒木田茂
群馬県警本部 刑事部長。階級は警視正。『64(ロクヨン)』の登場人物。
三上義信
群馬県警本部 刑事部 捜査二課次席。階級は警部。『64(ロクヨン)』の主人公かつ二渡とは同期。
ゲスト(仲村トオル版)
第1作「陰の季節」(2016年)
第2作「刑事の勲章」(2016年)
スタッフ(仲村トオル版)
- 原作 - 横山秀夫
- 脚本 - 窪田信介
- 監督 - 榎戸耕史
- 主題歌 - 小田和正「風は止んだ」
- ナレーター - 岐部公好
- 警察監修 - 倉科孝靖
- VFX - イレブングラフィックス
- 技術協力 - バル・エンタープライズ
- 美術協力 - BEENS
- ポスプロ - ザ・チューブ
- スタジオ - 東宝スタジオ
- プロデューサー - 伊藤正昭
- アソシエイトプロデューサー - 木村理津
- 編成 - 永山由紀子
- 企画 - 越智貞夫
- 製作 - コブラピクチャーズ、TBS
放送日程
話数 | 放送日 | サブタイトル | 原作 | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2016年4月18日 | 陰の季節 | 「陰の季節」所収「陰の季節」「黒い線」 | 窪田信介 | 榎戸耕史 |
2 | 4月25日 | 刑事の勲章 | 「刑事の勲章」、「動機」所収「動機」 |
原作との相違点
- 二渡が所属するのはD県警という架空の警察本部だが、上川隆也版は神奈川県警察、仲村トオル版は群馬県警察となっている。