隻眼獣ミツヨシ
以下はWikipediaより引用
要約
『隻眼獣ミツヨシ』(せきがんじゅうミツヨシ)は、上山徹郎による漫画。2002年から2005年まで『月刊コミック電撃大王』(メディアワークス)において連載された。単行本は3巻。2005年12月発行分で同誌連載は終了した。約3年後の2008年12月に『JC.COM』(集英社)へ移籍、『ミツヨシ完結編』として再開された。
概要
前作『LAMPO-THE HYPERSONIC BOY-』完結後、上山が自主的に作成した70頁ほどの絵コンテに端を発する。複数の編集者に提示した結果、『月刊コミック電撃大王』での連載が決定し、2002年4月号よりスタートした。上山の作風は本来、萌え雑誌の同誌のテイストとは大きく異なるタイプであるが、掲載誌を意識してか、本作の主要人物はすべて女性となっている(ただしいわゆる萌えの概念に該当するとは言い切れない)。一読してわかる通り、登場人物の名前は江戸時代初期の実在の人物に由来し、変則的ながらいわゆる「柳生もの」の一作品と呼べる。
硬質な画風とストーリー展開は、決して同誌読者に評価されたとは言い難いが、休載を挟みつつも3年間の長期連載となった。単行本発刊の際には大幅な修正(ただし内容ではなく作画レベル)が行われ、その作業に専念するためか、その時は雑誌も休載となった。
2005年12月発行の『電撃大王』誌(2006年2月号)において連載は未完のまま終了した。「続きは書き下ろしを加えて単行本にて」と告知されるが、続刊である第3巻は2年後の2007年10月まで刊行されなかった。さらに連載最後の2話が収録されず、宙に浮いた形となっていた。
ミツヨシ完結編
それからさらに1年、連載終了から3年後の2008年12月、集英社より新創刊の『JC.COM』誌において『ミツヨシ完結編』として連載を再開した。創刊号では単行本未収録の2話がまとめて掲載され、次号より新規連載となった。
あらすじ
第1巻
江土城の若君にして次期将軍、祠千代は水練のため城を抜け出した際に謎の女剣士ミツヨシに出会う。ミツヨシは祠千代に水泳を教えている最中、ミツヨシの家来にあたる戦術暗鬼豹牙の戦闘に巻き込まれる。相手は真田虫幽士、筧獣象と名乗る妖怪だった。虫幽士とは3年前、江土城に火を放ち幼い若君たちの命を奪った妖怪であり、ミツヨシが探し続けていた宿敵であった。隻眼を開いたミツヨシは圧倒的な武力で獣象を撃破、祠千代は江土城へ無事に帰還する。
祠千代の証言で江土城はミツヨシの噂で持ちきりとなるが、妹の柳生朱膳胸冬は関心を持とうとしない。かつて柳生心陰流御指南役を務めていたミツヨシこと柳生柔兵衛密厳は三年前の大火が元で心陰流を破門され、既に縁を切ったというのだ。しかし逸刀流師範、小野慈狼右衛門唯常に長姉密厳と次姉僚矩がいなくなったおかげで胸冬は心陰流御指南役になれたのだと挑発される。一方胸冬らの父、柳生但縞守棟矩は獣象の死骸を将軍らに報告し、目前に迫った「御奉納の儀」を順延するよう進言するが、妖怪の存在を信じない老中らに却下される。密厳は密かに江土城へ侵入、父と妹に再会するが職務へ復帰することは拒み、虫幽士を探しに行く。
祠千代は再び城を抜け出し、密厳に弟子入りを志願するが拒まれる。しかし祠千代の純な気持ちを感じた密厳は、祠千代にひと時の自由を満喫させる。どうして水練に励むのか尋ねる密厳に、祠千代は船乗りになりたい、海の向こうの遠い世界を観てみたいという夢を語る。
祠千代と別れた密厳は虫幽士の一人、由利咬顎助に遭遇する。隻眼を開いて凶暴化した密厳は秘剣焼鍼を以って咬顎助を惨殺、虫幽士の正体について知る。虫幽士は真田の残党ではなく体内に虫を宿した妖怪であり、御奉納の儀に合わせて江土へ向かっているというのだ。血塗れになった密厳の元へ、豹牙と同じく戦術暗鬼の隼に連れられた祠千代がやって来るが「俺みたいになるな」と言い残し、密厳は去る。
第2巻
剣術の稽古に励む祠千代だが、唯常と胸冬の確執に困惑する。そんな中で御奉納の儀は始まる。豹牙と共に城外にいた密厳は気配を察して立ち上がる。目の前には虫幽士海野六螻がいた。城内では祠千代の舞踏が始まったが、虫幽士望月肋牢、三好尉扠、三好錆塊の襲撃を受ける。密厳は優勢に戦いを進めるが、海野は逃走する。胸冬は尉扠、唯常は錆塊と刃を交え、胸冬は一撃を見舞うものの苦戦を強いられる。尉扠は胸冬に隻眼を開くよう挑発するが、救援に駆けつけた棟矩に抑止される。錆塊は戦術暗鬼を撃破し圧倒的な戦いぶりを披露するが、「時間切れ」で退却する。祠千代は望月に攫われた。
密厳は退却途上の尉扠に出会い、戦闘をはじめる。尉扠は奥義を用いるが、胸冬に受けたダメージが元で密厳に敗れる。祠千代は監禁された先で虫幽士最強の戦士、猿飛殺助に会う。
第3巻
胸冬は豹牙と、唯常は隼と調査に出て、霧隠が放った霞衣という忍法で味方に同士討ちが起きたことを確認する。祠千代は殺助に虫幽士の目的は将軍家と関係を結ぶことであると聞かされて弄ばれるが、そこへ胸冬と豹牙が駆けつけ、虫幽士穴山蟲介も現れる。胸冬は穴山に苦戦を強いられるが密厳が登場、穴山を圧倒する。密厳は胸冬に祠千代を託し殺助に挑む。胸冬はその場を離れようとするが、穴山に襲われる。
一方望月は虫幽士しか知らない水路の中で、次席老中本多長棲に会う。唯常と隼は霞衣に操られた味方を倒し、現れた三好錆塊と対峙する。錆塊は望月の上げた合図で退却しようとするが、唯常は構わず打ち合いに臨む。
最強の剣士密厳に不死身の虫幽士殺助を始め、胸冬と豹牙に穴山、唯常と隼に錆塊の戦いはそれぞれ死力を尽くした乱戦となる。血戦の結果、殺助に一刀を浴びせ力尽きた密厳だが、望月の合図で穴山と殺助、錆塊は立ち去った。豹牙は密厳に生きていることを語りかける。
ミツヨシ完結編
密厳は再び修練に励むが、隻眼が開かなくなった。刀匠に折れた刀の修繕を依頼し、自身の剣には覚悟が足りず欲や未練などの混ぜものが多かったと話す。しかし刀匠は剣とは混ぜものの塊であり、それが強さであると説いた。
殺助は密厳が体内に打ち込んだ刀の破片に苦しんでいたが、望月と共に江土城へ向かう。城内では幕僚会議で棟矩が今回の事件による被害を報告し、警備の強化を進言する。会議の後、本多は棟矩に会ってほしい人物がいると言い、望月と殺助に引き合わせる。
豹牙の持参した花油を入れた湯に癒される密厳。豹牙の元へ、謎の人物を連れた暗鬼が現れた。
登場人物
柳生柔兵衛密厳(やぎゅうじゅうべえみつよし)
祠千代(まつちよ)
柳生但縞守棟矩(やぎゅうたじまのかみむねのり)
小野慈狼右衛門唯常(おのじろうえもんただつね)
虫幽士(ぢゅうゆうし)
三年前に江土城に火を放った集団で、体内に虫を飼い、その虫の意のままに動く妖怪。虫には序列があり、より強大な虫には絶対に逆らえないと言う。かつての戦乱の時期は真田幸斑が最も大きな虫を飼っており、主導者だった。現在は望月と霧隠が率いている。
モデルは真田十勇士。※の後はモデル名。
筧獣象(かけいじゅうぞう)※筧十蔵
望月肋牢(もちづきろくろう)※望月六郎
三好尉扠(みよしいさ)※三好伊三入道
三好錆塊(みよしせいかい)※三好清海入道
海野六螻(うんのろくろう)※海野六郎
穴山蠱介(あなやまこすけ)※穴山小介
キーワード
隻眼(せきがん)
暗鬼(あんき)
御奉納の儀(ごほうのうのぎ)
江土城大火(えどじょうたいか)
LAMPO-THE HYPERSONIC BOY-との関連
本作と作者の前作『LAMPO-THE HYPERSONIC BOY-』(小学館発行『月刊コロコロコミック』および『別冊コロコロコミック』にて1996年から1999年まで連載)には、関連性を伺わせる描写がある。
ミツヨシの存在
ただし『隻眼獣ミツヨシ』自体が現在未完の作品であり、作者もそうした設定について正式なコメントを発していないため、真相は不明である。
単行本
- 上山徹郎『隻眼獣ミツヨシ』メディアワークス〈電撃コミックスEX〉
- ISBN 4-84-022342-4
- ISBN 4-84-022794-2
- ISBN 4-84-024045-0
- 上山徹郎『ミツヨシ完結編』集英社〈愛蔵版コミックス〉
- 上 ISBN 978-4-08-782258-8
- 下 ISBN 978-4-08-782341-7
- 上 ISBN 978-4-08-782258-8
- 下 ISBN 978-4-08-782341-7
- 漫画作品 み
- 2009年の漫画