電撃!ピカチュウ
漫画
作画:おのとしひろ,
出版社:小学館,
掲載誌:別冊コロコロコミック,
レーベル:てんとう虫コミックス,
発表期間:1997年4月号 - 1999年12月号,
巻数:全4巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『電撃!ピカチュウ』(でんげき!ピカチュウ)は、おのとしひろによるポケットモンスターの漫画である。
『別冊コロコロコミック』にて、1997年4月号から1999年12月号に連載。『ハイパーコロコロ春号』にも1話掲載、単行本に第19(最終)話として収録された。原作者として田尻智と石原恒和がクレジットされている。シリーズ構成として当時のアニメ版の脚本陣である首藤剛志、武上純希、大橋志吉、園田英樹、冨岡淳広が記載されている。全4巻。
英語圏向けに、一部修正が施された海外版も存在する。
概要
アニメ『ポケットモンスター』の開始に合わせてその漫画化として連載。サトシがピカチュウを連れカスミやタケシと共に旅をするなど、大まかなストーリーはアニメ版を基盤に作られている。隔月発行の『別冊コロコロコミック』では毎週放送しているアニメの内容をそのまま追いかけることはできないため、オリジナルの話や展開も多い。ストーリーはアニメ版におけるカントー地方編からオレンジ諸島編までである。なお、第19話とエピローグは完全オリジナルストーリーである。
オリジナルの要素として、サトシとピカチュウの出会いや世界観設定の変更がある。非常にリアルで全般的に本物の動物らしさが加わっているポケモンやポケギア・わざマシンなど独自の解釈によるメカニックなどビジュアル面も異なるが、中でもプロポーションが良くセクシーなコスチュームの女性キャラクターが多く登場する。
サトシの帽子やカスミの髪の色などは当初アニメと異なるデザインだったが、後にアニメと同じものに変更される。また、「際どいシーンの修正などを多く求められた」と後に発行した同人誌にて作者が述べている。なお、単行本収録時にも際どい描写の更なる修正が加えられている(パンチラや過激なコスチュームの修正など)。また、翻訳版ではお色気描写のほとんどが修正された。つまり、修正に関しては『雑誌掲載版』『単行本版』『海外版』の3種が存在する事になる。
- 1998年の『月刊コロコロコミック』7月号に掲載された漫画版(映画予告コミック) 『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』はコミックス未収録(詳細は後述)。
- 作者の別作品『バーコードファイター』同様、連載終了後に本作の“裏設定”にあたる要素を取り入れた同人作品および成人向け漫画を出している。
あらすじ
マサラタウンに住むサトシは、自宅の壁の間に迷い込んだ野生のピカチュウを捕まえる。森へ還そうと家を出たところ、ライバルであるシゲルと遭遇する。ポケモン取り扱い免許証を見せびらかされたサトシは、負けじと免許証を取得。プロのポケモンマスターを目指し、ピカチュウを連れて旅に出た。
登場キャラクター
アニメ版ポケットモンスターの登場人物や個別項目も参照。
メインキャラクター
サトシ
本作の主人公。熱血なところはアニメと同様だが、極度の負けず嫌いの上ほどほどにスケベで女の色香に弱い。コメディリリーフを担う描写も非常に多いボケキャラとしての側面も持つ。
ライバルのシゲルに対抗意識を燃やし、家でイタズラをしていたところを捕まえたピカチュウと共に旅に出る。タケシほどではないが、綺麗なお姉さんが好きでシゲルのお姉さんに憧れている。アニメとは違い旅の為にアルバイトをする描写もある。オレンジ諸島ではアニメと違い単独で旅をしていたが、途中でカスミと再会しオレンジリーグ終了まで行動を共にする。エピローグではシゲルと旅を始めたことを手紙で母に語り、「もっと冒険がしたい、だから終わらせたくない」と告げた。
失恋し、ヤケ電気をしに街へ降りて来た所、サトシと出会う。当初はサトシの言う事をまったく聞こうとしなかったが、身を挺して自らをオニドリルからかばった事から友情を築く。アニメ同様モンスターボールに入るのが嫌いで、いつもサトシの後ろについて歩いている。第2話で「ジャン=リュック・ピカチュウ」と名づけられたが、以降は一度もこの名で呼ばれない。
1巻1話から登場。12歳。
ハナダシティのジムリーダーで、美人四姉妹の末っ子。サトシに自転車を勝手に使われた挙句、ピカチュウがオニドリルを攻撃する際に放った電撃によって壊されてしまった(「特注品なので100万円」だという)。1巻2話にてハナダジムでのサトシとの戦いの後、「いつまでもつき合っていられないわ」という理由で離脱。2巻5話でセキチクシティのポケモンレースを見に来た際に再会し、再び冒険に加わる。その後3巻11話でタケシと共に離脱し、12話でセキエイポケモンリーグに参加するがブランクもあって1回戦で敗退した(離脱期間は2か月)。セキエイポケモンリーグ編の終わりから姿を見せなかったが、4巻16話にてオレンジ諸島に遊びに来た際にサトシと合流する。
サトシの事はよくからかってお姉さん風を吹かしている。あまり見せないが、サトシやタケシの失言に暴力を振るってお返しをするなど性格は少し悪い。
原作・アニメとは違い黒髪美人で抜群のプロポーションとなっている。ほぼ毎回露出度の高い過激な服を着用しており、1巻2話で披露した水着はお尻に食い込んだスリングショットだった。また、2巻6話では年下の男の子が好きかもしれないと自覚(最初は否定)したあとの入浴シーンで生尻まで描かれ、あまりの過激さから連載前に担当編集が勝手に2シーンタオルを描き足した。
しかし2巻8話からはアニメと同じ茶髪・プロポーション・服装になっている(オレンジ諸島では髪型もアニメとは違い服装も毎回変わっている)。性格もアニメ寄りとなっておりサトシが悔しがるほどの悪態を見せなくなった。4巻18話のオチや『ミュウツーの逆襲』ではワンピースタイプの水着を着ているが背中が丸出しな事を除けば普通のデザインとなっている。なお、作者は著書の中において「カスミのプロポーションの変化は自身の都合によるもので、大人の事情で変化したのはサトシの帽子のマークだけである」とも語っているが、後に「最初期(連載時)はカスミを13歳の設定にしてた」と明かしている。
4巻18話ではユウジのカイリューに圧倒されるピカチュウを見ていられなくなり、棄権するようにサトシに進めるが「男の闘いに口を出すなぁっ!!」と一蹴される。その戦いでピカチュウが逆転勝利を果たした時は感激のあまり涙を流しムサシに支えられていた。オチでは前述の通り水着に着替えサトシと一緒に海で遊ぼうとしたが「充電中だから」と断られ、腹いせにピカチュウに充電(放電)をさせた所で連載は終了した。
その後、作者の同人誌『ムサシとコジロウのこどものつくりかた』によってオレンジリーグ決勝前夜にサトシの部屋を訪れたのは、実は体をあげてサトシに自信を付ける為だった事が明らかとなった。
1巻2話から登場。アニメ同様、美人のお姉さん好き。本作品では、何かを食べながら登場することが多い。
ニビシティのジムリーダーだが、放浪癖があるためジムはよく空けている。サトシと対戦するも登場から2ページ目で敗れる(しかも戦闘シーンは自体は1コマ)。年長者のため「大人」の振る舞いをすることが多く、一行のまとめ役でもある。
1巻4話にて再登場し、ヤマブキシティの友人ナツメの元を訪れていた際にサトシと再会する。ナツメがブラックフォッグに敗れたことでサトシと共闘し、2巻1話から正式に仲間に加わった。だが3巻11話からカスミと共に離脱。12話でカスミと共にセキエイポケモンリーグに参加するが、ブランクもあって1回戦で敗退した(離脱期間は2か月)。ポケモンリーグ参加資格を果たしたサトシに感化され、自分も本気で狙ってみようと考え別行動をとった。
3巻13話では、リザードンを使いこなせず棄権となったサトシに「おまえがあきらめなければ、求めたぶんだけ自分の力になる!」「いつかリザードンだっておまえの力強いともになってくれるはずだ」と励ましの言葉を送り、立ち直らせた。この話を最後にサトシたちの冒険から完全に離脱するが、4巻18話にて1コマのみ登場した。ユウジと死闘を繰り広げるサトシの奮闘をモニター越しに観戦し、決着後は「成長したな、サトシ」と言葉を送った。描写からしてまた放浪の旅に戻っているようである。
サブキャラクター
サトシの永遠のライバルで、オーキド博士の孫。成績は大変優秀であるが、素は生意気な悪ガキで、よくサトシを小バカにしている。ポケモンリーグ四回戦まで進んだ実力を持つが、出番が少ない事を自ら嘆いていた。カバー裏の表紙には全巻登場している。姉に対する甘えん坊の一面も見せており、サトシに見せつけるためにわざと姉に甘えた。
ゲームやアニメと比べると、かなりイジワルで子供っぽい性格をしている。その一方でアニメ版に比べてサトシとの仲は良好で、喧嘩友達といった雰囲気である。
3巻12話ではセキエイポケモンリーグに参加。見事1回戦を突破し、同じく勝ち抜いたサトシと腕組みを交わした。この辺りから性格もアニメ版寄りになり、幾ばくかキザな振る舞いをするようになった。カバー裏のオマケ漫画では、サトシの健闘を祈ってリーグから去る姿が描かれている。
エピローグではサトシと一緒に冒険を始めたことが語られ、カバー裏ではサトシと分かれ道をどちらに進むかで言い争いを始めている。
エピローグではサトシと一緒に冒険を始めたことが語られ、カバー裏ではサトシと分かれ道をどちらに進むかで言い争いを始めている。
サツキ
サトシの母ちゃん
サクラ、アヤメ、ボタン
ムサシ
コジロウ
2巻7話から登場。同じくロケット団の下っ端。エピローグではムサシに告白したようで結婚した。マサラタウンに向かう用事があったのでサトシから手紙を託され、母親に送り届けた。
2巻7話から登場。ムサシ、コジロウと行動を共にしているポケモン。アニメ版と同様に人語を話すが、容姿がより猫に近くなっている。
最終話では自ら巨大ロボットを駆りピカチュウと対決。ネットでピカチュウを捕らえ、シゲルのウインディに水鉄砲を吹きかけるなどしていやがらせのような戦いをしていたが、「喋るニャース」に目を付けたオーキド博士とマサキと捕獲された。
その後オーキド博士たちから解放されたらしく、エピローグではムサシ、コジロウの車の後部座席にいた。
ゲストキャラクター
ソネザキ マサキ
ナツメ
フウコ
ドリオ
2巻5話に登場。フウコのライバルでポケモンレース優勝候補者の青年。ニャースを使ってフウコが乗るポニータを驚かせ、振り落とさせることでフウコを負傷させた卑怯者。そのことをサトシから指摘されても「レースへ参加表明した時から勝負は始まってんだよ」「証拠はあるのかい?」と空とぼけている。レースにはドードリオで参加。開幕からトップを突っ切るが、潜ませていた部下を使って落石を起こし選手たちを崖から落とすなど抜かりがない。追い付いてきたサトシに部下がやられると「役立たず」と吐き捨て、水系ポケモンをけしかけてポニータを始末しようとする。だがこれが仇となり、サトシの励ましによってポニータはギャロップへと進化。逆転優勝を果たさせてしまう。最期まで負けを認めようとせずサトシに襲い掛かるもお返しとしてギャロップに遥か彼方へ蹴り飛ばされるという末路を辿った。
タイチ
2巻6話に登場。イーブイのトレーナーで、ストンタウンを根城とするEストーン騎士団4兄弟の末っ子。お城のような屋敷に住んでいるお坊ちゃんでもある。
Eストーン騎士団の入団条件である「進化をさせる」ことを嫌がり、団長に責められていたところ、その現場を目撃したサトシが割って入る。そこでタケシの提案により、サトシとタイチがダブルスを組み、騎士団の代表者(タイチの兄たち)を倒せば進化は免除するということとなった。試合ではサトシのピカチュウが兄二人を倒すが、それでは意味がないということで最後の試合はタイチのイーブイが引き受けることに。
その弟属性全開の可愛らしさは、カスミにショタコンであることを少なからず自覚させた。オチではサトシ、タケシと一緒にカスミの入浴を覗き、大人への階段を登った。
ゼニガメ&ヒトカゲ
ターサン
ダイスケ
フシギダネ&フシギソウ
ヒラタ博士
イワカゼ
ナナ
マリー
カイリュー使いのユウジ
4巻17話に登場。本作における実質的な最終ボス。
現サザンクロスヘッドリーダー。ここ数年は無敗で知られており「最強のトレーナー」とも呼ばれる男。サトシは幼少期に彼の試合をテレビで見ており、挑戦したくてオレンジリーグに参加した。
サトシとの勝負では手持ちのポケモン5匹を破られ、サトシは手持ちが3匹という状態になる。しかし最後の一匹カイリューは圧倒的な体躯とパワーを誇り、サトシのゼニガメとリザードンを撃破。最後はピカチュウとの対決となる。当初は優位に立っていたがサトシの作戦によってカイリューは倒れ、敗北。最強の牙城を崩された。だがそこには憎悪などなく、新たなヘッドリーダーの誕生を笑顔で讃えた。
メタモン
サカキ
最終話に登場。ロケット団のボス。ムサシたちに指令を送るなど存在は語られていたが、登場自体はこの話が初となる。アニメと同様に顔に影が掛かっているが、素顔がわからないというほどではない。
悪の組織のトップでありながら、「最強ヤドン世界征服計画」を酔っている際に許可したりと、どこか憎めないキャラになっている。
この計画は、ヤドンの「人の心を和ませる作用」を科学的に分析し、最強のヤドンを量産して人々の闘争心を奪い、容易く世界征服を達成するというもの。「一見完璧な計画」と語るが、試作ヤドンが完成した時点で開発部がヤル気ゼロになり、しかもサカキまで心和んでしまう。その間にヤドンは姿を消し行方不明となってしまった。「ロケット団はもっとダークでブラックな組織なのだ。そんなマヌケな計画は、あってはならんのだ」としていつもの三人組にヤドンの捜索・処分を指示した。が、ヤドンのことを想い出すと心和んでしまい「ま、いっか」で片づけてしまった。
映画『ミュウツーの逆襲』の裏側を描いた漫画版では、ミュウツーの大量生産を行い世界征服を果たそうとする極悪人として登場した。
最強ヤドン
最終話に登場した最後のポケモン。前述の通りサカキの主導でロケット団が生み出した「最強のヤドン」。マサキがポケモンセンターの転送データに未登録のデータがあったことに気づき、実体化させたことでオーキド博士らに保護された。しかしムサシたちに強奪され、これを奪い返すべくサトシとシゲルはヤドンの取り合いを開始。三者が入り乱れるヤドン争奪戦が繰り広げられることとなった。「最強」の名に恥じず実力は高いのだが、金縛りをすれば自分も硬直し、冷凍光線を撃てば自分も凍るという有様。サトシからは「強いんだかマヌケなんだかわからない」と言われた。
最終的にサトシのモンスターボールに捕らえられたかに思われたが、いつの間にかヤドランに進化して逃れていた。そのままサトシとシゲルに保護され、オーキド博士らの元へ連れ戻された。
ミュウツーの逆襲編
上記の通り1998年7月号の『月刊コロコロコミック』にて、同年7月に公開された『ミュウツーの逆襲』の漫画版が掲載された。『月刊コロコロ』に初めて掲載された作品でもある。
ストーリーは、フジ博士がアマゾンでミュウとの出会う所から、劇場版本編の前半までとなっている。世界観は『電撃!ピカチュウ』とリンクしており、ロケット団員がミュウ捕獲の為にマスターボールを撃ち出すライフルを装備していたり、「ミュウツーはプロトタイプで、後にロケット団の命令で感情を持たない兄弟が多数作られる予定だった」といった、オリジナル要素が追加されている。劇場版では誕生直後のミュウツーの暴走に巻き込まれてしまうフジ博士であるが、本作では「ロケット団に逆らい拘束され、ミュウツーに自分もろとも研究所を爆破させる」などの設定の変更も見られた。
当時はまだ映画自体も『完全版』が公開される前であったために、これらミュウツーの過去に関する描写が無く、後の『ミュウツーの逆襲完全版』ではキャラクターデザインなどに大きな影響を与えている。
書誌情報
- おのとしひろ・石原恒和・田尻智『電撃!ピカチュウ』小学館〈てんとう虫コミックススペシャル〉
- ISBN 4-09-149341-6
- ISBN 4-09-149342-4
- ISBN 4-09-149343-2
- ISBN 4-09-149344-0