響け!ユーフォニアム (アニメ)
アニメ:響け!ユーフォニアム(第1期)響け!ユーフォニアム2(第2期)響け!ユーフォニアム3(第3期)
原作:武田綾乃,
監督:石原立也,
シリーズディレクター:山田尚子,
シリーズ構成:花田十輝,
音楽:松田彬人,
アニメーション制作:京都アニメーション,
製作:第1・2期:『響け!』製作委員会第3期:『響け!』製作委員会 2024,
話数:第1期:全13話第2期:全13話第3期:全13話,
映画:劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜
原作:武田綾乃,
監督:石原立也,
キャラクターデザイン:池田晶子,
音楽:松田彬人,
制作:京都アニメーション,
製作:『響け!』製作委員会,
映画:劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜
原作:武田綾乃,
総監督:石原立也,
監督:小川太一,
キャラクターデザイン:池田晶子,
音楽:松田彬人,
制作:京都アニメーション,
製作:『響け!』製作委員会,
映画:リズと青い鳥
原作:武田綾乃,
監督:山田尚子,
キャラクターデザイン:西屋太志,
音楽:牛尾憲輔,
制作:京都アニメーション,
製作:『響け!』製作委員会,
映画:劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜
原作:武田綾乃,
監督:石原立也,
キャラクターデザイン:池田晶子,
音楽:松田彬人,
制作:京都アニメーション,
製作:『響け!』製作委員会,
映画:特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜
原作:武田綾乃,
監督:石原立也,
キャラクターデザイン:池田晶子,
音楽:松田彬人,
制作:京都アニメーション,
製作:『響け!』製作委員会,
以下はWikipediaより引用
要約
『響け!ユーフォニアム』(ひびけユーフォニアム)は、武田綾乃による日本の小説シリーズ『響け! ユーフォニアム』を原作としたアニメ作品。
略歴
2015年4月から7月まで『響け!ユーフォニアム』のタイトルでTOKYO MX・KBS京都・サンテレビ・テレビ愛知・BS11ほかから放送された。
2016年4月23日にTVシリーズ第1期を振り返る『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』が松竹の配給により公開された。興行収入は2億2300万円。
同年10月から12月まで第2期『響け!ユーフォニアム2』が放送された。
2017年9月30日に第2期を久美子とあすかを軸に、新規カットを交え再構成した『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』が公開された。興行収入は1億3400万円。
2018年4月21日に『リズと青い鳥』、2019年4月19日に『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』が、完全新作映画として順次公開された。詳細は映画を参照。
2019年6月1日開催のイベント「5回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル」にて「久美子3年生編」の制作が発表された。2022年6月4日開催の「6回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル」にて中編アニメ「アンサンブルコンテスト編」の劇場上映と「久美子3年生編」となるTVシリーズ第3期の放送が行われることが明かされた。アンサンブルコンテスト編『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』は2023年8月4日上映、TVシリーズ第3期『響け!ユーフォニアム3』は2024年4月よりNHK Eテレにて放送予定。
登場人物
学年は特記がなければ、久美子が1年生(TVシリーズ第1期・第2期)の時のもの。
黄前 久美子(おうまえ くみこ)
加藤 葉月(かとう はづき)
川島 緑輝(かわしま さふぁいあ)
声 - 豊田萌絵
1年生で久美子や葉月と同じクラス。担当楽器はコントラバス。前向きな性格。自分の名前を気に入っておらず、「みどり」と自称しており、久美子や葉月にもそう呼んでもらっている。吹奏楽の名門「聖女中等学院」の吹奏楽部でコントラバス担当だった。
高坂 麗奈(こうさか れいな)
声 - 安済知佳
1年生。担当楽器はトランペット。部活の他に専門の教室でレッスンを受けている。父親はプロのトランペット奏者。父親同士が音楽家である吹奏楽部顧問の滝 昇に「LIKE」ではなく「LOVE」の感情を抱いている。久美子が3年生の代ではドラムメジャーとなる。
塚本 秀一(つかもと しゅういち)
後藤 卓也(ごとう たくや)
長瀬 梨子(ながせ りこ)
中川 夏紀(なかがわ なつき)
吉川 優子(よしかわ ゆうこ)
田中 あすか(たなか あすか)
声 - 寿美菜子
3年生。担当楽器はユーフォニアム。副部長兼低音パートリーダー。マーチングバンドではドラムメジャーも担当。171センチメートルの長身にロングヘアに赤縁の眼鏡をかけている。明るく飄々とした性格で、特にユーフォニアムについては語りだすと止まらなくなる。
小笠原 晴香(おがさわら はるか)
中世古 香織(なかせこ かおり)
斎藤 葵(さいとう あおい)
鎧塚 みぞれ(よろいづか みぞれ)
傘木 希美(かさき のぞみ)
釜屋 つばめ(かまや つばめ)
久石 奏(ひさいし かなで)
月永 求(つきなが もとむ)
鈴木 美玲(すずき みれい)
鈴木 さつき(すずき さつき)
剣崎 梨々花 (けんざき りりか)
黒江 真由(くろえ まゆ)
滝 昇(たき のぼる)
声 - 櫻井孝宏
北宇治高校に赴任してきた音楽教師で吹奏楽部顧問。整った容姿で柔らかい物腰だが、部活での指導は厳しく、歯に衣を着せない物言いから「粘着イケメン悪魔」とあだ名されている。父親も10年前北宇治高校吹奏楽部の指導者だった。
松本 美知恵(まつもと みちえ)
橋本 真博(はしもと まさひろ)
新山 聡美(にいやま さとみ)
黄前 麻美子(おうまえ まみこ)
声 - 沼倉愛美
久美子の姉。大学3年生。元吹奏楽部でトロンボーン奏者だったが、大学受験のため辞めている。久美子にマウスピースの使い方を教えた。久美子にちょっかいを出しては追い返されている。将来の夢は美容師。
スタッフ
第1期 | 第2期 | 第3期 | |
---|---|---|---|
原作 | 武田綾乃 (宝島社文庫「響け!ユーフォニアム」シリーズ) | ||
原作イラスト | アサダニッキ | ||
監督 | 石原立也(劇場版第2作では総監督) 小川太一(劇場版第2作監督、第3期では副監督) | ||
シリーズ構成・脚本 | 花田十輝 | ||
キャラクターデザイン | 池田晶子 | ||
N/A | 池田和美 | ||
総作画監督 | 池田晶子 | ||
シリーズ演出 | 山田尚子 | ||
楽器設定 | 高橋博行 | ||
楽器作監 | 高橋博行 | 太田稔 | |
美術監督 | 篠原睦雄 | ||
3D美術 | 鵜ノ口穣二 | ||
色彩設計 | 竹田明代 | ||
撮影監督 | 高尾一也 | ||
3D監督 | N/A | 冨板紀宏 | |
音響監督 | 鶴岡陽太 | ||
音響制作 | 楽音舎 | ||
音楽 | 松田彬人 | ||
音楽監修(第1・2期) 吹奏楽監修(第3期) |
大和田雅洋 | ||
音楽プロデューサー | 斎藤滋 | ||
音楽制作 | ランティス | ||
N/A | ハートカンパニー | ||
音楽制作協力 | 洗足学園音楽大学 | ||
演奏協力 | フレッシュマン・ウインド ・アンサンブル |
プログレッシブ!ウインド ・オーケストラ | |
企画プロデューサー | 八田英明 | ||
プロデューサー | 大橋永晴、中村伸一、斎藤滋 | ||
N/A | 瀬波里梨 | ||
アニメーション制作協力 | アニメーションDo | ||
アニメーション制作 | 京都アニメーション | ||
製作 | 『響け!』製作委員会 | 「響け!」製作委員会2024 |
製作
アニメーション制作は京都アニメーションが担当。監督は『涼宮ハルヒの憂鬱』『中二病でも恋がしたい!』などを手掛けた石原立也。さらに『けいおん!』『たまこラブストーリー』などの監督として受賞歴のある山田尚子がシリーズ演出を担当した。シリーズ演出という山田の役回りについて石原は、監督の参謀役と表現している。
絵コンテ・演出を山田が担当した第1話や石原が担当した第2話など、初期の話数ではコミカルな演出も目立っていたが、作品全体としてはリアルな青春ドラマとしてシリアス寄りの作風に仕上がっている。制作開始当時、監督の石原や脚本の花田十輝がよりコミカルな作風も視野に入れていたのに対して、音響監督の鶴岡陽太は当初からリアリティ重視の演出を志向しており、石原は本作の方向性を見定めたのは最初のアフレコ時だったと述べている。脚本の花田は第5話から第8話の時点でシナリオ執筆の方針が定まったと語っている。
脚本・シリーズ構成
第1期では、小説シリーズ第1作『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』を原作として、短篇集『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』より一部のエピソードが本編に織り込まれるなど、アニメオリジナルの要素を含んだ全13話のストーリーが展開された。
第2期では、小説シリーズ第2作『響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏』と第3作『響け!ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機』を原作としており、第1期同様に全13話のストーリーが展開された。
第1期は、1話あたり原作30ページ程度のペースで、全体として尺にゆとりを持たせたストーリー構成となっている。全話の脚本とシリーズ構成を担当した花田は当初から、劇中で吹奏楽部の顧問が赴任して部活動が本格的に始動するまでに2話を費やすなど、近年のアニメ脚本としては比較的スローペースの構成案を提案していた。監督の石原も同じ意向を持っていたため、この基本プランがそのまま採用される形となった。
原作では主人公たちの所属する吹奏楽部の部員数は81人とされているが、テレビアニメでは64人に変更された。原作に登場しない人物を含め全ての部員に名前とキャラクターが設定されており、花田は全員に登場機会を割り振りながら脚本を執筆した。
舞台設定
原作は京都府宇治市が主な舞台となっており、関東出身の主人公など一部の登場人物を除いて作中の台詞に宇治訛りの京都弁が使われているが、テレビアニメでは共通語に変更されている。
監督である石原の認識としては本作の舞台設定はあくまで架空のものというスタンスであるが、本作の製作にあたっては監督をはじめ主要スタッフが実際の吹奏楽コンクール会場や宇治川、仏徳山(大吉山)ほか実在の舞台地に赴いて現地取材を実施し、脚色や作画に反映している。主人公である久美子の通学シーンは原作の描写に沿って、自宅の最寄り駅である京阪宇治駅から友人の葉月が乗降する黄檗駅を経て六地蔵駅までの電車通学という設定で描かれる。主人公たちが通う北宇治高校の所在地については原作者の大まかなイメージに基づいており、学校の最寄り駅は原作には登場しないが、京阪宇治線の黄檗駅から中書島駅間で通学路に茶畑の描写があることなどから六地蔵駅をアニメ用の設定として採用した。本作の制作プロダクションである京都アニメーションの主要スタジオはこれら主な舞台地の近隣に位置しており、作画用の資料写真が不足した際には容易に現地へ赴き撮影することができたため、ロケーションとしては好都合だったと石原は述べている。
映像・作画
吹奏楽部のメンバー全員を含む登場人物のデザインを池田晶子が担当した。石原のオーダーに合わせ、各キャラクターは全体的に可愛らしさを重視したデザインとなっている。本作に限らず、池田が作成するキャラクター表には池田自身がイメージした各キャラクターの簡単な性格付けやプロフィール設定が書き添えられ、作画スタッフがキャラクターの芝居を描く際の参考として用いられている。
キャラクターデザインの作業に着手した段階では原作小説の既刊が第1作のみしかなく、ライトノベルのような挿絵イラストの類も挿入されていないため、当初はアサダニッキによる第1作の表紙装丁イラスト1点のみを唯一のビジュアル資料として主要キャラクターの検討が進められた。数ある登場人物のうち、石原が安心感のある可愛いさと評する小笠原晴香部長のデザインがいち早く仕上がった。劇中で吹奏楽部のマドンナと称される中世古香織も目元にほくろを入れたデザインをシリーズ演出の山田が気に入り、比較的早い段階で決定した。主要キャラクターのうち加藤葉月と川島緑輝については、アニメ用のオリジナル設定としてそれぞれツインテールとくせ毛のロングヘアーに髪型を変更する方向でデザインの調整を進めていたが、最終段階で原作の描写に沿った短い髪型へと方針を転換した。作中で長身の美人として描写される田中あすか副部長については、池田の念頭にはより大人びた路線の選択肢もあったが、石原の方針に沿って可愛さに振ったデザインが採られた。副顧問の松本美知恵はアサダがアニメ用に新規イラストを描き起こし、そのイメージをベースにデザインを行った。顧問の滝昇はシリーズ演出の山田からの具体的な要求に沿って、若者らしくない地味な眼鏡、コンクール演奏時の正装とは落差のある普段の風貌、柔らかい質感の髪、柔和な表情といった要素を取り入れたデザインが採用された。
石原はこれまでに刊行されたアサダの漫画作品を全て揃え、本作のキャラクター作画の方向性を探る参考とした。シリアスな描写の多い本作でも一部のコミカルなシーンではギャグ漫画風のキャラクターの崩し顔を使用しているが、アサダの画風に倣って頭身を大きく変えない作画を基本としている。
美術監督の篠原睦雄は、女性キャラクターが多数を占める作画との対比を意図して、全体的にコントラストを強調した力強さのある背景美術の描き方を採用した。空の色は微かに緑がかった色合いを出している。屋内のカットでは蛍光灯などによる室内の光源を弱め、窓からの自然光がより強調されている。石原が好んで用いる演出手法として、逆光を利用した構図を多用している。
音響・音楽
劇中に登場する演奏シーンの音源は洗足学園音楽大学の1年生で編成されたバンド、フレッシュマン・ウインド・アンサンブルが担当した。並以下の高校の吹奏楽部がドラマを重ねながら上達してゆく過程を音響面でも表現するため、各場面に合わせて意図的にクオリティを下げた演奏を再現しながら音源の収録が行われた。第1話の演奏シーンでは、吹奏楽に詳しくない視聴者にも演奏クオリティの低さが明瞭に分かるよう、意図的に収録した演奏ミスやテンポのずれた演奏を強調するなどの編集加工が加えられている。
作中に登場するオリジナルの楽曲と劇伴の作曲は松田彬人が担当している。頻出する吹奏楽演奏シーンの楽器音との混同を避けるため、本作の劇伴は管楽器を使用せずに作られている。劇伴の使用シーン自体も絞り込まれており、音響面の演出傾向としては全体的に静かな作品に仕上がっている。
各演奏シーンで使われる楽曲は原作とは異なる。第1期では劇中のマーチングイベントでの演目がビートルズの「キャント・バイ・ミー・ラヴ」からイエロー・マジック・オーケストラの「ライディーン」に変更され、第5話で本番の演奏シーンが描かれるまでは同曲を視聴者に聞かせないという演出上の意図により、本番までの練習シーンでは同曲を演奏する描写を避けるよう脚色されている。主人公たちのコンクール課題曲として原作に登場する架空の楽曲『三日月の舞』がアニメでは自由曲という設定に変更されており、原作での自由曲『イースト・コーストの風景』のコルネットソロを巡る騒動は、アニメでは『三日月の舞』のトランペットソロを巡る騒動に置き換えられている。上級生の中で最も演奏の上手い3年生部員と超高校級の新入部員がトランペット演奏の優劣を決めるという当該エピソードの演奏録音では、それぞれ大学生とプロの奏者を起用して劇中での実力者同士の力量差を実演奏の音色の違いで直接表現した。2期では、2年前の吹奏楽コンクールにおける南中学校のコンクール自由曲及び劇中での吹奏楽コンクールにおける明静工科高校の自由曲は「だったん人の踊り」に、文化祭の演奏曲はフィンガー5の「学園天国」と大滝詠一の「君は天然色」、駅ビルコンサートの演奏曲はT-SQUAREの「宝島」に変更された。
なお、第1期の第1話において、テレビ時代劇『暴れん坊将軍』のテーマ曲(作曲は菊池俊輔)を吹奏楽にアレンジしたものが劇中曲として使用されているが、ストーリーの都合上、劇中では下手に演奏された音源しか使用されていない。しかし、「指導を受けて上達した」という想定で上手に演奏された音源も録音されており、本作のサウンドトラックには両方とも収録されている。
評価・反響
本作のアニメ化は吹奏楽経験者にはおおむね好評だった。エキサイトレビューではホルン経験者のライターが「Twitterを見ると、吹奏楽部経験者たちが悶絶していた」「あるあるすぎる」とリアルな描写を解説、管楽器専門誌『楽器族。ブラストライブ』はTwitterで「経験者にはドンピシャで納得できる台詞や演出がテンポよく決まる。これは凄いアニメだ。」と絶賛。一方、Newtypeアニメアワード2014-2015中間結果発表では作品賞(TV作品)で14位、最終結果でも10位以内に入ることはできなかった。しかし、吹奏楽部ではマイナー楽器の代名詞だったユーフォニアムを第一希望にする人も増えており、人気楽器の仲間入りをした。
第20回文化庁メディア芸術祭では、『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』がアニメーション部門・審査委員会推薦作品に選出される。第21回文化庁メディア芸術祭では、『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』がアニメーション部門・審査委員会推薦作品に選出される。アニメ流行語大賞2016では、「たった今、好きになった」が金賞を受賞した。アメリカのアニメ評価サイト「Anime Trending」が主催した「第2回 Anime Trending Awards」ではBEST IN CHARACTER DESIGN部門とMUSIC ANIME OF THE YEAR部門で1位、BEST IN SCENERIES AND VISUALS部門とMYSTERY OR PSYCHOLOGICAL ANIME OF THE YEAR部門で3位をそれぞれ獲得している。
『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』を鑑賞した指揮者の下野竜也は、演奏シーンのリアルさに驚き、「ひと昔前なら楽器の持ち方が変だったり、演奏と絵が微妙にずれるアニメもあったけど、この映画は全ての奏者の指使いが音と見事に一致していました。そういう感動は『トムとジェリー』のピアノ演奏以来です。」と感想を述べた。
ドイツ文学者でクラシック音楽に関する文献の翻訳も行う三浦淳は、『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』について、「原作小説もテレビアニメも知らない大人でも十二分に楽しむことができる佳作」「上質の作品」と評価し、『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』及び『リズと青い鳥』に対しても、それぞれ別の観点から高評価を与えた。
主題歌
第1期
「DREAM SOLISTER」(第一回 - 第十二回、番外編)
「トゥッティ!」(第一回 - 第七回、第九回 - 第十二回、番外編)
「DREAM SOLISTER(Wind Orchestra Ver.)」
劇場版第1作
「DREAM SOLISTER(Movie Ver.)」
第2期
「サウンドスケープ」
「ヴィヴァーチェ!」(第一回 - 第八回、第十回 - 第十二回)
「響け!ユーフォニアム(Last Ver.)」
劇場版第2作
「サウンドスケープ(TRUE & Wind Orchestra Ver.)」
第3期
「ReCoda」
「音色の彼方」
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2015年4月8日 - 7月1日 | 水曜 0:30 - 1:00(火曜深夜) | TOKYO MX | 東京都 | |
サンテレビ | 兵庫県 | |||
KBS京都 | 京都府 | |||
水曜 1:35 - 2:05(火曜深夜) | テレビ愛知 | 愛知県 | ||
2015年4月9日 - 7月2日 | 木曜 0:00 - 0:30(水曜深夜) | BS11 | 日本全域 | 『ANIME+』枠 |
2015年4月10日 - 7月3日 | 金曜 23:00 - 23:30 | AT-X | 日本全域 | リピート放送あり |
2017年10月1日 - 12月24日 | 日曜 7:30 - 7:54 | NHK BSプレミアム | 日本全域 | 字幕放送 12月24日は最終回に引き続き、番外編も放送。 |
配信期間 | 配信時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2015年4月11日 - 7月4日 | 土曜 23:00 - 23:30 | ニコニコ生放送 |
土曜 23:30 更新 | ニコニコチャンネル | |
2015年4月12日 - 7月5日 | 日曜 12:00 更新 | dアニメストア |
アニメ放題 | ||
2015年4月19日 - 7月12日 | 日曜 更新 | U-NEXT |
2015年4月20日 - 7月13日 | 月曜 0:00(日曜深夜) 更新 | バンダイチャンネル |
2015年4月23日 - 7月16日 | 木曜 12:00 更新 | アニメパス |
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2016年10月6日 - 12月29日 | 木曜 0:00 - 0:30(水曜深夜) | TOKYO MX1 | 東京都 | |
木曜 1:00 - 1:30(水曜深夜) | tvk | 神奈川県 | ||
木曜 2:05 - 2:35(水曜深夜) | テレビ愛知 | 愛知県 | ||
木曜 2:14 - 2:44(水曜深夜) | 朝日放送 | 近畿広域圏 | 『水曜アニメ〈水もん〉』第1部 | |
2016年10月7日 - 12月30日 | 金曜 0:00 - 0:30(木曜深夜) | BS11 | 日本全域 | 『ANIME+』枠 |
金曜 1:30 - 2:00(木曜深夜) | KBS京都 | 京都府 | 京都府内では実質再放送 | |
金曜 22:00 - 22:30 | AT-X | 日本全域 | リピート放送あり | |
初回は1時間スペシャル。 |
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2024年4月7日 - | 日曜 17:00 - 17:25 | NHK Eテレ | 日本全域 |
BD・DVD
第1期は各巻に映像特典としてショートエピソード「吹奏楽部の日常 その(1)〜(7)」を収録している。
第2期は各巻に映像特典として未放送ショートムービーを収録している。
巻 | 発売日 | 収録話 | 規格品番 | |
---|---|---|---|---|
BD | DVD | |||
第1期 | ||||
1 | 2015年6月17日 | 第一回・第二回 | PCXE-50531 | PCBE-54861 |
2 | 2015年7月15日 | 第三回・第四回 | PCXE-50532 | PCBE-54862 |
3 | 2015年8月19日 | 第五回・第六回 | PCXE-50533 | PCBE-54863 |
4 | 2015年9月16日 | 第七回・第八回 | PCXE-50534 | PCBE-54864 |
5 | 2015年10月21日 | 第九回・第十回 | PCXE-50535 | PCBE-54865 |
6 | 2015年11月18日 | 第十一回・第十二回 | PCXE-50536 | PCBE-54866 |
7 | 2015年12月16日 | 最終回・番外編 | PCXE-50537 | PCBE-54867 |
劇場版1 | 2016年9月7日 | 劇場版1 | PCXE-50649 | PCBE-55335 |
第2期 | ||||
1 | 2016年12月21日 | 第一回 | PCXE-50711 | PCBE-55531 |
2 | 2017年1月18日 | 第二回・第三回 | PCXE-50712 | PCBE-55532 |
3 | 2017年2月15日 | 第四回・第五回 | PCXE-50713 | PCBE-55533 |
4 | 2017年3月15日 | 第六回・第七回 | PCXE-50714 | PCBE-55534 |
5 | 2017年4月19日 | 第八回・第九回 | PCXE-50715 | PCBE-55535 |
6 | 2017年5月17日 | 第十回・第十一回 | PCXE-50716 | PCBE-55536 |
7 | 2017年6月21日 | 第十二回・最終回 | PCXE-50717 | PCBE-55537 |
劇場版2 | 2018年3月7日 | 劇場版2 | PCXE-50807 | PCBE-55847 |
CD
Webラジオ
響け!ユーフォラジオ
響け!ユーフォラジオ2〜久美子と麗奈の特別になりたいラジオ!〜
響け!ユーフォラジオ2〜葉月と緑輝のラジオ!緑ですー!ありがとー!〜
響け!ユーフォラジオ2
響け!ユーフォラジオ3
各話リスト
第1期
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|
第一回 | ようこそハイスクール | 山田尚子 | 秋竹斉一 | |
第二回 | よろしくユーフォニアム | 石原立也 | 引山佳代 | |
第三回 | はじめてアンサンブル | 山村卓也 | 池田和美 | |
第四回 | うたうよソルフェージュ | 石原立也、山田尚子 | 雪村愛 | 植野千世子 |
第五回 | ただいまフェスティバル | 三好一郎 | 丸木宣明 | |
第六回 | きらきらチューバ | 河浪栄作 | 引山佳代 | |
第七回 | なきむしサクソフォン | 武本康弘 | 西屋太志 | |
第八回 | おまつりトライアングル | 藤田春香 | 秋竹斉一 | |
第九回 | おねがいオーディション | 北之原孝將 | 瀬崎利恵 | |
第十回 | まっすぐトランペット | 山村卓也 | 池田和美、秋竹斉一 | |
第十一回 | おかえりオーディション | 雪村愛 | 植野千世子 | |
第十二回 | わたしのユーフォニアム | 三好一郎 | 丸木宣明 | |
最終回 | さよならコンクール | 山田尚子 | 河浪栄作 | 引山佳代、秋竹斉一、瀬崎利恵 |
番外編(未放送) | かけだすモナカ | 小川太一 | 西屋太志 |
第2期
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|
第一回 | まなつのファンファーレ | 石原立也 | 石原立也、藤田春香 | 秋竹斉一、岡村公平、角田有希 |
第二回 | とまどいフルート | 武本康弘 | 石立太一 | 丸木宣明 |
第三回 | なやめるノクターン | 山村卓也 | 池田和美 | |
第四回 | めざめるオーボエ | 小川太一 | 植野千世子、丸木宣明 | |
第五回 | きせきのハーモニー | 三好一郎、石原立也 | 三好一郎 | 明見裕子、角田有希 |
第六回 | あめふりコンダクター | 河浪栄作 | 門脇未来 | |
第七回 | えきびるコンサート | 藤田春香 | 岡村公平、西屋太志 | |
第八回 | かぜひきラプソディー | 北之原孝將 | 角田有希 | |
第九回 | ひびけ!ユーフォニアム | 石立太一 | 高瀬亜貴子 | |
第十回 | ほうかごオブリガート | 山村卓也 | 池田和美 | |
第十一回 | はつこいトランペット | 藤田春香 | 小川太一 | 植野千世子 |
第十二回 | さいごのコンクール | 三好一郎、山田尚子 | 三好一郎 | 明見裕子、丸子達就 |
最終回 | はるさきエピローグ | 石原立也、山田尚子、河浪栄作 | 西屋太志 |
映像特典
巻 | タイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 花火大会キッスへようこそ! | 田中敦子 | 石原立也 | 北之原孝將 | 瀬崎利恵 明見裕子 |
2 | プールへようこそ! | 西屋太志 | |||
3 | メイド服へようこそ! | 瀬崎利恵 | |||
4 | バトル文化祭へようこそ! | 北之原孝將 | 池田晶子 | ||
5 | フライング滝へようこそ! | ||||
6 | 画伯へようこそ! | ||||
7 | 安眠へようこそ! |
劇場アニメ
前述のテレビシリーズの総集編のほか、完全新作映画が2018年と2019年に計2作品公開された。また、中編映画が2023年に公開された。
リズと青い鳥
2018年4月21日公開。オーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美を主人公に、卒業を控えた3年生の二人が「高校最後のコンクール」に挑む青春模様を描く。監督はテレビシリーズでシリーズ演出を務めた山田尚子が担当する。
本作は『響け!ユーフォニアム』の続編でありスピンオフという位置付けではあるが、"1本の独立した映画"としても成立するよう制作されている。
公開までの経緯は以下の通り。
- 2017年
- 6月4日 - 完全新作映画の製作決定が発表。
- 9月30日 - 正式タイトルが『リズと青い鳥』であることと、公開日が2018年4月21日に決定したことが発表。また公式HPが開設され、特報が公開された。
- 12月15日 - 特報第2弾、キービジュアルが公開。脚本に吉田玲子、キャラクターデザインに西屋太志、音楽に牛尾憲輔などスタッフの情報解禁がなされ、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞などを受賞した『映画 聲の形』のメインスタッフが再集結し、制作されることが公表された。
- 2018年
- 2月26日 - 主人公・鎧塚みぞれ役に種﨑敦美、傘木希美役に東山奈央らメインキャストが発表される。
- 3月6日 - 劇中の童話『リズと青い鳥』に登場するキャラクター・リズと少女の二役に本田望結の起用が発表。また、本作の主題歌を京都の4人組バンド・Homecomingsが担当することが公表される。
- 3月9日 - 本予告映像が解禁。
- 4月4日 - 完成披露試写会が丸の内ピカデリーにて行われ、舞台挨拶では鎧塚みぞれ役の種﨑敦美、傘木希美役の東山奈央、リズと少女の二役を演じた本田望結、山田尚子監督が登壇した。
- 6月4日 - 完全新作映画の製作決定が発表。
- 9月30日 - 正式タイトルが『リズと青い鳥』であることと、公開日が2018年4月21日に決定したことが発表。また公式HPが開設され、特報が公開された。
- 12月15日 - 特報第2弾、キービジュアルが公開。脚本に吉田玲子、キャラクターデザインに西屋太志、音楽に牛尾憲輔などスタッフの情報解禁がなされ、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞などを受賞した『映画 聲の形』のメインスタッフが再集結し、制作されることが公表された。
- 2月26日 - 主人公・鎧塚みぞれ役に種﨑敦美、傘木希美役に東山奈央らメインキャストが発表される。
- 3月6日 - 劇中の童話『リズと青い鳥』に登場するキャラクター・リズと少女の二役に本田望結の起用が発表。また、本作の主題歌を京都の4人組バンド・Homecomingsが担当することが公表される。
- 3月9日 - 本予告映像が解禁。
- 4月4日 - 完成披露試写会が丸の内ピカデリーにて行われ、舞台挨拶では鎧塚みぞれ役の種﨑敦美、傘木希美役の東山奈央、リズと少女の二役を演じた本田望結、山田尚子監督が登壇した。
あらすじ(リズと青い鳥)
みぞれと希美にとって最後のコンクールの自由曲が「リズと青い鳥」に決まった。この曲はある絵本を題材にした作品であった。
リズという少女は、ある嵐の夜、自宅の庭に青い鳥が倒れているのを見つける。彼女はその青い鳥を家に匿い、ともに暮らすこととなる。時は経ち、二人は次第に愛し合うようになっていたが、リズは青い鳥を家に留め続けることに迷いを感じていた。そして、ある日リズは青い鳥に自由になるべきだと告げ、その姿を見送る。
この曲の第3楽章にはオーボエとフルートの掛け合いがあり、ある日の朝練にて、二人はそのパートを試しに吹いてみることになる。早く本番を迎えたいと希美が顔を輝かせる一方で、ずっと希美と一緒にいたいと考えているみぞれは「本番なんて、一生来なくていい。」と呟く。
みぞれは卒業後の進路を決め倦ねており、担任に提出する進路希望調査書も白紙で出していた。そんなある日、みぞれは新山に音楽大学のパンフレットを渡され、音大への進学を勧められる。そのことを知った希美は、自分もその大学を受けたいとみぞれに告げる。
オーディションを終え、正式に二人がソロを担当することとなるが、なかなか演奏が噛み合わず、滝や麗奈からも注意を受ける。ソロのある第3楽章は、リズと青い鳥の別れが描かれるパートである。みぞれは青い鳥を希美に重ねており、リズがなぜ青い鳥を逃がしたのかを理解できずにいた。
ある日、希美は新山に、自分も音大を受けるつもりであることを伝える。しかし、応援はされたものの、みぞれのように強く勧誘されることはなかった。その後も、合奏の合間に新山が指導するのはみぞればかりであり、次第に希美はみぞれに嫉妬するようになる。
優子と夏紀も二人の違和感に気づいており、希美と3人きりで話をすることになる。希美はみぞれに対しての劣等感を抱えていること、そして本当に自分が音大に行きたいのか悩んでいることを打ち明ける。
時を同じくして、みぞれは新山にソロの相談をしていた。リズの気持ちが理解できないというみぞれに対し、新山は、もし自分が青い鳥ならどうかと問いかける。愛するリズの願いを受け入れるしかできなかった青い鳥に共感したみぞれは、自分が青い鳥であったことに気づく。
翌日、みぞれは滝に第3楽章の通し練習を提案し、早速始まった練習にて驚くほど成長した演奏を見せる。希美はみぞれの演奏にただただ圧倒され、技術力の差に涙をこぼす。合奏後、生物室にて二人きりになった希美は、みぞれに自虐的な言葉を投げかける。しかしみぞれは希美の言葉を遮り、自分にとって希美は特別な存在であることを伝え、「大好きのハグ」をする。自身の想いを伝えるみぞれに対し、希美は「みぞれのオーボエが好き」と伝え、何かを振り切ったように笑い出す。
希美は音大受験を諦め、普通大学の入試に向けた勉強を始める。ある日の帰り道、希美はみぞれに「私、みぞれのソロ、完璧に支えるから。今は、ちょっと待ってて。」と伝え、みぞれは「私も、オーボエ続ける。」と宣言する。
登場人物(リズと青い鳥)
シリーズに共通して登場する人物は#登場人物を参照。
“リズ” / “少女”
劇中に登場する絵本『リズと青い鳥』の登場人物。
スタッフ(リズと青い鳥)
- 原作 - 武田綾乃(宝島社文庫『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
- 監督 - 山田尚子
- 脚本 - 吉田玲子
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 西屋太志
- 絵コンテ - 山田尚子
- 演出 - 石原立也、武本康弘、山田尚子、小川太一、澤真平
- 美術監督 - 篠原睦雄
- 色彩設計 - 石田奈央美
- 楽器設定 - 髙橋博行
- 撮影監督 - 髙尾一也
- 3D監督 - 梅津哲郎
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - 牛尾憲輔
- 音楽制作 - ランティス
- 音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
- 音楽監修 - 大和田雅洋
- 監修 - 石原立也
- プロデューサー - 大橋永晴、中村伸一、斎藤滋、瀬波里梨、鎗水善史
- 配給 - 松竹
- アニメーション制作 - 京都アニメーション
- 製作 - 『響け!』製作委員会
主題歌(リズと青い鳥)
「Songbirds」
楽曲に込めた思いとして、「"箱庭"での日々やそこに差す西日、箱庭から出て行く季節を意識し、みぞれと希美という、近づいたり離れたりしながら同じ時を過ごす"ふたつの線"を描いた」と述べている。また「京都アニメーションのスタジオ近くを散歩し、そこにある大きな川と小さな橋、そのすぐそばを走る電車、ショッピングモールの立体駐車場、大きな夕日、坂をのぼっていく商店街といった当たり前の風景がとても綺麗で、楽曲を作る上でも大事な要素になった」と語っている。
評価(リズと青い鳥)
毎日新聞は「テレビ版を知らずとも、みずみずしい映像世界に魅了される逸品」「山田監督は多感な少女たちの内なる思いをセリフに頼らず、2人が歩く足元のクローズアップ、髪を払う仕草、視線の交錯とすれ違いなどの繊細な描写で表現」「そこに息づくひそやかなスリルに目を奪われ、切実な感情に胸を打たれずにいられない。そして青春音楽ドラマの定型を破ったこの映画、最後に少女たちが見いだす友情の真理も感動的だ。」と絶賛した。また、産経新聞では 「実写映画に近いカメラアングルなど、作品へのこだわりと熱量を随所に感じる」「独占欲にも似た友情。友人への羨望と、自分への失望。壊れやすい砂糖菓子のような繊細な作風は、合わない人には合わないと思うが、"これは私の話だ"などと心に強く響く人もいる。」とし、4つ星の評価を与えている。
IGN Japanは「日本のアニメのフォーマットにて、記号的なアニメ表現や感情移入表現をほぼ使わないように切り詰めることで繊細な感情表現を実現した一作」「これまで記号的なアニメ表現を避けながら制作されたケースは実写的なアプローチや作画追及的なアプローチだが、感情表現はないがしろにされてきた。それらと比較すると本作の沈黙の奥にある感情表現は例外であり、一見に値する。」と評した。
監督の山田尚子は自身の好きなシーンについて、「もちろんすみからすみまで愛おしいのですが、毎度鑑賞するたびに胸がきゅ…と締め付けられるところがありまして。映画が終わりに向かうシーン、ふたりの少女がそれぞれの目的地に向かって歩いていくところで、ひとりひとりがターンするのですが、そのときに膨らむスカート。希美のスカートが膨らむカットにあてられたピアノの音。落ち着いていて、深く、力強い一音。それがもうたまらなく好きで…。少女の意志! とわたしは感じております。好きが空回りしてうまく言葉にできませんが、この映画のたくさんの音の中でも、特にしびれる一音でありました。」と語っている。
受賞・ノミネート等(リズと青い鳥)
セレモニー | 部門・賞 | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|
第23回サテライト賞 | アニメーション・ミックスメディア映画賞 | Liz and the Blue Bird | ノミネート |
第73回毎日映画コンクール | 大藤信郎賞 | リズと青い鳥 | 受賞 |
第43回報知映画賞 | アニメ作品賞 | リズと青い鳥 | ノミネート |
第3回Crunchyrollアニメアワード | 最優秀映画賞 | リズと青い鳥 | ノミネート |
第22回文化庁メディア芸術祭 | アニメーション部門・審査委員会推薦作品 | リズと青い鳥 | 選定 |
ニュータイプアニメアワード 2017-2018 | 作品賞(劇場上映作品) | リズと青い鳥 | 6位 |
タイアップ・イベント(リズと青い鳥)
京阪電車
東京メトロ
京都府赤十字血液センター
劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜
2019年4月19日公開。「リズと青い鳥」と同時間軸における2年生に進級した久美子たちの物語を、完全新作の映画として制作。監督はシリーズを通して務めてきた石原立也が担当する。
公開までの経緯は以下の通り。
- 2017年
- 6月4日 - 完全新作映画の製作決定が発表
- 2018年
- 9月28日 - 公開日が2019年4月19日に決定したことが発表。特報、新キービジュアルが公開された。
- 6月4日 - 完全新作映画の製作決定が発表
- 9月28日 - 公開日が2019年4月19日に決定したことが発表。特報、新キービジュアルが公開された。
あらすじ(誓いのフィナーレ)
ある夜、久美子は秀一に告白され、二人は交際を始める。
しばらく経ち、3年生が卒業した北宇治高校吹奏楽部は新入生を迎え入れることとなる。新入生が十分に集まるか不安があったが、全国大会出場の効果からかたくさんの新入生が訪れ、低音パートにも久石奏(ユーフォニアム)、鈴木美玲(チューバ)、鈴木さつき(チューバ)、月永求(コントラバス)の4名が入部する。新たな体制となった北宇治高校吹奏楽部に、新部長の優子は「全国大会金賞」の目標を掲げる。また、久美子は加部ちゃん先輩こと加部友恵とともに新入生指導係に就くこととなる。
奏、さつき、求の3人は部内で親しい人間関係を築いている一方で、美玲はあまり馴染めずにいた。そのことを心配した久美子は奏に関係を取り持つように頼むが、あまり上手くいかず、頭を悩ませていた。そんな中開かれたサンフェスの本番直前、美玲はチューバパート内で衝突してしまい、帰ろうとしてしまう。後を追いかけた久美子に美玲は、自分より下手な葉月やさつきばかりが先輩と親しげであることに不満があったと打ち明け、久美子は、みんな美玲と仲良くなりたいと思っていると話す。久美子の説得に応じた美玲は部に戻り、無事にサンフェスでの演奏を成功させる。
サンフェスが終わると、滝より課題曲が「マーチ・スカイブルー・ドリーム」、自由曲が「リズと青い鳥」であると発表され、本格的にコンクールの練習が始まる。久美子は友恵と話す中で、高校から楽器を始めた部員は、それ以前から楽器を始めていた者との技術の差でもがいていることを知る。
県祭りで久美子は秀一とデートをするが、祭りの終わり、キスを迫ってきた秀一を久美子は突き飛ばし、逃げ出してしまう。走っている最中トランペットの音が聞こえ、去年と同じように大吉山に麗奈がいることに気づいた久美子は、山を登り麗奈のもとを訪ねる。将来の話をするなかで麗奈は、いつか久美子と離れてしまう不安を抱えていることを打ち明ける。
数日後、友恵は部員たちに、自身は奏者をやめ、マネージャーとなることを伝える。その後久美子と二人きりになった友恵は、顎関節症を患ってしまったのがトランペットを辞める理由であると明かす。
オーディション当日、奏がわざと下手に吹いている事に気づいた久美子と夏紀はオーディションを中断させ、夏紀は、手を抜いて譲られるくらいならオーディションを受けないと宣言する。しかし奏は中学の頃、先輩を差し置いてコンクールに出場してしまい、さらに結果が振るわなかったことで周囲との関係が悪化した経験があった。その経験から夏紀にコンクールに出てほしいと考えていたが、久美子は必死で頑張ることの意味を伝え、奏は全力でオーディションに臨む決心をする。そして、オーディションの結果は夏紀、久美子、奏の3人共に合格であった。
コンクールの練習が本格化するにつれ、久美子は部活と恋愛の両立に悩むようになる。そして合宿の夜、久美子は部活に集中するため、引退するまで交際を絶ちたいと秀一に話す。秀一も同じことを考えており、久美子の申し出を受け入れる。
関西大会当日、会場にはあすかを始めとしたOGたちが訪れていた。彼女らの応援も受けながら舞台に立ち、見事金賞を受賞するが、惜しくも全国大会に進むことはできなかった。帰りのバスの中、奏は今まで頑張ってきたのが馬鹿みたいだとこぼすが、久美子に悔しいかと尋ねられると「悔しいです、悔しくて死にそうです!」と叫ぶ。
そして3年生が引退し、久美子は新部長に就任する。
スタッフ(誓いのフィナーレ)
- 原作 - 武田綾乃(宝島社文庫『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)
- 監督 - 石原立也
- 脚本 - 花田十輝
- キャラクターデザイン - 池田晶子
- 総作画監督 - 池田晶子、西屋太志
- 絵コンテ - 石原立也
- 演出 - 山田尚子(チーフ)、北之原孝將、武本康弘、小川太一、澤真平、太田稔
- 美術監督 - 篠原睦雄
- 色彩設計 - 竹田明代
- 楽器設定・楽器作画監督 - 高橋博行
- 撮影監督 - 髙尾一也
- 3D監督 - 鵜ノ口穣二
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - 松田彬人
- 音楽制作 - ランティス、ハートカンパニー
- 音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
- 音楽監修 - 大和田雅洋
- 演奏協力 - フレッシュマン・ウインド・オーケストラ
- 配給 - 松竹
- アニメーション制作 - 京都アニメーション
- 製作 - 『響け!』製作委員会
主題歌(誓いのフィナーレ)
「Blast!」
タイアップ(誓いのフィナーレ)
京阪電車
特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜
2023年8月4日公開の中編アニメーション。劇場公開と同日2023年8月4日より上映劇場にて「劇場先行限定版Blu-ray」が販売されている。
本作は京都アニメーション放火殺人事件発生後、初となるシリーズ新作となる。同事件ではキャラクターデザイン・総作画監督の池田晶子や楽器設定・楽器作画監督の髙橋博行など本シリーズの主要スタッフも犠牲となっているが、2名とも引き続きスタッフとしてクレジットされている。
あらすじ(アンサンブルコンテスト)
新部長となった久美子率いる北宇治高校吹奏楽部は、文化祭での演奏を無事に終え、12月に行われるアンサンブルコンテストに向けて動き出していた。アンサンブルコンテストとは3人以上8人以下の少人数編成による演奏を競う大会であり、久美子たちは部の代表となるメンバーを決める必要があった。部員全員が関わってほしいという滝の願いや、ドラムメジャーとなった麗奈、副部長となった秀一の意見も聞き入れたうえで、久美子は演奏会形式のオーディションを開き、投票を「部内投票」「一般投票」の2つに分け、結果が分かれた場合は「部内投票」の結果を優先することに決める。
奏を始めとした部員たちは続々とチームが決まっていく一方で、久美子には一向に声がかからなかった。ようやく麗奈に誘われたものの、悶々とした感情を抱えていた。久美子が入ると決まってからは続々と他のメンバーも決まり、最終的に麗奈、久美子、秀一、葉月に加え、2年生のパーカッション担当井上順菜と釜屋つばめ、2年生のホルン担当森本美千代、1年生のトランペット担当小日向夢の8人で、管打八重奏を行うこととなる。練習が始まってしばらく経ち、久美子は自分が誘われるのが遅かった理由を麗奈に問うと、誘うなら久美子と決めていた、断られたらと思うと怖かったと明かされる。久美子は機嫌を直すが、来年もし自分より上手い人が入ったら、自分は麗奈に選んで貰えるのだろうかとほんの少し不安になる。
今回のオーディションでは部員たちに自由にチームを組ませていたため、数人の部員がチームを組めずにあぶれてしまい、久美子はその子達の対処に頭を悩ませていた。そんな中、推薦入学という形で大学受験を終えた優子たちが部室を訪れ、優子、夏紀、希美の3人がサポートメンバーとなり、あぶれてしまった子らとチームを組むことが決まる。
練習が進むにつれ、コンクール参加経験のないつばめ、葉月の技術不足が目立つようになり、特につばめは自信を無くし始めているようだった。久美子は休日に3人だけの練習を行い、それぞれに的確なアドバイスを行う。元から技術力は高く、その上で自信が生まれたつばめの演奏は劇的に変化し、その変化は葉月の演奏にも良い影響を与える。
オーディションでは、久美子たちのチームは一般投票では1位を取ったものの、部内投票では票を得られず、アンサンブルコンテストに出ることは叶わなかった。数日後、代表となったチームが関西大会への出場を決めたという知らせを聞き悔しさを滲ませるが、気持ちを切り替え、来年の全国大会金賞への決意を新たにする。
スタッフ(アンサンブルコンテスト)
- 原作 - 武田綾乃(宝島社文庫『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』)
- 監督 - 石原立也
- 副監督 - 小川太一
- 脚本 - 花田十輝
- キャラクターデザイン - 池田晶子
- 総作画監督 - 池田和美
- 楽器設定 - 髙橋博行
- 楽器作画監督 - 太田稔
- 美術監督 - 篠原睦雄
- 3D美術 - 鵜ノ口穣二
- 色彩設計 - 竹田明代
- 撮影監督 - 髙尾一也
- 3D監督 - 冨板紀宏
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - 松田彬人
- 音楽制作 - ランティス、ハートカンパニー
- 音楽協力 - 洗足学園音楽大学
- 演奏協力 - プログレッシブ!ウインド・オーケストラ
- 吹奏楽監修 - 大和田雅洋
- アニメーション制作 - 京都アニメーション
- 製作 - 『響け!』製作委員会
- 配給 - 松竹ODS事業室
主題歌(アンサンブルコンテスト)
「アンサンブル」
イベント
スペシャルトークイベント〜宇治でお祭りフェスティバル〜
スペシャルトークイベント〜今年も!宇治でお祭りフェスティバル〜
公式吹奏楽コンサート〜北宇治高校吹奏楽部 第1回定期演奏会〜
テレビシリーズにて、実際の演奏を担当している洗足学園音楽大学のフレッシュマン・ウィンド・アンサンブルによる、シリーズ楽曲が演奏されるコンサート。
『響け!ユーフォニアム2』スペシャルイベント
スペシャルトークイベント〜1・2年生合同!宇治でお祭りフェスティバル〜
公式吹奏楽コンサート〜北宇治高校吹奏楽部 第2回定期演奏会〜
スペシャルトークイベント『響け!ユーフォニアム』4回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル
公式吹奏楽コンサート〜北宇治高校吹奏楽部 第3回定期演奏会〜
「響け!ユーフォニアム」5回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル
公式吹奏楽コンサート 〜北宇治高校吹奏楽部 第4回定期演奏会〜
"宇治市×響け!ユーフォニアム" 宇治ウィンターフェスタ
また、2021年2月19日より、サウンドフェスタの動画を配信中。
公式吹奏楽コンサート 〜北宇治高校吹奏楽部 第5回定期演奏会 5周年記念公演〜
公式吹奏楽コンサート 〜北宇治高校吹奏楽部 第6回定期演奏会〜
「響け!ユーフォニアム」6回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル
『響け!ユーフォニアム』公式吹奏楽コンサート 〜北宇治高校吹奏楽部 サマーコンサート〜
「響け!ユーフォニアム」7回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル
『響け!ユーフォニアム』第7回定期演奏会
『響け!ユーフォニアム』今度こそ!7回目だよ!宇治でお祭りフェスティバル
参考文献
- 「Megami MAGAZINE 別冊」『メガミマガジンSpecial!』2015年09月号、学研パブリッシング、2015年、ASIN B00ZGBYD4W、2015年9月18日閲覧。
- 藤津亮太『ぼくらがアニメを見る理由 2010年代アニメ時評』フィルムアート社、2019年8月25日。ISBN 978-4-8459-1836-2。