風の市兵衛
以下はWikipediaより引用
要約
『風の市兵衛』(かぜのいちべえ)は、辻堂魁による日本の長編時代小説シリーズ。祥伝社文庫からの文庫書き下ろしにより、2010年から2017年まで全20巻が刊行された。第5回(2016年)歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞受賞作。新シリーズ『風の市兵衛 弐』(かぜのいちべえ に)』が2018年から刊行されている。既刊6巻。
厳しい剣の修行を積んだ秘剣「風の剣」の遣い手で、大坂で算盤と商いを学び「算盤侍」と称される渡り用人・唐木市兵衛を主人公に、武家や商家の生計の立て直しを生業とする中で口入れ屋・矢藤太から持ち込まれる面倒事を懸命に解決していく姿を描く。
『そろばん侍 風の市兵衛』(そろばんさむらい かぜのいちべえ)と題し、2018年5月にNHK総合テレビ「土曜時代ドラマ」にて向井理主演によりテレビドラマ化された。
あらすじ
登場人物
主な登場人物
唐木 市兵衛(からき いちべえ)
主人公。38歳の浪人。口入れ屋「宰領屋」の紹介で、渡りの用人として一時的に武家や商家に雇われ、算盤の特技を生かして家政を切り盛りする。そのため、算盤侍、あるいは青侍と呼ばれる。一方で、剣の腕も凄まじく、任務中に遭遇する様々な危難を秘剣「風の剣」で切り抜ける。
出自は、幕府の十人目付筆頭、片岡賢斎(けんさい)の末息子、才蔵(さいぞう)。賢斎と、片岡家に仕える足軽唐木忠左衛門(ちゅうざえもん)の娘市枝(いちえ)との間に生まれた、いわゆる妾腹である。母は、市兵衛を産んですぐに亡くなったが、父にはかわいがられた。異母兄姉には長兄信正の他、10以上歳の離れた次兄の重文(しげふみ)と姉の千絵(ちえ)がいて2人にもかわいがられたが、そうでもなかった信正を幼い才蔵は最も慕っていた。
13歳で父を亡くしたことがきっかけで、祖父に願って元服し、片岡家を出奔。以来、足軽の子、唐木市兵衛を名乗る。
その後、18歳まで南都興福寺で剣の修行に励んだ。「風の剣」について、久しぶりに再会した兄信正に語ったところによると、「激しく強く斬れば斬るほどに激しく強い風に打たれます。また、風は斬っても斬れません。だから己が風とともに動けば風に打たれぬし、斬られはせぬ」と説明している。同時に、それは言葉の綾であり、心得程度のものだとも語った。
興福寺を離れてからは、大坂の米問屋に3年、仲買問屋に1年、灘の醸造業者の元に半年、堺の豪商の元に1年半寄寓し、さらに京で貧乏公家の家宰となるなど、経済に関する経験を積んだ。また、河内の豪商の元にも1年住み込んで米作りをひと通り経験している。なお、京では女衒だった矢藤太と出会い、徒党を組んで放蕩に耽り無頼の生活も経験している。その後、数年間諸国を放浪した。
風貌については、作中「5尺7寸(約1.72メートル)ほどの上背に一見痩躯で、鮮やかな総髪を麻の元結で束ねて、頭に一文字の髷を結っていた」「目尻の尖った奥二重の目付きの鋭さを、下がり気味の濃い眉が和らげ、ひょろりと痩せた風貌は、侍らしい腕っ節の強さや厳めしさを全く感じさせない」と評されている。
現在、雉子町の八郎店に住まう。ずっと独身だが、若い頃に京で仕えた公家の娘お吹(おすい)が旗本に嫁いで後に産んだ節子(せつこ)は、実は市兵衞の娘であることが示唆されている。
渋井 鬼三次(しぶい きさじ)
助弥(すけや)
矢藤太(やとうた)
片岡 信正(かたおか のぶまさ)
返 弥陀ノ介(かえり みだのすけ)
佐波(さなみ)
柳井宗秀(やない そうしゅう)
柳町に診療所を構える、腕のいい外科の蘭方医。41歳。市兵衛が大阪の商人に寄寓していたときに知り合った。私娼窟の女郎らを患者に多く抱え、貧しい庶民からは薬料も取らずに診察するし、往診にも出かける医療一筋の男だが、酒好きなのが玉に瑕。飲み仲間の渋井からは「おらんだ」と呼ばれている。
出自は信濃国下伊那の柳井村の紙漉き業者忠司(ちゅうじ)の息子、宗助(そうすけ)。16歳の時、学力優秀を見込まれて典医菅沼平左衛門(すがぬまへいざえもん)の養子となり、長崎に留学して医学を修める。その後、25歳まで大阪で修行の後に下伊那に戻り、典医となった。その1年後に平左衛門の娘千野(ちの)と結婚して、やがて一子をもうけた。しかし、実父が一揆に加わったために藩内で風当たりが強くなり、離縁となって下伊那を離れた。
現在は一人暮らし。通いの杵(きね)というばあさんが下女に雇われ、宗秀や患者の世話をしている。
喜楽亭(きらくてい)のおやじ
深川堀川町にある小さな一膳飯屋「喜楽亭」の亭主で、客にはおやじと呼ばれている。59歳。煮物が絶品。渋井と助弥、宗秀、そして市兵衛はここの常連。
12歳の時に越後から江戸に出てきて、あちこちの店で料理人として働いた後、35歳の春に喜楽亭を開業した。そして、通いの奉公人として雇ったお滝(おたき)と懇ろになって婚姻、3歳だった連れ子の勘平(かんぺい)も引き取った。しかし、間もなくお滝は男を作り、勘平を残し店の金を持ち出して駆け落ちした。その勘平もやがてぐれてしまい、15歳の時に家出し、盗賊仲間に加わって10年後に非業の死を遂げた。
店は亭主一人が切り盛りしているが、痩せ犬の居候(いそうろう)が無愛想な亭主の代わりに客に愛想を振りまく。
各巻の登場人物
書誌情報
風の市兵衛
風の市兵衛 弐
テレビドラマ
『そろばん侍 風の市兵衛』(そろばんさむらい かぜのいちべえ)と題し、NHK総合「土曜時代ドラマ」枠で2018年5月19日から7月21日まで放送された。連続9回で、3回を1部とした3部構成となる。
続編『そろばん侍 風の市兵衛SP〜天空の鷹〜』(そろばんさむらい かぜのいちべえSP てんくうのたか)がNHK総合およびNHK BS4Kの「正月時代劇」枠で2020年1月3日の21時から22時30分に放送された。
キャスト
共通
- 唐木市兵衛(からき いちべえ) - 向井理
- 渋井鬼三次(しぶい きさじ) - 原田泰造
- 返弥陀ノ介(かえり みだのすけ) - 加治将樹
- 佐波(さなみ) - 橋本マナミ
- 助弥(すけや) - 内野謙太
- 矢藤太(やとうた) - 渡辺いっけい
- 片岡信正(かたおか のぶまさ) - 筒井道隆
土曜時代ドラマ
- 青(せい) - 山本千尋
- 柳井宗秀 - 大村波彦
ゲスト
第1部「春の風」
主要人物
第2部「雷神」
主要人物
第3部「帰り船」
主要人物
主要人物
その他
主要人物
その他
スタッフ
- 原作 - 辻堂魁『風の市兵衛』(第1部)、『雷神』(第2部)、『帰り船』(第3部)、『天空の鷹』(正月時代劇)
- 脚本 - 池端俊策(第1部)、小松與志子(第2部)、森岡利行(第3部)、宮村優子(正月時代劇)
- 音楽 - 丸山和範
- 題字 - 涼風花
- 演出 - 榎戸崇泰(土曜時代ドラマ)、中島由貴(NHKエンタープライズ)(土曜時代ドラマ)、清水一彦(正月時代劇)
- 制作統括 - 陸田元一(NHKエンタープライズ)、土屋勝裕(NHK)(土曜時代ドラマ)、吉永証(NHK)(正月時代劇)
- 制作 - NHKエンタープライズ
- 制作・著作 - NHK
放送日程
部 | 放送回 | 放送日 | サブタイトル | 原作 | 脚本 | 演出 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1部「春の風」 | 第1回 | 5月19日 | 「春の風」(上) | 『風の市兵衛』 | 池端俊策 | 榎戸崇泰 |
第2回 | 5月26日 | 「春の風」(中) | ||||
第3回 | 6月 | 2日「春の風」(下) | ||||
第2部「雷神」 | 第4回 | 6月16日 | 「雷神」(上) | 『雷神』 | 小松與志子 | 中島由貴 |
第5回 | 6月23日 | 「雷神」(中) | ||||
第6回 | 6月30日 | 「雷神」(下) | ||||
第3部「帰り船」 | 第7回 | 7月 | 7日「帰り船」(上) | 『帰り船』 | 森岡利行 | 榎戸崇泰 |
第8回 | 7月14日 | 「帰り船」(中) | ||||
最終回 | 7月21日 | 「帰り船」(下) |
- 6月9日は放送休止。
- 第8回は2分遅れで放送(18:07 - 18:45)。
NHK総合 土曜時代ドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
アシガール
(2017.9.23 - 12.16) |
そろばん侍 風の市兵衛
(2018.5.19 - 7.21) |
赤ひげ
(2018.9.1 - 10.20) |
1990年代 |
|
---|---|
2000年代 |
|
2010年代 |
|
2020年代 |
|