食糧人類-Starving Anonymous-
以下はWikipediaより引用
要約
『食糧人類-Starving Anonymous-』(しょくりょうじんるい -スタービング・アノニマス-)は、原案:水谷健吾、原作:蔵石ユウ、作画:イナベカズによる日本の漫画作品。『ヤングマガジン海賊版』(講談社)で、原案:水谷健吾、漫画:Kamaroによる『食糧人類』を連載。同サイトが『eヤングマガジン』(同)にリニューアル創刊となり、『eヤングマガジン』にて蔵石の原作、イナベの作画に変更し、『食糧人類-Starving Anonymous-』として2016年9月20日から2018年11月5日まで連載された。
『コミックDAYS』(同)にて続編となる『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』(しょくりょうじんるいり -スタービング・リ・ベレーション-)が2021年4月8日より連載されている。2021年4月時点で累計発行部数は315万部を突破している。
あらすじ
本編:食糧人類
地球温暖化が深刻化した現代日本。3月にも関わらず真夏のような装いを見せていた。
画家志望の男子高校生の伊江と友人のカズは帰宅中に誘拐される。目を覚ました伊江が目の当たりにしたものは丸々と肥え太った人間とそれを解体する職員だった。伊江は人間の飼育場で出会った山引、ナツネとともに異様な施設からの脱出を試る。
続編:食糧人類Re
世界観・用語解説
異星の巨大生物(仮称) / 天人(あまひと)
かつては地球と似た環境の惑星でその高い知能によって高度な文明を築いていたが、知能の高さによるエネルギー消費が激しくわずかな時間でも食糧が断たれると共喰いを始めてしまうほどの飢餓状態になり、また生物として自制する事をしなかったために母星を食い尽くしてしまった。その後、自分達の種が存続するために宇宙に飛び立ち、その過程で地球を発見する。地球内の生態を調査する中、残虐性を持つチンパンジーを見つけ、彼らを「星の王」とすべく、自らの技術を用いてヒトに進化させた。人間社会の裏で暗躍していたが、最後はナツネと山引によってプリオン病を誘発させられ壊滅状態に追い込まれた。
続編『Re』では前作の騒動の生き残りが「プランB」として、力による支配ではなく人類自らが服従する世界にするため、人類の中枢から長い年月をかけて文化や価値観を変化させ、自身たちを「天人」として敬うよう人類を洗脳し、頂上捕食者として君臨している。そのため、人類のほとんどは彼らを「天人様」として崇拝の対象としている。前作と比べると人類に近い二足歩行の姿をしているが、大きく張り出した眼球や左右に開く口など頭部には前作の面影を残している。奇声を発するのみで言語が存在するかは不明。人類に対しては前作と同様に手当たり次第貪る行動を起こす上、空気を送り込み破裂させて弄ぶ等、より残虐な性格となっている。
クイーン
本来はクイーン以外にも繁殖能力があるが、かつて種として増えすぎた末に母星を食い尽くしてしまった過去を反省し、繁殖能力を自身のみに抑える事で種としての繁栄をあえて抑制することで人類と共存しようとしていた。
ゆりかご
生殖種(せいしょくしゅ)
男女それぞれが興奮剤や催淫剤などの薬物を投与することで24時間発情させられ、半永久的に子作りをさせられている。
また女の「生殖種」は媚薬の他にも排卵誘発剤を多用されている。
その効果は凄まじく一度に三つ子、四つ子は当たり前に出産し、優秀な「生殖種」だとひとりで何十人も産むこともある。
従業員の「茹で卵からヒヨコは孵らない」という言葉の通り、薬漬けとなった彼らを救う手立てはなく、最期は廃人となって廃棄されるという残酷な末路が待っている。
増殖種(ぞうしょくしゅ)
巨大生物たちの無限とも言える要求を打開すべく、ゆりかごの開発によって生み出された。本編の作中ではナツネが完全体として誕生している。
夕凪の会(ゆうなぎのかい)
大粛清(だいしゅくせい)
真の平和時代(しんのへいわじだい)
覚醒者(かくせいしゃ)
宮廷庁(きゅうていちょう)
丙種(へいしゅ)、乙種(おつしゅ)、甲種(こうしゅ)
りんどう62高校(りんどうろくじゅうにこうこう)
禊の日(みそぎのひ)
再教育プログラム
登場人物
本編の主要人物
伊江(いえ)
本編の主人公。画家を目指しており、画力をはじめ自分が見たものを瞬時に記憶し、物や風景を描く瞬間記憶能力を持つ。
普段は内向的かつ気弱な性格でナツネや小倉に言われるがままであることがほとんどだが、その記憶力を活かし機転を利かせて迫り来る追跡者に立ち向かうなど勇敢な面もある。
ナツネ達によって巨大生物が壊滅したことでゆりかごから生還する。その後は高校へは復帰せずカズと共同生活を送っていたが、ゆりかごに残ったナツネの事を忘れることができず単身ゆりかご跡地へ向かい掘削作業を行う。意識朦朧状態の中、夢と現実の狭間でナツネと山引に再会する。巨大生物壊滅の真相を聞かされた後「一緒に帰ろう」と提案するも断られ、ナツネから再会の言葉と別れを告げられ日常生活へと戻っていった。
カズ
ナツネ
本編のキーマンの1人。人間飼育場の中で出会った黒髪の青年。後述の特殊な出生と経歴のため言葉によるコミュニケーション能力が低く、目的のためなら暴力を振るうことも辞さないなど乱暴な言動が目立つ。しかし壮絶な末路が待つ生殖種に対して哀れみを見せ、不器用ながらも伊江と交流しようとするなど人間として真っ当な感情を持っている。
実は、施設の医療部が巨大生物に対する食糧の安定供給のために開発していた増殖種の被験体である女性の子供であり、完全体の増殖種。そのため中枢神経を損傷しない限り体のあらゆる部位が欠損しても再生する能力を持ち、文字通り肉を切らせて骨を断つ戦法で戦う。また通常の人間に比べて成長速度も速く、実年齢は6歳。不完全体であった母親は死亡し、自身を生み出したゆりかごに対して復讐のために戦う。
施設から脱出しようとする伊江とカズ、小倉と別れて山引と同行するが、伊江達が夕凪の会に捕まった事を知ると駆けつけて助ける。その直後、停電が起き、和泉に呼び出される形で所長室に乗り込むが、和泉にショットガンで頭を吹き飛ばされ絶命する。しかし、山引がナツネの脳を体内に取り込んだことで背中から飛び出して復活を遂げた。巨大生物との決着をつけるべく山引に自らの体を齧らせ、数多くのクローンを作り上げ、クローン達と共にゆりかご内に留まり半永久的に喰われ続けることでプリオン病を誘発させ巨大生物を壊滅させた。その後は自身を助けに来た伊江と再会し「一緒に帰ろう」という誘いを断り再会の言葉を告げてどこかへ去っていった。
山引(やまびき)
本編のキーマンの1人。ナツネと同行している中性的な青年。あらゆる不思議な物が大好きな知的好奇心を持つ。また男女問わず性的欲求を覚えるバイセクシャルかつ貞操観念も低く、様々な場面で性的興奮を催す変人。しかしその見た目や言動による雰囲気から意図せずとも周囲の者を惹き込み味方にしてしまう謎の人間的魅力を持つ。
かつては桐生が教授を務める研究室の研究生で、その奇抜な発想によって遺伝子学において新発見を繰り返すなど天才的な才能を見せていた。しかし人間の遺伝子を利用して人造生物を作るなどの禁忌を犯したことや前述の人間性を危険視した桐生の罠によって事故に見せかけ致死量の放射線を浴びせられる。自身に種々雑多な生物の遺伝子を移植することで破壊された細胞を補っており、それを知った自身に傾倒していた桐生の一人娘・有希も後を追って放射線を浴びた結果、最終的には有希のみ小型猿と人間を融合したような姿にしてしまった。
巨大生物を根絶させる一手としてナツネのクローンを作り出し延々と喰わせることでプリオン病を誘発させる策をナツネに提案し実行に移す。ナツネの細胞を直接採り込むことで自身の体を媒介に大量のクローンを作り出すが、やがて体の全てがナツネのクローンへと分裂し消滅してしまった。その後はナツネたちを助けに来た伊江と再会し、巨大生物壊滅の真相を伊江に語った後、ナツネと共にどこかへ去っていった。
小倉 年雄(おぐら としお)
施設の天井裏に隠れている男性。浮浪者と思わせる容貌をしている。伊江たちからは「オグっちゃん」と呼ばれている。
元はゆりかごの機密を暴くために職員として潜入したルポライターであったが、巨大生物に人間たちが平然と捕食されていく異常な光景を見たことでその場から逃げ出し、以降は脱出することもできずに天井裏に潜伏していた。施設からの脱出は叶わず天井裏を拠点として長年に渡り潜伏を続けているが、それゆえに施設内の機密情報や構造などを知り尽くしている。しかしあまりにも孤独な時間を過ごしたことで性格はやや歪んでおり、絵で描いた女性を裕子と呼び、あたかも存在するかのように接する。
ナツネ達によって巨大生物が壊滅したことで伊江、カズと共にゆりかごから生還する。その後はゆりかご内での出来事を書籍で出版しベストセラー作家となった。
施設の職員
和泉 新太郎(いずみ しんたろう)
ゆりかごの所長を務める青年。人間を食糧として提供することを受け入れつつ、それ以上の犠牲を望んでいない温情的な性格。
巨大生物に食糧として人間を提供しなければならない施設の所長としてそのことを必要な犠牲と受け入れつつも、部下や一般従業員が無暗に犠牲になることは望んでおらず、従業員に対しても毅然かつ公正な態度で接するなど所長としての責任感を持ち合わせている。施設内の治安を乱す伊江たちを捕らえるため夕凪の会を招集するなどさまざまな策を弄するが、それらの姿勢は全て仮の姿であり本心では施設内の巨大生物を駆逐すべく虎視眈々と機会を伺っていた。
巨大生物を施設地下へと閉じ込め食糧を断つことで共喰いさせ自滅による根絶を計画する。新太郎の計画通り事は進むがあと一歩のところでクイーンに操られた花島に妨害され、自身も包丁で滅多刺しにされ死亡した。
花島
ゆりかごの副所長。和泉同様、人間を食糧として提供することを受け入れつつ、それ以上の犠牲を望んでいない温情的な性格をしており、和泉の思考に賛同している。
巨大生物の一体がナツネに殺されたことによる粛清として一般従業員達から犠牲を出さなければならない事態となった際は大粒の涙を流しながら一般従業員たちに発表した。一方で夕凪の会や桐生に対してはあまりにも非人道的な組織であることから毛嫌いしている。
新太郎による巨大生物を根絶させる計画の最中にクイーンの触手による侵食を受け新太郎を殺害し、施設の扉を開け飢餓状態の巨大生物達を地上へと開放してしまう。その後はクイーンの代弁者として操られ、巨大生物たちの正体と目的を語った。
和泉 純一(いずみ じゅんいち)
夕凪の会の関係者
桐生 龍三(きりゅう りゅうぞう)
夕凪の会の会長。施設内で逃亡などのトラブルを起こした者を構成員に引き込み、自ら人体改造を行うマッドサイエンティスト。人道主義者を自称し、施設内では銃火器の所持が禁止されているからこそ人体改造による肉体の強化の正当性を主張する。
過去には大学の教授を務め遺伝子学の研究をしており、山引とはそこの研究生という関係であった。山引の数々の発見を自身の成果として発表することで名声を得ていたが、やがて自身の手に余るようになり事故に見せかけて殺害を試みる。しかし山引の奇抜な発想によって生き延びてしまい、また自身の策略とはいえ山引に傾倒していた娘の夕希も結果的に原猿の遺伝子を取り込み、ほぼ小型猿の姿になってしまったことで圧倒的な敗北感を味わわされ、その後ゆりかごの施設に拾われる形で研究者となった。
脱出しようとした伊江たちを捕え改造手術を行おうとするも直前にナツネたちによって阻止される。さらに自身のコンプレックスであった山引との再会で小心者としての本性をさらけ出し、構成員達にも罵声を浴びせたことで逆上した構成員達によって文字通り八つ裂きにされて死亡した。
本編におけるその他の人物
桐生 有希(きりゅう ゆうき)
山崎 さおり(やまざき さおり)
元職員達の3人
西島(にしじま)
続編『Re』の主要人物
天沢 大輝(あまざわ ひろき)
蓮沼 柚(はすぬま ゆず)
帆秋 二三麿(ほあき ふみまろ)
続編『Re』のキーマンの1人。心身ともに不気味な雰囲気を漂わせており、破天荒な言動を見せる。また、顔に深い傷跡を負っており、それを隠すために包帯を巻いている。「真の平和時代」の真実を知っている覚醒者であり、失伝した火薬の技術を習得している。万智音とは利害の一致で手を組んでいるが、彼との意見の食い違いにより一触即発になることもある。
幼少期は病弱体質で両親に認められようと努力するが身体能力は向上せず、最終的に見捨てられ山奥へ捨てられてしまう。その事から精神を破綻してしまい、今ある世界を崩壊させようと現在のような性格となった。
続編『Re』における新世代の増殖種。前作のナツネと同様、体をどれほど欠損しても絶命せず再生させる能力を持つ。かつて捨てられた山奥の洞穴でベニクラゲの姿となっていたナツネと山引に出会い、彼らと融合すると同時に世界に関する知識と増殖種としての能力を受け継いだ。りんどう高校での「禊の日」では、拳銃を使用し市民を圧倒。また、自身の切られた体を利用し、相手を殺害するなど大胆な戦法も行う。桐山によって切断された下半身から、上記にある通りナツネと山引を召喚。そこに関しては彼自身も詳しくはわかっていない。
榊 万智音(さかき まちね)
ナツネ
宮廷庁の関係者
辻(つじ)
宮廷庁の管理者を務める壮年の男性。万智音の元師匠兼宿敵にあたる人物。くないによる攻撃を含む武術の他、驚異的な聴力と視力をもつ。また、極細の針を首裏の神経に打ち込み相手の行動を操ることが可能。
覚醒者となった万智音を宮廷庁へ告発し追放した張本人。普段は軽薄な人物を装っているが、いざとなれば部下をいとも簡単に見捨て、自身の手を使わずに部下を操って戦わせるなど、冷酷非道な本性を見せる。
かつては警察における総監の地位にいた人物。一方で息子の博史が反社会勢力(現在の世界に疑問を抱く者たち)の一人であり、天人に献上されるはずだった子供を匿っていたことが宮廷庁に露見したことで息子共々逮捕され、自身は「再教育プログラム」を受け一時廃人のようになってしまい、また息子の博史も醜悪な姿にされた事から現体制の根本からの転覆を目指すようになった。
桐山(きりやま)
桜 みく(さくら - )
続編『Re』におけるその他の人物
2年C組の先生
天沢の母
柊木(ひいらぎ)
校長
安田(やすだ)
辻 博史(つじ ひろふみ)
橘(たちばな)
書誌情報
- 水谷健吾(原案) ・ 蔵石ユウ(原作) ・ イナベカズ(作画) 『食糧人類-Starving Anonymous-』 講談社〈ヤングマガジンコミックス〉、全7巻
- 2016年9月20日発売、ISBN 978-4-06-382855-9
- 2017年3月17日発売、ISBN 978-4-06-382941-9
- 2017年6月20日発売、ISBN 978-4-06-382985-3
- 2017年11月20日発売、ISBN 978-4-06-510305-0
- 2018年4月20日発売、ISBN 978-4-06-511264-9
- 2018年9月20日発売、ISBN 978-4-06-512702-5
- 2019年2月20日発売、ISBN 978-4-06-512702-5
- 水谷健吾(原案) ・ 蔵石ユウ(原作) ・ イナベカズ(作画) 『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』 講談社〈モーニングKC〉、既刊7巻(2023年7月12日現在)
- 2021年9月8日発売、ISBN 978-4-06-524869-0
- 2022年1月12日発売、ISBN 978-4-06-526537-6
- 2022年4月13日発売、ISBN 978-4-06-527396-8
- 2022年9月14日発売、ISBN 978-4-06-529220-4
- 2023年2月8日発売、ISBN 978-4-06-530635-2
- 2023年4月12日発売、ISBN 978-4-06-531335-0
- 2023年7月12日発売、ISBN 978-4-06-532413-4