鬼斬り十蔵
以下はWikipediaより引用
要約
『鬼斬り十蔵』(おにきりじゅうぞう)は、せがわまさきによる日本の漫画作品。『ヤングマガジンアッパーズ』(講談社)にて1998年1号から2000年16号まで連載。作者の初長期連載作品となる。単行本は全4巻。2003年にアッパーズKCから新装版が発売された。英題は「EYE OF THE DOG, JYUZO」。
あらすじ
平安の世、大陰陽師安倍晴明に術比べで敗れた外道法師蘆屋道満は、晴明に対する呪いの言葉を吐きながら「鬼込の太刀」に封印されてしまう。それから800年余りが過ぎた時代。妄執に取り付かれて鬼と化した道満は、晴明の子孫である源蔵の体を乗っ取り現世に蘇り、源蔵の妹香奈瑚の魂を奪って晴明への復讐を企む。香奈瑚の体に封じられてしまった源蔵、愛憎の狭間で揺れ動きながら道満を追う妖狐尾咲、そして許婚である香奈瑚を救うべく奔走する剣士十蔵。それぞれの思惑は複雑に絡み合うが、それらは全て晴明の恐るべき計画の歯車でしかなかった。
登場人物
主要人物
腕 十蔵(かいな じゅうぞう)
主人公。源蔵の腹違いの弟で腕家の次男。香奈瑚とは許婚の間柄。恵まれた体格と人間離れした身体能力を持ち、闇魔流剣術を操る凄腕の剣士。無骨ながら礼儀は正しく、他者を守るためなら自らを省みない自己犠牲の精神と克己心を持つ。しかし敵と相対したときは表情が一変し、問答無用で切り捨てる猛進ぶりを見せる。
体内に狗神ゴウザを宿しており右目は異形。そのため戦闘中以外は右目を閉じているが、ゴウザに体を渡すと逆に左目が潰れる。またこのときは口元や髪型にもゴウザの影響が現われ、見た目はほぼ別人といった風体に変化する。
道満に奪われた源蔵の体と香奈瑚の魂を追っていく内に生死の境を幾度も彷徨い、その中で明鏡止水の境地に至り闇魔流剣術を完全に己のものとする。
腕 源蔵(かいな げんぞう)
腕家の長男で母親は妾であった葛葉。十蔵とは腹違い、香奈瑚とは種違いの兄。武家の長男だが遊び人気質で、柄の悪い連中と付き合い借金も抱えている。父親にも勘当されており家督は他家から来た養子が継いでいる。十蔵に頼りきっており自らが動くことはあまりないが、それは誰よりも十蔵を信頼している証でもある。わがままで自己中心的な軽口吐き、さらにトラブルメーカーな面もあるが、持ち前の明るさと時折見せる懐の深さなどでどこか憎めない人物。
自らの過ちで道満を復活させてしまった上に自分の体を奪われたため、その野望を食い止めるために旅に出ることになる。尾咲とは当初いがみ合ってはいたが、お互いの心情を吐露しあう内に次第に情を深めていった。
九曜 香奈瑚(くよう かなこ)
尾咲(おさき)
蘆屋道満(あしや どうまん)
安倍晴明(あべの せいめい)
平安時代に生き、多くの式神を使役し様々な術を作り出した大陰陽師。数百年後の未来までをも見通し、人の運命を自在に操る。物語の根幹をなす最重要人物であり、全ての元凶とも言える。性格は傲岸不遜。
道満の行動については生まれた直後から術比べに至るまでの経緯、さらには数百年後に復活してさらに自分への復讐を企てるであろうことまで全て思惑通りであり、道満の飽くなき執念と術者としての才能を利用して、後の世に転生するという野望を達成する。しかし唯一十蔵の運命だけは読み取ることができず、それが原因で計画は最後に頓挫する。
実は平安時代の晴明自体が既に一度転生した姿であり、その前世は始皇帝の命令で不老不死の法を探していた道士徐福である。不老不死を求めて様々な人体実験を繰り返しており、妖狐、烏天狗などはその際の失敗作。始皇帝への恐怖心に駆られながら実験にいそしむが、ついに目的を果たすことなく病没。その後、偶然安倍晴明として転生したことで「転生による魂の永続こそが不老不死の一つの解答である」という結論に至った。
まだ乳飲み子の道満に、かつて恐怖の対象であった始皇帝と同じ相を見たためたじろいでしまい、それが許せず半ば八つ当たりの様な形で生活続命法のための手駒にすることを企む。
その他の人物
九曜 葛葉(くよう くずは)
悪路(あくろ)
腕 惣右衛門(かいな そうえもん)
津十女(つとめ)
蘆屋 清太(あしや きよふと)
九曜 小鳥(くよう ことり)
朱尾(あけび)
式神、妖怪など
ゴウザ
十蔵の体に宿る狗神。十蔵が呼びかけたときやゴウザの感情が昂ぶったときに表に現われる。どもった喋り方が特徴。十蔵のことをいたく気に入っており、狗神に憑依されている限り宿主は子供を作ることができないため、いずれ十蔵のために死んでやろうとさえ思っている。
元は2000年以上前に晴明(徐福)の護衛のために作られた狗神で、道満や尾咲とも関わり合いがある。平安時代以降は晴明の「好きに生きよ」という命令(裏を返せば「けして死んではならない」という呪い)に忠実に従い彷徨っていた。その後武蔵坊弁慶や柳生十兵衛に取り憑いていたこともあり、義経の遺髪を届けたのが縁で多々朗太の知己になる。犬の本性から誰かに仕えることを好み、情に篤くまた激しやすい。
多々朗太(たたろうた)
小縷羽(おるう)
狸庵(まみあん)
遮那王(しゃなおう)
ザムザ
人首丸(ひとかべまる)
晴明が彦丸に命じて作らせた鬼の人形。頭部には人間の遺体が用いられており、術をかけた猿轡を噛ませる事によってその魂を縛り付け、主の命令に忠実に従う自動人形としている。晴明が作った実験生物達の墓場を守るように配置され、近づく者を切り殺すように命令されていた。それと同時に自分の名前を呼んだ者に付き従うという命令も受けており、仕掛けを解いて人首丸の名前を呼んだ道満の従者となる。人形であるため「気」を読まれることはない上に腹を切られようと腕を落とされようと意に介さず、また人間には真似できない奇抜な動きで剣を振るう。さらに強い自己修復能力まで備える強敵。
その頭部には悪路の遺体が用いられており、猿轡が破壊されたことにより兄弟は800年ぶりに再会を果たす。その後は亡霊となって道満を守護した。
用語
金烏玉兎集(きんうぎょくとしゅう)
というのが表向きの言い伝え。これは道満を騙すための方便であり、本物の裏三巻は九曜の娘の体内奥底に言霊として封印されている。娘を身ごもると同時に継承され、母親の体からは消失する。そのため実体は存在せず、継承者も既に葛葉から香奈瑚へと移っている。この事実を知るのは葛葉とゴウザ、十蔵のみ。
生活続命法(しょうかつぞくみょうのほう)
死者蘇生のみならずクローン生成も可能で、晴明はこれを用いて自分の影武者を作成していた。
闇魔流剣術(くらまりゅうけんじゅつ)
鬼(おに)
鬼込の太刀(おにごめのたち)
アッパーズKCDX アッパーズKC
書誌情報
- せがわまさき『鬼斬り十蔵』講談社〈アッパーズKCDX〉、全4巻
- 1999年1月7日発行 ISBN 4-06-335102-5
- 1999年8月6日発行 ISBN 4-06-335105-X
- 2000年3月9日発行 ISBN 4-06-335107-6
- 2000年9月8日発行 ISBN 4-06-335111-4
- せがわまさき『鬼斬り十蔵新装版』講談社〈アッパーズKC〉、全4巻
- 2003年9月16日発行 ISBN 4-06-346210-2
- 2003年9月16日発行 ISBN 4-06-346211-0
- 2003年10月9日発行 ISBN 4-06-346222-6
- 2003年10月9日発行 ISBN 4-06-346223-4