魔石商ラピス・ラズリ
漫画
作者:桜ナオキ,
出版社:小学館,
掲載誌:別冊コロコロコミック,
レーベル:てんとう虫コミックス,
巻数:全4巻,
話数:全21話,
以下はWikipediaより引用
要約
『魔石商ラピス・ラズリ』(ませきしょうラピス・ラズリ)は、桜ナオキによる日本の漫画。『別冊コロコロコミック』(小学館)にて2012年10月号から2015年12月号まで掲載されていた。
「願い」をテーマに据え、ホラーテイストを加味したストーリーを1話完結のオムニバス形式で描いている。
雑誌での連載は終了したものの、2020年代からは作者のSNSアカウントにて、新エピソードが掲載されている
あらすじ
町中に突然現れた謎の宝石店「タリスマン」の店主であるラピス・ラズリは店を訪れた子供に願いを叶える力を持つ宝石「ラピス・ラズリ」を渡し、対価として客から「心の宝石」を回収している。客人はラピス・ラズリの力で願いを叶え一時の幸せを謳歌するが、次第に状況が悪い方向へと進んでいき、最悪の結末を迎えてしまう。そんな絶望的な末路を辿った子供たちの今際の際に、毎回ラピスは姿を現して更に絶望を煽り立て、まるで端から人を絶望に陥れることが目的であるかのように喜びの顔を見せる。
彼が人を絶望と破滅に陥れる理由は、彼の一族の滅亡にまつわる絶望と悲しみの物語に隠されていた。
宝石を生み出す力を持つ宝石使いの一族は、魔の森の奥の隠れ里で人目を避けるようにして暮らし、森の外に出ることを固く禁じていた。人間を欲望によって不幸をもたらす恐ろしい存在とみなしていたからであるにも拘らず好奇心に抗えなかった幼いラピスは、掟を破って森を抜け出し、狼の群れに襲われたところを助けてくれた人間の少年・ルーべと友達になる。ラピスは大酒飲みで怠け者の父に代わって働く彼のために、自分がはじめて生み出した宝石を渡す。ルーべはその宝石を換金することで大金を手にするが、それを怪しんだルーべの父・ライズは、息子のあとをつけて宝石使いの一族の隠れ里を突き止め、大金を欲するあまり仲間を誘って里を襲撃し宝石使いたちを虐殺する。その際のライズの言葉により、ラピスはルーベが隠れ里のことを教えたと誤解して深く絶望し、心の宝石の崩壊によって魔眼の力が覚醒した上に肉体が不老不死と化し、他人の絶望に愉悦と快楽を見出す残忍な性格に変貌してしまった。豹変したラピスは、ライズとその仲間たちの「金が欲しい」という願いを歪んだ形で叶えることで復讐を果たし、その様子を直視させられたショックで精神崩壊したルーべを残してその場を立ち去る。以来、数百年に渡り、ラピスは破滅と絶望を押し売る魔石商として、人々を絶望させてきた。
欲望と絶望と破滅の繰り返しの果て、人類は一人の少年の願いがきっかけで滅亡する。訪れた客の心の宝石の中から壊れてしまった自分の心の宝石の代りになるものを探していたラピスであったが、もはやそれが叶うことはなくなったが、今まで集めてきた絶望に染まった心の宝石の力によって自分自身の願いを叶える能力を手に入れ、「数百年前に戻り、奴を葬り去る」という願いを叶えるべく時間を巻き戻す「時の砂時計」を生み出し、全ての始まりとなったあの日へと向かう。そして森に入ろうとしていたルーべを追い払い、「彼との出会いをなかったことにした」。結果、幼いラピスはそのまま狼の牙によって命を落とし、願いの成就と引き換えに生じたタイムパラドックスによって現代のラピスもまた、消え去ってしまう。彼が葬り去りたかった「奴」とは、一族滅亡のきっかけを作ってしまった幼いあの日の自分自身であり、彼自身の願いとは幼い自分を犠牲にすることで里の仲間を救うことだった。こうして、人々を絶望の渦に叩き込んできたラピス自身の自己犠牲という皮肉な形で絶望の未来は回避された。
ラピスの身を捨てた時間改変の影響により、彼の手で運命を狂わされた全ての人々は皆無事に平穏に暮らしていた。死の運命を回避したラピスの友人の少女・ペリドットにラピスそっくりの赤ん坊が生まれ、彼女は生まれ変わりと信じて赤ん坊にラピスと名付ける。ラピスの宝石によって人生を狂わされた少年たちも、今ではラピス・ラズリもタリスマンも存在しない世界で仲良く暮らしている。
そんな中、子供たちの通う学校にラピスそっくりの謎の少女・魔石晶子が転校生として姿を現し、新たな絶望と破滅の始まりを予感させつつ物語は幕を閉じる。
登場人物
ラピス・ラズリ
宝石店「タリスマン」の店主を務める謎の少年。正体は人間の願いを叶える宝石を生み出す能力を持つ、宝石の民の一族の生き残りである。頭の帽子に見える大きな宝石や心の宝石、彼が作り出す願いを叶える宝石は元は青い色をしていたが、心の宝石を失った影響で赤色に変化しており、更に願いを叶える宝石そのものも変質してドクロの模様が浮かんでいる。また、右目(魔眼)には人間の心の宝石を取り出す、過去の映像を見せるなどの様々な力があり、また心の宝石と引き換えにラピス・ラズリを来訪者に渡している。
かつて一族の掟を破って里を抜け出した直後に人間の少年・ルーベと出会い彼と友達になるが、それがきっかけとなって自分以外の同族を人間に虐殺され一族の滅亡を招いてしまう。その時に味わった深い絶望によって心の宝石が壊れたために、右目が魔眼に、肉体が不老不死と化し、冷酷且つ残忍な性格に変貌してしまう。それ以来、「自分自身の願いを叶える」という目的を果たすために人々を絶望に陥れつつ、商売の傍らで客人の心の宝石の中から自分に合うものを探し続けている。
自分の願いを叶えるためには心の宝石を絶望に染め上げる必要があるため、客人が危機に直面した際には必ず姿を現し、魔眼の力と言葉責めによって更なる絶望を煽り立てて破滅に追いやる。「あなたの絶望が、私の願望なのです!」が毎度の決め台詞。絶望こそが自分自身を救う唯一の術と考えているため、絶対に客を救うことはない。大きな絶望を目の当たりにする度にこの上ない快楽を感じており、客の破滅の旅に愉悦に歪んだ笑みを浮かべる。
「心も肉体もすでに化け物」「わたしにまともな心などもはやありはしない」と自身で豪語するように、心の宝石の崩壊によって心身ともに異形になり果てており、悲しみや罪悪感といった感情も欠如しているものの、自分の行いが非道であるという自覚や、過去に犯した過ちへの後悔の念は持ち合わせている。
物語終盤では木曽久芝留の願いによって人類が滅亡したことで自分の心の代わりになる心の宝石を手に入れることが出来なくなるが、同時にこれまでに集めた客人の心の宝石を吸収して「自分の願い」を叶える能力を得る。その力を用いて過去に戻り「自分自身を消す」ことによって一族を滅亡から救い出したの引き換えに、タイムパラドックスによって消滅した。一族滅亡の過去の回避から10年後、大人になり結婚した幼馴染・ペリドットの子供として生まれ変わった。
第四巻の特別編の終盤ではラピスと瓜二つな少女・魔石昌子が転校生として現れたが、ラピスとの関係は不明。
来客者とその関係者
宝石店「タリスマン」を訪れた客達。渡されたラピス・ラズリにより願いを叶えて様々な能力で味わった一時の幸せも束の間、能力の使い方を誤る等して絶望的な末路を辿ることになる。最終的にはラピスの身を捨てた時間改変の影響で絶望の未来が回避されたことにより、全員そろって無事に平穏な生活を送っていることが第四巻の特別編で明らかにされた。依頼人の本名や関係者の名前は全てテーマとなる願いや関連する言葉をもじった言葉遊び的なネーミングになっている。
第1巻
後輪寺 優(ごりんじ ゆう)
鏡 うつる(かがみ うつる)
第2話の主役で、面倒なことを全て他人任せにして自分は楽ちんに過ごしたいという子供らしい願いを持っていた少年。ラピス・ラズリの力でドッペルゲンガーを生み出す魔法の鏡を手に入れ、自分に忠実な分身「ドッペル」を生み出し、それからは面倒なことを全てドッペルにやらせて自分は鏡の中の部屋で過ごしていた。
鏡の中に長期間ひきこもる内に太ったことで同じ姿をしたものしか出入りできない鏡の外に出られなくなり、更にはドッペルに裏切られて魔法の鏡を海に捨てられたため永遠に鏡の中から出られなくなってしまった。
第四巻の特別編では鏡の前でポーズを取る姿が描かれた。
ドッペル
うつるが魔法の鏡の力で作り出した分身(ドッペルゲンガー)。姿はうつるそっくりだが、口調は非常に丁寧である。うつるの代わりに面倒なことを引き受けていたが、次第に外の世界を気に入ってしまい、やがてうつるを裏切って魔法の鏡を海に捨ててしまう。その後は本物のうつるに成り代わって生活するようになり、第2話以降のエピソードにも度々登場する(第5話や第13話など)。
第四巻の特別編でも登場し、鏡に映る姿で描かれた。
別途 大介(べっと だいすけ)
第3話の主役で、動物好きな少年。家でペットを飼うことが夢だが、厳格な両親からは猛反対されており、また自分も動物に懐かれないことに悩んでいた。ラピス・ラズリの力で「どんな動物も自分に従順なペットに出来る」力を持つペットガンを手に入れ、その力で町中の野良犬や野良猫、動物園の動物達をペットに変える。その後は動物園のライオンを密かに家に連れ帰って飼育していた。
ある日母親にライオンを飼っていることを感付かれ、処分されそうになったことで自分の言うことを聞いてくれない両親に怒りを覚え、従順になれば言うことを聞いてもらえると思い込んでペットガンで撃ってしまう。結果として両親が動物同然となったことで生活がままならない状態に陥り、両親の世話に追われた末に精神の限界を迎え、自身をペットガンで撃って自ら動物と化してしまった。
第四巻の特別編では、猫を可愛がっているものの相変わらず好かれていないのか、ひっかかれている姿が描かれた。
蛇井 芸真(へびい げいま)
座湖篤 快(ざこあつ かい)
第5話の主役で、人気者に憧れる少年。何の取り柄もなく「雑魚扱い」されていることをコンプレックスに思っていた。また、カードゲームが好きだが、レアカードを出すことができず、クラスメイトとの対戦ではいつも負け続けている。ラピス・ラズリの力で「どんなものでもレアな物に見せるスプレー」を手に入れ、そのスプレーを自分に使ったことでクラスの人気者となるが、スプレーをかけすぎたためにクラスメイト達や母親の異常な執着を誘発してしまい、恐怖に怯える羽目になった。
ラピスとのやり取りの後、目覚めた際には友人たちが普段と変わらぬ態度を見せたためすべてが夢だったと安堵していたものの、友人たちが凶器を後ろ手に隠し持っているシーンでそのままバラバラにされたことが暗示された。
第四巻の特別編ではカードゲームに熱中する姿が描かれた。
未緒 守(みお まもる)
第一巻の書き下ろしエピソードに登場したいじめられっ子の少年。いつもいじめっ子達に暴力を振るわれて怪我をさせられているが、それ故に「自分の身を守れるようになりたい」という願いを抱えており、ラピスにその願いを叶えて貰ったことで自在にバリアを張ることの出来る「バリアプリ」を手に入れる。その後はバリアプリの力で自分の身を守れるようになったが、後にバリアプリをアップデートして自分の身の回り全てにバリアを張れるようになった末、バリアの中に閉じ込められて窒息してしまう(ラピス曰く、バリアプリを削除すれば、バリアを解除することが出来るらしいが、本人がそれに気付くことができたのかは不明)。
第四巻の特別編では理夫や斗辺流と共に井児萌泰造に追い掛け回されている姿が描かれた。
第2巻
火井呂 正義(ひいろ まさよし)
第6話の主役で、特撮ヒーローが好きな少年。自分も正義のヒーローになることに憧れており、友人達と共にヒーローごっこを楽しんでいたが、ヒーローごっこを恥ずかしがる友人たちと仲たがいしてしまう。その後、ラピス・ラズリの力で「ヒーローに変身できるベルト」を手に入れ、自分が好きな特撮ヒーローに変身できるようになり、同時に現れた悪の怪人を倒したことで町のヒーローとなる。
しかし怪人だと思っていた相手がアイテムの力で怪人役に仕立てられた友人たちだったことをラピスに知らされ、友人たちを傷つけてしまったことに絶望する。更に「ヒーローごっこを終わらせるには、すべての友人たちを犠牲にするか、自分が怪人にやられて死ぬかのどちらかしかない」という二者択一を迫られた末、良心の呵責に苦しみつつ「ヒーロー」として活躍し続ける道を選んだ。
第四巻の特別編では相変わらずヒーローごっこに熱中する姿が描かれた。
猫山(ねこやま)、目金(めがね)
足牙 隼人(あしが はやと)
第7話の主役で、足が速いことが自慢の少年。勉強や他のスポーツは苦手だが、主に走りなどを唯一の取り柄としており、それ故に自分が運動会で一番輝けるという理由からアンカーに対しては並々ならぬ執着心を持っている。毎年運動会のリレーでアンカーを務めていたが、転校生の松羽に敗れたことでその座を奪われてしまう。その後、悔しさからラピス・ラズリと契約して「もっと速く走れるようになりたい」という願いを叶え、自分の速さを自由にコントロールできる腕輪を手に入れて松羽に再戦を挑みアンカーの座を奪い返した。
雪辱を果たして満悦していたものの、運動会の前夜、興奮で寝付けなかったことから短時間での睡眠を望んで倍速ボタンを連打しすぎたため、急速に老化して老人の姿となってしまう。それに気付かずに体操服姿で学校に向かったことで隼人に手を出した不審者と間違えられ、「倍速にしていたのはあなたの人生そのもの」という衝撃的な真実をラピスから告げられたことに絶望しながら警察に突き出されてしまった。なお、表向きでは行方不明となっている。
第四巻の特別編では松羽と徒競走で競い合っている姿が描かれた。
松羽 瞬介(まつば しゅんすけ)
輝江 法太(てるえ ほうた)
第8話の主役で、2年前に引っ越して以来はかつて両親と一緒に行った観光名所「ヘブンズタワー」にもう一度行きたいと願っていた少年。ラピス・ラズリとの契約で行きたい場所に自由にテレポートできるペンダントを手に入れる。力を利用して様々な場所へ移動して旅行を満喫し、引っ越し前の友人に再会する。
しかし法太がラピス・ラズリの力でテレポート能力を得たことに感づいた友人からその力を二度と使うなと忠告されたことに腹を立て、取り壊されていることを知らぬままヘブンスタワーの最上階へワープしたために空中に放り出されてしまう。そのことをラピスから告げられた直後にテレポートして逃れようとするも、テレポート直後の5秒間のインターバルが仇となり、間に合わずに落下死してしまった。
第四巻の特別編では友人達と楽しく過ごしている姿が描かれた。
法太の友人
フエルド・メッサ
第9話の主役で、ラピス・ラズリの最初の客となった人物。
19世紀のスイスに住んでおり、煙突掃除の仕事をしながら「生きていれば必ずいいことがある」という信条の下で日々の食事もままならない程に困窮した生活を送っていたが、「パンをお腹いっぱい食べたい」という願いをラピス・ラズリに叶えて貰い、「入れたものを無限に増やせる壺」を入手する。
その後、壺の力で金もうけを繰り返したことで大金持ちにまで出世したが、欲に目がくらんで壺に金貨を入れたまま一晩放置したため、室内を埋め尽くす程に増殖した金貨と天井の隙間に押しつぶされて圧死した。
幼いころに祖母から「魔法の宝石で人間の願いを叶える一族」のおとぎ話を聞かされており、死の間際におとぎ話が一族の滅亡という不吉な結末で終わっていたこと、そして滅亡のきっかけを作った一族の子供が目の前にいるラピス本人であったことに気づき、恐怖と絶望の内に死亡した。
第四巻の特別編では変わらずに煙突掃除の仕事に励む姿が描かれた。
御馬路 奈依(おまじ ない)
芽香 音津子(めが ねつこ)
木矢 トオル(きや トオル)
第11話の主役で、UFOや宇宙人が好きな少年。ラピスとの契約で「UFOを呼び出すペンダント」を手に入れ、クラスメイトと共にUFOを呼び出す儀式を行うも失敗し、その直後、星へ帰れると思っていたのに騙されたと思い込んだ怒りで正体を現したアンの仲間のエイリアンたちに襲われて気絶。その隙に、彼をエイリアン仲間に引き込もうと画策した永里アンの手で肉体改造され、エイリアンと化してしまう。
第13話では古孤呂望樹がココロメガネの力を利用してアンと友達になる様子を目撃しており、自分の身に起きた一件から不安そうな表情を浮かべている(元の姿に擬態する力があるらしく、外観は人間の姿に戻っている)。
第四巻の特別編では偶然UFOを見かける姿が描かれた。
永里 アン(えいり アン)
トオルのクラスメイト。清楚な美少女だが、正体は地球人に化けたエイリアン。他のエピソードにも度々登場しており、火井呂正義や御馬路奈依と同じ学校に通っている。また、第6話では火井呂正義の近くで「タリスマン」に関する噂話をクラスメイトとしている様子が描かれている。
100年前に地球に不時着して以来、いつか星に帰れることを信じて100年近くも生きており、仲間のエイリアンとともに地球人に擬態して学校に通っている。木矢トオルを改造してエイリアン仲間に引き込んで以降、仲間を増やすべく友達を欲しがるようになり、第13話では古孤呂望樹と友達になった。
単行本の各話の末尾に掲載されているお客と魔法アイテムの紹介ページでは木矢トオルと共に描かれているが、彼女自身がラピスと接触していたかどうかは不明になっている。
第四巻の特別編では、UFOが浮かぶ空をバックに、寂しげな表情でたたずんでいる姿が描かれた(無事帰れた模様)。
第3巻
氷屋 久遠(こおりや くおん)
第12話の主役で、ゲームクリエイターを目指す少年。小学生だった1994年にラピス・ラズリと契約して「自分の人生にもゲームのような攻略本がほしい」と願ったことから人生の攻略本を手に入れ、その力で順風満帆な人生を送り、20年後の2014年には憧れのゲームクリエイターとなって自身の作ったゲームをヒットさせ、更には妻子にも恵まれた。
しかし、好奇心に抗えずに最後まで攻略本を読んだことで自分がこの先どんな人生を辿るのかを知ってしまったために生きる張り合いを失い、それでもなお攻略ルートから外れる不安から攻略本が手放せないという状態に陥ってしまった。その後、第20話では木曽久が作ったルールが原因で死亡した。
第四巻の特別編では、攻略本に載っていた写真とは異なる女性と結婚して一児の父となっている姿が描かれた。
氷屋 舞瑠(こおりや まいる)
古孤呂 望樹(こころ のぞき)
第13話の主役で、近所に住む大学生の妖戯と仲の良い少年。妖戯を兄のように慕っているが、「恋人ができた彼の迷惑になるからもう行くな」と母に注意されたため、妖戯が自分のことをどう思っているかを気にするようになる。
ラピスと契約して「他人の心を覗く力」を持つアイテムのココロメガネを手に入れて妖戯の本心を知ろうと画策し、妖戯に直接訪ねたことで彼の本心を知るものの、その直後にココロメガネの力で妖戯の心を覗いた際に彼が恋人を殺害したことを知ってしまい、メガネを取り上げた妖戯にそのことを知られて命の危機に晒される羽目になる。
第四巻の特別編では警察に逮捕され連行されていく妖戯を見て涙を浮かべて悲しんでいる姿が描かれた。
佐津貝 妖戯(さつがい ようぎ)
夜歩 椎那(やほ しいな)
第14話の主役。仲の良い友人が二人おり、彼らからは「ヤッホー」という愛称で呼ばれている。
兄と部屋を共有しているために色々なトラブルが絶えず、自分だけの部屋を作りたいと願っていた。ラピスとの契約で部屋を作り出せる「ドアノブシール」を手に入れて念願の自分の部屋を手に入れ、更には友人達を招いてドアノブシールの力を利用して秘密基地を作るが、部屋を増やし過ぎたのが仇となって遭難してしまう。その後、彷徨っている最中に自身の些細な行動がきっかけで友人達と仲違いしてしまう。最後の1枚で食糧のある部屋を作って閉じこもったものの、「出口に通じる部屋を作れば無事に出れた」ことをラピスに指摘されると同時に、足をくじいてしまったために歩けなくなり、自分独りだけが部屋に取り残されたことに絶望する。
第四巻の特別編で友人たちとと仲良く遊ぶ姿が描かれた。
羽呂 和亜句(はろ わあく)、地椅子 宇太郎(ちいす うたろう)
根地 勇(こんち ゆう)
夢式 雷奈(むしき らいな)
最能 零(さいのう れい)
第4巻
甘谷 香澄(あまや かすみ)
第17話の主役で、教育に厳しい母親を持つ少年。自由に遊べないことに悩みを抱えており、ラピスとの契約で「母に自分のわがままをもっと聞いてほしい」という願いを叶えて持っている限りはどんなわがままも親に叶えて貰える「わがまま契約書」を手に入れる。しかし、契約書に頼り切ったために10年後には遊んでばかりのダメ人間と化してしまう。
後悔の念から無意識に口にしたわがままによってラピスと出会う前の時間に戻り、その時間の自分をタリスマンに行かせない様に止めようとしたが、当人に不審者扱いされて逃げられてしまい、最期は契約書も失った上に自動車に轢き殺された。
第四巻の特別編では母親から厳しく叱られている姿が描かれた。
寄尾士 卓(きびし すぐる)
腐利 訳留(ふり わける)
第18話の主役で、何をしても平均的な結果しか出せず、「ミスター平均」というあだ名で呼ばれていた少年。平均的な結果しか出せないことに悩み、「何か一つでも秀でた能力がほしい」と考えてラピス・ラズリと契約し、能力を自由に振り分けられるアイテム「パラメーター振り分け機」を手に入れ、自分の能力を自由に振り分けて様々な所で優れた結果を出せるようになる。しかし井地萌とその仲間のいじめっ子達に喧嘩を売られ、圧倒された際に自分の能力を全て体力に振り分けて井地萌を返り討ちにしたが、結果として知恵も運も失い、最終的には赤ん坊同然となって入院させられ、振り分け機も取り上げられてしまった。
四巻の特別編ではごく普通に過ごしている姿が描かれた。
志葉 滅矢(しよう めつや)
飯八 卓(いいやつ すぐる)
木曽久 芝留(きそく しばる)
第20話の主役で、ラピス・ラズリの最後の契約者となった少年。間違ったことが許せない真面目な性格をしており、「みんながルールを守れば世界が平和になれる」と考えている。病弱な母親と2人暮らしであり、母を大切に想っている(その性格も、常日頃慕っている母に褒めてもらいたいという動機が大きい)。ラピスと契約し、ルールを自由に設けてそれを破った人間に罰を与えられる「ルールブック」を入手して自分だけのルールを次々に作ることで平和な世界を作ろうとする。
結果として多くの人々を自分の作ったルールの被害に遭わせた上に母親をも意識不明の重体に陥らせてしまい、ラピスに悪い子呼ばわりされたショックで精神崩壊してしまう。そして錯乱したまま「違反すると死ぬルール」をルールブックに大量に書き込むことで、ラピスさえも予想していなかった人類滅亡という事態を引き起こした。その後、彼自身がどうなったのかは不明。
第四巻の特別編では母親と楽しく暮らしている姿が描かれた。
その他の登場人物
井地萌 泰造(いじめ たいぞう)
本作における狂言回しの役割を担うキャラクター。小学生とは思えないほどの大柄な体躯を持っており、何よりも弱い者いじめが大好き。八つ当たりや理不尽な理由で人を殴ることもあるため、それぞれの話の主人公たちからは恐れられたり、時には「クズ野郎」や「バカ」などと罵られるほど嫌われている。相手にした高校生を泣かせる程に腕っ節も強いため、いじめっ子仲間からは頼りにされている。
ラピス・ラズリとの契約で願いを叶えた子供達をいじめようとしてはことごとく返り討ちにされることが多いため、のちに体を鍛えるようになり、「パラメーター振り分け機」で体力のゲージをかなりの所まで上げた腐利を追い詰める程の力を身に付けたが、最終的には体力ゲージを最大限にまで上げた腐利に敗北して「結局俺はどうやっても勝てないのか」と泣きながら逃げ出した。
第四巻の特別編では守や理夫、斗辺流を追い回していた。
井地萌 真栗(いじめ まくり)
ペリドット
ルーベ
ラピスの「友達」となった人間の少年。家庭は貧しく、暴力と酒に溺れる父のライズに代わって薬草や魚を取って売ることで生計を立てている。魔の森に入った際にオオカミに襲われたラピスを助け、それがきっかけで彼と友人になる。その後、自分の家庭事情を知ったラピスから譲られた青いラピスラズリを売って大金を家に持ち帰るものの、それが原因となって父の蛮行を引き起こし、ラピスとの友情の崩壊と宝石の民の滅亡を招いてしまう。
ライズの暴走で引き起こされた里の惨劇を目の当たりにし、ラピスに襲い掛かった父を止めようとしたが、心の宝石を失って豹変したラピスの力で父と仲間達が滅ぼされる様を直視したショックにより、誤解が解けぬまま精神が崩壊してしまった。
最終回では魔の森に入ろうとした際に異形の姿となったラピスと遭遇して追い返され、ラピスとの出会いが無かったことにされた。
ライズ
用語
心の宝石(ハートジュエル)
ラピスはこれを提供してもらう対価として、願いを叶える宝石「ラピス・ラズリ」を契約者に譲渡する。なお、心の宝石は一人につき一つしかないため、契約者が対価として心の宝石を差し出せるのは一度だけである。
ラピス・ラズリ
持ち主の願いに応え、それに応じたアイテムに変化する。ラピスがラピス・ラズリを譲るのは一人につき一度だけであり、同じ人物に再びラピス・ラズリを譲ることは、対価があろうとなかろうと不可能であるという。
第9話ではこれと色違いの「青いラピス・ラズリ」が登場しているが、ラピス曰くこれは「客に渡すための物ではない」という。その正体はラピスが心の宝石を失う前に生み出したラピス・ラズリで、彼が「自分の願い」を叶えるために取っていたものであった(客に手渡すものと違い、ドクロ模様が浮かんでいない)。
宝石の民
人間を欲望によって災いを呼ぶ存在とみなして魔の森の奥の隠れ里に隠れ住んでおり、里の外に出ることを固く禁じていたが、幼いころのラピスが強い好奇心から禁を破って人間と接触したがために、宝石を狙う欲深い人間によって虐殺され、ラピス独りを残して滅亡してしまった。
魔石商
これまで述べた通り、人々に心の宝石を対価として願いを叶える術を与えるが、叶えることができるのは客の願いのみで、自分自身の願いを叶えることはできないという理が存在する。
ラピスの目的は「ラピスラズリの力で自分自身の願いを叶える」ことだが、魔石商である彼がそれを可能にするためには心の宝石を絶望に染め上げて大量に集めて体に吸収することで、絶望のチカラを我が物にしなくてはならない。それが、ラピスが人々を絶望に陥れる理由である。
魔法のアイテム
便利なアイテムだが使い方を誤ると死に至るものや、使用者の思惑とは異なる形で願いを叶えてしまうもの、使用した時点で使用者を破滅に追い込むことが確定しまうような危険なものも存在する。
セーブ&ロード
セーブポイントは一つしか作れず、新しくセーブを行うと前のセーブポイントは消えてしまう。
魔法の鏡
鏡に入れるのは分身と同じ姿をした人間だけに限られており、たとえ分身の元となった本人であっても、体系に変化が生じたりして分身と差異が生まれると出入りができなくなる。
ペットガン
野良犬・野良猫から動物園の猛獣まであらゆる動物に使うことができる。人間にも効果があるが、人格も知能も消滅して文字通りのペットと化してしまう。
ゲームバンダナ
ゲーム内でバグが生じるような行為を行うと、バグが現実世界に侵食し使用者自身をもバグらせてしまう(プログラムミスなどのゲームに起因するバグについては不明)。
レアスプレー
カードゲームのザコカードに使えばレアカードのように見せられ、石ころに使えばその石を宝石より価値がある物に見せることができる。人間に使えばその人を人気者にすることもできるが、かけ過ぎると他人からは、とてつもなく高価な「物」に見えてしまい、それを奪おうとする者によって命の危険に晒される。
ヒーロー変身ベルト
ヒーローに変身すると凄まじい力を発揮できるようになるほか、そのヒーローが使っている武器を実際に使うこともできるようになる。
実は、アイテムの力で使用者の近しい人間を強制的に怪人に仕立て上げてしまう。さらに、ヒーロー役、怪人役ともにお互いの攻撃で肉体的なダメージを実際に受けるようになる上に、怪人化した人間をすべて犠牲にするか、ヒーロー役自身が怪人の犠牲になるまで効果は続いていく。
倍速ブレス
テレポートストーン
一度テレポートした後は、5秒間の発動制限がかかる。
増殖の壺
壺の取っ手を引くことで増殖を止めることができる。
幸運の絵の具
色を重ねれば同時に複数の運を呼び寄せることが可能。
なお、基本的に説明書のないアイテムの中では珍しく、箱の蓋の裏に使い方に関する説明書きと使う上での注意書きがあり、注意書きには黒を塗ると一生、暗黒に包まれた人生を送ることになってしまうと記されている。四色の中に黒はないが、塗り方を誤ると黒になってしまう。
UFOペンダント
「宇宙人を呼び出す力がある」とされるていたが、「UFOを呼び寄せる」という木矢の思惑とは違った形で願いを叶えた。
人生の攻略本
ココロメガネ
願いをかなえた本人だけでなく、他人にも使うことが可能。
ドアノブシール
虫化の杖
才能笛
実際は才能を持ちながら死んで未練から成仏できなかった無数の空霊を体に憑依させるというアイテムで、とり憑く霊は現世への未練の強さのあまりに悪霊と化しているため、必要以上に使用すると大量の悪霊に体を乗っ取られてしまう。
わがまま契約書
現実には不可能な事象まで実現可能だが、契約書が破れるなどして破損すると力が失われる。
契約書の効果がなくなる前に発したわがままは無効にならない。
パラメーター振り分け機
パラメーターを0にすると、その能力が全くなくなってしまう(美しさを0にするととてつもなくブサイクになり、知恵を0にすると知能が後退して赤ん坊になってしまう)ため、振り分け方には注意を要する。
キエテナクナール
ルールブック 罪と罰
更に決めたルールが全世界に適用されるという極めて強力な効果を持つ。
時の砂時計
時の砂時計
書誌情報
- 桜ナオキ 『魔石商ラピス・ラズリ』 小学館〈てんとう虫コミックス〉、全4巻
- 2013年7月26日発売、ISBN 978-4-09-141660-5
- 2014年6月27日発売、ISBN 978-4-09-141789-3
- 2015年3月27日発売、ISBN 978-4-09-141899-9
- 2015年11月27日発売、ISBN 978-4-09-142107-4