漫画

鵺の陰陽師


漫画

作者:川江康太,

出版社:集英社,

掲載誌:週刊少年ジャンプ,

レーベル:ジャンプ コミックス,

発表期間:2023年5月15日 -,

巻数:既刊2巻,



以下はWikipediaより引用

要約

『鵺の陰陽師』(ぬえのおんみょうじ)は、川江康太による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて、2023年24号より連載中。現代を舞台として、陰陽師譚が描かれている作品。

沿革

2022年4月10日発売の同誌19号より開始された新連載4本の1作として告知される。本作はこの時点では「幻妖学園バトル!!」と発表されていた。同年5月15日発売の24号より連載を開始。連載開始を記念して、本作のPVが公開されている。前述の新連載4本のうち、後半2作品のボイスコミックがYouTubeジャンプチャンネルにて発表され、本作は同年7月29日より公開。

あらすじ

幼いころから常人には見えない幻妖(げんよう)という存在が見える男子高校生、夜島学郎(やじま がくろう)はある日、人間の女性の姿をした幻妖、鵺(ぬえ)と出会う。

封印されていて本来の力が発揮できない自分に代わり、幻妖を倒してほしいという鵺の提案を、父親を幻妖に殺されたトラウマから、一度は断る学郎だったが、教室に現れた強力な幻妖に同級生の膳野(ぜんの)が命懸けで立ち向かう姿を目にして、自分も父や彼のように強くなりたいと感じる。

そして自らを庇って死んだ父のように膳野を庇い、致命傷を負ってしまう学郎だったが、鵺の治療によって一命を取り留め、彼女と契約を結び、幻妖を撃退する。

こうして、幻妖と戦う宿命を背負うことになった学郎は、同じ学校の先輩で陰陽師の周防七咲(すおうかずさ)と出会い、彼女と共にオカルト部を設立。協力して幻妖の退治に励むのだった。

登場人物

声の項はボイスコミックの担当声優。

主要人物

夜島 学郎(やじま がくろう)

声 - 伊月登宇聖藍谷早咲(幼少期)
本作の主人公。高校1年生。一人称は「俺」。
常人には見えない幻妖が見える特殊な体質の持ち主。幼少期に目の前で父親(声 - 野澤晃太郎)を幻妖に殺された過去がある。
当初はトラブルに発展するのを防ぐためにパシリを肩代わりするなど日和見主義的な性格だったが、膳野の勇姿を目にし、父の死に様を思い出してからは「強くないと何も選べない」と考えを改め、鵺の師事の元、修行に励むようになる。
鵺(ぬえ) / 夜島 沙鵺子(やじま さやこ)

声 - 沼倉愛美
学郎が通う高校に、少なくとも60年以上は封印されている強力な幻妖。外見は若く美しい人間の女性。一人称は「私」。
ゲームなどの人間が生み出した娯楽が大好きで、彼女が封印されている部屋にはゲーム機や漫画、フィギュア等が所狭しと並べられている。
学郎と契約してから学校の敷地内を分体で移動できるようになり、人前では学郎の血の繋がらない姉、沙鵺子と名乗るようになる。
周防 七咲(すおう かずさ)

声 - 鈴代紗弓
学郎と同じ高校の先輩。一人称は「私」。
同校の「三天女」に選ばれるほどの美少女で、人知れず幻妖から人々を守っている陰陽師の一人。
学郎と出会い、人間に化けた鵺の提案で幻妖絡みの事件を解決するための部活、「オカルト部」を結成する。
藤乃 代葉(ふじの しろは)

学郎と同じクラスに転校してきた少女。一人称は「私」。
陰陽師の名門、「二大旧家」の一つ『藤乃家』に属している。
表向きは幻妖対策のために派遣されてきた陰陽師だが、実際は当主の命により鵺の力を狙っており、彼女に学郎との契約を破棄し、自分と契約を結ぶように迫る。
狂骨(きょうこつ)

代葉と契約している幻妖。
鵺と同様に知能が高く、人間との会話が可能。
普段は長髪の若い執事のような姿をしているが、本来の姿は化け物じみたものである。

陰陽寮

古賀 澪(こが みお)

周防七咲と知り合いの陰陽師。高校2年生。小柄で姉御肌な、サイドテールの女の子。
ハンマーのような盡器を扱う。
町田 莉那(まちだ れいな)

古賀澪と知り合いの陰陽師。高校1年生。ボブカットで控えめな性格の少女。
防壁能力の盡器を扱い、その実力は代葉も認めるほどである。
辻田 誠乙(つじた まこと)

古賀澪と知り合いの陰陽師。おだんごヘアーの中学3年生で道具屋の娘。
関西弁で話す少し生意気な性格で、手甲剣のような盡器を扱う。
藤乃 双斧(ふじの もろよき)

藤乃家のNo.2であり戦術師範、本部でも指導員をしている陰陽師で、陰陽寮最高戦力「討伐隊」元隊長の中年男性。
紐の付いたダガーのような盡器を扱う。
扱う式神は爛匣「倉尖隧(くらのさきみち)」。

第1支部

皇 善哉(すめらぎ よしや)

第1討伐隊隊長。左目に傷の入った白髪のおじいさん。
基本は無口であり、強者の風格を醸し出しているが、それとは裏腹に喋り出すと非常にノリが良い。

第2支部

風巻 弧宮子(しまき こみやこ)

第2討伐隊隊長。スラッとした赤髪の女性。
隊長会議に遅刻してきたり、鵺の突飛な提案に対して面白がったりとマイペースな性格である。

第3支部

菅 道領(すが どうりょう)

第3討伐隊隊長。白髪で左目の傷が特徴的な男性。
表情があまり変わらないため威圧感を放つが、隊長会議の仕切りを務めた際には穏やかな言葉遣いで、冷静に状況を判断し合いの手を入れる場面も多い。

第4支部

鶤狩 兵一(いがり へいいち)

第4討伐隊隊長。小柄で黄色髪のロングヘアで左目下にある✦が特徴的。
男性名であるが狐宮子には"兵子"と呼ばれており、見た目も中性的である。ビジネスギレを用いて鵺の真意を探るなど頭が切れる場面も多い。
16歳のころに入隊し、1か月後に拓郎に声をかけられ副隊長に任命された天才肌である。

龍 (りゅう)

第4討伐隊副隊長。大柄の男。
兵一から陰陽寮のデータの管理などを任されている。

夜島 拓郎 (やじま たくろう)

元第4討伐隊隊長。学郎の父。四衲の養父。兵一の師匠。のどぐろの寿司が好物。
特別強いわけでも、リーダーシップがあるわけでもないが間違いなく一番の隊長であったと兵一から語られている。
環境維持の為に犠牲になることが誇りとされていた4番隊を他の隊と協力関係を結び、犠牲なしで管理するシステムを確立した功労者である。
複数のレベル2と戦って殉職したとされているが、不可解な点が多く詳しくは不明である。

第5支部

卦羽 洋七(かばね ようしち)

第5討伐隊副隊長。中性的な顔立ちの青年。隊長同士のバチバチの展開に憧れている。

第6支部

最後の鏖「鵺」を管理する為に新設された支部。支部は北高に置かれている。

鵺 (ぬえ)

6体目の鏖。完全に鏖を倒すことを目的とし、隊長会議で6人に真名を伝え、命の手綱を握らせることで信用を得た。
詳細は「#鵺」を参照
夜島 学郎 (やじま がくろう)

第6討伐隊隊長。
鵺と契約し依代となったことを理由に特例の選抜隊長となった。
詳細は「#夜島学郎」を参照
周防 七咲 (すおう かずさ)

第6討伐隊隊員。
詳細は「#周防七咲」を参照
藤乃 代葉 (ふじの しろは)

第6討伐隊隊員。
詳細は「#藤乃代葉」を参照
留袖 四衲 (とめそで しとつ)

第6討伐隊隊員。学郎の義妹。
朱拿蛛 (しゅなしゅ)

第6支部の大事な機能を使う為に必要な蜘蛛型の式神。

幻妖

キャシー

鵺の友達の人型幻妖。一人称は"俺様”でパーカーに短パンを穿き猫耳を付けた少女のような見た目。
鵺の部屋にあるゲーム機などを届けている。狂骨と食事の時に揉めがち。

北高の関係者

膳野 忍八(ぜんの じんぱち)

声 - 水野清人
学郎のクラスメイト。おかっぱ頭の眼鏡をかけた男子で、ブリーフを愛用している。
幻妖を退治する力はなく、口が悪い部分もあるものの、自分をリンチした不良生徒を幻妖の攻撃から守るなど、情に厚い人物。
願瀬 横道(がんぜ よこみち)

声 - 猪股慧士
学郎のクラスメイト。
入学初日から膳野をパシリにするなど典型的ないじめっ子だが、その一方で女性への耐性は低く、鵺(沙鵺子)を目の前にした際には心臓が尋常ではなく大きい音で鳴り始め、「ん んお ああ」と声を発し、仲間に連れていかれた。
浜本先生

声 - 石田優人
学郎のクラスの担任。眼鏡をかけた太った腕毛の濃いおじさん。
幻妖に憑りつかれた状態で初登場し、普段と様子が違うと察したクラスメイト達に窓際に追い込まれ、学郎とともに窓から突き落とされたが、学郎と鵺の活躍によって事なきを得た。
吉田 灼(よしだ あらたか)

北高の現生徒会長。幻妖に憑かれ、「周防七咲は俺がもらう」と宣言した際に他の生徒たちからお似合いと応援されるなど、人望が厚い。

用語

篝弥市(かがりやし)
本作の舞台となる町。
陰陽師が千年以上幻妖と戦ってきた結果、日本にはほとんど幻妖は残っていないが、この市にだけは未だに多くの幻妖が出現する。そのため、陰陽師はこの地に機関を集約させている。
北高
学郎が通い、鵺が封印されている学校。
北高三天女
北高に通うとある三人の女子生徒。
すれ違った人が振り向くほどの美少女だが、色恋の話を全く聞かないため、畏敬の念をこめてそう呼ばれるようになった。周防七咲、篠実、華倉の三人だが、のちに鵺(沙鵺子)を入れて四天女になる。
幻妖(げんよう)
人の争いや諍いにおびき寄せられる存在。
基本的には一部の人間以外には見えないが、集まって実体化すると誰にでも見えるようになり、人や建物に物理的な危害を加えることも可能となる。
レベル1
基本的に周囲を漂う不定形の幻妖。
人に害を与える個体には目に印がある場合が多いが、害のある個体はかなり少ない。稀に合体のできる種類が存在する。
レベル2
レベル1の幻妖が16体以上合体すると誕生する。
人体を模した部位を持ち、布を被っている。一般人でも見えるようになり、物理的な殺傷能力を獲得する。合体できる幻妖は少なく、滅多に出現しないとされている。

陰陽師(おんみょうじ)
幻妖を退治する力を持った人間。
単純な戦闘以外にも、幻妖の攻撃で負傷した人間の治療や破壊された建物の修復、幻妖を目撃した人間の記憶の消去など、様々な役割を担っている。
霊衣
陰陽師が最初に覚える術。
着ている服装を換装するように着用する戦闘服。これを着た陰陽師は一般人には見えない状態になる。
盡器(じんき)
陰陽師や一部の幻妖が使う固有武器。
破壊されると再構築に一日かかり、式神も使用不可になる。故に盡器を破壊される事は戦闘不能になる事を意味する。
式神
上級術。発動すると固有の効果と発動者の能力上昇をもたらす。鵺曰く「永続魔法みたいなもの」。
令力(れいりょく)
盡器や式神を使う際に必要なエネルギー。
二大旧家
陰陽師の中でも古くからあり、独自の情報網や高い影響力を持つ二つの家系。一つは『藤乃家』。

作風

ライターのキットゥン希美によると、本作の見どころは「陰陽師の設定を下敷きとした戦闘シーン」である。「学園モノと陰陽師バトルの化学反応」や、「バトル一辺倒ではなく、学園青春ストーリーとしても完成度が高い」ことが読者が夢中になる要素となっている。魅力のあるヒロインと関係性を深めつつ過ごす日々と「裏で進行する重厚でシリアスなストーリー」が絶妙な配分で描かれている作品である。「2000年代頃に一世を風靡した学園ファンタジー系のライトノベルや美少女ゲームに近い雰囲気」であるため、読者からは本作と『Fate/stay night』との親和性が指摘され、「令和のFate/stay night」だという声も挙げられている。キットゥンによると、同作の「壮大な設定に裏付けられた世界観」などの遺伝子が、本作にも流れているが、オマージュではなく、「あくまで別の物語であり、それぞれに独立した魅力がある」と話している。

評価

小説家の成田良悟は、本作について「ストーリーテリングの上手さ」と「主人公が事態の一歩先の展開を読んで決意&成長している」点がよいと評している。東出祐一郎は本作について「物凄く出来の良い伝奇ギャルゲー(R18)のとんでもなく力の入った大当たりコミカライズを読んでいるという幻覚を時々起こす」と評している。

書誌情報
  • 川江康太『鵺の陰陽師』集英社〈ジャンプ コミックス〉、既刊2巻(2023年12月4日現在)
  • 「縦長の空」 2023年10月4日発売、ISBN 978-4-08-883687-4
  • 「盡器」 2023年12月4日発売、ISBN 978-4-08-883788-8