黒伯爵は星を愛でる
以下はWikipediaより引用
要約
『黒伯爵は星を愛でる』(くろはくしゃくはほしをめでる)は、音久無による日本の漫画作品。『花とゆめ』(白泉社)にて3話の集中連載と前・後編を発表後、2014年17号から2018年9号まで連載された。単行本は花とゆめコミックス(同)より全12巻。
あらすじ
舞台は、19世紀・ロンドン。ロンドンの下町で花売りをしている少女エスター・メイフィールドは、半年前に母を亡くし、その1か月後には、双子の兄と生き別れになってしまった。
「笑顔を忘れないでね。金色の髪の素敵な王子様が現れるわ。」という母の言葉を支えに生きていたエスターの前に、ある日、ヴァレンタイン伯爵(レオン)が現れ、「今日からあなたは私の花嫁です。」と告げられる。
流されるままに、ヴァレンタイン伯爵家に迎え入れられたエスターは、そこで、自分が「半吸血鬼(ダンピール)」であることを知らされる。貴族の養子となった兄を捜すため、エスターはレオンと仮初めの結婚をして、彼の吸血鬼退治を手伝うことになった。
登場人物
声は『花とゆめ』2016年20号付録のドラマCDからの記載。
主要人物
(男装時:エルマー)
声 - 竹達彩奈
主人公。16歳。
吸血鬼を父に、人間を母に持つ、ダンピール。吸血鬼を探知する能力を持っている。雷が苦手。お酒に弱い。
父親のことはおろか自分の正体すら知らされておらず、自分が探知しているものは「幽霊」だと母親に教えられて育った。
ロンドンの下町で花売りをしていたが、レオンに見初められ伯爵夫人となる。双子の兄を捜している。
素直で鈍感で天然な性格ゆえに、レオンの気持ちに気づいておらず、自分たちはあくまで「偽物夫婦」と称している。そのためか男性に対する警戒心が全くなく、レオンの怒りを買うことが多いが、いつもその理由を取り違えているため、レオンやノアからは「ズレている」と言われている。
伯爵家で暮らしはじめてからは気持ちに変化がみられ、ダンピールとしてではなく妻としてレオンのために何かをしたいと思うようになり、自覚はしていないものの徐々にレオンを愛するようになってきている。そのため、レオンに嫉妬をしたり、ドキドキしたりしているが、本人はその理由が分からず困惑している。
幼いころにジョン(レオン)と出会い、「エスター、おっきくなったらジョンのおよめさんになるっ」と言っていたが、現在はそのころのことを忘れている。そのため、レオンの肩の古傷を見ても、ジョンの正体がレオンだったことに気づいていない。
レオンの邸の人間は全員が彼女の素性と正体を知っており、彼女自身も邸の人間に受け入れられている。
労働階級出身のため、下町訛り(コックニー)が酷く、その矯正が課題となっている。
男装した姿はアルにそっくりの美少年であり、舞踏会では、多くの女性から好奇の眼差しで見られていた。しかし、その舞踏会で出会ったクリスには、ダンピールであることはおろか女であることも見破られており、それ以来執着心を抱かれている。
レオンの留守中に屋敷を訪れたリチャードから、やはりダンピールをウィンターソン家に迎えることは出来ないと明言され、自らレオンの元を去って欲しいと告げられたため、デビュタントとして拝謁を終えたら屋敷を出る覚悟を決めた。
ギルモア侯爵令嬢として社交界デビューを果たし、レオンに恋心を抱いていたことに気づきながらも、後ろ髪を引かれる思いでウィンターソン家を出た。しかし、その直後にクライヴにさらわれ、黒薔薇城で目を覚ます。そこで再会したクリスからギルモア侯爵が自分の父親である事を告げられる。人間と吸血鬼の共存を説くクリスから求婚されるが、最終的にはウィンターソン家の総意を得て、レオンの正式な婚約者となった。
レオン・J・ウィンターソン
声 - 櫻井孝宏
ヴァレンタイン伯爵家当主。吸血鬼ハンター。社交界の白薔薇様。
特技はビリヤードで、サリヴァン子爵の晩餐会では涼しい顔で一人勝ちしていた。
左肩には、火傷の古傷が残っている。
吸血鬼ハンターとしての使用武器は、銀製短剣・長剣、銃(銀弾)、聖水。
エスターを見初め、妻にした。エスターに対する想いは本気だが、当の彼女からは恋愛対象とみなされておらず、その想いは常に空回りしている。エスターからは「黒伯爵」と呼ばれているが、それは単に、彼女に対する想いが通じないことに苛立ちを覚えるあまり、強引な発言や行動を繰り返しているだけで、決して腹黒いわけではない。
非常に独占欲と嫉妬心が強い性格で、いつもエスターの言動に一喜一憂している。寄宿学校時代の同級生であるゴドフリーからは、「完璧人間で、取り乱したところ見たことは一度もない」と言われているが、エスターのことになると感情を暴走させている節がある。また、挑発に弱い一面があり、クリスからの手紙の内容を真に受け、エスターに無理矢理キスをしたことがある。
幼いころに、吸血鬼の襲撃を受けて両親を殺されレオン自身も左肩に火傷を負い、住んでいた邸を追われた。この事件が原因で、レオンは吸血鬼を憎むようになったが、それまではクリスにもよく懐き、彼のことも名前で呼んでいた。その後、変装してロンドンに逃れたレオンは、その下町で行き倒れていたところをエスターに拾われた。「ジョン」という偽名を使いメイフィールド一家の世話になるが、その際、自分を絶望から救ってくれたエスターを「俺にとっての『星(エスター)』」として思い慕うようになる。一家と過ごし親しくなるが、数週間後に伯爵家へ帰ることとなり、その際、別れを惜しむエスターに対して、「きっと君を迎えに行くから。」と再会(結婚?)の約束をした。その後、伯爵位を継ぎヴァレンタイン伯爵家を立て直すとともに、行方をくらましたメイフィールド一家を捜し続けていた。10年以上後になって、ダンピールとしてエスターとアルが見つかったことを知り、ロンドンの下町にてエスター本人であることを確認、彼女を妻として迎え入れた。その時、エスターに対して脅しともとれる発言や行動をしたが、それは、自分のことを覚えていない彼女への意地悪だったらしい。幼いころに出会ったときは彼女を妹のように思っていたが、今ではその想いは恋心へと変わっている。
いつも冷静に淡々と仕事をこなすだけの日々を送っていたが、エスターが来てからは毎日のように声を上げて愉しそうに笑うようになったため、邸の人間も驚いている。また、以前は数々の浮名を流しつつも特定の相手を作らず遊んでいたが、エスターを迎えてからはぱったり遊びをやめたらしい。
ウィンターソン家
レオンの親族
リチャード
ゲイリー
声 - 新垣樽助
リチャードの息子でレオンの従兄弟。ルーク男爵。社交界の赤薔薇様。
左目の下に泣きボクロがあるのが特徴。
ここ数か月間は、「グランド・ツアー」と称し、国外をフラフラしていた。レオン同様の麗わしい人で女性に人気があり、不特定の相手と遊び歩いている。
父親とは違い、エスターに対して好意的である。レオンがエスターを本気で想っていることを知っており、なかなか想いが伝わらない様子を面白がっている。
エスターを男装で舞踏会に行かせた張本人で、たびたびレオンをからかい面白がっていた。舞踏会場では、吸血鬼の罠を見破り、レオンとともに銀製の短剣で戦った。
その他
ジニー
アンナ・メイスン
貴族
レニー公爵
ゴドフリー・ハドソン
エリザベス・オーウェン
黒薔薇城
吸血鬼(ヴァンパイア)
クリスティアン・V・A・ギルバート
声 - 緑川光
ギルバート公爵。愛称:クリス。社交界の黒薔薇様。
この世に蔓延る吸血鬼の頂点に立つ者。吸血鬼の王。
アルを養子として迎え入れており、その際、「養子になればエスターには手を出さない」という約束を彼と交わしている。
舞踏会でエスターと出会って以来、彼女に執心している。エスターをレオンから奪うために挑発の手紙を送りつけて2人がすれ違う原因を作るが、2人の仲の決裂には至れず、エスターに言い寄ったことが原因で逆にアルの反感を買っている。
エヴァ
半吸血鬼(ダンピール)
(女装時:アリス)
エスターの双子の兄。愛称:アル。16歳。
非常にナルシストな性格で、自分を美しいと思っている。
10年以上前から、自分たちが探知しているものが吸血鬼であることを知っていた。
母親が亡くなった1か月後に、貴族の養子となりエスターと離れたが、実際には、エスターを守るためにクリスの養子となっていた。
詳細は不明ながらも、エスターがレオンの元に嫁いでいることを知っており、気にかけている。クリスの計らいで、女装した姿でエスターと再会するが、クリスがエスターに手を出そうとしたことで怒っている。
幼いころ、共に過ごしたジョン(レオン)が貴族であることは、その当時から知っており、ジョンとレオンが同一人物であることも知っている。
ギルモア侯爵邸
ジェイル・プリムローズ
ギルモア侯爵。エスターとアルの実の父親。メグの元恋人。もう1人の吸血鬼の王。
クリスとは異なり、吸血鬼と人間の共存に反対し、人間を襲うことを厭わない人物だった。
しかし、黒薔薇城で出会ったメグに一目惚れし恋に落ちるも、配下の吸血鬼の反発にあい結婚できず、メグは姿を消してしまう。その後、メグが自分との子供を身ごもっていたことを知り、メグ達親子を探し続けていた。十数年前に一度、居場所を突き止めたが、吸血鬼の気配を悟られ逃げられてしまった。メグ達親子を守れなかったことに対する後悔の念は強く、メグが亡くなったことを知ったその時から、生きることを放棄し血を一切飲まなくなった。
レオンと二人で話している時に、ティーカップに仕込まれていた銀の粒を飲んでしまい毒殺されかけるが、一命を取り留める。
その他の人物
平民
ポール
メグ・メイフィールド
故人。エスターとアルの母親で、人間。半年前に他界。
いつも笑顔な人で、エスターとアルにも「笑顔を忘れないでね。」と教えていた。
エスターがダンピールであることを本人には知らせず、探知しているのは「幽霊」だと言い聞かせていた。
その昔、自宅の前で倒れていたジョン(レオン)を受け入れ介抱した。怪我の手当てをした際に、彼が付けていた黒のウィッグに気づき、ウィッグからはみ出さないように彼の金髪を短く切った。アルとエスターを産む前は貴族の邸でメイドをしていたため、ジョンの容姿や服装、所持していた短剣に刻まれていた紋章から、彼がウィンターソン家の人間であることを見抜いていた。ジョンが伯爵家に帰った後、アル・エスターと共に行方をくらまし、レオンに会うことのないままこの世を去った。
エスターに対して、「たくさん笑ったらきっといいことがあるわ。金色の髪の素敵な王子様が現れるかもね。」とよく言っていたが、これはレオンのことを指していたらしい。
用語紹介
吸血鬼(ヴァンパイア)
夜行性で、太陽の光にあたると、皮膚が焼ける。高位の吸血鬼は、その身を霧に変えることができる。首を落とさない限り滅びず、滅びれば砂のようになる。
十字架(ロザリオ)、銀製の武器、聖水などが苦手。
吸血鬼ハンター
半吸血鬼(ダンピール)
吸血鬼を探知することができる。
協定
「吸血鬼は無闇に人間を襲わないこと」、「人間は吸血鬼に血液を提供すること」。
書誌情報
- 音久無 『黒伯爵は星を愛でる』 白泉社〈花とゆめコミックス〉、全12巻
- 2014年8月20日発売 ISBN 978-4-592-21391-8
- 2015年1月20日発売 ISBN 978-4-592-21392-5
- 2015年6月19日発売 ISBN 978-4-592-21393-2
- 2015年11月20日発売 ISBN 978-4-592-21584-4
- 2016年2月19日発売 ISBN 978-4-592-21585-1
- 2016年6月10日発売 ISBN 978-4-592-21586-8
- 2016年11月18日発売 ISBN 978-4-592-21587-5
- 2017年4月20日発売 ISBN 978-4-592-21588-2
- 2017年8月18日発売 ISBN 978-4-592-21589-9
- 2018年1月19日発売 ISBN 978-4-592-21590-5
- 2018年5月18日発売 ISBN 978-4-592-21635-3
- 2018年5月18日発売 ISBN 978-4-592-21636-0