龍虎の拳2 (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『龍虎の拳2』(りゅうこのけんつう)は、SNKの同題格闘ゲームを原案とした天獅子悦也 による日本の漫画であり、『龍虎の拳』の続編。ストーリー協力は 石井ぜんじ。新声社のゲーム雑誌「ゲーメスト」に1994年124号から1995年145号まで連載された 。単行本は、新声社からゲーメストコミックスとして1995年に全2巻として発売されている。なお、石井は当時、「ゲーメスト」の編集長であり、前作では原作としてクレジットされていた。
概要
ゲーム『龍虎の拳』(1992年。100メガショック第1弾)は、リョウ、ロバートのどちらかを主人公として選んで進めていく、という方式であり、対戦以外で他のキャラクターを選ぶことはできなかった上に、気力システムの導入や、投げ技を持つのがリョウ、ロバート、ジャック、ミスターカラテしか存在しないなど、クセの強いシステムであった。舞台となるサウスタウンも『餓狼伝説(1)』(1991年)と同じため、相関関係が論議を呼んでいた。
ゲーム『龍虎の拳2』は全12キャラクターのどれを選んでも1人プレイが可能であり、いわゆるオーソドックスな格闘ゲームのシステムに近づいていた。同キャラクター戦を含む全12試合を行い、12戦目の相手であるミスタービッグを倒すとエンディングとなるが、フラグを立てる(2勝0敗、つまり1ラウンドも落とさず進めていく)と、13戦目として隠しボスであるギース・ハワードが登場する、という仕掛けになっている(ネオジオ版ではプレイヤーキャラクターにはならないが、スーパーファミコン版では使用可能)。ギースを倒すとエンディングが変わる、というのはミスタービッグぐらいだが、ギースが飛行機で日本に逃亡し、新しい技(当て身投げと思われる)を習得しようとする…という部分も明確になっており、『餓狼伝説(1)』との前後関係が明らかとなった。
本作ではギースが初期から登場。前作においては「キング・オブ・ファイターズ」とはストリートファイトの称号でしかなかったが、本作ではギース主催の大会(賭け試合)となり、ギースはその展開を仕切りながら、極限流空手の「気」の奥義と我がものとし、前作で生き延びたミスタービッグを叩きのめす…、という目的に沿って動いている。ゲーム版で選択できる12人は全員登場するものの、ギース主導であり、その目的故にジャックなどはやられ役に転落、ミッキーはロバートとの再戦が水入りとなった挙句に乱入者のジョンに倒される、といった具合で、扱いに差が出ている。次回作『カーマンに指令を 龍虎の拳・外伝』(『ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝』を原作としている)では、登場キャラクターを絞った展開になったが、これは同じ作者の『ギース・ハワード外伝』シリーズも同様である。
リョウは龍虎乱舞を発動できるものの、ロバートは会得していない(これは本シリーズオリジナルの設定で、ゲーム版では使用可能)。ロバートの龍虎乱舞は『カーマンに指令を 龍虎の拳・外伝』にて初披露とになる。
ストーリー
ブラックサバス計画が失敗に終わって1年が経った1979年。アメリカ合衆国にあるサウスタウンでは、静けさが戻っていた。ユリ・サカザキは無力さを克服するため、父と兄に隠れ、ロバート・ガルシアの元で極限流空手の修業をしていた。
リョウ・サカザキ宛に「キング・オブ・ファイターズ」の招待状が届く。これを牧場の彼の元へ渡しに行くロバート。リョウはこの1年、公式戦には全く参加しておらず、今回もその気はないという。一方、ロバートは多くの試合に出場しており、連戦連勝だった。リョウの態度に業を煮やしたロバートは組手を挑む。一息ついたところで、ロバートの父親が止めに入った。彼は「キング・オブ・ファイターズ」に2人が参加した、と思ったのである。かつてストリートファイト(賭け試合)の名前だった「キング・オブ・ファイターズ」の名称を使い、ケーブルTV(Gネット)を使った大規模の賭け試合の中継が行われようとしていたのである。参加者として紹介されているのは、リョウ、ロバートの他に極限流総帥のタクマ・サカザキ、消息不明だったキング、ジャック、ミッキーの他、新顔となるテムジンと如月影二の8人。
第1試合はリョウ対テムジンのカードが組まれていた。しかし、挑戦者とTVクルーが向かう極限流の空手ジムには、ユリと門下生しか残っていない。中継をみて焦るリョウとロバートは、急いでジムに向かう。ジムではテムジンが門下生を相手に大暴れをしており、不在のリョウを逃亡とみなして、カメラに対して一方的に勝利を宣言していた。異を唱えるユリはテムジンと対戦。テムジンは女と見て手加減したため、技が甘くなり敗北する。
サウスタウン空港では、飛行機から降り立ったタクマを如月が襲っていた。流影陣で飛び道具を跳ね返す如月に、極限流空手は不利。組み技の翔乱脚から背後を取り、覇王至高拳を放ったタクマだったが、威力不足で決定的ダメージにはならなかった。不利と見た如月は、腰帯に仕込んだ小刀を抜き、タクマに逆襲する。左胸の古傷を刺されたタクマは動きが止まったが、覆面をした東洋人たちに救われ、脱出する。
勝負はタクマの判定勝利となったが、負傷した上に消息不明となり、次の試合が組めない。コミッショナーのギース・ハワードは如月を暫定勝者とし、悪役として売り出すという。暗殺を旨とする如月はその信念に揺らぎはなく、自身への扱いに不満を述べ大会を去ろうとしたが、ギースから「極限流最強はリョウ」と聞かされ、試合を組む条件で残留する。
タクマを探し、如月を警戒しているリョウの前にジャックが現れる。新技で圧倒したジャックだったが、リョウも成長著しく、覇王翔吼拳を受けて倒される。
参加者としてのユリの身を案じたリョウは、その保護をロバートに頼んでいた。ガルシア家の別荘で過ごすユリだったが、大会からメッセンジャーが訪れ、試合への参加を呼び掛けられる。
そのロバートはミッキーの気配を察知。別荘での対戦となったが、ミッキーが林に誘きこみ、足技を封じる。しかし警報が鳴り響き、ミッキーは逃走した。
ユリはキングと対戦。自分を変えるきっかけがキングだった、と語り意気込むが、キングは弟の手術費のため参加。その思いの強さに圧倒され敗北する。
チャイナタウンからの使いで、タクマが保護されていることをリョウたちは知る。そのタクマを狙い、如月はチャイナタウンへ忍び込む。クルーが同行していないため、今度こそ命を奪うつもりなのだ。タクマはリー・パイロンの調合した薬で眠っており、パイロンが如月の相手を務める。戦いは一進一退だったが、パイロンの弟子たちが駆け付け、如月は逃亡した。パイロンは如月の扁枯穴を突いており、その効果が現れるはずであった。
翌朝、タクマはチャイナタウンを後にする。警護に帽子の若者が一人が随行したが、彼からは殺気が放たれていた。タクマの真意を確かめるべく、襲いかかる若者。1年前、タクマが指導したため、「組織」で「気」を遣う格闘家が現れ、サウスタウンがより混迷の度を増しているのだ。そして、その元凶こそギース・ハワード…。それを聞かされ、タクマは打倒ギースの意思を固める。それを見た若者は、名も告げずその場を去った。
キングとの牧場での戦いは、リョウの勝利に終わった。タクマはギース暗殺を狙っていたが、「組織」に追われ南港に逃げ込んでいた。傷に苦しみ、追手を振り切れず苦闘するタクマだったが、南港の顔役・テムジンに救われる。彼に頼んだのはユリだった。ギース暗殺は無謀すぎる、と止めに入るユリを、タクマの正拳が襲う。それを庇うデムジン。タクマを思いとどまらせるためテムジンは彼と戦うことになる。テムジンとユリの説得に応じ、思いとどまるタクマ。深手を負いながらのその技量にテムジンは驚嘆し、「彼の弟子が2人もいるなら」と、ギース打倒の願いをリョウ・ロバートにかける。
ロバートはガルシア家の本宅に引っ込んでおり、ミッキーのつけいる隙がない。期限切れで失格となるのを待つ身であったが、ジョン・クローリーが乱入、ミッキーを倒して挑戦権を得る。正門を爆破したジョンは、大会の粉砕を宣言、クルーを倒し邸内に侵入する。だがロバートに察知されており、2人の戦いが始まる。そこへミスタービッグが登場し、2人がかりでロバートを圧倒する。背後から密着されてジョンに首を絞められ、絶体絶命のロバートだったが、自らに覇王翔吼拳を放ち、ジョンを道連れにダブルノックアウトとなる。ビッグは姿を消した。
リョウはロバートの入院先へ急ぐ。そこへ如月が奇襲をかけ、決勝戦が路上で始まった。如月とリョウは互角、しかしパイロンの仕掛けた扁枯穴が発動し、如月の左半身が動かなくなる。そこへ極限流連舞拳が炸裂し、リョウが優勝を手にした。
クルーの案内でヘリポートへ向かうリョウ。そこを急襲するビッグ。リョウの予想以上の成長ぶりに驚嘆したビッグは長期戦を回避。「気」でパイプを歪ませ、リョウを壁に固定。その間にクルーを「気」で制圧し、ギースの元へ向かう。リョウは後れをとったものの、クルーからギースの居場所を聞き出していた。
ギースビルの屋上にヘリで乗り込んだビッグは、1年前から潜入させておいた部下に囲まれた。指示を与え、「組織」を奪回すべく階下に進行させる。同時に地上部隊も展開させていた。ビッグはギースの拠点をモニター室と見なし踏み込むが、そこは空であった。巨大モニターにギースが映し出され、ビッグの作戦を見抜いていた、と告げる。屋上からの部隊も地上からの侵入も、すべてギースの配下に制圧されつつあった。そして室内エレベーターで上がってきたギースは、自らの手で決着をつけるべく、ビッグに立ち向かう。大会の本当の狙いは、ビッグの打倒だったのだ。逆襲するビッグだったが、本領を発揮したギースには手も足も出ず、完敗を喫する。
遅れて到着したリョウは、ギースと対面する。龍虎乱舞の秘密を解き明かすべく、ギースは決勝が極限流対決になるよう、カードを仕組んでいたが、ついに自ら対決し、その謎を解こうとする。烈風拳や飛翔日輪斬でリョウを圧倒するギース。だがリョウは頑なに龍虎乱舞を出さない。業を煮やしたギースは、龍虎乱舞をアレンジしたデッドリーウェイブを放つ。だが、リョウはそれを龍虎乱舞ではない、という。そして、龍虎乱舞を発動させる。ギースには勢いのついた連続攻撃にしか見えなかったが、腕を折ってもリョウの攻撃は止まない。苦痛を感じず、相手を倒すまで続く攻撃の嵐…ギースは認識を改めた。命まで賭けては、もはやゲームではない、ギースはリモコンで照明を落とし、撤退。ヘリに乗り込み空港へ向かった。そのヘリを見上げ、帽子の若者はギースを倒すのはこの自分、ジェフ・ボガードしかいない、と決心するのだった。
事件はビッグの責任とされ、ギースや極限流のことは報道されなかった。市警にもギースの手が及んでいるのだ。そして、ギースの送りつけてきた小切手を、キングの弟の手術費に充てることをリョウは考えていた。
登場人物
年齢、出身地(国籍)、身長、体重で特に説明のないものは、ケーブルTVの紹介画面からである。
リョウ・サカザキ
タクマ・サカザキ(ミスター・カラテ)
テムジン
藤堂竜白
如月影二
ギース・ハワード
キング
リー・ガクスウ
謎の若者 / ジェフ・ボガード
ジャック・ターナー
ミッキー・ロジャース
ジョン・クローリー
書誌情報
- 天獅子悦也・ 石井ぜんじ(ストーリー協力) 『龍虎の拳2』 新声社〈ゲーメストコミックス〉、全2巻
- 1995年4月発売、ISBN 978-4881991664
- 1995年7月発売、ISBN 978-4881991879