13階段
以下はWikipediaより引用
要約
『13階段』(じゅうさんかいだん)は、2001年に講談社から発行された高野和明の長編ミステリー小説。同作者のデビュー作である。仮釈放中の青年と定年間近の刑務官が、冤罪の可能性がある死刑囚を救うため、10年前に起こった殺人事件の謎を追う。また、死刑制度を含めた刑の重みや刑務所の機能(服役者の更生)などがテーマとなっている。第47回江戸川乱歩賞受賞作品。
当時、デビュー作ながら江戸川乱歩賞を選考委員の満場一致で受賞したことから話題となった。また40万部を売り上げ、乱歩賞受賞作品の中でもっとも速く高い売り上げ記録を達成している。
2003年には同題で、反町隆史と山﨑努を主演とする映画が公開された。
あらすじ
2年前に傷害致死事件を起こして服役するも、模範囚として早期の仮釈放を受けた青年・三上純一は、定年間近の刑務官・南郷正二からとある仕事を持ちかけられる。それはある殺人事件の再調査であり、犯人とされる死刑囚・樹原亮の冤罪を晴らせば多額の報酬が貰えるというものであった。民事賠償で家族が困窮を窮めていた三上はその話を受ける。
事件は10年前、千葉県中湊郡で起こり、ベテランの保護司夫婦が惨殺されたというものであった。犯人とされる樹原は、事件現場近くでバイク事故を起こし意識を失っていたところを発見され、状況証拠によって犯人とみなされ、死刑判決を受けていた。ところが、樹原自身はバイク事故の影響で「階段を上っていた」というおぼろげなこと以外、事件前後のことを思い出せなくなっていた。
死刑執行まであと約3ヶ月。樹原の言う「階段」をヒントに三上と南郷は中湊郡で調査を始める。やがて、三上と事件の意外な共通点が浮かび上がってくる。
登場人物
三上純一
南郷正二
佐村光男
樹原亮
宇津木耕平
評価
本作はミステリー作家への登竜門として知られる江戸川乱歩賞において選考委員(赤川次郎・逢坂剛・北方謙三・北村薫・宮部みゆき)の満場一致で受賞した。赤川は、「偶然性や、多少の後味の悪さなど気になる部分はあった」としつつ、「構成、展開、キャラクターの存在感など全体にわたって抜きん出た巧さを示し」たと評した。同様に他の選評でも文章力やミステリーとしての構成力が高く評価され、逢坂は「ここ十年ほどの乱歩賞受賞作の中でも、出色の佳作」と評した。死刑制度を含めた刑の重みや刑務所の機能(服役者の更生)といった重いテーマも、高く評価された。
2005年に同じく満場一致で乱歩賞を受賞した薬丸岳は、本作を読んだことをきっかけに受賞作となった『天使のナイフ』を書いたとし、同様に葉真中顕もミステリー作家を志すにあたって、過去の乱歩賞受賞作を読み漁った中で、薬丸の『天使のナイフ』と共に本作に感銘を受けたとしている。ダ・ヴィンチ誌は、「ミステリー好きがみな口をそろえて絶賛する」と評し、他にも越尾圭が本作を好きな1冊に挙げている。
2013年にAmazonジャパンが発表した、過去13年間の販売数やカスタマーレビューに基づいた「オールタイムベスト小説100」の一冊に、本作は選ばれている。
映画版
2003年2月8日公開。
キャスト
- 反町隆史 - 三上純一
- 山﨑努 - 南郷正二
- 木内晶子 - 木下友里
- 笑福亭鶴瓶 - 杉浦弁護士
- 田中麗奈 - 南郷杏子
- 西田尚美 - 三上知子
- 深水三章 - 三上俊男
- 宮藤官九郎 - 樹原亮
- 宮迫博之 - 寺田実
- 伊藤幸純 - 宇津木耕平
- 別所哲也 - 中森検事
- 井川比佐志 - 佐村光男
- 水橋研二 - 佐村恭介
- 大杉漣 - 安藤紀夫
- 石橋蓮司 - 阿部所長
- 崔洋一 - 武藤所長
- 寺島進 - 岡崎刑務官
- 大滝秀治 - 久保
- 河原さぶ - 室戸英彦
- 左時枝、螢雪次朗、北見敏之、谷本一、小市慢太郎、近江谷太朗、濱近高徳、山下真広、遠藤たつお、春延朋也、浜田道彦、若杉宏二、奥田崇 ほか
スタッフ
- 監督:長澤雅彦
- 脚本:森下直
- 音楽:ニック・ウッド
- オーケストレーション:トッド・ヘイエン
- 矯正施設関係アドバイザー:坂本敏夫
- 法律アドバイザー:水上博喜
- 撮影:藤澤順一
- ステディカム:佐光朗
- 編集:掛須秀一
- 美術:小川富美夫
- 視覚効果:松本肇
- 技斗:深作覚
- 現像:IMAGICA
- スタジオ:東映東京撮影所
- プロデュース:角谷優、増田久雄
- 企画協力:岡田裕
- 製作者:宮内正喜
- 製作協力 プルミエ・インターナショナル
- 製作:フジテレビジョン、東宝、ポニーキャニオン、IMAGICA
- 配給:東宝