AKABOSHI -異聞水滸伝-
以下はWikipediaより引用
要約
『AKABOSHI -異聞水滸伝-』(アカボシ いぶんすいこでん)は、天野洋一による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)2009年25号から49号まで連載。全24話。
概要
天野洋一の『週刊少年ジャンプ』に於ける二度目の連載となる。登場人物や世界観などは中国明代に書かれた小説『水滸伝』を元に作られているが、天野自身は「色々とカオスな自分的『水滸伝』として読んで欲しい」とコメントしている。そのコメント通り、内容は藤崎竜の『封神演義』にも似た、奇抜な設定を盛り込んでいる。
しかし、連載の短期打ち切りによって108の魔星を持つ英雄が全員揃うことはなく、『水滸伝』の序盤に相当する部分を描いただけで物語に決着を見ないまま終了している。
単行本の第3巻では、伏線を回収するために連載版では書かれなかった設定を盛り込み、また後日談を2話載せてある。
あらすじ
900年前の中国・宋の時代、圧政と貧困に苦しむ民衆の間で、伝説の義賊の噂が囁かれていた。腐敗したこの国を倒し変えようとする正義の集団、その名は「替天行道」。彼等に憧れる少女・翠蓮は「替天行道」の名を騙り悪を倒す事で、皆に希望を与えようとしていた。そんな彼女の前に、巨大な剣を持った傍若無人な少年が現れる。紅く燃える流星の如き剣技を振るうその少年の名は、戴宗。この世界の夜明けを告げる明星(あかぼし)にならんとする男である。
登場人物
主要登場人物
戴宗(たいそう)/流星(りゅうせい)
本作の主人公。義賊「替天行道」のメンバー。誕生日は7月7日。血液型はB型。身長161cm、体重52kg。好きなモノは豚の丸焼きと饅頭。嫌いなモノは役人とヘルシーフード。一人称は「俺」。二人称は「おたく」。口癖は「笑えねぇ」と「~かどうかはオレが決める」。16歳。
かなりの面倒臭がりで、歩くことも厭い、翠蓮や林冲、果てには自分を襲ってきた山賊を乗り物代わりに使う。動物を「食品」としか思っていなく、自分に届いた伝書鳩をも焼いて食べてしまった程。が、ペットのように連れている猫のような虎には平伏している。あまりにも傍若無人だが、彼の行動はある意味では理にかなっている(例として、王進が説得に応じるような人間ではないと判断し、強硬手段に出たりした)。また、幼い頃は孤児であった。
宝剣「伏魔之剣(ふくまのつるぎ)」を武器にする。刃の無い剣なのだが、彼は高速で振り回すことで生み出される摩擦熱により灼き切る事が出来る。また、車よりも速く走る事の出来る脚力を持つ。
天速星という魔星を身に宿した宿星で、梁山泊での戦いをきっかけに星の力を扱えるようになる。
単行本の第3巻では、夢の中で義父洪信の助言を受け天速星の力に目覚めるシーンが掲載されている。
金翠蓮(きん すいれん)
済州鄆城県の村に住んでいた少女。誕生日は3月11日。血液型はA型。身長139cm、体重32kg。好きなモノは動物全般(特にパンダ)。嫌いなモノは昆虫類。13歳。
村を山賊や国から守るために、パンダのお面を被って「替天行道」を名乗っていた。ひょんなことから戴宗と運命的な出会いを果たす。
戴宗の任務の一環で共に旅をすることになる。彼の破天荒ぶりに振り回されてばかりいるが、それでもどこか彼を慕っている。胸がないことを気にしている。現在では替天行道の見習いとなっている。旅芸人の娘だった事もあって身体能力はそれなりにあるが、戴宗らと比べられる程ではない。
最終話で地獣星の宿主となり、宿星になる。第3巻に載せられた後日談では、地獣星の能力で動物と言葉を交わせるようになっている。
林冲(りんちゅう)/豹子頭(ひょうしとう)
八十万禁軍武術師範補佐。束ねた長髪が特徴な美形の男。誕生日は10月8日。血液型はA型。身長179cm、体重70kg。好きなモノは小魚と猫。嫌いなモノは義賊とジャンクフード。19歳。
元は両親に売られた孤児で、成り行きで王進の義理の息子となる。自らが親と認めた者に裏切られ続けたが、王進だけは自らを本当に受け入れてくれた存在として慕っていて、師に仇なす者は誰であろうと容赦なく抹殺するという信念を持つ。また義賊を名乗る山賊に育てられ、裏切られた過去を持つため、義賊を名乗る戴宗とはいがみ合ってばかりいる。槍棒の達人で蛇矛を得物とし、容姿に似合わぬ野性的な武技から、「豹子頭」の異名が付いた。王進を助けられた借りを返すため、戴宗に同行する。
替天行道
宋
上層部
禁軍
王進(おうしん)
八十万禁軍武術師範。中華で最強の男と呼ばれる。皇帝のため最強の軍を作り上げる事を自らの使命としており、将校から賄賂を受け取らず訓練の手を緩めないため、将校達からは嫌われており、また国の政治のやり方に異を唱えたことから、"三本の絲"等上層部からも忌み嫌われている。しかし王進本人は、みなしごであった林冲の手前もあり、絶対的な忠誠を国に誓っている。無駄な殺生は避ける主義。
何度となく刺客に狙われており王進の行くところには不幸が舞い込むとまで言われているが、本人はいたって気にしていない。戴宗に替天行道に入るようスカウトされるも拒絶。その後関勝に逮捕されそうになる。本人は国を裏切れないため大人しく連行されるつもりだったが、戴宗の邪魔と林冲の熱意に心を動かされ、時遷の案内で母と共に都を去る。現在は史家村の史進の家に匿われている。
宿星軍
何濤(かとう)
崔道成(さいどうせい)/生鉄仏(せいてつぶつ)
寇滅(こうけつ)/毒焔鬼王(どくえんきおう)
その他
趙能(ちょうのう)
梁山泊
王倫(おうりん)/白衣秀士(はくいしゅうし)
杜遷(とせん)/着天金剛(ちゃくてんこんごう)
宋万(そうまん)/雲裏金剛(うんりこんごう)
扈三娘(こさんじょう)/一丈青(いちじょうせい)
山道で戴宗たちが出会った少女。誕生日は4月20日。血液型はO。身長は165㎝。体重は不明。好きなものは海棠の花(のように美しいと思ってる自分)で、嫌いなものは自分の怪力(というよりむしろ自分より弱い男たち)らしい。見た目は可憐な美少女なのだが、極度の大食いなうえ岩壁を素手で粉々に砕いたり、木を素手で引き抜くことができる怪力の持ち主。本人はあくまで自分を「かよわい」と言い張っているぶりっ子でもあり、戴宗や林冲からは「バカ」「メス」などと散々に言われている。また、二人とは美的センスもずれており、戴宗の師匠を可愛くないと発言、戴宗、林冲と大喧嘩に発展した。
連載版では梁山泊に入山した理由は語られなかったが、単行本の第3巻での追加設定で、山賊に盗まれた自分の愛刀日月双刀を取り戻すために入山したことが明らかになった。
村民
いずれも最終回エピローグに登場。
晁蓋(ちょうがい)/托塔天王(たくとうてんのう)
その他
洪信(こうしん)
鄆城知県に住む村一番の腕前を持つ貧乏鍛冶屋。戴宗の義父。中性的な容姿とその仕草から村の子供たちから「オカマ」と呼ばれて馬鹿にされていた。孤児であった戴宗を引き取り、精一杯愛情を注いだ。戴宗自身はそのことを疎ましく感じていたが、同時に心の拠り所ともしていた(戴宗は内心ではとても慕っているも心を開いてしまったら自分の実の両親のことを忘れてしまうではないかと恐れていた)。戴宗の持つ「伏魔の剣」の製造者。
かつて鍛冶の腕を買われ軍の武器製造の最高責任者と宮廷鍛冶師として働いていた経験があり、だが自分の製造した武器が罪の無い人々を殺していくことが恐くなり逃げ出してしまった過去があり、そのつてを高俅の陰謀に利用された。七代宋王哲宗の殺人犯として罪を着せられ、最期は戴宗の目の前で高俅に殺された。
原典では物語の冒頭で伏魔殿の封印を解き、百八魔星をこの世に解き放った。今作では彼は原典と同じく物語の始まりに深く関わり、製造した「伏魔の剣」が七代宋王の殺害に使われたことで物語が始まり、また戴宗に力を与え宿星軍の魔星をこの世に解き放ち新たな物語の始まりのきっかけとなる。
用語
替天行道(たいてんぎょうどう)
梁山泊(りょうざんぱく)
伏魔之剣(ふくまのつるぎ)
戴宗の義父洪信の遺作。元は王の弟の誕生祝の宝剣として製造されたが高俅の手の者によって七代宋王の暗殺に使われたため、「王殺しの剣」と呼ばれる。高俅によって洪信の身体ごと噛み砕かれてしまった。その後戴宗によって無理矢理修理されたと見られる。前述の通り武器としてはほとんど意味をなさないが、その深い因縁が戴宗に力を与えている。
宋
三本の絲
108魔星の力
宿星
宿星軍
書誌情報
- 天野洋一『AKABOSHI -異聞水滸伝-』集英社〈ジャンプ・コミックス〉新書判、全3巻
- 「流星の戴宗」2009年10月2日 ISBN 978-4-08-874777-4
- 「梁山泊」2009年12月4日 ISBN 978-4-08-874779-8
- 「108の星」2010年2月4日 ISBN 978-4-08-870001-4
担当編集
- 大西恒平:第1話(2009年5月) -