DEAR (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『DEAR』(ディア)は、新井輝/著、久瀬たかし/イラストによる日本のライトノベル。2001年3月より発刊中。富士見ミステリー文庫刊。短編集においては季遊月あすか/本文イラスト、朝倉哲也/口絵デザイン。 本編の各巻タイトルに曜日名がつけられていることから、曜日シリーズとも呼ばれる。木曜のあとがきによれば、ゲームを意識して書かれた作品とのことで、繰り返される一日と、そのたびに選択肢が変更されていくという手法はまさしくアドベンチャーゲームのようである。
概要
物語の特徴として物語の初めに3人の人間が死んでしまっており、事件が起こる前の時間に戻り3回のうちにそれを回避することを目指し行動する。犯人と解決者の2人だけが時間が繰り返されているということに繰り返しの初めから気づくことができる。事件開始時の1回ごとに犯人と解決者の記憶が任意で消去することができる。2回目以降は(任意ではあるが)解決者の記憶は失われない、ということが物語を通しての特徴となっている。1,2巻においては青山正吾が解決者の役割を繰り返すが、3巻においては青山正吾と真鶴千尋、4巻においては市ヶ谷一美となっている。
ストーリー
1巻:少女がくれた木曜日
2巻:あの娘を信じる金曜日
3巻:二人で見つめる土曜日
4巻:貴方に言えない日曜日
登場人物
青山正吾(あおやま しょうご)
私立時輪台大付属高校1年1組、出席番号1番。シリーズ開始時点で15歳。テレビゲームが趣味で、トーストは六枚切りでないと落ち着かない。木曜・金曜・土曜の主人公。普段はどちらかといえばぼんやりとした性格で、感情を露にすることもあまりない。しかし、一度真剣になると行動力が急上昇し、とことんまで物事と向き合うタイプ。困っているひとを見捨てられず、また他人とのつながりを大切にしている。この正吾の真剣な言葉と行動によって、事件・事件外にかかわらず危機的な状況から救われたひとは数多い。正吾のこういった性質を貴博は「時々ミラクル起こす」と、千尋は「直感の人」と評していた。
また、そんなところが好感をもたれるらしく、周囲の女の子たちから恋愛感情を向けられることが多いが、本人はいたって鈍感。秋葉をやきもきさせている。
実は生前の冬華(トーカ)とは偶然に出会っており、彼女を励ましているが、正吾はそのことを覚えていない。トーカが正吾を選んだのはこの出会いが大きいようである。なお、ふたりの関係を千尋は「恋人みたい」と評していた。
乃木坂秋葉(のぎざか あきは)
正吾のクラスメイトで、クラス委員長である。大きな眼鏡と一部だけ編んで前に垂らした髪形が特徴。真面目な性格で、成績も優秀、まわりへの気遣いもできる性格だが、その真面目さが裏目にでてしまい、思い込みの激しさが顔をのぞかせてしまうこともある。また、人を気遣っているうちに、我慢を抑えきれなくこともあり、正吾と付き合いはじめた金曜以降もケンカしてしまうことが珍しくない。生前の冬華に対しても素直になることができず、本人も悔やんでいた。この一途で頑なな性格が災いして、当初は貴博や一美からはあまりよく思われておらず、やり直しの日には正吾との関係で千尋と対立することもあった。しかし、こういったギクシャクとした関係は、シリーズが進むにしたがって改善、むしろ一美などからは一目置かれるようになる。
中学生のときに、周囲に学園祭の準備を押し付けられたとき、正吾が助けてくれたことを大切に思っており(正吾は忘れていると思っていた)、彼と仲良くなりたいと思っているが、行動に移せずにいた(木曜)。事件をきっかけに付き合うようになるが、事件がなければ(つまりトーカが正吾を選ばなければ)という想いはつよかったようで、土曜日では正吾や千尋にその苦しみを吐露していた。
真鶴千尋(まなづる ちひろ)
正吾のクラスメイトで友人。土曜では準メインをつとめた。写真部部員で、その縁で出版社でバイトもしている。気に入った光景があると相手の意思などお構いなしでシャッターを切る。基本的には楽天的かつ物怖じしない性格である。女であることを感じさせないタイプというのが正吾の評価で、本人もそのスタンスを望んでいる。真面目な話は苦手で、本人は結構突拍子もないこと(「友情のキス」等)を言い出すが、言われるのには慣れていないようである。正吾との関係で秋葉とはギクシャクとすることもあったが、土曜終了時点では友人といっていい間柄。
土曜日では、正吾に秋葉が一番で、自分は二番目の存在(友達)でいいと告げていた。しかし、メインをつとめた「カバーガールは似合わない」(『定休日』)での一人称などから察するかぎり、複雑な想いがあるようである。その割に「嘘とホントと、やはり嘘」(『同』)などで秋葉の世話を焼いているあたり、お人好しな性格をしている。
なお、金曜のあとがきによれば、彼女と正吾とのカップルを期待する声もあったようだが、作者には選んでもらえなかった。作者のお気に入りキャラで、土曜では準メインだが、その反動で日曜では「千尋はもういいかな」と言われてしまうなど、作中もっとも不幸な役回りにあるキャラクターであると思われる。
市ヶ谷一美(いちがや かずみ)
赤井貴博(あかい たかひろ)
正吾のクラスメイトで友人。長髪のハンサムで、運動神経も抜群なため女子からは人気があるが、一美と付き合っており、彼女一筋である。シリーズ開始の時点では、正吾との関係は「クラスメイト」以上のものでしかなく、冷たい面をのぞかせることもあったが、木曜中盤において親友といっていい間柄になり、秋葉や一尋だけでなく、ときには一美に対してさえも正吾を庇ってみせるなど、友情に篤いところをみせている。年頃の少年らしく、Hな方面への興味は人一倍なようで、その方面への温度差もあって一美との間でトラブルが絶えない。
中学時代に友達が自殺しており、積極的に友人関係を築くことをしなかったのも、このことに起因していると思われる。木曜中盤で正吾にこのことを告白している。
市ヶ谷双海(いちがや ふたみ)
高島優子(たかしま ゆうこ)
トーカ
エイミ
船堀樹里子(ふなぼり きりこ)
備考
木曜日のあとがきで、作者は西澤保彦の『七回死んだ男』の影響で、このシリーズのプロットを考えたと述べている。ただし、西澤がタイム・ループの機能を極限まで推理小説のトリックとして機能させているのと比較すれば、曜日シリーズでの使われかたは人間ドラマを盛り上げるための装置となっている面がつよい(そのため、短編集ではタイム・ループさえ使用していない)。
既刊一覧
新井輝(著)、富士見書房〈富士見ミステリー文庫〉、全5冊
- 『DEAR 少女がくれた木曜日』、2001年3月23日発売、ISBN 4-8291-6116-7-C0193
- 『DEAR2 あの娘を信じる金曜日』、2001年9月25日発売、ISBN 4-8291-6137-X-C0193
- 『DEAR3 二人で見つめる土曜日』、2002年3月25日発売、ISBN 4-8291-6159-0-C0193
- 『DEAR4 貴方に言えない日曜日』、2002年12月25日発売、ISBN 4-8291-6191-4-C0193
- 『DEAR DIARY1 寝起きの悪い定休日』、2004年2月10日発売、ISBN 4-8291-6244-9-C0193