K2 (漫画)
以下はWikipediaより引用
要約
『K2』(ケーツー)は、真船一雄による日本の漫画。原案協力は中原とほる。医療監修は原田知幸。『イブニング』(講談社)にて、2004年11号より2023年6号まで連載。同誌の休刊により「コミックDAYS」(同)に移籍し、2023年3月26日より連載が再開している。1988年から1998年まで『週刊少年マガジン』にて連載されていた『スーパードクターK』シリーズ(以下、前作)の続編である。
概要
前作の主人公・ドクターK(KAZUYA)の一族の分家筋にあたる医師・神代一人と、KAZUYAのクローンである少年・黒須一也を軸に、KAZUYAの死から5年が経過した2004年からストーリーは始まる。
一人を中心にした社会的な医療ドラマと、一也の成長に関わるエピソードが基本線になっており、前作のキャラクターが重要な役割で登場することもある。一方、KAZUYAが生前に難病患者に対して診察券代わりに渡した10本のメスにまつわる話も盛り込まれており、KAZUYAが活躍していた前作の時代(1980年代後半 - 1990年代)と、連載時点での医療技術の進歩に焦点を当てられることもある。
劇中の時間経過は現実に則しているため、レギュラー登場人物は物語の進行に伴って加齢・成長する。また、前作の最終話で未来(2018年)の出来事として描かれた内容とも繋がる様に作られている。
2021年1月時点でコミックス累計発行部数は230万部、2021年9月時点で「スーパードクターK」シリーズの累計発行部数は1500万部をそれぞれ突破している。2023年2月から5月31日まで全話がコミックDAYSで無料公開されたことでSNS上で反響をよび、作中で用いられる擬音「ギュッ」や「入ったら死ぬ風呂」などが話題を呼んだ。
2024年1月には『スーパードクターK』『DoctorK』『K2』の通巻100巻を記念し、1月18日発売の『モーニング』7号において出張掲載が行われ、表紙を飾った。また同誌連載の『リエゾン -こどものこころ診療所-』『アンメット -ある脳外科医の日記-』とのコラボ漫画も掲載された。
あらすじ
Kの再来(第1話 - 第12話)
2004年3月、西海大学病院から無医村であるN県T村へ医師として派遣された富永研太は、偶然同席した警視庁の岡元から無資格医が村にいると告げられる。道中の事故で大怪我を負った岡元は、マントの男の手術によって救われる。無資格医療者を憎悪している岡元は、麻酔から覚醒するとすぐ男を逮捕する。しかし岡元の体には手術痕が残っておらず、男の卓越した医療技術と医学に対する信念に感銘を受けた富永も証言を拒んだため、男は釈放される。
男の風貌と傑出した医療技術、加えて去り際に名乗った「K」から、マントの男はドクターK・西城KAZUYAではないかと考えた岡元は、富永を連れてKAZUYAの妹であるKEIの元へ向かうが、KAZUYAは5年前に癌で死亡していた。KEIも「K」と名乗る男に興味を抱き、正体を確かめるため岡元・富永と共に村へ向かう。
村では「K」の執刀により、法律で禁止されている子供から子供への心臓移植手術が行われ、それを村人たちが補助していた。代々卓越した医療技術を持っていたKの一族は、KAZUYAら表の一族と、影からそれをバックアップする影の一族に分かれており、男は影の一族の当主・神代一人であった。村は臓器移植のドナー制度を整えるなど、影の一族の医療技術を維持・向上させるために協力する存在であった。
一族の系譜が途絶えてしまっている現状を憂慮していたKEIは、一人を表舞台に出し「K」の称号を引き継いでもらうことを画策する。一人は特例での医師免許発行の条件として難易度の高い手術を課されるが、KAZUYAを知る医師・高品と朝倉にKの再来と言わしめるほどの衝撃を与えつつ手術に成功し、正規の医師として表舞台で活動していくこととなる。同時にKAZUYAの時代では完治させることができなかった患者のもとを訪れて治療をしていき、ドクターKの後継者としての評価を高めていく。
一也、小学時代(第13話 - 第91話)
一人と一也の出会い
KAZUYAのクローンである黒須一也の生みの母親である黒須麻純の家を訪ねた一人は、一族を見守り補完するため、一也をドクターKに育て上げる役目があることを麻純に伝える。
小学校の同級生とキャンプに行っていた一也は、愛犬が熊に襲われる事態に遭遇し、駆け付けた一人から愛犬は内臓破裂で助からないことを告げられる。その後再度出現した熊と対峙した一也は、熊とともに崖から転落する。愛犬と同様に内臓を損傷した熊を治療する一也の姿に、一人は医者としての、何よりもドクターKとしての資質を確信する。
クローン臓器密売組織
飛行機の墜落事故をきっかけにクローン臓器が密売されていることを知った一人は、密売組織の顧客と思われる人物の手術痕の特徴から、失踪した自身の父が関与しているのではないかと疑念を抱く。
密売組織はクローン技術の向上のため、「パーフェクト・クローン」である一也を被験体として狙い、誘拐を目論むが失敗する。事件が密売組織によるものだと察知した一人は、一也を自身の村で保護・育成することをKEIと麻純に伝える。
業を煮やした組織は、直接一也を捕える計画を立て、診療所に乗り込んでくる。乗り込んできた男は一人の父ではなく、神代家の執事で一人の師でもある村井だった。一也は村井の口から自身がKAZUYAのクローンであることを明かされ、大きな衝撃を受ける。しかし一也の姿と一人の説得により村井は改心し、組織を離れてふたたび神代家に仕えるようになる。一方で一也はクローンが短命であることや、KAZUYAとその父一堡も早逝したことで、自らの運命について悩むようになるが、KEIやKAZUYAの恩師柳川の支援もあり、運命を乗り越えていくことを決意する。
ある時一人は、移植医療の第一人者である倉津大学の教授・相馬有朋からの依頼で、准教授の刈矢らとともに合同で分割肝移植手術を行い、成功させる。一人と一也は相馬との親交を深め、相馬もまた一也の医師としての資質に注目するようになる。しかし相馬もまたクローン臓器密売組織の一員であった。彼は一也を自宅に招いて体細胞摂取を画策するも失敗し、一人たちの説得によって改心する。一人たちは相馬の協力を得て組織を摘発することに成功するが、相馬は頭部を銃撃されて脳死状態となり、本人の遺志により相馬の臓器は患者たちに移植されていく。相馬の死とオペを見届けた一也は、人を救う医者になると決意する。
一也、中学時代(第100話 - 第161話)
中学生になった一也は、すでに体格が大人顔負けになるだけでなく、運動神経抜群、品行方正、成績トップレベルとなる。一人の指導の下、シャドーボクシングならぬシャドーオペレーションをもって連日手術の演習を行う。またKの診療所には麻上夕紀が看護師として加わり、一也はオペの実践を重ねて更に成長していく。そんな中、かつてのKAZUYAのライバルであるドクターTETSUが一也のもとに現れる。スキルス性胃癌に冒されたTETSUは、一也に安楽死を行わせることで「死」を学ばせようとするが、一人のオペによって延命し、死ではなく「生き様」をもって一也への教育を行うこととなる。
一也、高校時代(第165話 - 第229話)
地元の泉平高校に進学し、高校1年生となった一也は、同級生の宮坂詩織といつも過ごすようになる。重度の卵アレルギーがあった詩織は一也の勧めで一人の治療を受け、症状を緩和することに成功する。その後、災害に巻き込まれた一也が上腕動脈切断の重傷を負った際、詩織は趣味の刺繍の技術を応用し、一人も驚愕する縫合を成功させる。一也のすすめもあり、詩織は医者になることを考え出す。
2年生の時には、8年間共に診療所で過ごし兄のように慕っていた富永が実家の病院に戻ることになる。また、KEIの夫である磯永幸司と出会い、様々な人種・年齢の人間が集まり出自を問われないアメリカのシカゴで医学を勉強することを提案される。その最中、T村でクレーン転倒事故が発生し、一也は詩織の協力を受け重傷者のオペを行うことになる。オペの最中、自らの出生への悩みを打ち明けた一也は、詩織の言葉によって救われる。自分を理解してくれる詩織が共に医者への道を進んでくれると告げられた一也は、改めて一人の元で学ぶとして、留学の話を断る。
3年生の時、TETSUが身元引受人となっている和久井譲介が転校してくる。TETSUからK一族のことを聞いていた譲介は一也に対して異常とも思える対抗心を持ち、学校内でトラブルを起こす。譲介を警戒していた一也だが、一人の診療所で彼と二人で患者の治療に関わった際に、彼の医療に対する真剣さを感じ取る。TETSUは譲介と一也を引き合わせることで一也にどのような変化が起きるのか見たいと考えていたが、一也は自分自身は変わらないとTETSUに断言する。その言葉通りに譲介の方が徐々に変わっていき、そして一也とともに帝都大学医学部の入試試験に臨むことになる。
一也、大学時代(第230話 - 第336話)
一也と詩織はKAZUYAも通った帝都大学医学部に現役で合格し、大学で出会った友人達とともに医学生として研鑽する毎日を送る。一方で不慮の感染症罹患により受験できず浪人生になった譲介は、子供の溺水事故に一人とともに遭遇し、一人の「命に対してあきらめの悪い人間になれ」という言葉を受ける。譲介は自分を変えるため、TETSUの元を離れ一人の元に身を寄せることを決意する。
1年後、診療所に帰った一也は、更にスピードを増した一人のオペ技術に圧倒され、譲介から「こんなザマでお前はドクターKになれるのか」と叱責される。Kの後継者としての自覚を新たにした一也は、KAZUYAの人物像を知るために彼の旧知を訪問する。彼らの中にあるKAZUYAという人間に触れた一也は、「自分の信じる道がドクターKへの道である」という言葉を受け、自らの信じる医学の道に駆け出していく。また、詩織ら一也の同期たち、そして譲介も人生を変える出会いの中で大きく成長していくこととなる。
命の番人
ロシアから帝都大学に交換留学生としてビクトルという男がやってくる。ビクトルは蕎麦アレルギーの発作を起こしてKEIの医院に運ばれるが、そのアレルギー発作は偽装されたものだった。折しも大学では不可解な事件が発生し、一也とKEIはビクトルに不審を抱く。
ある夜、詩織と歩いていた一也はVXガスを塗布され倒れるが、ビクトルの処置によって一命を取り留める。KEIの医院に運ばれた一也のもとに、KAZUYAの叔父・一昭の側近だったジリノフスキが姿を現す。ジリノフスキは、再生医療・クローン技術を認めないカルト教団「ストロージ・ジーズニ(命の番人)」が一也を狙っていることを察知し、護衛のためにビクトルを送り込んだのだった。一方、教団はビクトルの双子の兄弟バレリらを送り込み、ガスの後遺症で動けない一也の抹殺を狙う。
関係各所に放たれた教団の刺客たちはKEIたちによって制圧されるが、バレリともうひとりの仲間は一也が保護されている西城総合病院にたどり着く。KEI、麻純、詩織、ビクトル、そして一人と譲介も一也を守るため駆けつけ、間一髪のところで襲撃を撃退する。バレリは一人の説得と、意識を取り戻した一也の姿を見て投降する。しかしバレリの仲間がTATP(過酸化アセトン)を起爆させ、バレリと麻純は瀕死の重傷を負う。
麻純は自分をすでに助からない人間としてトリアージし、医者として他の助けられる人を助けるよう一也を叱咤する。バレリは一人と一也たちのオペによって一命を取り止めるが、麻純はそれを見届けるかのようにしてこの世を去る。
騒動終結後、一也は黒須家に残された遺品を整理しているとき、アタッシェケースに残されたKAZUYAのマントを見つける。一也は麻純の真意を測りかねたが、マントを身に付け、ただ一人放浪の旅に出る。
一也放浪編(第337話 - 第399話)
母親を救えなかったトラウマを抱えたまま放浪の旅に出た一也は、高い医療技術と知識で様々な事件に関わっていく。
もうひとつのK一族
一也は港で「医者いらずの島」と呼ばれる波留島の存在を聞く。島に着いた一也は島民が最先端の高度医療を受けていることに気付くが、島民は警戒して取り合ってくれない。外部の人間を拒む理由を思案していたところに助けを呼ぶ少女の声が聞こえ、重症者を発見する。少女とともに島内唯一の診療所に患者を運ぶと、そこにいたのは神代一人の父親であり長く行方が知れなかった神代一郎だった。そして「医者いらず」の秘密が、K一族の系譜をくみ、島内で代々医療活動をを続けてきた神津家の存在によるものだと知る。
神津家の主である神津一友はすでに他界しており、その娘である神津海は目の前で父親が濁流に飲まれたことを、自分の手が届きさえすれば助けることができたと悔いていた。一郎は一友があえて海の手を取らなかったのだと伝え、海が父親のようになりたいと申し出ると一郎は厳しく鍛え上げることを誓う。一也は次代のKとなるためにするべき研鑽を放棄している現状を一郎に叱咤され、己の道を歩み始めた海を見て、自分自身の居場所に戻る決意をする。
スチューデント・ドクターと4人の研修医
一也はかつて共に過ごした富永が院長となっている病院を訪れ、スチューデント・ドクターとしてしばらく滞在することを決める。そして4人の研修医とともに患者と関わる中で、自分に与えられた時間と後悔しない道を思慮した結果、病院を後にする。
ティガワール王家
一也はドクターTETSUに連れられて、ティガワール王家王妃の子宮頸がん合併妊娠の治療を手伝うことになる。王家のしきたりで妊娠中の治療や帝王切開が認められず、しかも胎児は先天性上気道閉塞症候群を患っているため産後の生存が絶望視されていた。治療を認めない医師による反乱、王にまつわる秘密が明らかになるなど状況は混迷を極めるが、一人と譲介が合流し、出産・胎児の治療・母体の子宮頸がんの治療の同時手術が行われる。
大学卒業
放浪生活中の医療活動が認められ、一也は大学6回生に復帰する。医師国家試験の当日に交通事故に巻き込まれるものの、詩織ら同期とともに無事に試験を突破し、医師免許を取得する。
一也、研修医時代(第400話 - )
一也と詩織は研修希望先として一人の診療所を選択する。一人の下で研修医として研鑚を積む二人は村民にも受け入れられるが、村の特殊な環境の中だけで学ぶことを一人は危惧する。1年後、高品の息子・龍太郎が高品総合病院の研修医になるが、医師としての覚悟や責任感がまるで無い息子の扱いに高品は悩む。一人と高品が相談した結果、一也・詩織と龍太郎が研修先をトレードすることになる。
斎藤由貴が「こっちのマル得のトレード」と評したように、一也は赴任直後から救急患者の診断・治療で同僚の研修医たちが驚愕する技術を見せるが、新任外科部長の谷岡は総合病院では各科が分担して治療にあたるべきであり単独の医師が患者に関わり続けるのは越権行為だとして、「スーパードクター」は必要ないと叱責する。しかし一也は研修カリキュラムと患者の措置への参加をすべて両立させ、あくまで自分の道を貫く。一也と町医者として従事する父から「K」の姿を見た谷岡は、新たな病院の姿を構想する。
一方T村に赴任した龍太郎は、一人によってその資質と美点を見出され、少しずつではあるが成長していく。そんなある日、一人の診療所に倉津大学病院の医師が訪れ、相馬の死から15年間停止していた臓器移植への協力を求められる。一人は一也とともに、事件以来失意の中にあった刈矢を激励し、手術を成功へと導く。富永・一也らとの再会と若き医師たちとの出会いを経て、一人は龍太郎を「スーパードクター」に育て上げる決意をし、父である高品にも覚悟を促す。
登場人物
★のついた人物は『スーパードクターK』・『Doctor K』が初出。
主要人物
ドクターK / 神代 一人(かみしろ かずと)
本作の主人公。1978年生まれ。
KAZUYAの一族における存亡の危機に備え、一族を影から補完する役目を担ってきた分家の当主。普段は医師として、生まれ故郷であるN県T村で診療所を営んでおり、地元では名士として代々尊敬を集めている。当初は無免許医だったが、富永らとの出会いを機にドクターKの後継者として表社会へ出る決心を固め、KAZUYAの旧知の後押しを受けて厚生労働大臣から特例で医師免許の発行を受ける。医師免許取得後は西海大学病院の非常勤医にもなっている。また、一族の掟に従い、一族の正統な後継者である一也をドクターKに育てあげるべく常日頃から厳しい訓練を課すほか、富永や譲介、龍太郎など後進の指導にも力を注いでいる。
父祖譲りの高い医療技術を持ち、最新の知見にも精通していることから、KAZUYAを知る者からは「ドクターKの再来」と評されている。また、眼科・歯科や心理療法にも精通しているが、状況に応じて適格な専門医に治療を託すことも少なくない。
外見はKAZUYAに似ており、一也とも似ていると評されている。KAZUYA以上に寡黙かつ生真面目な性格で、表情を崩すことは少なく、フィクションの描写にも真剣に向き合ってしまう。エレベーターの扉を素手で破壊する、車をロープで引き上げるなど、人並み外れた身体能力・格闘術を有する。
黒須 一也(くろす かずなり)★
本作のもう1人の主人公。1995年12月17日生まれ。
先代のドクターK・西城カズヤ(KAZUYA)のクローン。前々作『スーパードクターK』にて、KAZUYAの叔父・一昭のクローン計画で誕生した。短命などさまざまな問題が発生しているクローン生物の中で、何事もなく健康に成長し生活している「史上初の完成されたパーフェクト・クローン」である。そのため、クローン臓器密売組織からは検体にするべく身柄を狙われ、カルト教団「ストロージ・ジーズニ」には存在自体を否定され抹殺されかけるなど、何度も事件に巻き込まれている。クローン臓器密売組織との戦いの中で自らの出生の真実を知り、現在はそれを受け入れている。KAZUYAと同じく非常に大柄な体格で、成長するごとに外見もKAZUYAに近づいている。
初登場時は小学生。当時から学業は体力面も含め優秀で、小学生の時点ですでに医療関係者が驚嘆する洞察力や医療センスを持っていた。クローン臓器密売組織に誘拐されかけた事を機に麻純のもとを離れてN県T村のKの診療所に移住し、村で保護されるとともに一人から医師としての英才教育を受け、高校生の時点で一人から医師として認められている。
母の麻純より医者となるべく命の大切さを強く教えられていたため、穏やかで人当たりが良く、自己よりまず他人を思いやる誠実な人物であるが、生命を冒涜するような行動に対しては厳しい態度をとる。一方でやや異性へのデリカシーに欠ける一面がある。また、料理が下手だがその自覚がない。
詩織に対しては高校で出会った当初から強い興味を抱いており、1年生の夏休み前の時点でクラスメイトから「いつも一緒」と言われている。彼女に命を救われた経験を経て、自身の出生の秘密を明かす程の信頼を寄せていく。彼女を異性として意識する描写も多く、周囲の人物からは二人が交際するものとみられており、双方の親も相手を認めている。しかし一也は大学6回生になった24歳の時点でも「不純異性交遊などしない」と言うほど純情であり、両者とも恋愛よりも医療などへの情熱を優先させる性格のため、交際には至っていない。
N県T村の関係者
N県T村にはKの診療所が存在する。昔からのしきたりにより、臓器移植や毎月の献血などへの協力で影のK一族をサポートしてきた。診療所は田舎のものとは思えないほど立派な設備を有しており、村井による再生医療研究施設設置やクエイド財団からの寄贈などでさらに増設されている。
村井(むらい)
神代家に仕える執事。一人にも父親の手技と思わせるほどの手術を行える医療技術を持っており、影のK一族を技術面でもサポートしてきた。
一人の母が事故死し、父の一郎も失踪した後は一人に指導を行っていた。しかし一人の母親に対して強い思慕の念を抱いており、移植臓器さえあればという念からクローン臓器密売組織の一員となり、一也の身柄を狙っていた。しかし一也との出会いにより改心し、組織を脱退し帰郷。再び神代家の執事として一人の補佐や一也の教育を行う傍ら、診療所の研究施設でクローン臓器にかわる再生医療などの実験に勤しんでいる。一時心筋梗塞を患って重症を負ったが、再生医療で培養した筋膜を用いてそれを克服した。
現在の容姿は髪型含めて一郎そっくりであり、一人と再会して正体が看破されるまでは一郎のふりをしていたため、村の人間でも後ろ姿をみただけでは一郎と認識するほどだった。組織の一員として一也を誘拐しようとしたことは、一人ら一部の人間にしか知られていない。
麻上 夕紀(あさがみ ゆき)
羽庭 イシ(はにわ いし)
品田 松吉(しなだ まつきち)
一人の関係者
氷室 俊介(ひむろ しゅんすけ)
道尾 忠夫(みちお ただお)
寺井 台助(てらい だいすけ)
寺井美容クリニックの院長をつとめる美容外科医。派手な身なりで高級外車を乗り回し雑誌等で自身の顔写真入りの広告を出していることから、健康体にメスをいれることを忌避する医学関係者からは胡散臭く見られている。かつてはアメリカでイリザロフ法(英語版)などの高度な技術を学び、一人が「世界の五指に入る」と評するほどの整形外科医であった。その技術で患者を救う内に「その人が望む形の美は魂を救う」という信条を持つに至ったことで美容外科の専門家となる道を選んだ。
同性愛者的傾向があり、おネエ言葉で喋る。大垣のような、美容整形医としての美の理想とは正反対にあるようなワイルドな風貌が好みだと語っている。美食家でもある。
高岩 成司(たかいわ せいじ)
岡元(おかもと)
冴草 克之(さえぐさ かつゆき)
マッチョめんズ
ボケ役・中田良太と突っ込み役・山西久志の漫才コンビ。痩せ型の良太が吹き飛ぶほどの勢いで筋肉質の久志が突っ込むのが持ち味。無名の頃にT村の夏祭りで公演し、その際に身体を張った芸が祟って良太が自然気胸を発症しKの診療所へ入院したが、治療費を払えないため手術を受けずに脱走する。1年後、MANZAI GPトーナメント決勝進出が決まった時に良太が気胸を再発したため、改めて一人により病巣切除およびカバーリング法の手術を受けて完治し、トーナメント優勝賞金で治療費も無事に支払う。後に良太が顎関節症で呂律が回らなくなり演技に支障が生じた時も、一人の指摘で生活環境を改善することで症状の緩和に成功する。
竹宮 穂波(たけみや ほなみ)
一也の関係者
黒須 麻純(くろす ますみ)★
宮坂 詩織(みやさか しおり)
一也の高校1年時と3年時の同級生。おかっぱ頭に眼鏡姿の少女。かなり小柄で、ペダルに足が届かないため自転車に乗ることができない。刺繍を趣味にしており、コンクールで入選するほどの腕を持っている。重度の卵アレルギー体質だったが、一人の指導による経口免疫療法で、日常生活に支障がないレベルまで克服する。
初登場時は平凡な高校生だったため医学の知識を持たなかったが、一也が事故で上腕動脈切断の重傷を負った際に刺繍の技術を応用して縫合するなど、一人が驚愕するほどの医療センスを垣間見せる。後に一人・一也と交友を深めたことで医師の仕事に魅力を感じるようになり、一也から出生の秘密を打ち明けられたことをきっかけに医師を志して、玉砕覚悟で受験した帝都大学に合格する。コロナ禍で大学が休講になった時は一也と共にKの診療所を手伝い、卒業後も研修先にKの診療所を選んで働き始める。縫合に関しては指導医なども舌を巻く技術を持ち、また一也が執刀する手術の助手を務める際は縫合の段階で自然に執刀者と助手が入れ替わるという相性の良さを見せる。
当初はアレルギーの影響などもあり大人しい性格で口数も多くなかったが、アレルギーの克服や一也と交友を深めていくことで徐々に強気な面が垣間見えてくるようになる。また、KAZUYAのクローンとして造られた自身の存在意義に悩む一也の胸中を受け止め「君は黒須一也くん」「私の友達」と答えるなど、優しく芯の強い一面を持つ。
努力家かつ負けず嫌いの性格であり、刺繍や医学で挫折したり自分より上手い人に会ったと感じたりするたびに奮起する。
和久井 譲介(わくい じょうすけ)
一也が高校3年生の時に転入してきた転校生。上昇志向と執念が強く他人を精神的に支配することを好み、自分の意にそぐわない人間、敵対する人間に対して一切容赦しない冷酷さを持っていたが、傷ついた鳩を丁寧に治療し、児童虐待事件に対して激昂するような面も持っている。右胸心体質。
両親のいない孤児で養護施設で育ち、その性格と能力を見いだされてTETSUに引き取られ、内弟子のような形で医療技術を教育されていた。TETSUからKの一族と一也の出生の秘密を聞かされており、一也のことをライバル視している。医療に関する知識量・技量は登場時点で一人前に施術も行えるほどだが、TETSUや一也と比べると見劣り、苛立ちを見せることもあった。
一也に自らのうちにある幸福な親子に対する憎しみを指摘されたこと、そして一人に平手打ちを食らったことで心身が不安定となるが、N県T村でコンパートメント症候群の患者を救ったことをきっかけに自分が医師を志す理由を見つめ直し、人間性に変化が顕れる。一也らと同じく帝都大学医学部を志望するも、予備校でレジオネラ菌に感染してしまったために受験できなくなり、予備校で親しくなった友人と共に来年度の受験を決意。その後、一人が患者を救うために奔走する姿に感銘を受け弟子入りを志願し、譲介の先行きを案じるTETSUが独断でマンションを引き払ったことで、Kの診療所に下宿を始める。その際、自分の対人コミュニケーション能力が欠けていること、一人の技術を常に見られる恵まれた環境にいることを村井の指摘により自覚し、以後は一人の手術や往診に積極的に付き添い、欠点の克服と技術の向上に努める。これにより自分の道を見つけ、受験をせずに診療所に引き続きとどまることを決める。また、この頃から髪を伸ばし始めており、TETSUに近い髪型になっている。心からの笑顔もよく見せるようになり、詩織と一也の関係をからかうこともある。
食べ物はカレー味の物しか受け付けなかったが、これは幼少期に母親と生き別れた際の出来事に起因している。母親の所在が明らかになった時、幼い異父弟が肝臓を病んでいることを知り、名を明かさず肝移植ドナーとなる。また、TETSUの働きで父親への感情を整理したことで、カレー味以外の食べ物にも興味を抱く様になる。
一也の大学卒業と同時期に朝倉省吾からクエイド財団へスカウトされ、アメリカへ留学する。
帝都大学の同期生グループ
一也とともに帝都大学に入学した同期生。教授陣などから「仙道グループ」と呼ばれることもある。実習や授業、一人との出会いなどの様々な事件で成長し、大学でもトップの成績を占めるグループとなった。「ストロージ・ジーズニ」の事件後には一人によって一也の出生とK一族の真実を告げられており、一人は「信頼できる」「良い友人」と評している。卒業後も一部の同期生は一也と同じ研修先で研鑽を積んでおり、その他の同期生とも連絡を取り合っている。
深見 武彦(ふかみ たけひこ)
大病院である深見総合病院の跡取り息子で、OBが医師連の幹部を輩出しているということでラグビー部に所属するなど上昇志向が非常に強い。父親も帝都大卒で、日本医師連の理事をしている。
幼い頃からエリート教育を受けてきた自信家で、知識も豊富だがそれゆえに早合点することもある。一方で初めての人体解剖実習の際に検体の境遇を慮って泣き出してしまうなど繊細な所もある。波王丸での事件で一也の素性に疑念を持ったが、T村での出会いを通してともに命を救うことを目指すものであると認めている。当初は父への反抗心から研修先として親元を離れた病院を希望していたが、医師としての父の姿を目の当たりにして考えを改め、父親の病院で修行をすることを決める。
緒形 俊司(おがた しゅんじ)
仙道 安人(せんどう やすと)
斎藤 由貴(さいとう ゆき)
大学時代は剣道部に所属。高校でインターハイ出場経験があり強豪校からスポーツ特待生の声がかかり、東医体で優勝するほどの実力者。強気で男まさりな性格。一方で絵は苦手であり、組織学のスケッチは見た者全てが絶句する。
前作に登場した高品淳子(旧姓:斎藤)とは再従姉妹の関係にある。病床数1,000を超える大病院・広崎総合病院から誘いを受けていたが、淳子の要請で高品総合病院を研修先に選ぶ。
青山 今日子(あおやまきょうこ)
体育会系のノリを苦手とする普通の女子大生タイプ。陸上部の合宿に臨時の救護班として参加した際、水中毒で倒れた学生を前に何もできなかったことを反省し、周囲が戸惑うような状況でもいち早く声を上げるよう努めている。卒業後は小児科医を目指すことを決め、小児科が強い住谷記念病院を研修先とする。研修中、患者やベテラン医師に毅然とした態度を取ったことで一目置かれるようになるが、同時に本人の趣向に反して「番長」のあだ名を付けられる。
中学・高校時代の関係者
津島 道夫(つしま みちお)
内野 陽平(うちの ようへい)
徳光(とくみつ)
「ストロージ・ジーズニ」事件の関係者
ビクトル・アントノフ
バレリ・ローゼンフェルド(アントノフ)
波王丸の乗員
阿藤 順平(あとう じゅんぺい)
岩波 邦夫(いわなみ くにお)
霧島 大助(きりしま だいすけ)
伊吹(いぶき)
破留島の関係者
神代 一郎(かみしろ かずろう)
一人の父親で医師としての師。一人が18歳の時、村外で妻・静江(一人の母)が事故に遭った際、自身が医師免許を持っていなかったことと臓器移植の法的規制のため、治療することも村へ連れ戻すこともできず妻を亡くしてしまい、以来村から姿を消す。その後、一時期はクローン臓器密売組織の一員となっていたが、村井と入れ替わりになる時期に組織の実態を知って脱退する。脱退後は各地を転々として、最終的に破留島(はるじま)という離島に住み、かつてその島に暮らしていたKの一族の1人である神津一友に代わって、島民に高度な医療を提供している。後に島の噂を聞きつけてやってきた一也に出会い、母の死を克服できていない彼を叱咤激励し、帝都大学に復学させるきっかけを作る。一也は一郎が「ストロージ・ジーズニ」をただ一人で壊滅させた人物であると推察している。
神津 一友(こうづ かずとも)
帝都大学の関係者
大垣 蓮次(おおがき れんじ)★
帝都大学医学部・第一外科教授。KAZUYAの大学時代の先輩にあたる。前作では大学の出世競争に嫌気が差し市井の診療所を経営していたが、KAZUYAの言葉で彼の死後に大学に復帰した。大学教授らしからぬ粗野な性格と外見をしており、厳しい指導で周囲から「鬼軍曹」と呼ばれている。
医師免許発行の経緯などから一人の技量を疑問視していたが、偶然出くわした一人の救命処置にKAZUYAの姿を重ね合わせ、ドクターKとして認めるようになる。大学に関係する患者の治療で、しばしば一人に協力を求めている。一人娘の奈緒子(一也より1歳上)も医師を目指し、浪速女子医大に通う。
後に舌癌を発症するが、戸倉の治療を受け完治。しかし抗ガン剤の副作用で頭髪の大半を失い、恩師の柳川に似た風貌になる。舌癌発症を機に後進のための環境改革を宣言し日本医師連の理事選挙に立候補して当選。コロナ禍が始まった頃には医学部長に昇進し、丹波と共に陣頭指揮を執っている。
磨毛 保則(まもう やすのり)★
KAZUYAの大学時代の同期生。医師でありながら工学の学士院賞を受賞するほどの天才技術者。前作同様、帝都大学敷地内の「磨毛の館」で研究を続けている。KAZUYAが作ったカルテを分析し、そのデータを基にした思考パターンを持つAIソフトを10年かけて制作するが、これを組み込んだ医療ロボット「イカロス」の開発を地域医療格差から利権を得ている人間に妨害されてしまう。AIにはカルテには載っていないKAZUYAの信念や判断力、勇気などの「人間としての力」を持たせられない、と悲観していたが、一也の言葉からイカロス計画白紙化後も開発を続行する決意を固める。コロナ禍で入院患者が急増した時は、不足した医療機器を自ら製作して現場を助けている。
戸倉 信茂(とくら のぶしげ)
内田 和歌子(うちだ わかこ)
諸田 久好(もろた ひさよし)
中村 憲司(なかむら けんじ)
丹波 章造(たんば しょうぞう)
三浦 佳治(みうら よしはる)
帝都大学医学部・耳鼻咽喉科の研修医(一也中学生時点)。高校時代からのオーディオマニアで音の聞き分けに関して優れた能力を持ち、足音を聞いただけで誰のものか聞き分けたり、患者の声を聴くだけで様々な発声障害を正確に診断することができる。元々は大垣の教室にいたが、その能力と才能を見出され、音声外科医を目指して戸倉の下での厳しい指導を受けている。
倉津大学付属病院の関係者
相馬 有朋(そうま ありとも)
倉津大学付属病院・第一外科教授で、移植医療の第一人者。脳死患者からの肝臓移植手術に際して、当時の臓器移植法では認められていなかった分割肝移植(ひとつの肝臓を分割して2人の患者に移植する手術)を行うため一人の協力を得たことがきっかけで、以後一人と交流する。
臓器移植制度が浸透・進展しない国内の状況を憂慮するあまり、再生医療など関連分野の発展に目を向けず臓器移植の推進に頑なになり、やがてクローン臓器密売組織に加担するようになった。しかし一也と一人の説得によりクローン臓器製造には無視できない倫理的欠陥があることを認めて改心し、組織を裏切って摘発に協力。その際に逃走しようとした構成員の前に立ちはだかって頭部を銃撃され、治療もむなしく脳死状態となる。遺言に基づいて臓器は患者へと移植された。
パーフェクト・クローンである一也の情報を組織に提供しようとしていた一方で、医師を志す一也を本気で教育しようともしていた。相馬の死は、一也のその後の人生に大きな影響を与えることとなる。
刈矢 俊一郎(かりや しゅんいちろう)
倉津大学付属病院・第一外科准教授。初登場時35歳。喫煙習慣があり無精髭を生やしているなど粗野な外見だが、外科医としては相馬も認める腕前を持ち、自身も相馬のことを尊敬している。ドナーの遺族の反対により直前で脳死患者からの移植が中止になった経験を経てからは、再生医療の研究に情熱を傾けていた。しかし相馬の死後には茫然自失となり、F県M町の倉津大学病院百本松分院へ赴任、15年間に亘って飼い殺し状態になっていた。分院に赴任後も移植手術の練習は常に欠かしておらず、一人・一也との再会を機に、移植手術の練習をずっと見ていた看護師長の後押しもあって、かつての相馬の患者であったウィルソン病患者への肝移植手術の執刀医として本院へ復帰するとともに、加賀美の後任の第一外科教授に就任する。
加賀美 寿郎(かがみ としろう)
相馬の後任となった倉津大学付属病院・第一外科教授。元は第二外科教授で、後輩にあたる相馬からは「無能の皮を被るのは悪いクセ」と評されながらも自分に何かあった時は医局員を託すと言われ、加賀美も相馬が分割肝移植を実施し世論の糾弾を浴びた時に謹慎処分で済ませるよう尽力するなど、信頼関係で結ばれていた。相馬の死後、後任人事で揉めた挙げ句に横滑りする形で第一外科教授に就任するが、相馬ショックからのマスコミの追求を避けるために刈矢を地方へ送り、倉津大付属病院での移植手術を全面的に停止するなど、相馬が築き上げた第一外科を15年間に亘って停滞させたため、医局からは「事なかれ主義を絵に描いたような人」と評された。しかしこれは第一外科のほとんどの部局員を解雇・異動させることなく守り、刈矢の復帰を待つための「賭け」であった。刈矢が相馬の死を乗り越えたことを見定めると後を託し、移植再開公表の記者会見でマスコミを煙に巻いて騒ぎを最小限にくい止めた。刈矢に後を譲って以降は入れ替わるようにF県の分院へ赴任し、地域医療に従事している。
富永総合病院の関係者
富永 研太(とみなが けんた)
地方病院である富永総合病院の院長・進太郎の息子。西海大学病院に勤務していたが、国内医療の地域格差を憂い、無医村とされていたN県T村への派遣を志願したことで一人と出会う。
赴任当初は技術も洞察力も未熟だったが、一人の下で医師として経験を積むうちに大きく成長し、周囲の厚い信頼を得る。一人の超人的な手術の技量に対して劣等感を抱いているが、父の覚醒下脳腫瘍摘出手術を成功させるなど高い技術を着実に身につけており、後に一人からは研鑽を高め合った戦友と称えられる。
赴任から8年を経て帰省した際、母校で人手不足のため急遽執刀した手術を見た世界的外科医からスカウトを受けるが、富永総合病院のかかりつけ患者への治療を優先し、執刀医としてオープン型MRI下神経膠腫摘出術を成功させる。このことで富永総合病院こそが自分の居場所であると気付き、スカウトを断って村と大学を離れ、富永総合病院の勤務医になる。
父の進太郎が退任した後は院長に就任。一也がスチューデントドクターとして勤務していた頃には、7年間で鏡視下手術350例を含む800を超えるオペを執刀した凄腕の医師として院内で知られている。
富永 進太郎(とみなが しんたろう)
木暮(こぐれ)
高木(たかぎ)
牧村(まきむら)
高品総合病院の関係者
高品 龍一(たかしな りゅういち)★
高品 龍太郎(たかしな りゅうたろう)★
高品龍一と淳子の間の一人息子。一也らの一年年下。現役で清明医大を卒業し、国家試験も一発で合格したが、どこの病院ともマッチングしなかったため、父のコネで高品総合病院の研修医となる。多忙な高品夫妻ではなく安倍川素子によって育てられたため、高品は息子への対応がうまくできないことを悩んでいた。
医師としての責任感や命に対する真摯な姿勢が欠けていると周囲から見られており、本人も医師としての自分に自信を持てていない。同僚の斎藤からは「お坊ちゃん」「絵に描いたような甘ちゃん」と評されている。
未熟ではあるがそれを自覚しているため、患者に対して気になることがあればそれを「たまたま」や「気のせい」で済ませずに、正確な病傷名が分かるまで診断を重ねていく慎重さを持っていて、少しのヒントがあれば遅くとも着実に正解に辿り着く姿を、一人はウサギとカメのカメに例えた。また、自身に危機が迫った状況でも無意識に身を挺して他人を庇う、人を助けようとする生得を持ち合わせていると一人は考えている。
安倍川 素子(あべかわ もとこ)
谷岡 章(たにおか あきら)
村川 彦丸(むらかわ ひこまる)
譲介の関係者
ドクターTETSU(テツ)★
本名は真田 徹郎(さなだ てつろう)。KAZUYAのライバルだった裏社会の医師。医師として群を抜いた技術を誇るばかりでなく、様々な非合法的実験によって得た数々の知見を持っている。
KAZUYAを死後も激しくライバル視しており、ドクターKを名乗る一人を認めようとはしなかったが、一人がKAZUYAと同じく高潔な信念と高い技術を持っていることを知り、後継者として認めるようになる。その後、スキルス性胃癌を患って一也の前に現れ、医師として試練を与えるべく自分を安楽死させようと仕向けたが、一人の手によって腹腔内に抗癌剤を定期的に流し込み続けて癌の増殖を抑える化学療法を施され、手術の翌朝に姿を消す。
3年後、和久井譲介を伴って再び一人・一也の前に姿を現す。一也と引き合わせることで譲介の対抗心を煽り、結果として一也に何らかの変化をもたらすことを目論んでいたが、大学受験に失敗した前後から譲介の方の人間性が変化し、自分では育てきれなくなったと感じ取り、譲介を一人に託してひとり何処ともなく旅立つ。しかし一也と譲介の成長を気にかけており、たびたび姿を表している。
癌の進行は一進一退であり、普段は杖をついて歩行しているが、なおも裏医師として活躍している。様々な方面に顔が利き、少なくない財産を孤児の救済に投じるなどの活動にも積極的である。
島村 益男(しまむら ますお)
岸田 鈴子(きしだ すずこ)
和久井譲介の母。譲介が幼少の頃、譲介と共に夫の和久井京介の元より逃げ出したが、譲介の存在が重荷になり譲介をバス停に置いて逃げ出す。考えを改め譲介の元に戻ろうとした時に交通事故に遭って3ヶ月間生死の境を彷徨い、そのまま譲介と離れ離れになる。
その後再婚し、息子の徹(譲介より15歳下)を儲ける。徹が胆道閉鎖症で肝臓移植が必要となったが、交通事故の際に肝臓挫滅の手術を受けているためドナーになることができなかった。TETSUよりそのことを聞いた譲介が代わりにドナーとなり、手術前後の期間にわずかにふれあいを持つ。互いに親子であることは分かっていながらも、TETSUによって口止めされていたため、名乗り合うことなく別れる。
和久井 京介(わくい きょうすけ)
朝倉 省吾(あさくら しょうご)★
KAZUYAとその関係者
ドクターK / 西城 KAZUYA(さいじょう カズヤ)★
KEI(ケイ)★
磯永 幸司(いそなが こうじ)★
西城 頼介(さいじょう らいすけ)★
朝倉 雄吾(あさくら ゆうご)★
柳川 慎一郎(やながわ しんいちろう)★
梨田 政一・政次(なしだ まさかず・まさつぐ)★
七瀬 恵美(ななせ めぐみ)★
斎楓会総合病院の医師。かつてKAZUYAと共に研鑽し合った女性で、KEIは「兄が生きていたら七瀬と結ばれていたかもしれない」と述べている。病床のKAZUYAを見舞った際に交通事故に遭い、死期の近かったKAZUYAの手術により一命を取り留めるも、下半身不随となる。その後、小児科の専門医となることを改めて決意しアメリカに渡り、CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)(英語版)の資格を取得。車椅子が欠かせない体でありながら手術の執刀もこなす毎日を送っている。梨田政一が援助している施設にいるウィルムス腫瘍の子供の主治医であり、KAZUYAの足跡を知るために訪ねてきた一也に自分の信じる道を進むよう説く。
岩動 瀧造(いしるが たきぞう)★
香田 直一(こうだ なおかず)★
KAZUYAが遺したメス
先代ドクターKであったKAZUYAは、当時の医療技術が及ばなかった等の理由で治療を完了できなかった患者に対し、後年の診察券としてメスを手渡している。KAZUYAの患者で懇意にしていた鍛冶師が特別に製作した鋼製のもので、その総数は10本。それぞれ番号と「K」の文字が刻まれている。
第159〜160話 「過ち」でNo.1のメスが8本目として登場して以降は登場していない。
No.1 - 心房中隔欠損症(第159〜160話 「過ち」)
なお、患者が抱えていた問題は一人らの手により解決し、完治した患者は無事結婚の運びとなった。
No.2 - 脳動脈瘤(第15〜17話 「2本目のメス」)
事故の10年後、医者となった患者のもとに、KAZUYAからメスと共に事故当時のカルテと血管造影写真が送られてきた。しかし、患者は脳動脈瘤手術の後遺症でメスを握れなくなるリスクを懸念して治療を受けず、KAZUYAのメスはお守り代わりに自身のメスとして使っていた。その後、一人による脳動脈瘤のコイル塞栓手術を受けて回復し、メスも一人に返却した。
No.3 - 狭心症(第69〜70話 「2本のメス」)
それぞれ当時の最先端医療を施されており、将来の再発に備えて一人からもメスを渡されている。
No.4 - 人工関節交換(第112〜113話 「メスと寿命」)
その数年後、患者は心筋症の発作を起こしたが、柳川の紹介で現れたKAZUYAの執刀によるバチスタ手術で寛解。術後、人工関節の耐用年数を危惧した貴島に対し、KAZUYAは「人工関節交換は自分の仕事」としてメスを渡していた。
No.5 - 後縦靱帯骨化症(第10話 「メス」)
メスはその5年後に発見され、一人がオペを行った。患者は武道家としては引退したものの、跡目は後継者へ正式に引き継がれた。
No.6
No.7 - 心房細動(第29〜30話 「死に金」)
なお、KAZUYAは当時一般に普及していなかったICDを自作して不整脈の手術でペースメーカーと称して体内に埋め込んでおり、10年の時間を稼いでいた。
No.8 - I型糖尿病(第44〜45話 「刃のないメス」)
なお、刃先の折れたメスの真意を読んだ一人により、膵島移植による治療が行われた。
No.9 - 副鼻腔内膿疱、全身火傷(第96〜97話 「6本目のメス」、第119〜120話「お守り」)
膿疱は医療用ナビゲーションシステム支援式内視鏡手術によって一人が摘出したが、危険な取材地での再負傷を危惧し、一人は患者に再びメスを持たせた。一人の危惧した通り、患者は取材先で火炎瓶による全身火傷を負ったが、患者自身の自家培養表皮を使用した皮膚移植術により回復した。最終的にメスは一人のもとに戻っている。
No.10
書誌情報
単行本
真船一雄 『K2』 講談社(イブニングKC)、既刊46巻(2023年12月21日現在)
廉価版
真船一雄 『K2』 講談社(講談社プラチナコミックス)、既刊16巻(2018年3月28日現在)
- アンコール刊行 2015年3月25日発売、ISBN 978-4-06-385651-4
- アンコール刊行 2015年4月8日発売、ISBN 978-4-06-385652-1
- アンコール刊行 2015年4月22日発売、ISBN 978-4-06-385653-8
- アンコール刊行 2015年5月13日発売、ISBN 978-4-06-385662-0
- アンコール刊行 2015年5月27日発売、ISBN 978-4-06-385666-8
- アンコール刊行 2015年6月10日発売、ISBN 978-4-06-385683-5
- アンコール刊行 2015年6月24日発売、ISBN 978-4-06-385685-9
- アンコール刊行 2015年7月8日発売、ISBN 978-4-06-385699-6
- アンコール刊行 2015年7月22日発売、ISBN 978-4-06-385707-8
- アンコール刊行 2015年8月12日発売、ISBN 978-4-06-385764-1
参考文献
- 真船一雄『スーパードクターK』 3巻、講談社〈講談社コミックス〉、1988年11月14日。ISBN 4-06-311402-3。