MOONLIGHT MILE
以下はWikipediaより引用
要約
『MOONLIGHT MILE』(ムーンライトマイル)は、太田垣康男による日本の漫画作品。
概説
『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて連載されていたが、スペリオール2012年8号(3月23日発売)より作者が『機動戦士ガンダム サンダーボルト』を連載開始したため、2011年10月ごろから連載を中止している。コミックは23巻まで発刊されている。2007年12月時点で累計発行部数は160万部を突破している。
近未来における宇宙開発時代を題材としている。宇宙開発史における世界情勢の変遷と、様々な困難に見舞われながらも月開発に挑む人々の姿をリアルなタッチで描いている。魅力的なキャラクターと共に、アメリカ軍が秘密裏に行う宇宙進出や、それに追随する中国の台頭など、実際に起こりうるかもしれないというヴァーチャルな世界観が作品の売りどころの1つになっている。2007年21号で第一部終了。2か月の中断をはさみ、2007年12月28日発売の2008年2号より再開、第二部が始まった。
本作品の第一部において性的描写のシーンは数多くあったが、第二部では殆ど見られなくなった。
今後の連載再開の展望について
『サンダーボルト』単行本第一巻の巻末にて、「(サンダーボルトの)連載終了後にムーンライトマイルの連載を再開する」旨を告知したが、『サンダーボルト』が当初の予定を超えて長期連載態勢に入ってしまったため、現在は両作の同時連載を目指して準備中。 2021年5月13日、自身のツイッターで今冬に連載再開する事を発表した。2022年12月23日 24巻が発売された。
アニメ化
WOWOWにて第一部の前半の内容をもとに、2007年3月から6月に第一シーズン「Lift off」12話、同9月から12月に第二シーズン「Touch down」14話が放送された。(アニメ版の詳細については、#テレビアニメの節を参照)
作者の太田垣康男は雑誌のインタビューで「ハリウッドで映画化されるならデヴィッド・フィンチャーにお願いしたい」と発言している。
あらすじ
第一部
吾郎とロストマンは大学生でありながら、世界中の名だたる名峰を次々制覇した屈強な学生クライマーであり、お互いを唯一無二と認めるザイルパートナーだった。彼等は5大陸最高峰の締めくくりとなるエベレスト登頂での最中に、雪崩に遭遇したフランス登山隊の女性を発見。二人に「白雪姫」と名づけられたこの女性は内臓を損傷しており、苛酷な環境のために救出は望むべくもなく、やがて息を引き取る。彼女の死を見届けた二人は、彼女の嵌めていた指輪を手に、装備の殆どを失いながら強靭な体力で登頂を再開した。辿り着いた山頂で指輪を登頂旗のポールに嵌め、供養をした後に見上げた先に浮んでいたのは、ISS(国際宇宙ステーション)、そして月…。看病の際に白雪姫が語ったとおりの光景に、2人は「宇宙への進出」という新たな目標を見い出す。
奇しくも2人が登頂を果たした2005年1月17日、NASAが打ち上げた月資源探査衛星により、核融合炉のための次世代エネルギーとして有望視されるヘリウム3が月に大量に埋蔵されていることが判明する。アポロ11号で人が初めて月に降り立ってから36年、人類の月開発への新たな挑戦が始まった。
それから4年後。吾郎は大手建築会社に就職し、様々な重機をまるで手足の如く操る建設現場作業員として働いていた。そんなある日、会社の人事課長補佐・池内理代子から次世代エネルギー開発プロジェクト「ネクサス計画」に携わるBS(ビルディング・スペシャリスト)候補として、会社を代表し宇宙飛行士訓練に参加するための一次面接を受けるように内示される。吾郎は本格的に宇宙開発ラッシュが訪れる時代を予測し、短期間の間に多くの重機操縦資格を獲得していたのだ。
同じころ、“ロストマン”ことジャック・F・ウッドブリッジは、母国アメリカに帰国後、海軍戦闘機のエース・パイロットとして原子力空母「ロナルド・レーガン」に乗船していた。スペースシャトルのパイロット養成プログラムにも一発合格し、今まさにNASAへの扉が開こうとしていた時に、武装テロを仕掛けたイラクへ向けて緊急出撃するも、相手の地対空ミサイルを受けて撃墜され、生死不明となってしまう。しかし、敵の捕虜となりながらもイラク反政府ゲリラのアリ親子に助けられ何とか生き延び、NASAに復帰後スペースシャトルのパイロット、そしてエリア51で極秘に開発されていたスペースプレーンのプロジェクトに参加。その後、アメリカ宇宙軍の士官として、その卓越した宇宙船操縦技術と政治的手腕を武器に、組織の中でのし上がっていく。
紆余曲折を経て、新たなる極地・月へと別々のルートで登り始めた2人の天才クライマーは、やがて月社会の覇権を賭けた地球規模の争いの中に巻き込まれていく。
※上記台詞部分は「MOONLIGHT MILE」第1巻(小学館:刊)より引用。
第二部
序章
2025年3月28日、現地時間8時42分。反政府武装組織は秘密裏に所有していた中距離弾道ミサイルをインドへ向けて発射した。これをパキスタンの先制攻撃と見たインドは、パキスタンに向けて報復の核ミサイルを発射、全面核戦争に拡大した。両国の最終的な死者は500万人、放射能はアジア全域に広がり、世界経済は大恐慌に陥った。
本編
登場人物
ここでは主な登場人物の簡単な説明に留める。詳細はMOONLIGHT MILEの登場人物を参照。
猿渡 吾郎(さるわたり ごろう)
声 - 井上和彦
この物語の主人公。ロストマンと共に大学生で5大陸の最高峰を制した天才学生クライマー。地上の高みを極めた彼は、来るべき宇宙開発時代を予期しプロのビルディングスペシャリスト(BS)として、MOONLIGHT MILE(遥かなる月への道)を目指す。どんな危機的状況に陥っても決して諦めない無類のタフガイで、情に厚く行く先々で自身の支援者を増やしていく。
ジャック・F・ウッドブリッジ=“ロストマン"
声 - 平田広明
この物語のもう1人の主人公。アメリカ人。親友の吾郎と共に5大陸の最高峰を制した後、米軍に入隊し海軍所属の戦闘機のエースパイロットからNASA入りする。軍に籍を置いていたころから徐々に頭角を表し、やがて政治的権力を手中に収めながら月の覇権を握る戦いへ身を投じてゆく。飛行機宇宙船の操縦技術はピカイチで人類初の宇宙戦闘経験者となる。吾郎とは逆に己の野心を実現すべくあえて孤高の存在として振舞っている。
池内 理代子(いけうち りよこ)
声 - 田中理恵
吾郎の勤める大手建築会社・竹永建設の人事課長補佐。吾郎とは最悪の出会い方をするものの、やがて懐の深さと豪快さに惚れ、壮大な夢を側面からサポートするべく奮闘する。後に吾郎の子を宿し、人類初の月面での出産を経験する。
澤村 耕介(さわむら こうすけ)
声 - 高橋広樹
NASDA種子島宇宙センターのムーンウォーカー開発部技師。ムーンウォーカーの実用化テストで吾郎と出会い、当初は考え方の違いから対立したが、歩行実験中のスタッフ死亡事故の裏に蠢く陰謀に巻き込まれたところを吾郎と理代子に助けられたことで、吾郎に全幅の信頼を抱くようになった。やがて吾郎を追い、自らもプロの宇宙用重機開発・補修要員として宇宙へ昇る。
ファトマ・トゥレ・グットウ
声 - 田中敦子
エチオピア人。元オリンピック女子マラソンの銀メダリストでアフリカ女性初の月面到達者。月面で事故に巻き込まれたところをロストマン率いる宇宙軍に救われ、やがて彼の右腕的存在となる。自らの命を救ったロストマンに心酔し、彼のためならばどんな犠牲も厭わない思い込みの激しさを見せる。
マギー・ヒラオカ
声 - 川上とも子
月面基地でも人気の情報バラエティ番組“マギー'S SHOW”の司会を務める日系アメリカ人のアイドルジャーナリスト。何にでも興味を持つ癖が災いし、月面基地爆破事件ではテロリストに殺されかけるも、間一髪で吾郎に命を救われ、それ以来マスメディアの力を使って吾郎をサポートする。
クリス・ジェファーソン
声 - 石塚運昇
ネクサス計画発表後初のビルディングスペシャリストとなったアメリカの黒人男性。吾郎と共に重機操作専門の現場作業員(ブルーカラー)として数々の宇宙開発事業に携わる。搭乗した宇宙用作業ポッドがデブリと衝突して危機に見舞われた際に、吾郎が考案した奇想天外な救出作戦で救われ、それ以後吾郎と強い信頼関係を結ぶ。
メカニック
原則的に原作である漫画版(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)に沿って記述されている。記載順序も漫画版の登場順となっている。
作業機械
パワーローダー
ISSの建設現場で使われることになっていたが、クリス操縦の1号機がデブリの衝突事故によって失われる。その後はスペースBOXに替わったのか出番はない。
スペースBOX
スパイダーリフト
トラス構造の平面型の本体から、着陸脚と姿勢制御用のスラスターが突き出た形をしている。本体には下部にウインチ、背面に荷台、最前部に操縦席があり、コントローラー(ゲーム機のそれと似ている)で操作する。
華奢な外見だが、物資の輸送、クレーンとして資材の吊り上げ等、様々な用途に使われている。ファトマが事故に遭ったのもこの機体である。
この他、月面の建設現場ではダンプカーやブルドーザー、トンネル掘削用シールドマシン等も確認することができる(もちろん月面で使えるように改修されたもの)。
ロケット・宇宙船
ISS
ホーナー
複数が建造(作中では7号機、8号機が確認されている)され、無人型がガリレオより先行して月に向かい、基地建設用資材を月面に投下した。その後は資材や交代要員の輸送に使用されている。
名前の由来は中止されたアポロ19号の乗組員から。2012年の1号機の発進は、存命だったホーナー本人の手で行われた。
ドネルケバブ号
成層圏での打ち上げ直前に、母機がネオナチによる爆弾テロに遭う。母機からの発射には成功するものの予定高度に達せず、オーストラリア・シドニーに落下する危機を迎えることになる(ドネルケバブ号事故)。
コックピットとエンジンを繋ぐ棒状のフレームの周りを、貨物や外壁が取り巻いている外見が名前の由来と思われる。
ナイトメア
存在が公表されることはなかったが、ジェットエンジンと核融合ロケットを組み合わせた推進方式、飛行機のように滑走路を使って離着陸する運用方法、ペイロード能力、使い捨てる部品がない完全リサイクル等、同時代のロケットを完全に凌駕する性能を持っていた。
オリオン
「オリオンの盾」での使われ方(オービタの液体水素タンクを放射線防護壁として使用)から、初代シャトルと同じ、液体水素エンジンを使用していると考えられる。
ガリレオ
第1次遠征隊が到着した出発直前に大規模な太陽フレアが発生。緊急対処計画「オリオンの盾」を実行する。
イーグル号
H-IIA
宇宙に戻って理代子と我が子に逢うという吾郎の思いと、日本単独での有人宇宙飛行が悲願であった日本のロケット技術者たちの思いを乗せ、再びエンジンに火を入れる。
ふじ2号
テロで死んだ技術者たちの遺骨を納めたカプセルも共に打ち上げられ、衛星軌道で散骨葬が行われた。
キャッチャー船
ロボット
ムーンウォーカー
欠陥が明らかにされた後は順調に開発が進み、澤村の操縦で目標であった岩棚登頂(斜面歩行)に成功する。
外見がどことなくアニメのロボットを思わせる。作中で吾郎がぼやいていたように、ガンダム世代が設計したためだろう。
その後、高速走行用の車輪を装備した新型ムーンウォーカーが、月面の建設現場で使われている。
ガーディアン
ロストマンら米軍関係者がISSに持ち込んで極秘でテストをしていたが、デブリ群のISS衝突事故による緊急事態に対処するために耕介が操縦したことで存在が公になる。ISSの事故がなければNASAの開発として公表されることになっていた。
後に米宇宙軍やルナネクサスの建設現場、スペースガードに多数が配備されている。
パグ
月面基地爆破テロ事件でカトーに破壊されたが、吾郎に電気ショックを与えられて復活。走行用のタイヤで縛っていたテープを切って吾郎を救うことになる。最後は別れの挨拶と共に、爆発に巻き込まれて消えていった。
ランドウォーカー
テロリスト発見の際には濡れた山の斜面を駆け上がって現場に向かうなど、性能もMWから大幅に向上しているようだ。
テレビアニメ
1stシーズン「Lift off」(全12話) 、2ndシーズン「Touch down」(全14話)と、放送時期を2つに分割して放送された。1stシーズンは毎週土曜深夜25時00分より、2ndシーズンは毎週木曜23時00分より(いずれもJST)WOWOWスクランブル枠での放送であった。
スタッフ
- 監督 - 鈴木行
- シリーズ構成・脚本 - 遠藤明範
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 杉本功
- メカニックデザイン・メカニック作画監督 - 竹上貴雄
- 美術監督 - 植田秀蔵
- 色彩設定 - 津野歩
- CG監督 - 郷博
- 撮影監督 - 大西博(1stシーズン)→柳田美和、塩見和欣(2ndシーズン)
- 編集 - 森田清次
- 音響監督 - 藤野貞義
- 音楽 - 沢田完
- 音楽プロデューサー - 井内正博
- プロデューサー - 武智恒雄、滝口健太、長谷川徳司、清水和夫(1stシーズン)→竹内崇剛(2ndシーズン)
- アニメーションプロデューサー - 大野雅義(1stシーズンのみ)
- アニメーション制作 - スタジオ雲雀
- 製作 - MOONLIGHT MILE Film Partners(クロックワークス、IMAGICAイメージワークス、WOWOW、スタジオ雲雀、アミューズソフトエンタテインメント)
主題歌
エンディングテーマ
「スケアクロウ」(1stシーズン)
「BOAT HOUSE」(2ndシーズン)
各話リスト
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|
-Lift off- (1stシーズン) | ||||
1 | 宇宙(空)の向うへ | 鈴木行 | 浅見松雄 | 杉本功 |
2 | 果て無き夢 | 鈴木芳成 | をがわいちろを | |
3 | ラストスイング | 岡崎幸男 | 崔宇植 | |
4 | 砂漠の誓い | 柳瀬雄之 | 三浦陽 | 鈴木信一 |
5 | 星の街から | 柳瀬雄之 鈴木行 |
石川敏浩 | PARK KI DUG |
6 | ギャンブラーズ | 玉田博 鈴木行 |
浅見松雄 | 崔宇植 |
7 | 再会 | 安藤裕章 | 鈴木芳成 | をがわいちろを |
8 | 軌道からの生還 | 早川啓二 | 坂巻貞彦 | |
9 | ムーンウォーカー | 三浦陽 | 浅見松雄 美甘義人 |
中野彰子 |
10 | 疑惑の潮流 | 大原実 | 石川敏浩 | Yang Kwang Seock |
11 | 改竄されたデータ | 早川啓二 | 早川啓二 九十九十一 |
坂巻貞彦 杉本功 |
12 | スターファイター | 鈴木行 | 鈴木芳成 | をがわいちろを |
-Touch down- (2ndシーズン) | ||||
1 | 動き出した宇宙 | 鈴木行 | 中西伸彰 | 谷口守泰 |
2 | 思い出のヴィオラ | 西澤晋 | 鈴木芳成 | をがわいちろを |
3 | 英雄の帰還 | 美甘義人 | 竹上貴雄 | |
4 | 冷戦再び | 齋藤徳明 | 鎌田祐輔 | |
5 | ドッグファイト | 高田昌宏 | 谷口守泰 | |
6 | ロケットボーイズ | 藤本義孝 | 小沼克介 | |
7 | 12人の開拓者 | 鈴木芳成 | 山形孝二 | |
8 | オリオンの盾 | 美甘義人 | 山形孝二 小沼克介 杉本功 竹上貴雄 | |
9 | マギー'S SHOW | 鈴木行 | 齋藤徳明 | 鎌田祐輔 |
10 | クライシス | 高田昌宏 | 谷口守泰 | |
11 | 天空の守護者 | 九十九十一 | 小沼克介 | |
12 | ムーンベース | 西澤晋 | 齋藤徳明 | 山形孝二 |
13 | 月の涙 | 鈴木芳成 | 鎌田祐輔 | |
14 | マイ・スイート・ホーム | 鈴木行 | 杉本功 |