ORANGE (能田達規の漫画)
漫画
作者:能田達規,
出版社:秋田書店,
掲載誌:週刊少年チャンピオン,
レーベル:少年チャンピオン・コミックス,
発表期間:2001年,2004年,
巻数:全13巻,
以下はWikipediaより引用
要約
『ORANGE』(オレンジ)は、能田達規によるサッカー漫画。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて、2001年48号から2004年6号まで連載された。単行本は全13巻が秋田書店から刊行されている。
概要
スペイン帰りの少年・若松ムサシが、女子高生オーナーが切り盛りする2部リーグの弱小サッカークラブ「南予オレンジ」を牽引して1部リーグへの昇格を目指す作品であり、サポーターからの視点が頻繁に描かれているのがこのサッカー漫画の特徴である。作者の能田は愛媛県松山出身であるが、執筆前にはJリーグに四国のクラブが存在しなかった(連載終了後に愛媛FC、徳島ヴォルティス、カマタマーレ讃岐、FC今治がJリーグ入会した)ことから、せめて漫画だけでもという気持ちでこの作品を執筆した。
また、作者の能田は作品に登場するサッカークラブ「南予オレンジ」のモデルの一つとして連載当時に経営危機問題の渦中にあったヴァンフォーレ甲府の名を挙げており、「仮に故郷である愛媛にJリーグのクラブが創設されたら甲府のような状況に陥るのではないか(実際2015年シーズン前に愛媛FCの過去2年間の粉飾決算が発覚、問題となった)」との前提の下で作品を描いたという。
試合に対する描写は本格的であり、攻撃、守備双方において見せ場を作っている。また、ストーリーにおいても、経営問題、サポーターの減少、主力選手の怪我、使えない外国人選手、日本代表招集問題(本作ではオリンピック代表)など、現実のサッカークラブが抱える様々な問題を採り上げた展開が繰り広げられる。
またJ2クラブのサポーターからは、弱小と言うだけでクラブの地元住民や行政から白眼視されるなか、誇りを持って歩むクラブとサポーターの姿への感情移入が大きく、熱心な読者を得ただけでなく、一部のサッカー雑誌やオフィシャル誌に作品が紹介され、本格的、かつ考えさせられる内容と評されたり、一部のスタジアムのショップで販売されるなどもした。また、この作品の連載中に当時地域リーグであった愛媛FCの関係者がこの作品を知り、後に能田に対し協力を要請したことが縁で愛媛FCのマスコットキャラクターや似顔絵などを担当することになった。また、Jリーグ情報サイト「J's GOAL」掲載の「J2日記」をまとめた『J2白書』(東邦出版)のイラストを担当するなど、彼がJリーグと関わりを持つきっかけを作った作品にもなっている。
2014年に能田の長編「オーレ!」の新装版が発売されたが、同年行われたブラジルW杯を舞台に能田のサッカー漫画の登場選手達が日本代表メンバーとなって熱戦を繰り広げていく描き下ろしスピンオフ作品「オーレ! ~サムライブルーの奇跡~」が収録されており、「ORANGE」の選手達も登場している。
Fリーグについて
設定は連載当時の近未来(2007年)で、この作品に登場するFリーグは現行のJリーグとはシステムが異なり、1年間で全日程、ホーム&アウェイの総当たり戦となり、F2の場合、勝ち点上位2クラブが昇格となっている。クラブはF1に16、F2に16チームずつ存在し、主役の南予オレンジ(愛媛県)はF2に当たる。
リーグ戦は9月開幕、5月閉幕というヨーロッパと同様の開催形態を取っており、そのため真冬の雪の降る中での試合も珍しくない。また12月には現実の天皇杯に相当する「お正月杯」が開かれる。なお現実のナビスコ杯に相当するリーグカップが存在するかどうかは不明(少なくとも作中には登場しない)。
主なFリーグクラブ
南予オレンジ
さいたまレオーネ
幕張イーリス
東京シュバルツ
アヴァランチ仙台
F2には上記以外に青森マンザーノ、岩手アウローラ、山形ガーベ、新潟アローズ、松本ウォルナッツ、京都ミュートス、奈良モノリス、岡山サンブロス、出雲ミストラル、下関パイレーツ、バルカン宮崎、長崎テンボスが所属している。
チーム名称はセガのゲーム『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』(通称「サカつく」)から取っている。その縁でセガは「Jリーグ プロサッカークラブをつくろう!'04」に、ムサシらマンガの主要キャラクターたちを選手として登場させているほか、ホームタウンとして愛媛県を選ぶと、南予オレンジの親会社である「BOM飲料」がメインスポンサー候補として登場するといった仕掛けも用意されている。
能田の短編集「サッカーの憂鬱 裏方イレブン」(漫画サンデー掲載作を収録したもの)では、作中に青森、京都、奈良、出雲、下関が登場している(「ORANGE」の登場人物は出ておらず、また奈良のチーム名は「モーリス」となっている)。
主な登場人物
南予オレンジ
若松ムサシ(わかまつ ムサシ)
主人公で、スペイン帰りの天才ストライカー。背番号は9。スペイン時代にはリーガ・エスパニョーラの名門、アトレティコ・アラゴン(架空クラブ、モデルはレアル・サラゴサか)とのプロ契約が内定していたにも関わらず、幼少時の先代オーナーとの約束を果たすためオレンジに入団。それほど身体的に恵まれているわけではないが超人的なボディバランスに加え、抜群の得点嗅覚と正確なシュートコントロールを持つ。
入団後はオレンジはもちろんのこと、北京五輪出場を目指すサッカー五輪代表のFWとしても活躍。オレンジF1昇格の立役者となるが、北京五輪・サッカー競技の3位決定戦(対アルゼンチン)において足を複雑骨折、翌シーズンの大半を棒に振る。エースストライカーを失ったオレンジもF2降格圏内に低迷するが、最後の最後に復活を果たす。
先述の「オーレ!~サムライブルーの奇跡~」では大会直前のケガで代表メンバーに入れず、1部復帰(南予オレンジは2部に降格しているという設定である)と次回W杯での優勝を誓う。
青島小次郎(あおしま こじろう)
元U-20日本代表。背番号は10。ポジションはMFで、チームの司令塔。華麗な個人技に精密なパスワークを武器とし、ムサシとは抜群のコンビネーションを誇る。
F1の名門・東京シュバルツに在籍していたが、シュバルツがオランダ代表MFクラステンを獲得したため、同じポジションの小次郎はチーム構想上控えに回されることになったことに反発。そんな中、怪我で道後温泉にリハビリを兼ねた休養に来たところでムサシと出会い、シュバルツとの揉め事に加えムサシの才能に惚れ込んだことから、契約金500万円という破格の安値でオレンジに移籍した(移籍阻止のためシュバルツが他チームに「青島は怪我で使い物にならない」との偽情報を流したため、他に行き場が無かったことも背景にある)。
「オーレ!~サムライブルーの奇跡~」では代表に選ばれ、チームの中心として活躍する。
盆野美果(ぼんの みか)
越智継夫(おち つぐお)
ジョルジュ・サントス
片岡悟(かたおか さとし)
小林進一(こばやし しんいち)
三島裕二(みしま ゆうじ)
下柳京四郎(しもやなぎ きょうしろう)
ホーマー・ウォーターマン
ゴンザレス
田村秀夫(たむら ひでお)
酒井栄一(さかい えいいち)
仙波(せんば)
さいたまレオーネ
三木造山(みき ぞうざん)
幕張イーリス
白鳥英輝(しらとり ひでき)
ガルマン・フラーケン
ミュハエル・シュミット
アヴァランチ仙台
奈良モノリス
その他
小西真理子(こにし まりこ)
田沼凡吉(たぬま ぼんきち)
がんばれ! ボン太くん
単行本の巻末に掲載されている4コマ漫画。主人公はボン太くんで、ボン太くんが南予オレンジのマスコットキャラクターとして活躍する様子を描く。
この漫画ではボン太くんは「頭部がみかんでできている」キャラクターとして描かれている。そのためアンパンマンのように頭部を他の人間に食べさせることも可能。ただ本編と異なりブラックなギャグが多いため、BOMジュースの売れ行き好調で原材料のみかんが不足した際には美果の指示で頭部をジュースの原料に使われてしまったり、頭部が伝染病に感染して斑模様となり子どもたちに気持ち悪がられたりと、散々な目に遭うことが多い。
愛媛FCとの縁
2006年よりJリーグディビジョン2(J2)に加盟した愛媛FCと、『ORANGE』の作者の能田達規は、この漫画をきっかけにして交流が始まった。愛媛FCのマスコット「オレンジェイ(現:オ〜レくん)」が能田によってデザインされており(『ORANGE』作中の南予オレンジのマスコット「ぼん太くん」とは、表情が異なるが頭部がオレンジなどの特徴は同一)、青と白をクラブカラーにしていた愛媛FCが、2005年より南予オレンジと同じオレンジ色のクラブカラーに変更するなど、愛媛FCと南予オレンジが重なるような関係を見せている。
書誌情報
- 能田達規 『ORANGE』秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉、全13巻