小説

RIGHT×LIGHT


ジャンル:ファンタジー,

題材:魔法・呪術,

小説

著者:ツカサ,

出版社:小学館,

レーベル:ガガガ文庫,

巻数:全12巻,



以下はWikipediaより引用

要約

『RIGHT×LIGHT』(ライト・ライト)は、ツカサによる日本のライトノベル。略称は「R×L」。イラストは近衛乙嗣が担当。2007年、ガガガ文庫(小学館)より2007年10月から2011年5月まで刊行された。第1回小学館ライトノベル大賞期待賞受賞作。続編に『RIGHT∞LIGHT』がある。

ストーリー

3年前の海難事故で両親と妹を失った遠見啓介はその時以来、右手でモノを握ると跡形もなく消滅するという、呪いにも似た魔法を得てしまった。ある日、街中で事件に巻き込まれてしまった啓介は、最後の魔術結社である「群れ」クラウドに肉体を奪われたという「方舟」の少女、アリッサ=クラノ=ストーリング=ライトに強引に自分の体を依代(よりしろ)にされてしまい、彼女の肉体探しに手を貸すことになってしまう。その後「方舟」と「群れ」を巡る陰謀に巻き込まれていく。

登場人物
主要人物

遠見 啓介(とおみ けいすけ)

外的魔術パス/天牢
代表魔術/≪貪れ魔狼≫、≪天へ至る狼星≫
傘陽学園高等部に通う高校2年生。事故で両親と妹を失ってから、右手で物を握ると跡形もなく消える能力を手に入れてしまう。啓介自身はこれを<呪い>と言い、「空っぽの手品師」と自称する。当たり障りのない性格。弾かれるのが嫌で三文手品師のフリをしてまで、山崎や宮島と仲良くなろうとしている。
敵を作ることに恐怖を感じており、今まであまり面倒事には関わらないようにしていた。だが、アリッサと出会ったことで、考え方を変えさせられる。以降は、クラスから嫌がらせを受けていた未由助けるなど、人積極的にと関わるようにしている。
ヒース=ストーリングが作り出したシステム、≪魔狼≫の担い手であり、右手の能力は方≪舟の≫三系統の魔術を取り込むことで成長し、やがて自分を含めた全てを呑み込む運命を背負っている。
また、≪魔狼≫の根源である天牢とパスが繋がっているため、天牢の性質をトレースした魔術を使うことができるようになる。現在、≪貪れ魔狼≫、≪銀鎖の黒狼≫、≪魔銀の鎖狼≫、≪三頭の獄牙≫、≪天へ至る狼星≫の五つの魔術と、肉体と精神を全て捧げ、≪高位存在≫を具現化させる高位魔術を習得している。
また、アリッサの内に眠る≪天使王≫の力を引き出す術として、≪彼の右手に天の光剣≫、≪ 天の双翼≫を習得している。

アリッサ=クラノ=ストーリング=ライト

外的魔術パス/流れし星竜
代表魔術/<終わりの閃き><彼方へ運ぶ風>
魔術師。<壁>を作った魔術師ヒース=ストーリングの孫。<高次存在>と<道>を繋ぎ、流れし星竜の系統の魔術を使う。ジンの策略により肉体を奪れてしまっている間は啓介を依代にしていた。その間、普段は半透明だが、魔術を使う時などある程度実体化する事も出来た。その後、肉体を取り戻す。
方舟出身の魔術師だけあって、現代の内的魔術しか使えない魔術師は到底敵わないような実力者。流れし星竜の魔術は「流れる」性質を持つものを操る系統で、風や水を操る魔術をよく使用する。<彼方へ運ぶ風>を始めとする移動系の魔術も彼女の得意分野である。
また、長年の修練によってハイレベルな体術を身につけており、魔術を使わなくても十分に強い。
友月 未由(ともづき みゆ)

外的魔術パス/嘆きし魔王
代表魔術/<嘆きの炎剣><怒りの炎>
魔術師。傘陽学園高等部に通う高校2年生。<高次存在>と<道>を繋ぎ、嘆きの魔王の系統の魔術を使う。クラス内で「友月未由に関わると不幸がおきる」ことから<魔女>として恐れられていた。
初めはクラスでの嫌がらせから自分を助けるようなことをする啓介に対して強い警戒心と疑問を抱いていたが次第に心を開きはじめる。しかしエスカレートする嫌がらせとジンとの接触で魔術に覚醒する。その力で嫌がらせの首謀者である冬上を連れさらい、それを追ってきたアリッサ、啓介と戦うことになるが、啓介を殺そうとした瞬間、‘失うこと’の意味に気づき殺すことはできなかった。激しい戦いの末どうして自分のような人間を助けるのかと思うが、啓介の言葉で前向きになり「今度は私が……助けるから」といい残して去っていった。その後はお互いのことを「啓介くん」「友月」と呼ぶようになる。旧姓は「笹代」。
ジンが利用された人間にして、ジンやアリッサを超えるほどの才能を持つ魔術師であり、物語途中で魔術師となった啓介と比べても、威力は強力で術数も遥かに多い。嘆きし魔王の魔術に関しては、流れし星竜系統だが方舟出身のアリッサが逆に教えられるほど。炎の魔術や復讐の魔術を得意とする。
遠見 由衣(とおみ ゆい)

3年前の海難事故で亡くなった啓介の妹。海難事故の時、ホリィ=ライトが啓介の右腕に<反牙(リバスウォルフ)>を顕現させる際に右手に掴まっていたため生贄にされ、右手に取り込まれ肉体を失ってしまう。啓介が<天牢>とのパスを用いて魔術を使おうとすると、彼女の声が助言を与えてくれることが度々あったのはそのためである。
彼女は<魔狼>を抑える<魔銀の鎖>として右手に存在していたがその後、啓介の魔術<銀鎖の黒狼>として形を得る。最初は小型犬の姿だったがのちに人の姿にもなれるようになる。ただし、完全に人の姿になれるわけではなく、動物の耳と尻尾は残ってしまう。肉体は死亡しているため食事などは必要とせず、代わりとして啓介から精神力を貰っている。
魔術となる時に<反牙>や<魔狼>の知識を得たが彼女自身いまいちわかっていない。しかし物わかりは良い。

傘陽学園の生徒

冬上 雪絵(ふゆがみ ゆきえ)

外的魔術パス/陣=海道=ロームウェルの残滓
傘陽学園に通う高校2年生。啓介のクラスメイト。未由が<魔女>と呼ばれていることに好奇心を持ち、未由へ遠隔的に嫌がらせをさせる。が、未由の報復を受け精神を崩壊させてしまう。
その約1ヶ月後、<雀>により<黒血の徒>の一員として魔術師とな復活し、未由へ復讐しようとする。<黒血の徒>解体と同時に魔力を失うが、現在、未由とは良きライバル同士である。
上司と部下という関係がなくなった現在でも、<雀>=陽菜には苦手意識を持っている。
啓介と由衣の再開シーンでは、啓介に「シスコンでロリコン」という濡れ衣を着せ、以後、定着させる。
由衣の狼形態を溺愛しており、犬好きな一面も見られる。
本人曰く、幼い頃を児童養護施設で過ごしており、7歳の時に冬上家に養子に迎えられたとのこと。それが関係しているのか、ツグミのことを気にかけている。

朝ノ宮 陽菜(あさのみや ひな)

外的魔術パス/陣=海道=ロームウェルの残滓
傘陽学園に通う高校2年生。啓介のクラスに転入してきた、身長130cm未満の見た目は小学生の「ちいさな占い師」。正体は<群れ>の魔術師だった。幼い頃、陣=海道=ロームウェルに拾われた。それ以降、ジンを「兄さん」と呼んでいる。
<鳥の名>は<雀>。<梟>と共にジンの復活を計画したが失敗する。その後<群れ>を脱退し、現在は普通の高校生として日々を送っている。
幻視と呼ばれる内的魔術により、壁の向こう側や人の感情、未来を″色″として視ることができる。

ツグミ

元≪群れ≫の一員。
強力な≪精神感応≫の持ち主で触れた人物の心を読む、自身の姿を変えるなどが可能。
現在は傘陽学園の中等部に通う。啓介のことを「センパイ」と呼ぶ。

山崎 勉(やまざき つとむ)

傘陽学園に通う高校2年生。啓介のクラスメイトであり悪友。眼鏡をかけた利発そうな外見をしているが、中身はガラが悪く、そんなに賢いわけでもない。啓介のもう一人の悪友の宮島とはルームメイトの親友であり、よく一緒につるんでいる。
啓介と未由から″冬上に好意があるのか″と指摘されるが、本人曰く、″自分も冬上みたいになりたいという憧れ″らしい。

宮島 通(みやじま とおる)

傘陽学園に通う高校2年生。啓介のクラスメイトでもう一人の悪友。顔はいいが多少太り気味の体型をしている。屁でドレミを演奏、再試で100点を取れるなど、様々な特技を持つ。
母親のために、政治家である父親を見返そうと数々の特技を身に付けていたことが、作中で伺われる。

群れ

<鴉>(クロウ)

外的魔術パス/求めし愚者
魔術師。本名/陣=海道=ロームウェル。ネットで魔法薬物の噂を流し、その薬物を摂取した人を<糧>として<ルゥトの儀>で操り、<高次存在>へ成ろうと画策したが、啓介の魔狼によって打ち砕かれた。
弱体化した<形成界>の魔力を結集させて儀式を行い、<方舟>の場所を捕捉し、潜入した。封印されていた外的魔術体系を盗み出した張本人。
<梟>(オウル)

内的魔術傾向/肉体強化
<群れ(クラウド)>の幹部。<群れ(クラウド)>の命令により天使因子を持つ透子の養父となり世話している。
解体された<黒血の徒>首謀者だったが、それは陽名に協力を強制されたためであり本意ではなかった。解体後、命令により透子をアリッサに会わせるために行動していたが、ホリィ=ライトに娘を救いたいという気持ちを見抜かれ願いを叶える機会をもらうが願いの妨げになる<群れ(クラウド)>の記憶を剥奪されてしまう。
<鵺>(キメラ)

内的魔術傾向/変身
<群れ(クラウド)>が作り出した魔獣。人ならざる者の血と人の血が混ざった混血を持つ人間は特別な力を持つ。その混血同士の交配をひたすら繰り返し生み出したのが合成獣(キメラ)。他の者とは一線を画す怪物。
<鳶>(カイト)

内的魔術傾向/知覚拡大
本名/梨谷 英汰。友月未由暗殺を依頼された<群れ(クラウド)>が放った刺客。<群れ(クラウド)>の中でも末端の構成員。混血の力があり、透視を可能とする低位の魔眼を持つ。
<鴎>(ガル)

外的魔術パス/求めし愚者
内的魔術傾向/魔声
セイレーンを代表とする、魔なる声を持つ高次存在の血を引いている。特定の相手と共振する声を発して相手の位置を探ることができる。
<鷺>(ヘレン)

外的魔術パス/求めし愚者
美傘市に終結した<群れ(クラウド)>の構成員。鴎(ガル)と共に現れ<狂信者の仮面>を使い、大勢の人間を操る。
<鸚鵡>(パロット)

外的魔術パス/求めし愚者
無詠唱を使うことができ、召喚によりホリィ=ライト本体を呼び出すことができたほどの実力者。<群れ(クラウド)>党首の言伝を伝える役割を担っていた。

方舟

ヒース=ストーリング

1000年前、秘儀の魔術によって<天牢>を呼び、物質界で魔術を使えないように封印させた<簒奪者>。世界最強の魔術師とも言われている。
封印後、彼の一族は力が使えなくなってしまった地上の魔術師から恨まれ、<方舟>内の<箱庭>に住むことになる。「いつか地上で魔術が再び使われた時、魔狼が喰い尽くす」という言葉を遺した。
ウルト=クラノ=ストーリング

ヒース=ストーリングには三人の娘がおり、その三姉妹の長女。
アリッサの叔母にあたり、彼女に体術などを荒っぽい方法で教授した。≪方舟≫内の≪箱庭≫にいるはずが、美傘市に現われて由衣に接触する。目的は不明。
ヴェル=クラノ=ストーリング

アリッサの母親。ヒース=ストーリングの娘であり、三姉妹の次女。
身体が弱く、現在は≪方舟≫内の≪箱庭≫で暮らしているらしい。≪夜空の法衣≫は彼女がアリッサのために創った魔術。
スーラ=クラノ=ストーリング=ミルキーウェイ

≪方舟≫の主ヒース=ストーリングの娘。三姉妹の三女でアリッサの叔母。
ホリィ=ライト

アリッサの父親であり、<求めし愚者>そのもの。ヒース=ストーリングの弟子として<方舟>に加わる。
自分の願いのために暗躍し、自分の願いのために<天牢>の破壊を願う<群れ>に協力する。<群れ>が手に入れた娘アリッサの体を使い暗躍するも、<天牢>の破壊に失敗し、<方舟>から出てきていたウルト=クラノ=ストーリングによって<方舟>に戻される。

友月一族

友月 未永(ともづき みえい)

未由の祖母。友月財閥の当主。
友月 灘世(ともづき なだせ)

未由の叔父。両親を亡くした未由を引き取り当主にして友月家の実権を握ろう目論むが、未由が魔術を覚醒させたときに精神を侵され病んでしまう。その後、寝たきりになるが一時の間ホリィ=ライトが操り啓介達を翻弄する。
九棚 裕也(くだな ゆうや)

友月家分家の九棚家の者で、未由の秘書及び執事をしている。未由が<家>の中で唯一信頼している人間。
八朔 則秋(やさく のりあき)

友月家分家の八朔家の者。混血の力があり<支配>の能力を持つ。血を仲立ちにすることで<支配>の力は格段に増す。
菜津(なつ)

過去に滅びた友月家分家の生き残り。500年もの間、生き続けている。

その他の人物

美澄 透子(みすみ とうこ)

停滞した天使因子を持つ少女。<梟(オウル)>の養女で難病を患っている。しかし、停滞した天使因子によって難病の進行も停滞。その後、手術を受けて快方に向かっている。
彼女も3年前の海難事故の場におり、アリッサに助けられる。そのため、アリッサと再会したときアリッサを天使と呼ぶ。
近桐 忠志(こんどう ただし)

啓介の叔父で遠見家の後見人。
近桐 茜(こんどう あかね)

啓介の叔母。
近桐 咲(こんどう さき)

啓介の従姉妹。高校3年生で、将来は警察官志望。家族を失ったことで感情的になった啓介と仲違いしていたが、啓介の帰郷の時に仲直りする。

主な用語

外的魔術
術者以外の力を借りて行使する魔術。アリッサ達が使うのはその中でも「同化魔術」と分類されるもの。
内的魔術
術者の内側から力を導き、人間本来の力を先鋭化させる魔術。
同化魔術
<高次存在>と精神の波長を合わせることで<高次存在>の一部となり力を行使する魔術。そのため効果は同調する<高次存在>の特質に関するものに限定される。基本的に術者と精神の波長の合いやすい1系統のみが使用できる。
定義魔術
<高次存在>の力を魔術として行使するために<姿の言葉>と<起動言語>で効果を明確化したもの。<姿の言葉>は心の中で唱えることにより「無詠唱」とすることができるが、<起動言語>は必ず口にする必要がある。強力な魔術ほど長い<姿の言葉>が必要で、詠唱にも時間がかかる。
未定義魔術
<高次存在>と同調することで発動する小規模な魔術。
高位存在(ヴィナー)
<物質界>の外側に在る高次の精神的存在で「神」とも呼ばれる。<形成界>に在るが、<天牢>の影響で人間が接触できるのは3系統のみとされる。
物質界(マルクト)、形成界(イエソド)、生命の樹(セフィトロ)
人々が住む地上世界が<物質界>、高次存在が棲むと言われる世界が<形成界>、魂を循環させる世界が<生命の樹>。
天牢(ウオルフ=ライエ)
<形成界>と<物質界>を隔てる壁。<生命の樹>を断ち切る境界。これにより地上の魔術師達は魔術を使えなくなった。
反牙(リバスウォルフ)
<天牢>の一部を使い、魔術の流失や裏切り者の脱出を防ぐために作られた防衛機能。方舟から高次存在や魔術パスを持つ人間が出た瞬間に最も近くにいる生命体を媒体に発現し、その破戒者を食らう。
魔狼
<反牙>を元に作り変えられた魔術。<チュールの右手>と<魔銀の鎖>で普段は封じられている。
方舟
<天牢>の基点。結界に覆われた動く島で外界とは大きな時差が存在し、島の内部でも時差が存在する。地上の魔術師から命を狙われているヒース=ストーリングの一族が隠れ住んでいる。
天使/代界存在(ロウラー)
<生命の樹>の流れを保つための守護者。<物質界>においては「天使」と呼ばれる。72の因子で構成され、因子を持つ人間が魔術などの<歪み>に触れることで発生する。発生した天使が<歪み>によって倒された場合、その因子は他の因子と結びつき、より強力な天使として顕現する。
群れ(クラウド)
自らの内側から魔術を引き出す内的魔術の実践を表の目的としているが、実際は<天牢>を壊すための<代界存在>である<天使>の復活を1000年にわたって探求してきた「最後の魔術結社」。
ヒース=ストーリングによって外的魔術の方法が奪われた後に、世界各地で衰退していった魔術結社が統合され、作られた。
鳥の名
<群れ>の中で使われているコードネーム。
人の枠を飛び超え、高みを目指し、次の世界へと至ることを望む意思を込め鳥の名が使われている。

魔術一覧

<“流れし星竜”レヴァティーン=ミルキーウェイ>系統
ヒース=ストーリングが創った三柱の高次存在のひとつ。「流れ」を持つものを操る力を持つ。水や光、中でも風を利用した魔術が多い。使用者はアリッサとウルト。アリッサに関しては主人公であり、語り手である啓介と四六時中一緒にいるため、判明している魔術名が他と比べて非常に多い。
<彼方へ運ぶ風>
作中でアリッサが最初に使用した魔術。発動中、風をまとって自由に空を飛ぶことができる飛行魔術。掴まっていれば自分以外も持ち上げて飛ばすことも可能。まとう風によって衝撃を緩和することも可能。使用頻度も高く、状況も問わず、アリッサと啓介の足としてよく扱われている。
<野原の笛>
風の音を利用し、音楽を奏でることが出来る魔術。簡単な術で、曲はひとつしかないが、母親に最初に教えられたアリッサのお気に入りの魔術。風の音で曲は1曲しか存在しない。
実は、風の演奏の音に夢を編み込むことで、対象者に夢を見せることが本来の使い方。ただし夢を編むのは難しく、初めは術に歌を乗せられなかったが、ユヤに教えてもらったことに よってアリッサは歌を唄うことで夢を編むことができるようになった。
<阻む烈風>
強い風を生み出し、対象に叩きつける魔術。攻撃、防御、妨害など様々な使い道がある。
<貫く風>
風を槍状に固め、対象に放つ魔術。アリッサは無詠唱で発動可能。
<薙ぐ旋風>
風を刃状に固め、対象に放つ魔術。アリッサは無詠唱で発動可能。
<弾く光壁>
光の薄い膜を作り出す魔術。攻撃を跳ね返す効果がある。
<終わりの閃き>
四節の高位魔術。ほとんどの魔術は無詠唱で発動できるアリッサでさえ詠唱を必要とし、戦闘でアリッサが使うものでは最も強力な魔術。金色に輝く光を矢のように放つ魔術で、アリッサ曰く「流れる運命を終わりに導ける」力を持つらしい。ウルトは無詠唱で発動可能。
<過ぎた輝き>
転移魔術。指定したポイントまで一瞬で移動することができる瞬間移動の魔術。
<彼方へ運ぶ風>と並んで使用頻度が高いアリッサたちの足。ただし、「共通の光源(太陽、月、星など)が照らしている場所にしか飛べない」という制限があるため、屋内で使用することはできない。しかし、たとえ知らない土地であっても目測できる範囲であれば転移できるため、条件さえ整えれば水平線まで一気に移動することも可能。知っている場所に関しては、光源の条件さえクリアすれば目測の必要はない。なお、非常に燃費が悪い。
<癒しの光>
治療魔術。対象を金色の光でまとわせることによって傷の治りを早めにすることが出来る魔術。啓介の折れた右腕を治したり、効果はそこそこ強力だが、頭の怪我に対しては後遺症が残る場合があるので強引にあまり使用しない方がいい。
<撫でるそよ風>
探知魔術。小さな隙間などから風を流し込み、目視できない場所を調べることができる魔術。あまり詳しいことはわからないが、広い屋敷くらいならカバーすることが可能で対象の場所のおおまかな物の配置、人間の人数など生命反応などを知ることも出来る。
<夜星の法衣>
アリッサの母(ヴェル=クラノ=ストーリング)がアリッサのために造った金色の糸によって服を編み上げる高位魔術。この服は魔力を内で循環させているために維持に魔力を消耗しない。また法衣に刻まれた紋様の効果によって魔力を増幅させる効果もある。
<星の咆哮>
時を貫く竜の息吹を放つ魔術。純白に輝く小さき恒星のような力の塊を白き閃光として放つ。
<方舟>の結界に穴を開けるほどの威力で、海難事故の時アリッサはそれを使い<方舟>の外に出て啓介達を助けた。
<回る水精>
周囲にある水を利用して、ロープのように対象に絡ませて動きを封じる捕縛魔術。水がまるで蛇のように相手に巻きつき動きを封じて拘束する。
<逆らえぬ波濤>
ドーム状の光の隔離結界を展開させる魔術。本来は内側の者を守るようなものだが、作中では閉じ込めるために使用している。
<虚飾せし光衣>
光を屈折させることによって自身と密着させた相手などの狭い範囲の対象を透明にする魔術。とても燃費が悪く、普段は霊体で普段は姿が見えないアリッサにはあまり必要のない魔術。あくまでも視覚的な効果のみなので、話し声や足音などは消去できない。
<群集せし雷弾>
周囲に無数の光を展開させて、 それを飛ばして攻撃をおこなう魔術。
<輝く光球>
電気の塊を放つ弱い魔術。
<揺れる空音>
分子振動によって超加熱をおこなうことが出来る魔術。
<止める光輪>
巨大な光の輪が相手を囲んでから収束して縛り上げ動きを封じる魔術。
<開く蒼穹>
空に青い光を伸ばして、空を覆っている雲を吹き払う魔術

<“嘆きし魔王”アル=ザナフ=トワイライト>系統
ヒース=ストーリングが創った三柱の高次存在のひとつ。術者の怒り、嘆きといった感情に強く反応する。未由曰く、「復讐に向いた魔術」で、炎を使った魔術が多い。使用者は今のところ友月未由のみ。
<侵される紅影>
<怒りの炎>
<嘆きし魔王>
詠唱に五節を必要とし術者自身を生贄とした召喚魔術。自らを器として魔王そのものを召喚し、怒りのままに暴れ狂わせる魔術。
<嘆きし炎剣>
炎でできた剣を作り出す魔術。作り出した炎剣は常に術者の魔力を食い続けるため、長時間に渡る発動は困難。
<痛みの片蝶>
<燃える黄昏>
夕焼け色の巨大な炎柱を出現させる魔術。
<傷負う鎧>
<嘆きの咆哮>

<“求めし愚者”ホリィ=ライト>系統
ヒース=ストーリングが創った三柱の高次存在のひとつ。闇や影などの暗いイメージをさせる術が多く、内容も他に比べてトリッキー。ジン、ホリィが使用。
<魔女狩りの面>
対象者を基点に周りの人間を操る魔術。操られた人間には目のところに小さな穴が二つ開いた白く無機質な仮面が現れる。その間、操られている記憶はなく、違和感を抱かさないように記憶を繋いでいる。対象者への媒体となる物と代償が必要。
<狂信者の仮面>
個人対象を操る魔術。力を体の限界を無視して使わせることが出来る。<魔女狩りの面>とは違い、表層には複雑な文様が描かれている。紙の鳥が顔に張り付いて仮面に変わることで操ることが出来る。
<惑いし道化>
<触れえぬ鳥篭>
<黒き弾丸>
発動者の周りに複数の黒く輝く硬貨程度の小さい球体を発生させ撃ち出す魔術。壁に深い穴を空けるほどの威力を持つ。
<夜の帳>
<黒の呪縛>
影から伸びた黒い帯が対象を縛り上げ動きを止める捕縛魔術。
<魔銀の鎖>
ホリィが使う魔術。啓介にかけられた呪いのような魔術で、初出では啓介の行動を縛り付ける効果があった。しかし、二度目に使った時は何も起こらず、ホリィや<蝙蝠>を動揺させた。術者であるホリィにしか干渉できないとされるが、何か特殊な解除条件があった模様。啓介が新たに創り出した<銀鎖の黒狼>に何か関係があると思われる。
<影歩き>
転移魔術。アリッサの<過ぎた輝き>と同じように即その場から消え去ることができるが、条件などは不明。
<翳る姿見>
ホリィが<梟>に施した「協力」。対象の髪などを織り込んだヒトカタを体に埋め込むことで、対象と痛みなどの状態を共有することができる呪い。<梟>には透子のものを使用している。ホリィはこの本来ならば呪いとなる魔術を、透子の天使としての加護に目を付けて逆用し、<梟>と透子の間で加護を共有させた。
<刻む黒傷>

<天牢>系統
ヒース=ストーリングが呼び寄せた「四柱目」の高次存在。魔狼を宿す啓介専用の魔術系統であるため、他の魔術系統と違い定義が一切なされていないため、啓介自身がひとつひとつ定義をしていかなければならない。狼のイメージを持つ魔術。
<貪れ魔狼>
陽炎のように揺らめく影によって 狼の牙のごとく輪郭をとって自身の右腕に「魔狼の牙」を宿らせ強化させる魔術。詠唱は三節。成長しきった<魔狼>を再現した魔術牙で相手の魔術を打ち消したりできる。攻撃だけでなく移動にも使用しており、右腕だけで飛び上がり、右腕だけで着地する、といった芸当を駆使することによって、人間離れした動きも可能。使用し続ける限り精神力を消耗し続けてしまうが出力を抑えることによって、術の効果を完全に不可視化させ、消耗自体も減らして 30分くらいなら簡単に持続が可能になっている
<三頭の獄牙>
<貪れ魔狼>の牙を枝分かれさせ、右腕に狼の頭部のような三叉の影の輪郭をまとわせる魔術。増やした牙はそれぞれ独立した動きをさせることができる。射程は5m程。3つあることによって、攻撃と防御を組み合わせて闘うことが可能になった。また溜め込んだ魔力を飛び道具として発射することも可能。「貪れ魔狼(ディバウアー)」より出力が激しく、出力の調整も出来ない。
<天へ駆ける狼>
右手全体を狼の頭部を象った青いオーラで包み込む、詠唱は四節行う啓介最大の魔術。右手の狼の口から敵のエネルギーを吸収することによってパワーアップする。また吸収した力を推進力に変化させて飛行することも可能。
<銀鎖の黒狼>
魔狼の一部を切り離して巨大な狼を召喚する魔術。作中では力を抑える「魔銀の鎖(グレイプニル)」の効果によって、子犬のような姿の狼が召喚されている。人語を理解している様子を見せ、知能もそこそこ高い。アリッサが「フェンリル」から取って「リル」と命名。
<魔銀の鎖狼>
啓介がもう一度由衣と会いたいと願い、作った魔術。<魔狼>を抑え付ける<魔銀の鎖>としての由衣と、リルとして啓介達と過ごしてきた<銀鎖の黒狼>としての由衣の両方の性質をもっている為、<魔狼>を抑えるとともに由衣自身も再度顕現した。また、<魔銀の鎖狼>の封印は以前より強力になったため、以前のように魔術を飲み込んでも暴走しないようになった。
<天の牢>
世界蛇(ウロボロス)に対抗するため、啓介と由衣が召喚(サモン)した偽りの空の高次存在(ヴィナー)。巨大な白い狼の姿をもつ。壁が作られてからの千年の人の魂を糧としていてこの世界のすべてを知覚することができる。

<陣=海道=ロームウェルの残滓>系統
高次存在へと至ったが魔狼に喰われ、消滅したジンの存在の残滓。通常の代償の他に血液を捧げることで魔術の発動が可能になる。使用者は<黒血の徒>メンバー。
<凍れる標本>
術者の血液、もしくは血を混ぜた液体を瞬時に凍結させる魔術。冬上雪絵が使用。
<黒に沈む道>
転移魔術。闇に満ちた黒い穴を地面に生み出し、そこを通り移動する。
<侵す氷原>
<凍れる標本>と同じ効果だが、代償(血、精神)を払い続ける限り、氷を生み出し続ける事が可能。
<駆逐する絶望>
四節の呪文を必要とする高位呪文。渦巻く闇を放つ魔術。効果は不明。

<天使王>=アリッサ=クラノ=ストーリング=ライト=ミトロン
<天使王>として目覚めたアリッサの力を、啓介が魔術として使うことができるようにしたもの。使用者はアリッサと<道>で繋がる遠見啓介のみ。
発動される魔術は、<天使王>の外見的特徴を模した何かを具現化し、アリッサに装備させるもの。このため啓介の魔術というよりはアリッサへの専用支援魔術と言うのが適切。
<彼の右手に天の光剣>
<天使王>の剣を召喚し、アリッサに装備させる。<天使王>の何もかもを滅ぼす力そのもので、法の名の元に全てを両断する。<高次存在>として対峙したホリィ=ライトですら、この力の前に形勢逆転を受け入れざるを得なくなった。
<天への双翼>
アリッサの背中に天使王(ミトロン)の翼を展開させる魔術。<彼方に運ぶ風>とは比べものにならないスピードを誇る。数百キロ単位での超長距離移動に関しては、<過ぎた輝き>よりも燃費などの面で遥かに容易。また、翼で体を覆うことによって、魔術からも身を守ることが可能。移動にかかるGはかなりものだが、翼の効果によって負担は軽減される。

主な舞台

傘陽学園(さんようがくえん)
美傘市にある、中等部と高等部がある男女共学の全寮制学校。女子寮は完璧なまでのセキュリティだが、男子寮は古びた鉄筋4階建てが4棟ある。お嬢様学校と言われれば誰もが信じてしまうような立派に建てられた学校。
全寮制ということから、色々事情があって通っている生徒が多い。
美傘市(みかさし)
都市圏から比較的近いという立地条件を生かして町おこしを進めてきた学究都市。傘陽学園の他にも私立の小、中、高校や大学がいくつか存在する。
街の中心部に駅ビルや大型ショッピングモールがなどがあり、駅前の大通りを東に行くと図書館や美術館、コンサートホールなどもある。
奈波市(ななみし)
啓介の故郷。狭かった平地を埋め立てで広げていった経緯があり、古参の住人は丘の斜面に、新参者は海へ流れ込む川沿いの平地に家を構えている事が多い。町の史跡に奈波城跡があり、怪談めいた伝説があることから物好きな人間がわざわざ遠くから訪れる事もある。

既刊一覧

ツカサ(著) / 近衛乙嗣(イラスト) 『RIGHT×LIGHT』 小学館〈ガガガ文庫〉、全12巻
タイトル 初版発行日 ISBN
RIGHT×LIGHT ~空っぽの手品師と半透明な飛行少女~ 2007年10月23日 978-4-09-451031-7
RIGHT×LIGHT2 ~ちいさな占い師と白い部屋で眠る彼女~ 2008年3月23日 978-4-09-451059-1
RIGHT×LIGHT3 ~カケラの天使と囁く虚像~ 2008年6月23日 978-4-09-451074-4
RIGHT×LIGHT4 ~嘆きの魔女と始まりの鐘を鳴らす獣~ 2008年9月23日 978-4-09-451091-1
RIGHT×LIGHT5 ~求めし愚者と天喰らう魔狼~ 2009年1月25日 978-4-09-451110-9
RIGHT×LIGHT6 ~揺れる未来と空渡る風歌~ 2009年4月22日 978-4-09-451129-1
RIGHT×LIGHT7 ~飢えし血鬼と夏夜の炎花~ 2009年9月23日 978-4-09-451159-8
RIGHT×LIGHT8 ~散りゆく雪華と赤い月を仰ぐ夜鳥~ 2010年2月23日 978-4-09-451191-8
RIGHT×LIGHT9 ~終わる宴と緑翼の宣告者~ 2010年5月23日 978-4-09-451207-6
RIGHT×LIGHT10 ~たゆたう方舟と泣かない英雄~ 2010年10月24日 978-4-09-451236-6
RIGHT×LIGHT11 ~黄昏の王と深緑の巨臣~ 2011年1月23日 978-4-09-451250-2
RIGHT×LIGHT12 ~繋がる声と届く指先~ 2011年5月23日 978-4-09-451274-8

オーディオブック

第1巻の内容がデータ販売でオーディオブック化されている。2020年6月22日発売。

  • キャスト
  • 山口隆行(朗読+遠見啓介 役)
  • 奥野香耶(アリッサ 役)
  • 陣谷遥(陣 役)
  • 星乃葉月(友月未由ほか 役)
  • 比留間俊哉(山崎勉ほか 役)
  • 祐仙勇(宮島通ほか 役)
  • 久遠エリサ(冬上雪絵ほか 役)
  • 山口隆行(朗読+遠見啓介 役)
  • 奥野香耶(アリッサ 役)
  • 陣谷遥(陣 役)
  • 星乃葉月(友月未由ほか 役)
  • 比留間俊哉(山崎勉ほか 役)
  • 祐仙勇(宮島通ほか 役)
  • 久遠エリサ(冬上雪絵ほか 役)