SOUL CATCHER(S)
漫画
作者:神海英雄,
出版社:集英社,
掲載誌:週刊少年ジャンプ,少年ジャンプNEXT!!,少年ジャンプ+,
レーベル:ジャンプ・コミックス,
巻数:全11巻,
話数:全89話,
ヴォイスコミック
原作:神海英雄,
発表期間:2014年,2月7日,2月28日,
話数:全4話,
以下はWikipediaより引用
要約
『SOUL CATCHER(S)』(ソウル キャッチャーズ)は、神海英雄による日本の漫画作品。
概要
吹奏楽をテーマにした音楽漫画。『少年ジャンプNEXT!』(集英社)2012 AUTUMNに読切版が掲載後、『週刊少年ジャンプ』(集英社)2013年24号 - 2014年31号で連載された。その後、『少年ジャンプNEXT!!』(集英社)での連載(2014 vol.4 - 2015 vol.2)を経て 『少年ジャンプ+』(集英社)に移籍し、2015年8月2日から2016年2月14日まで連載された。
タイトルは「魂を掴む者たち」という意味で、(S)は神峰と刻阪のダブル主人公(複数形)であることを表している。公式略称は「ソルキャ」。キャッチコピーは「超視覚型(ハイパーヴィジュアル)吹奏楽グラフィティ」、「唯一無二の吹奏楽漫画」など。話数カウントは「op.(オーパス)○」。
鳴苑高校吹奏楽部を舞台に、心が「見える」能力を持つ神峰翔太と心を「掴む」天才サックス奏者刻阪響の2人を中心として展開する。神峰が能力によって周囲の心の問題を解消しながら、指揮者として成長していく様を描く。
ストーリー
群馬県立鳴苑高等学校に通う神峰翔太は、人の心が「見える」能力を持っていた。自らの能力を厭い他人との接触を拒んできた神峰は、吹奏楽部の公演がきっかけとなり、音色で人の心を「掴む」サックス奏者・刻阪響と出会う。
「神峰の助言に従って演奏することで音楽を人の心に届けることができる」と気付いた刻阪は神峰を吹奏楽部に勧誘し、神峰は指揮者志望として入部を決意する。神峰は刻阪と共に、部内のさまざまな問題や他校のライバルたちと直面しながら、自身の能力と指揮によって鳴苑吹奏楽部の音を導いてゆく。
物語の経過 出会い編/op.1 - 2 他人の心が「見える」能力に嫌気がさしていた神峰は、文化祭の吹奏楽部公演で刻阪が大勢の観客の心を「掴む」さまを目撃し衝撃を受ける。一方、刻阪は「心を閉ざしてしまった幼馴染のモコに音を届けられない」という悩みを抱えていた。神峰の助言に従って演奏することでモコの心を開くことに成功した刻阪は、神峰にその「目」の意味を説き、神峰を指揮者として吹奏楽部に勧誘する。神峰は過去の経験から1度は拒否するが、刻阪の言動に心動かされ入部を決意する。 打樋(パーカッションパート)編/op.3 - 4 指揮者志望で入部しようとした神峰に顧問・谺夕子は「パートリーダー全員に認められること」「それまでは普通の新入部員として各パートを回ること」という条件を課す。神峰が最初に選んだパートは打楽器(パーカッション)。打楽器パートでは、1年生の滝田と今金の不調が原因で演奏に一体感が出ていなかった。心が「見える」神峰は彼らの不調の原因がスランプではないことを見抜き、パートリーダー・打樋透に2人のコンバートを提案する。 音羽・奏馬(トランペットパート)編/op.5 - 8 打楽器パートの問題を解決し打樋に認められた神峰は、部長・奏馬俊平の所属するトランペットパートに招かれる。トランペットパートリーダー・音羽悟偉は高い演奏技術を持ちながらパート練習に一切出ず、勝手に他のパートの練習に参加しては振り回すため「暴君」と呼ばれていた。しかし、周囲から恐れられ孤立する音羽の心に、神峰は無邪気な赤ん坊の姿を見る。 その矢先、音羽は突如吹奏楽部を退部してしまう。その原因が病院院長でもある彼の父親にあることを悟った神峰は、部活を続けられるよう父親の説得を申し出る。一方で、音羽だけではなく奏馬たちパートメンバー側にも問題があると見抜いた神峰は、説得の際に演奏する曲として、音羽と奏馬(と刻阪)が共に主役となる「トランペット吹きの休日」を選曲する。 天籟高校視察編/op.9 - 11 音羽の父親を説得しトランペットパートの問題も解決した神峰達の元に、鳴苑が天籟ウィンドフェス(天籟WF)に招待されたという知らせが届く。天籟WFは吹奏楽コンクール全国大会覇者・天籟高校が主催する合同演奏会で、コンクールの前哨戦でもある。天籟の音に興味を持った神峰は刻阪、音羽、サックスパートリーダー・歌林優菜と共に天籟へ出向き、天籟と合同練習を行っていた竹風高校の学生指揮者・伊調鋭一に出会う。鋭一は世界的指揮者伊調剛健を祖父に持ち、自身も絶対音感や色聴の共感覚を持つなど才能に恵まれた人物だった。指揮者を目指す厳しさを改めて痛感しながら、同じ学生指揮者として鋭一に宣戦布告する神峰。一方、神峰の能力を「自分よりも鋭敏な共感覚」であると解釈した鋭一もまた、彼に対しライバル心を露わにする。 御器谷(ファゴット&バスクラリネットパート)・邑楽(クラリネットパート)編/op.12 - op.16 指揮者になりたいという思いを新たにした神峰は、音楽の基礎を学ぶため歩く音楽事典ことファゴット・バスクラリネットパートリーダー・御器谷忍に接触する。御器谷が人知れずとんでもない努力をしていることを知った神峰は、御器谷が「音楽を教える条件」として突き付けた無理難題を引き受けクリアする。そこに現れたのは、報われない努力を馬鹿にするクラリネットパートリーダー・邑楽恵。邑楽は御器谷の従姉妹であり、かつては御器谷に負けず劣らずの努力家だったが、報われない現実に阻まれ向上心を失っていた。御器谷は神峰に、邑楽を救ってほしいと懇願する。 一方、顧問の谺は、天籟WFで神峰に指揮をさせるか部員たちへ問う投票を行うと宣言。神峰は投票のための演奏曲として、邑楽と御器谷が中学最後のコンクールで演奏した「吹奏楽のための木挽歌」を選ぶ。 吹越(フルートパート)編/op.17 - 20 投票の結果僅差で指揮権を獲得した神峰は、フルートパートリーダー・吹越花澄と訪れた楽器店で、天籟WF出場校であるソニトゥス学院高校(ソニ学)に通う吹越の妹・聖月と遭遇する。姉妹はかつて一緒にフルートを習っていたが、あるコンテストで溝が生まれ、姉の花澄は本来の実力を出さなくなっていた。「勝ち負けにこだわらず音楽を楽しみたい」と言う花澄だが、神峰の見る吹越の心は何故かこのままでは音楽ができなくなることを示していた。悩む神峰はフェスの会場を訪れ、伊調鋭一と再会する。その祖父・剛健との会話で答えを見いだした神峰は、聖月に天籟WFで勝つと宣戦布告する。 ついに幕を開ける天籟WF。神峰は自身の指揮する「木挽歌」で、ピッコロソロに臨む吹越に、「過去の自分との決別」を提示する。 天籟ウィンドフェス編/op.21 - 26 吹越の活躍もあり「木挽歌」は拍手喝采に終わるが、直後、吹越は体調不良で倒れてしまう。顧問の谺は神峰を代理指揮に指名し、吹越を病院に搬送する。鳴苑の次の曲目は鋭一率いる竹風と同じ「エル・クンバンチェロ」。直前に見た鋭一の指揮を意識するあまり序盤では観客の心が離れたものの、これまでに神峰を認めてきた部員達の力に助けられ中盤からは「神峰らしい指揮」を披露。観客の心を掴み、特別ゲストとして観覧していた伊調剛健にも称賛される。しかしそれは鋭一の心に影を落とす結果にもなった。 終演後、神峰は以前から鋭一の危うさを懸念していた剛健に「鋭一の前に立ちはだかってほしい」と告げられる。一方、天籟のサックス奏者・弾徹也と出会った刻阪もまた、さらなる向上を決意。各校の部員たちも来年のコンクールでの健闘を誓い合い、さまざまな波紋を残して天籟WFは幕を閉じる。 木戸(オーボエパート)編/op.27 - 30 天籟WF後、合宿などを通して「今いるメンバー全員でコンクール全国大会に行きたい」との思いを強くする神峰。しかしその矢先、オーボエパートリーダー・木戸雅が退部届を提出する。木戸は1週間後に行なわれるアンサンブルコンテストの出場メンバーで、それを指摘されると「コンテストまでは退部しない」と前言を撤回。木戸の「心」の様子から、彼女が常に周囲の空気を読んで立ち回っていること、それが限界に近いことを悟った神峰は、残り少ない時間の中、他のパートリーダー達を巻き込んだ捨て身の行動に出る。 弦野(コントラバスパート)編/op.31 - 36 アンサンブルコンテストで木戸がコンサートマスターとしての資質を開花させるも、木戸ら木管六重奏は県大会敗退に終わる。一方で、神峰を認めていないトロンボーンパートリーダー・金井淵涼らの金管六重奏は西関東大会進出を果たし、「神峰の指揮は必要ない」と突きつけられる形となる。 さらに神峰は、ある日の合奏練習でコントラバスパートリーダー・弦野政彦に演奏の主導権を奪われ、指揮者の必要性を問いかけられる。返答に窮した神峰はヴァイオリニストである刻阪の姉・楓に接触。神峰と刻阪も問題点を指摘し、指揮者と奏者がぶつかり合うことの重要さを知る。そんな折、弦野の掛け持ちするロックバンドの年末フェス出場メンバーがいないことを知った神峰は、バンドメンバーに自分と刻阪を入れて欲しいと申し出る。 アンサンブルコンテスト編/op.37 - 44 ロックフェスを通して新たな力をつけ、神峰は弦野にも「相対するにふさわしい相手」として認められる。しかし残る4人のパートリーダー達(トロンボーン・金井淵、ユーフォニウム・星合美子、チューバ・川和壬獅郎、ホルン・管崎舞)に認めてもらう足がかりを掴めないまま時間は過ぎ、アンサンブルコンテスト西関東大会では4人を含む金管六重奏が全国進出を決める。そんな中、神峰は関西大会会場で伊調と再会。彼は兵庫県の下無高校吹奏楽部のアドバイザーとして、地区大会止まりだった下無をアンサンブルコンテスト全国大会へと進出させる。続くアンサンブルコンテスト全国大会では下無が金賞を獲得し、鳴苑の金管六重奏は銀賞に終わる。神峰は演奏中の金井淵の心の異変を「見」、それが原因で音に心を注げなかったのではないかと推察する。 舞う桜編①-管崎(ホルンパート)・星合(ユーフォニウムパート)編/op.45 - 54 4月、神峰達は2年生に進級し、神峰と同じ能力を持ちながら正反対の思想を持つ黒条善人や、未だ神峰のことを認めていない4人のパートリーダー達と同じ中学出身の演藤さやから新1年生が入部する。神峰は演藤の話や4人のこれまでの言動から、今はいない「5人目」の存在に辿り着く。その人物とは管崎舞の双子の兄・咲良であり、嗅覚の共感覚の持ち主だったが現在その能力は妹の舞に移っているという。共感覚に苦しむ舞を救おうと奮闘する星合に「私達を助けて」と懇願された神峰は、2人を含めたメンバーで幼稚園での依頼演奏に臨む。 舞う桜編②-川和(チューバパート)編/op.55 - 59 幼稚園での演奏を通して共感覚を受け入れた舞と心を通じ合わせた星合。その過程で、神峰は彼女らの言う「桜の音」が自身の求める「虹の音」と同じものではないかという仮説を立てる。一方で川和は舞達に「桜の音」と決別しなければ前へは進めないと説く。川和の仲介によって管崎咲良と対面し、金井淵の過去を聞かされた神峰は、川和が変化を恐れ本当の願いを押し殺し続けていることに気付く。その裏では、黒条が伊調剛健と鋭一に接触するという不穏な動きを見せる。 舞う桜編③-金井淵(トロンボーンパート)編/op.60 - 61 合奏練習で川和の「本当の望み」を引き出した神峰は、最後の一人である金井淵の心に挑むべく伊調剛健主催のスプリングコンサートに臨む。このコンサートは神峰にとって、「コンクールの指揮を振りたければパートリーダー全員に認められること」という谺の決めた課題の期限でもある。1曲目で仲間の音を繋ぎ金井淵の心の奥底に辿り着いた神峰は、続く2曲目、予定していたコンクール曲ではなく、咲良を含む金井淵ら5人と自身のピアノによる混成六重奏を申し出る。 コンクール編/op.62(op.+1)- finale(op.+28) スプリングコンサートで「桜の音」に辿り着き、パートリーダー全員から指揮者として認められた神峰。しかし一方で、黒条が実は竹風の生徒である事が判明するなど、穏やかでない空気も漂う。 8月、ついに吹奏楽コンクールが幕を開ける。鳴苑は県大会でソニ学を下し、天籟・竹風と共に西関東大会へと駒を進める。その矢先、伊調剛健入院の報が舞い込む。密かに病院に日参していた黒条は、巧みな話術で剛健を危篤に追い込んで鋭一の心を砕き、竹風乗っ取りを試みる。神峰は西関東大会で、他校との対決と同時進行で伊調の心の救出に挑む。黒条打倒と伊調救出に成功した神峰。復活した伊調率いる竹風とともに、鳴苑は悲願の全国大会へ進出する。迎えた全国大会は、竹風や下無以外にも伏兵達のひしめく混戦となっていく。各校との戦いの末に鳴苑メンバーは個々に成長を遂げ、神峰はついに「虹の音」を出すことに成功する。鳴苑は竹風・下無とともに全国大会金賞を成し遂げ、神峰は無二のライバルと仲間を得る。
出会い編/op.1 - 2
打樋(パーカッションパート)編/op.3 - 4
音羽・奏馬(トランペットパート)編/op.5 - 8
その矢先、音羽は突如吹奏楽部を退部してしまう。その原因が病院院長でもある彼の父親にあることを悟った神峰は、部活を続けられるよう父親の説得を申し出る。一方で、音羽だけではなく奏馬たちパートメンバー側にも問題があると見抜いた神峰は、説得の際に演奏する曲として、音羽と奏馬(と刻阪)が共に主役となる「トランペット吹きの休日」を選曲する。
天籟高校視察編/op.9 - 11
御器谷(ファゴット&バスクラリネットパート)・邑楽(クラリネットパート)編/op.12 - op.16
一方、顧問の谺は、天籟WFで神峰に指揮をさせるか部員たちへ問う投票を行うと宣言。神峰は投票のための演奏曲として、邑楽と御器谷が中学最後のコンクールで演奏した「吹奏楽のための木挽歌」を選ぶ。
吹越(フルートパート)編/op.17 - 20
ついに幕を開ける天籟WF。神峰は自身の指揮する「木挽歌」で、ピッコロソロに臨む吹越に、「過去の自分との決別」を提示する。
天籟ウィンドフェス編/op.21 - 26
終演後、神峰は以前から鋭一の危うさを懸念していた剛健に「鋭一の前に立ちはだかってほしい」と告げられる。一方、天籟のサックス奏者・弾徹也と出会った刻阪もまた、さらなる向上を決意。各校の部員たちも来年のコンクールでの健闘を誓い合い、さまざまな波紋を残して天籟WFは幕を閉じる。
木戸(オーボエパート)編/op.27 - 30
弦野(コントラバスパート)編/op.31 - 36
さらに神峰は、ある日の合奏練習でコントラバスパートリーダー・弦野政彦に演奏の主導権を奪われ、指揮者の必要性を問いかけられる。返答に窮した神峰はヴァイオリニストである刻阪の姉・楓に接触。神峰と刻阪も問題点を指摘し、指揮者と奏者がぶつかり合うことの重要さを知る。そんな折、弦野の掛け持ちするロックバンドの年末フェス出場メンバーがいないことを知った神峰は、バンドメンバーに自分と刻阪を入れて欲しいと申し出る。
アンサンブルコンテスト編/op.37 - 44
舞う桜編①-管崎(ホルンパート)・星合(ユーフォニウムパート)編/op.45 - 54
舞う桜編②-川和(チューバパート)編/op.55 - 59
舞う桜編③-金井淵(トロンボーンパート)編/op.60 - 61
コンクール編/op.62(op.+1)- finale(op.+28)
8月、ついに吹奏楽コンクールが幕を開ける。鳴苑は県大会でソニ学を下し、天籟・竹風と共に西関東大会へと駒を進める。その矢先、伊調剛健入院の報が舞い込む。密かに病院に日参していた黒条は、巧みな話術で剛健を危篤に追い込んで鋭一の心を砕き、竹風乗っ取りを試みる。神峰は西関東大会で、他校との対決と同時進行で伊調の心の救出に挑む。黒条打倒と伊調救出に成功した神峰。復活した伊調率いる竹風とともに、鳴苑は悲願の全国大会へ進出する。迎えた全国大会は、竹風や下無以外にも伏兵達のひしめく混戦となっていく。各校との戦いの末に鳴苑メンバーは個々に成長を遂げ、神峰はついに「虹の音」を出すことに成功する。鳴苑は竹風・下無とともに全国大会金賞を成し遂げ、神峰は無二のライバルと仲間を得る。
登場人物
声の項はVOMIC版のもの。
主要人物
神峰 翔太(かみね しょうた)
声 - 鈴木達央
本作の主人公。鳴苑高校73期生(物語開始時点で1年生)男子。10月16日生。好きな食べ物は甘いもの。一人称は「オレ」で、やや口調が荒い。左右の髪質が違うためセットが上手くいかない。
他人の心が「見える」という特異能力を持つが、心を動かすことはできず一方的に見せられるだけの能力に葛藤し、他人との接触を避けてきた。刻阪やモコとの出会いをきっかけに自身の能力に意味を見出し始め、指揮者志望として吹奏楽部に入部する。入部時点では音楽に関しては完全に素人だが、日々の努力とパートリーダーたちの協力により成長し続ける。
能力ゆえに他人の感情に敏感で、他者から強い心を向けられると必要以上に萎縮してしまうなどの緊張からメンタルは弱め。一方、吹奏楽部入部以降は「逃げずに立ち向かうこと」を基本理念とするひたむきな行動が目立つ。
心が「見える」だけで「読める」わけではないため、しばしば解釈を間違える。特に女心には鈍感。
入部時点では音楽や指揮に関して完全に素人だったが、御器谷から音楽知識を、邑楽からピアノを、谺から指揮の基礎を学ぶなどして徐々に成長。スプリングコンサートでは拙いながらも「春よ来い」をピアノで披露した。全パートリーダーに認められ、桜の音を超えた虹の音を完成させコンクール全国大会で伊調に勝利する。
新しい出会いを強要されていると解釈していたため桜が苦手だったが、鳴苑の仲間たちと出会い克服した。特技は射的で、縁日の射的屋を商売あがったりにするほどの実力者。
刻阪 響(ときさか ひびき)
声 - 阿部敦
もう一人の主人公。鳴苑高校73期生男子。サックス奏者で吹奏楽部に所属。4月12日生。好きな食べ物は辛いもの。一人称は「僕」で、口調は柔らかめ。
神峰の良き理解者。ヴァイオリニストの姉がいる。サックスの腕前は天才的で、演奏により人の心を「掴む」ことができる(ただし本人にその自覚は無い)。心を閉ざしてしまった幼馴染であるモコの心を救うことができないと悩んでいたが、神峰との連携によってモコの心を取り戻すことに成功。その際、世界で指揮する神峰とサックスを吹く自分の未来を幻視したこともあり、神峰に持って生まれた目の能力の意味を諭すとともに、指揮者として吹奏楽部に勧誘する。
穏やかな物腰とは裏腹に熱血漢な面も併せ持つ。女子からの人気は高いが恋愛に関しては疎いらしく、先輩である歌林からの好意にも全く気付いていない。特技は金魚すくい。
心の形はキーガード(サックスの部品)。ただしモコの事になると頑固親父に変化することがある。
天籟WFで弾と出会い、彼に対抗心を燃やすようになる。神峰に対しては無条件の信頼を見せるが、姉から「指揮者と心中するのが友情だと思っているのか」と指摘され、ぶつかり合うことでより良い音楽を目指すスタイルに目覚める。コンクール西関東大会で弾に勝利する。
メイン楽器:アルトサックス、サブ楽器:ソプラノサックス、テナーサックス、バリトンサックス。
鳴苑高校 (めいえんこうこう)
本作の主要な舞台となる群馬県の県立高校。物語開始時点(2014年秋)で71期生が3年生(部活動は引退)、72期生が2年生、73期生が1年生(主人公達の学年)。
吹奏楽部
本作の中心となるバンド。ここ数年、吹奏楽コンクール西関東大会で金賞を取りながらも全国大会には出場できないダメ金が続く、中堅の強豪。
刻阪や音羽を筆頭に優秀なバンドメンバーが多数在籍しているが、全国大会に対する意識の個人差故に誰も気付かない溝がメンバー間にできており、これが部全体において大きな問題となっている。
谺 夕子(こだま ゆうこ)
顧問であり指揮者。女性教師。9月15日生。好きな食べ物はパンケーキ。
刻阪が認めた神峰の才能を見極めるため、入部を許可するとともに、パートリーダー全員から指揮者として認められることを条件とした「テスト」を課す。サバサバした性格で、部員にも慕われる。楓によれば昔から「基礎を重視しすぎる」嫌いがある。結果、それぞれの個性が枠からはみ出た部員たちの能力も抑えられてしまう。常識人でもあるため、吹奏楽部員が抱えた様々な問題は、神峰が介入するまで放置されてしまう(下手に自分が手を加えて壊れるより時間が解決する方を選ぶ)。
最初は神峰の入部すら認めないが、天籟・竹風の合同練習で伊調が彼に注目したことから天籟WFで一曲振らせ、それ以降は本格的に彼を育成することを決意する。なお顧問としての個別指導は苛烈を極め、合宿でレッスンを受けた部員は一時的に老人かミイラと化していた。
心の形は多数の盾と槍によって守り固められた僧侶姿の本人。覚悟を決めた時、盾と槍は無くなり、祈りに変わる。
奏馬 俊平(そうま しゅんぺい)
部長。72期生男子。トランペットパート所属。12月8日生。好きな食べ物はそば。
人望が厚く気さくな性格で、当初から神峰をフォローする人物のひとり。
谺曰く「他の誰よりも、誠実と真心を持って人と接してきた」ことが理由で部長になる。神峰の入部を谺が断ろうとした際も口添えしたり、神峰が打樋を怒らせた際もフォローしたりする。
滅多に怒らないが、仲間のためには手を上げることもある。桜好きであり、花見に行くと性格が豹変する。幼稚園の先生を目指す。
パートリーダーである音羽の才能を前に、彼に勝てないという諦めの心を抱き、他のパートメンバーにもそれが伝染していた。神峰の言葉で自信を取り戻し、対等な心を持って音羽と演奏できるようになる。
心の形は表彰台の1位から2位に落ちるハートのモチーフ→青く輝く宝石を内包したハートのモチーフ。全国大会では和服を纏う本人の姿に変化し、律田定義に勝つ。
メイン楽器:トランペット、サブ楽器:フリューゲルホルン。
打樋 透(うてび とーる)
打楽器(パーカッション)パートリーダー。72期生男子。6月30日生。好きな食べ物は白米。
自他共に認める「打楽器バカ」で、パートメンバーからは「棟梁」の愛称で親しまれる。先代パートリーダーが目標で、彼のような細やかな対応を目指して奮闘するあまり、自分らしさを失ってしまっていた。神峰の対応でそのことに気付かされ、パートも一体感を取り戻す。以降は神峰を積極的にサポートするようになる。
心の形はねじり鉢巻きをした三面六臂のハートのモチーフ。西関東大会では雷神のような装束の本人の姿に変化し、叉山兄弟に勝利する。
目玉焼きはめんつゆ派。ケチャップをかけた歌林と口論になる。
メイン楽器:ティンパニ、ドラムセット、サブ楽器:パーカッション全般。
音羽 悟偉(おとわ さとい)
トランペットパートリーダー。72期生男子。11月6日生。好きな食べ物はガレット。
圧倒的な演奏技術を持ち、その技術力で他の部員を振り回すことから「暴君」の異名を持つ。何を考えているかわからない威圧感ゆえに恐れられトランペットパートから孤立していたが、その根底にあったのは「吹奏楽は大勢で演奏する方が面白い」「それなのに対等なセッションをしようとすると相手が潰れてしまう(あるいは、相手が最初から諦めて対等になろうとしてくれない)」ことによる孤独感だった。
大病院の院長である父親からの重圧で1度は退部するが、神峰の働きによって父親に部活復帰を認められ、トランペットパートにも受け入れられる。以降は神峰を積極的にサポートする(面白がって遊ぶ)人物となる。金銭力と行動力は部内一で、野球応援とアンサンブルコンテストのダブルブッキングをこなすために移動手段にヘリコプターを使うほど。特技はかたぬき。
心の形は圧倒的な存在感を放つ怪獣。しかしその核は無邪気な赤ん坊である。全国大会では龍のような姿に変化し、室節広大に勝利する。
メイン楽器:トランペット、サブ楽器:コルネット。
歌林 優菜(かりん ゆうな)
サックスパートリーダー。72期生女子。9月8日生。好きな食べ物は果物(特にグレープフルーツ)。
神峰が現れる前からコンクール全国金賞を目指す強い向上心の持ち主で、それゆえ他の部員たちとの意識のズレに悩む。突然現れた初心者の神峰を当初こそ快く思わないが、神峰の指揮者を目指す意志の強さや、神峰によって部員たちの心が一つにまとまっていく様を見て、徐々に神峰を指揮者として認めるようになる。神峰自身もよく分からないうちに攻略される。刻阪に好意を抱き、神峰が彼を連れ回すことで刻阪と会う時間(パート練習)が減ることに腹を立てる。刻坂への好意が分かりやすいので(神峰と刻阪以外の)部員のニヤけ顔をよく誘発する。
心の形は焼け焦げるほど燃え盛るハートのモチーフ。全国大会では天女のような装束の本人の姿に変化し、符波有愛に勝利する。
メイン楽器:アルトサックス。
御器谷 忍(みきたに しのぶ)
ファゴット・バスクラリネットパートリーダー。72期生男子。パートで唯一の上級生。11月28日生。邑楽とはイトコ同士で幼馴染。好きな食べ物は焼きまんじょう。
卑屈で自虐的な性格。音羽から「歩く音楽事典」と呼ばれるほどの音楽知識と、神峰が「アスリートのよう」と評するほどの肉体を併せ持つ努力家だが、周囲にはそれを隠す。過去のトラウマから自信を失い目立つことを恐れるが、向上心は失わず神峰の指揮により自分の全力を出し切ることで自信を取り戻す。全国大会では、神峰に言い寄って来た唄方 幸乃に女性と勘違いされた。力強い演奏で唄方 幸乃に勝利する。
心の形は薄っぺらなハートのモチーフで、しばしば自ら折れ曲がって小さくなる。周囲に機雷が設置されており、卑屈な精神が刺激されると起爆・誘爆する。
メイン楽器:バスクラリネット、サブ楽器:クラリネット。
邑楽 恵(おうら めぐみ)
クラリネットパートリーダー。72期生女子。3月17日生。御器谷とはイトコ同士で幼馴染。好きな食べ物は塩スイーツ。
勝気な性格だが、細かい気配りができ、音楽も音楽を好きな人も好きであるため、多くの女子部員たち(通称「邑楽派」)から慕われる、打樋曰く「陰のスーパー偶像(アイドル)」。
努力をしても報われない結果に諦観し、音楽が好きという心のまま向上心だけを切り捨て、報われない努力を続ける御器谷に苛立っていた。神峰の指揮で御器谷が昔の音を取り戻していくのを聴き、かつての向上心を思い出す。神峰の指揮権投票後は彼に対してツンデレ的な態度を取り、ピアノを教えたり弁当を作ったりしている。歌林同様わかりやすいため部員たちのニヤけ顔を引き出すこと多数。家庭的で、料理の献立も栄養バランスが良いため学食のおばちゃん達は邑楽派になっている。
心の形は部屋に閉じこもる小さな邑楽自身。部屋の崩壊とともに向上心を取り戻し、青空に果てしなく続く階段を登り始める。全国大会で神峰に寄り添い歩く事・階段をさらに登る事を決め、拍堂悠人に勝利する。
メイン楽器:クラリネット、サブ楽器:Ebクラリネット、ピアノ。
吹越 花澄(ふきこし かすみ)
木戸 雅(きど みやび)
オーボエパートリーダー。72期生女子。1月3日生。好きな食べ物はクラムチャウダー。
周囲の空気を読むことに長け、神峰曰く「多分どんな集団にも溶け込める」性格。どこにいても「要らない」と言われたことがないが、逆に「必要だ」と言われたこともないため、自分の存在意義に疑問を感じていた。居場所を取り繕うことに疲れて退部届を提出するが、神峰が仲間達から引き出した「木戸は吹奏楽部に絶対必要だ」という言葉によって部に留まる事を決意。俯瞰視点を生かしたコンサートマスターの素質を開花させる。
心の形は上空から見降ろしながら飛び続ける鳥。アンサンブルコンテスト以降、吹奏楽部を自らの羽を休める巣(居場所)に決める。
メイン楽器:オーボエ。
弦野 政彦(つるの まさひこ)
コントラバスパートリーダー。73期生男子。パートリーダーの中で唯一、神峰と同学年。8月13日生。好きな食べ物は焼肉。
吹奏楽に拘らず様々なジャンルの音楽を取り入れ自分の音楽を追求する向上心の持ち主。掛け持ちしているロックバンド「ボンジャン・カーヴズ」の活動で部を欠席することが多い。「ベース楽器があれば指揮者は要らない」という信条の持ち主。口癖は「真摯に」。楽器とセットで人の名前を覚え、顔は覚えない。
自身の演奏で他の奏者を導けると考え、神峰の指揮には賛成も反対もしていなかった。神峰が刻阪とぶつかりながら音楽を磨き上げていくさまや、常識に捉われない神峰の指揮を目の当たりにし、「神峰のような指揮者なら」と、その必要性を認める。全国大会では詩村京也に対し、「(自分が刀なら)指揮者は砥石」「奏者一人では勝てない」と伝え、演藤と共に勝利する。
心の形は威圧感のある日本刀、あるいはそれを鍛える刀匠。葛藤時には「演奏者としての弦野」「指揮者としての弦野」を表わす弦野自身の姿をとることもある。
メイン楽器:コントラバス、サブ楽器:エレキベース、フレットレスベース、アップライトベース。
金井淵 涼(かないぶち りょう)
トロンボーンパートリーダー。72期生男子。7月26日生。好きな食べ物は天ぷら。
反神峰派の筆頭とも言うべき人物。生真面目な性格。神峰の指揮に「何も感じなかった」と言い放ち、神峰の天籟WFの指揮権を巡る投票では反対票を入れ、WF後も彼には冷淡に接していた。
管崎兄妹・星合・川和とは同じ中学の出身。幼少時はピアニストだったが、同じくピアニストの管崎咲良にあらゆる場面で負け続け、彼の勧めで中学からトロンボーンを始める。当初は反発していたものの徐々にトロンボーンの才能が開花し、咲良とも親友のような関係を築いていたが、自身の過失で起きた事故により咲良が両腕麻痺の後遺症を負ってしまう。以来、咲良に会いに行くこともなく、「咲良の代わり」として当時5人で奏でていた「桜の音」を完成させることだけを目標に生きてきた。しかしそれは咲良と金井淵自身の両方を蔑ろにする行為であると神峰に指摘され覚醒。「桜の音」を実現し、咲良とも和解する。以降は卓越した音感に基づく「正解の音」を武器に神峰に協力するようになる。
心の形は地の底まで続く立坑とエレベーター。咲良のことがよぎると停電する。立抗内部にはピアニスト時代の複雑な心境や、咲良の事故に対する罪の意識などがさまざまな形をとって存在し、最深部のカプセルには「咲良がいてくれたら」という思いの具現=ピアニスト姿の咲良が封じられている。
神峰の仲間になってからは、仮面を付けタキシードを着た金井淵自身の姿で表わされる。コンクール県大会で曲山・クリストファー・晴海に勝利する。
メイン楽器:テナーバストロンボーン、テナートロンボーン。サブ楽器:バストローンボーン。
星合 美子(ほしあい よしこ)
ユーフォニウムパートリーダー。72期生女子。1月26日生。好きな食べ物はヨーグルト。ショートヘアの少女。
やや気が強い性格。毅然とした発言が多い。幼馴染の管崎舞が共感覚に苦しむ心を痛め、彼女の助けようにも心を開いてくれないことに無力感を覚えるが、優しさゆえに強く踏み込むことはできずにいた。5人が離れていくのを感じており涙ながらに神峰に助けを求める。神峰の指揮によって「退かずに寄り添い続ける勇気」を出し、舞と心を通じ合わせた。
心の形は、ぼろ布を身に纏った星合自身。閉ざされた扉をノックし続けていたが、勇気を出すことにより扉をこじ開けて舞と心を通わせる。全国大会で譜久原真由子に勝つ。
メイン楽器:ユーフォニウム、サブ楽器:バリトンホーン。
管崎 舞(かんざき まい)
ホルンパートリーダー。72期生女子。10月2日生。好きな食べ物はベイクドチーズケーキ。
少々気弱で引っ込み思案な性格。双子の兄・咲良から受け継いだ「音を聴くと匂いを感じる」嗅覚の共感覚の持ち主。制御できない共感覚に苦みつつ、星合達を想う優しさゆえに一人で痛みを背負い込もうとしていた。神峰の指揮によって「助けを求める勇気」を出し、星合と心を通じ合わせる。
心の形は鎖(=共感覚)によって全身が桜の幹に縛り付けられた舞自身。共感覚を受け入れてからは桜から解放されて妖精のような姿になり、葉桜となった樹に寄り添う。全国大会で聴川和樹に勝つ。
メイン楽器:フルダブルホルン、サブ楽器:シングルホルン、セミダブルホルン。
川和 壬獅郎(かわわ じんしろう)
チューバパートリーダー。72期生男子。11月18日生。好きな食べ物はチャーハン。
冷静沈着かつ現実主義を思わせる言動が多く、星合や舞には桜の音を諦めて現実を見るよう諭す。変化を恐れ現状維持を望むあまり、心に湧き上がる希望を押し殺し続けていたが、神峰によって本当の望み(5人が笑いながら演奏できる未来)を露わにする。その後、神峰の要請を受け咲良をスプリングコンサートに連れてくるなど協力に転じる。
心の形はチェーンソー、あるいはそれを持った川和自身。次々に芽生える樹(=希望)を斬り倒し続けていたが、神峰の指揮によって樹に彫刻することで「本当の望み」を示した。
メイン楽器:チューバ、サブ楽器:スーザフォン。
伊勢崎(いせざき)、九能(くのう)
久住 智香(くすみ ともか)
演藤 さやか(えんどう さやか)
コントラバスパート所属。74期生女子。3月27日生。好きな食べ物はくるみパン。
金井淵ら金管パートリーダー達の中学時代の共通の後輩。神峰達の1学年下であり、物語中盤で鳴苑高校に入学してくる。アンサンブルコンテスト中学の部で全国大会に出場したほどの実力の持ち主。入部当初は初心者の神峰が指揮をすることに反発しつつもひとまず負けを認め、パートリーダーである弦野と「神峰叩っ斬る同盟」を結成した。ただし演奏面では弦野と方針が正反対であるためしばしば衝突する。
中学時代に金井淵ら5人の「春よ、来い」の演奏を聴いて感激しており、神峰にそれを伝える。スプリングコンサートにおいて神峰らが同曲で「桜の音」を成し遂げた時には、「帰って来た、私のあこがれ」と泣いた。
コンクール全国大会で弦野と共に詩村京也に勝利する。
心の形は一般的なハートのモチーフだが、全国大会では弦野同様に刀を携えた本人の姿で登場した。
メイン楽器:コントラバス。
野球部
その他
滝沢 桃子 (たきざわ ももこ)
声 - 内山夕実
刻阪の幼馴染の少女。ニックネームは「モコ」。5月13日生。好きな食べ物はパスタ。
ボーカリストを目指して刻阪とともに練習に励むが、突然声が出なくなり心を閉ざす。「治りたい」という気持ちをなくしてしまったため、治療の目途が立たないまま音羽ヶ丘病院に入院していた。神峰の指揮する刻阪の演奏を聞いて「歌いたい」という気持ちと声を取り戻し、年末のロックフェスでボーカルとして復帰を果たす。4月から鳴苑高校74期生として入学(吹奏楽部員ではない)。
心の形は人魚の姿をしたセイレーン。当初は、暗い海の底に沈む氷漬けの船の残骸の中に閉じ込められていた。
竹風高校(たけかぜこうこう)
群馬県の高崎市立高校。創部4年目の新興勢力。創部2年目まではコンクール県大会銅賞に終わっていたが、鋭一が指揮した2013年度は県大会金賞、2014年度は西関東大会進出と躍進した。部員数は30人程度。天籟WF出演校。
伊調 鋭一(いちょう えいいち)
学生指揮者。神峰と同学年の男子。2月11日生。好きな食べ物は魚料理。
絶対音感と「色聴」の共感覚を持ち、竹風高校を県大会金賞に導いた。世界的指揮者である伊調剛健の孫であり、幼少から音楽を叩き込まれたサラブレッドとして名高い。人の声をメロディにして伴奏を付ける癖がある。
自分が「視える」以上の具体的な視覚イメージを口にした神峰を「自分よりも鋭敏な共感覚の持ち主」と解釈し、ライバル視する。神峰に勝つためだけに下無高校吹奏楽部のアドバイザーを引き受けた。
心の形はピアノの鍵盤に囲まれた音符模様のハートのモチーフ。神峰曰く「音楽無しでは成り立たない危うさ」があり、天籟WF後には半ば黒く染まる・奇妙なハコの中に心を閉ざすなどの描写がされる。西関東大会直前に黒条によって心を「食われ」、音楽への興味を失いかけるが、神峰の指揮による鳴苑の演奏により再起する。
メイン楽器:指揮棒、サブ楽器:ピアノ。
律田 定義(りった さだよし)
譜久原 真由子(ふくはら まゆこ)
黒条 善人(くろじょう よしひと)
神峰の1学年下の男子。神峰と同じく心が「見」える少年。他人の心を黒く染めることを生きがいとしている。当初は鳴苑高校74期生として登場し、吹奏楽部にも入部するが、後に竹風高校の生徒であることが判明。竹風に移り指揮者(伊調)補佐の座に就く。好きな食べ物はいちご。
神峰とは逆に、他人の心を積極的に壊そうとする。幼少期は金井淵涼と同じピアノ教室におり、金井淵と管崎咲良が接触すればがいつか拗れると予測した上で二人が信頼関係を持つように仕向けていた。神峰と出会い、「彼と潰しあうために音楽に出会った」とピアノを弾く意味を見い出す。
伊調の心を潰すことで竹風乗っ取りを試みるが、神峰に音楽で負けた後、伊調の再起により神峰に畏怖を覚えると共に、自らの言葉に心を「食われ」物語から姿を消した。
心の形は光すら飲み込むブラックホール。
天籟高校(てんらいこうこう)
群馬県の私立高校。吹奏楽コンクールで3年連続全国大会金賞を達成している絶対王者。「どこまでも観客のため」をモットーとして演奏を行う。天籟WF主催校。
重松 宏(しげまつ ひろし)
弾 徹也(だん てつや)
サックス担当。神峰と同学年の男子。5月1日生。好きな食べ物は鳥めし。
高校に入って吹奏楽を始めたという経験の浅さながら、その実力は刻阪に「天籟の核」と評される。神峰達が天籟を訪れた時はボストンに留学しており不在。訛りの強い群馬弁を話す。中学時代は陸上部に所属していたが足を故障したため引退し、高校入学時に幼馴染の重松に誘われて天籟吹奏楽部に入部した。「音を聴くと風を感じる」触覚の共感覚の持ち主。同じく吹奏楽経験の浅い神峰にシンパシーを感じ、刻阪より自分と組んだ方が良いと言い放って刻阪の闘争心に火をつける。
心の形は、足にバネを装備したランナー。失敗や挫折をバネに変え、大きく飛躍できる強靭な精神を表している。
メイン楽器:テナーサックス。
ソニトゥス学院高校( - がくいんこうこう)
群馬県の私立高校。通称ソニ学。吹奏楽部のコンクール成績は前年度が西関東大会銀賞、前々年度は全国大会出場。「結果がすべて」の理念に基づき、賞レースにしか参加せず、定期演奏会では入場料を貰って反響という結果を出す。天籟WF出演校。
吹越 聖月(ふきこし みづき)
曲山・クリストファー・晴海(きょくやま・クリストファー・はるみ、Harumi Christopher Kyokuyama)
トロンボーン担当。神峰より1学年上の男子。日本人とアメリカ人のハーフ。8月21日生。好きな食べ物はぬれせんべい。
通称キョクリス(先輩)。他校生にもその呼び名で浸透しており、日本の言葉の略し方がダサいと嘆く。トロンボーンの実力は「金井淵先輩並みに上手い」と評され、ソニ学の「核」となる。音高を自由に設定できるトロンボーンにおいてただ一点の「正解の音」を叩き出す金井淵に対し、「音と音の間にも無限の点がある」ことがトロンボーンの強みであると考えている。神峰にトロンボーンの良さを説いたり、彼がロックバンドのメンバーを募った際に参加したりと、神峰との仲は学園の枠を超えて良好。
メイン楽器:テナーバストロンボーン、サブ楽器:テナートロンボーン、バストロンボーン。
心の形は戦隊もののヒーローのような姿の本人。
群馬県外の高校の人物
叉山 一誠(さやま いっせい)
叉山 捷(さやま さとし)
室節 広大(むろふし こうだい)
符波 有愛(ふなみ ありあ)
拍堂 悠人(ひょうどう はると)
吹奏楽コンクール東京代表、黄鐘(おうしき)高等学校吹奏楽部。クラリネット担当。7月11日生。邑楽の心を自分の演奏で射止めようとする。好きな食べ物は中華料理。「(自分の辞書に)○○の文字は無い」が口癖だが、邑楽に「それって自分には何もないってことでしょ」と看破される。
メイン楽器:B♭クラリネット。
唄方 幸乃(うたかた ゆきの)
その他の人物
音羽(おとわ)
伊調 剛健(いちょう ごうけん)
伊調鋭一の祖父。世界的指揮者。通称「世界のイチョウ」。7月9日生。好きな食べ物はフライドチキン。
普段は気まぐれかつ飲んだくれ、指揮も我儘千万だがそれでも最高の音を引き出せる。また、期待している人には厳しく、普段からは想像できないほどキツいダメ出しを行う。鋭一曰く「実力を見込んだ者には厳しく当たる」。神峰に期待を寄せており、天籟ウィンドフェスで見せた彼の指揮に「グッドじゃない。最高(ファンタスティック)!」と称賛を送った。鋭一の危うさに気付いており、神峰に鋭一の前に立ちはだかってくれと頼む。黒条によって一時危篤になるが、後に意識を回復する。
心の形は森羅万象。全体像が掴めない。「一見自分勝手にも思えるが確固たる世界を持つ指揮」を表している。
メイン楽器:指揮棒。
刻阪 楓(ときさか かえで)
管崎 咲良(かんざき さくら)
管崎舞の双子の兄。ピアニスト。10月2日生。好きな食べ物は和梨。
幼い頃から各所コンテストを総舐めにしていた天才ピアニスト。伸び悩む金井淵に「お前の音は聴いててしんどい」「ピアノが向いてない」と言ってトロンボーンを勧めた。当時は嗅覚の共感覚を持っており、金井淵・星合・川和・舞と5人で最高の音楽=「桜の匂いのする音」を目指していたが、金井淵との些細な言い争いがきっかけで交通事故に遭ってしまう。それにより共感覚と両腕の感覚を失い、諦めと絶望で倒れかけるも、後に神峰の指揮によって「演奏者としての自分」を蘇らせる。スプリングコンサートには学外者ながら歌で参加。3年間動かなかった片腕が動き、5人の絆を取り戻す。その後は音羽ヶ丘病院のリハビリセンターでリハビリ中。
心の形は砂遊びをする得体の知れない何か。砂山の下には演奏者としての咲良自身が殺され埋められていたが、神峰の指揮で復活する。
メイン楽器:ピアノ、サブ楽器:エレクトーン、チェンバロ。
西口 実理(にしぐち みり)
用語
ダメ金(ダメきん)
三出制度(さんしゅつせいど)
共感覚(シナスタジア)
天籟ウィンドフェス(てんらいウィンドフェス、TENRAI WIND FESTIVAL)
今回は鳴苑高校、竹風高校、ソニトゥス学院高校が招待された。表向きでは懇親を兼ねた切磋琢磨の場だが、その後の観客投票によって実力差がはっきり出るため、地区コンクールの前哨戦とされる。第1部はその年のコンクールで演奏した自由曲をやるのが通例。
音羽ヶ丘病院(おとわがおかびょういん)
吹奏楽ジャーナル
作中の吹奏楽部員には広く浸透している。刻阪や音羽が記事に取り上げられたことがあり、音羽は表紙を2度飾った。
虹
曲目一覧
作品中に登場する曲目の一覧。ここでは作中で演奏シーンの描写があるもののみ挙げる。楽器の表記は一般的な略称に準拠。
神峰が指揮する曲 |
曲名 | 作者 | 演奏回 (op.) |
編成等 |
---|---|---|---|
青春の輝き | カーペンターズ | 2 | 文化祭イベント「未成年の主張」で、刻阪が神峰のために演奏 |
トランペット吹きの休日 | ルロイ・アンダーソン | 7 - 8 | 音羽の部活復帰を賭け、刻阪とTpパート、打樋が演奏 1st Tp:音羽、2nd Tp:奏馬、S.Sax(3rd Tpの代替):刻阪、Xylo:打樋 |
吹奏楽のための木挽歌 | 小山清茂 | 14 - 15 20 |
天籟WFの指揮権を賭けた演奏で神峰が選曲し、天籟WF第2部でも鳴苑が演奏する 編成はPicc・Fl:吹越、Timp:打樋、B.Cl:御器谷など 神峰の申し出で、冒頭のT.Sax独奏は刻阪が担当 |
くるみ割り人形より「葦笛の踊り」 | P・チャイコフスキー | 19 | 天籟WF第2部でソニ学が演奏 フルートが活躍する曲で、聖月が姉と勝負するため顧問に無理を言って入れる |
カルミナ・ブラーナ | K・オルフ | 20 | 天籟WF第2部で竹風高校が演奏。鋭一の指揮により、奏者数30人とは思えない荘厳さを誇る |
エル・クンバンチェロ | R・エルナンデス | 21 22 - 24 |
天籟WF第3部で竹風・鳴苑が演奏 神峰と鋭一の直接的な指揮対決となる |
ディズニーメドレー | 24 | 天籟WF第3部で天籟が演奏。圧倒的な実力を見せつける | |
ハリウッド万歳 | リチャード・A・ホワイティング (英語版) |
26 | 天籟WF打ち上げパーティーで合同即興バンドが演奏 A.Sax:刻阪、T.Sax:弾、Tp:音羽、Fl:聖月、Tb:曲山、Tub:律田、他 指揮は谺の予定だったが、参加者たちの意向により神峰が担当する |
森のスケッチ | マクダウェル | 29 - 30 | アンサンブルコンテスト県大会で鳴苑木管六重奏が演奏 Fl:吹越、Ob:木戸、Cl:邑楽、A.Sax:歌林、T.Sax:刻阪、B.Cl:御器谷 |
チャルダッシュ | ヴィットーリオ・モンティ | 33 | 刻阪楓が神峰と響へのレッスンで使用 |
Diamond In Your Heart | 東京スカパラダイスオーケストラ | 34 - 36 | 年末ロックフェスで神峰達が演奏 Fl:吹越、T.Sax:刻阪、Tp:音羽、Tb:キョクリス、Cl&Key:邑楽、Vo&Gt:モコ、Bs:弦野、Dr:打樋 |
Sing, Sing, Sing | ルイ・プリマ | ||
Some Skunk Funk | ランディ・ブレッカー | ||
風紋 | 保科洋 | ||
アイデンティティ | サカナクション | 39 | 鳴苑吹奏楽部がセンバツ出場した同校野球部のために演奏 |
RPG | SEKAI NO OWARI | ||
プレリュード、バラードと祝典 | 和田直也 | 40 | アンサンブルコンテストで鳴苑金管六重奏が演奏 1st Tp:音羽、2nd Tp:奏馬、Hr:管崎、Tb:金井淵、Euph:星合、Tub:川和 |
イーナの歌 | フィリップ・スパーク | 50 | 星合が部活の休憩中に舞に向け演奏 |
勇気のトビラ | 高橋宏樹 | 59 | 合奏練習で神峰が谺に交代を申し出て指揮 |
最果ての城のゼビア | 中西英介 | 60 | スプリングコンサートで鳴苑高校が1曲目として演奏 |
春よ、来い | 松任谷由実 | 61 | スプリングコンサートで鳴苑が2曲目として演奏 Hr:管崎舞、Tb:金井淵、Euph:星合、Tub:川和、Vo:管崎咲良、Pf:神峰 |
コンサートマーチ「青葉の街で」 | 小林武夫 | 63 - 64 | 吹奏楽コンクールでソニ学が課題曲として演奏 |
きみは林檎の樹を植える | 谷地村博人 | 63 - 64 | 吹奏楽コンクールで鳴苑が課題曲として演奏 |
吹奏楽と打楽器群のための神話 〜鳥之石楠船神〜 |
片岡寛晶 | 68 | 吹奏楽コンクールで埼玉誉が自由曲として演奏 |
華麗なる舞曲 | クロード・トーマス・スミス | 68 - 74 | 吹奏楽コンクールで鳴苑が自由曲として演奏 |
翠風の光 | 長生淳 | 69 - 71 | 吹奏楽コンクールで天籟が自由曲として演奏 |
海の男達の歌(船乗りと海の歌) | ロバート・W・スミス | 75 | 吹奏楽コンクールで竹風が自由曲として演奏 |
ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲 | クロード・トーマス・スミス | 77 - 78 | 吹奏楽コンクールで下無が自由曲として演奏 |
交響詩《海》より | クロード・ドビュッシー | 81 | 吹奏楽コンクールで双調が自由曲として演奏 |
ラッキードラゴン〜 第五福竜丸の記憶 |
福島弘和 | 82 | 吹奏楽コンクールで黄鐘が自由曲として演奏 |
パイレーツオブカリビアンより | - | 83 | 吹奏楽コンクールで呂旋が自由曲として演奏 |
マゼランの未知なる大陸への挑戦 | 樽屋雅徳 | 84 | 吹奏楽コンクールで断金が自由曲として演奏 |
読切版
本作のプロトタイプ。『少年ジャンプNEXT!』2012 AUTUMN掲載。単行本8巻収録。連載版OP.1とほぼ同じストーリー展開だが、細かい設定が異なる。本節では相違点のみ記載する。
- タイトルロゴが若干変更されている。
- 季節設定は春で、神峰と刻阪が初めて出会う場所は屋上ではなく月例演奏会。
- モコが登場せず、救い出す対象は刻阪の姉。その心の形は「錠前で固く閉ざされた箱」。
- 刻阪に勧誘された神峰が吹奏楽部への入部を快諾する場面で終わる。
担当編集者
企画展開
鳴苑ジャーナル
2013年33号より不定期に本作の解説や四コマなどが掲載された。2014年20号のリニューアルで週刊掲載に移行し、作曲家・宮浦清による楽器解説とプレゼント企画が行われた。2014年31号に本作が移籍したため終了した。
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メディア展開
ヴォイスコミック
ヴォイスコミック「VOMIC」(集英社)が2014年2月にジャンプ専門情報番組『サキよみ ジャンBANG!』(テレビ東京)にて放送、同年3月からVOMIC公式サイトで配信された。
小説版
SOUL CATCHER(S) ─Interlude─ 「鳴苑高校吹奏楽部冬合宿報告書」
SOUL CATCHER(S) ─Interlude─ act.2「過ぎゆきて春」
SOUL CATCHER(S) ─Interlude─ act.3「有終のカルナバル」
書誌情報
全て集英社発行。
漫画本編
- 神海英雄 『SOUL CATCHER(S)』 〈ジャンプ・コミックス〉、全11巻
- 「青春の輝き」2013年9月7日第1刷発行(9月2日発売)、ISBN 978-4-08-870824-9
- 「吹奏楽器が歌う音調」2013年11月6日第1刷発行(11月1日発売)、ISBN 978-4-08-870856-0
- 「You Are Not Alone」2014年2月9日第1刷発行(2月4日発売)、ISBN 978-4-08-880008-0
- 「世界変革の時」2014年4月9日第1刷発行(4月4日発売)、ISBN 978-4-08-880045-5
- 「闘う者達」2014年6月9日第1刷発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-880073-8
- 「星の舞う庭」2014年8月9日第1刷発行(8月4日発売)、ISBN 978-4-08-880154-4
- 「Still We Go」2014年11月9日第1刷発行(11月4日発売)、ISBN 978-4-08-880213-8
- 「美しき人間の日々」2015年6月9日第1刷発行(6月4日発売)、ISBN 978-4-08-880276-3
- 「レジリエンス」2015年10月8日第1刷発行(10月3日発売)、ISBN 978-4-08-880529-0
- 「第三惑星交響曲」2016年1月9日第1刷発行(1月4日発売)、ISBN 978-4-08-880584-9
- 「V」2016年3月9日第1刷発行(3月4日発売)、ISBN 978-4-08-880699-0
小説
- 成上真 著『SOUL CATCHER(S)-Interlude-』 〈ジャンプ ジェイ ブックス〉