Vシリーズ (小説)
以下はWikipediaより引用
要約
『Vシリーズ』(V series)は、講談社より発行されている森博嗣による推理小説のシリーズ。
概要
著者の手がけた推理小説シリーズの2番目にあたる。シリーズ名の由来は、シリーズの探偵役である「瀬在丸紅子(Cezaimaru Venico)」ファーストネームのイニシャル、Vに由来する。作者の森博嗣は本シリーズのコンセプトとして、シンプル、シャープ、スパイシィのSSSを掲げている。
本シリーズは登場人物の1人保呂草潤平が、友人である瀬在丸紅子、小鳥遊練無、香具山紫子らと遭遇した事件を回想として記述するスタイルをとっており(但し三人称で記述されている)、各作品冒頭でその旨が読者に対して明示される。警察関係者をはじめとする登場人物が事件について悩んでいる最中、保呂草は真相を先んじて知っている、推定しているが黙している場合が多い。探偵役である紅子が、その頭脳で完璧に事件を解決して皆に解説するという流れである。
登場人物の心理の揺れや、関係性の変化が目立つ装飾が多くなされているが、その分、小説としての構造やトリックはオーソドックスなものに意識的になされている。また設定の斬新さ・特異性が特徴の1つとされるS&Mシリーズと対照的に、安普請のアパートで生活する登場人物、資産家の大学教授、避暑地や豪華客船で起こる事件、などレトロな印象を与える設定が散見される。
2015年2月、『瀬在丸紅子の事件簿〜黒猫の三角〜』のタイトルでフジテレビ系列の『赤と黒のゲキジョー』枠でテレビドラマ化された。
シリーズ作品
シリーズは以下の10作品から構成されている。作品同士に関連の無いS&Mシリーズとは違い、本シリーズでは作品と作品に繋がりが見られ、単独でも物語は成立しているが順番に読み進めたほうが物語の流れをより理解できる。Gシリーズではこの形式が全般に反映されている。
黒猫の三角 Delta in the Darkness
皇なつきにより漫画化されている。
人形式モナリザ Shape of Things Human
月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks
夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show
魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge
恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits
六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists
捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest
朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away
赤緑黒白 Red Green Black and White
この10作品以外にも、瀬在丸紅子と保呂草潤平は『四季シリーズ』や『Gシリーズ』などにも登場しており、『Xシリーズ』との関係も見られる他、また小鳥遊練無と香具山紫子は短編「気さくなお人形、19歳」「ぶるぶる人形にうってつけの夜」にも登場している。また関連短編に「ラジオの似合う夜 A Radiogenic Night」、「刀之津診療所の怪 Mysteries of Katanotsu Clinic」など。
主要登場人物
瀬在丸紅子(せざいまる べにこ)
元旧家の令嬢にして自称科学者。本シリーズの探偵役。かつては旧家の令嬢であり、桜鳴六画邸と呼ばれる屋敷に住んでいたが、瀬在丸家が落ちぶれてしまったことで、現在は市が管理する桜鳴六画邸の敷地内にある無言亭と呼ばれる小屋で、一人息子と執事と共に、細々と暮らしている。林とは婚姻関係にあり、10代のときに産んだ彼との息子が「へっくん」である。彼に対しては未だに思うところがあり、そのことで祖父江と衝突して攻撃的な応酬を行うこともある。祖父江に林のためなら息子を殺せると啖呵を切るが、息子が行方不明になった時にはかつてないほど動揺しており、息子のことを大切に思う母親でもある。探偵を自称する保呂草の正体を知っているが、あまり頓着しておらず、人前で仄めかしてからかう程度に済ませている。
令嬢らしく気品のあるしゃべり方をするが、時に傲岸不遜な口調になったり、一日もしくは一時で性格や機嫌が全く変わってしまうことも多々ある。保呂草曰く、彼女の思考は常に変化しており複雑なので一寸先も読むことができないらしい。その思考能力の一端として、S&Mシリーズにおける犀川創平と同様に「指向性が卓越している」と評されている。論理的思考に裏打ちされた推理は大胆にして緻密な反面、世間知らずなお嬢様的資質が災いしてしばしば危機に陥ることもある。自分が殺されたくないからという理由により、どんな考えであれ自分は殺人を肯定しないと断言しており、殺人によって得られるものに価値を見いださない。
名前のアルファベット表記は「Sezaimaru Beniko」ではなく、「Cezaimaru Venico」であると主張し、特に「BではなくV」を強調する。
保呂草潤平(ほろくさ じゅんぺい)
無言亭の近所に位置するアパート、「阿漕荘」の住人。私立探偵と便利屋を兼業している。また、美術品に関しても精通しており、鑑定士を肩書きにすることもある。
他人の前では飄々とした態度をとるが、非常に頭のきれる冷静沈着な人物でもある。また、便利屋の仕事では盗品の売買や美術品の盗み、詐欺など犯罪行為も数多く行っている。それゆえに、錠前破りや格闘・護身術のエキスパートである。美に対しては独特の価値観を持っており、単なる所有欲や売買以外の目的で動くことも多い。長く外国を回っていたため、海外に知り合いが多く、また人脈も多い。
紅子に対して盲目的なところがあり、プロポーズめいたことを口にしたことも。また、彼女のためにこのシリーズを書いたことを告白している。
小鳥遊練無(たかなし ねりな)
無言亭の近所に位置するアパート、「阿漕荘」の住人。国立N大学医学部生。女性的な性格の持ち主で、男性でありながら女装癖があり、スカートが広がるファンシーな服装を好む。その一方で少林寺拳法の心得もあり、その実力はかなりのもの。
顔立ちがかわいらしく、比較的小柄で声も高い上に女装が似合いすぎているため、初対面の者には女装しているということが気づかれず、テレビ局などでは度々スカウトされるほど。本人曰く「スカートを履いていると戦闘の際、足の運びが分かりづらくなり、対戦相手に対して有利になる」とのこと。紫子とは、互いに異性を感じていないかのようにつきあっており、「れんちゃん」と呼ばれている。自身の名前にちなんでのことかは不明だが、少々ふざけた発言の際、語尾に「 - なりね(なり)」とつけることがある。
香具山紫子(かぐやま むらさきこ)
根来機千瑛(ねごろ きちえい)
へっくん
林(はやし)
祖父江七夏(そぶえ ななか)
立松(たてまつ)
各務亜樹良(かがみ あきら)
書籍情報
- 講談社ノベルス 1999年5月発行 ISBN 4-06-182070-2
- 講談社文庫 2002年7月発行 ISBN 4-06-273480-X(解説:皇なつき)
- 講談社ノベルス 1999年9月発行 ISBN 4-06-182092-3
- 講談社文庫 2002年11月発行 ISBN 4-06-273585-7(解説:井上章一)
- 講談社ノベルス 2000年1月発行 ISBN 4-06-182109-1
- 講談社文庫 2003年3月発行 ISBN 4-06-273698-5(解説:和泉桂)
- 講談社ノベルス 2000年5月発行 ISBN 4-06-182127-X
- 講談社文庫 2003年7月発行 ISBN 4-06-273806-6(解説:栗原美和子)
- 講談社ノベルス 2000年9月発行 ISBN 4-06-182145-8
- 講談社文庫 2003年11月発行 ISBN 4-06-273894-5(解説:新谷かおる)
- 講談社ノベルス 2001年5月発行 ISBN 4-06-182183-0
- 講談社文庫 2004年7月発行 ISBN 4-06-274822-3(解説:星野知子)
- 講談社ノベルス 2001年9月発行 ISBN 4-06-182204-7
- 講談社文庫 2004年11月発行 ISBN 4-06-274923-8(解説:立川志らく)
- 講談社ノベルス 2002年1月発行 ISBN 4-06-182231-4
- 講談社文庫 2005年3月発行 ISBN 4-06-275033-3(解説:くりた陸)
- 講談社ノベルス 2002年5月発行 ISBN 4-06-182252-7
- 講談社文庫 2005年7月発行 ISBN 4-06-275139-9(解説:佐倉統)
- 講談社ノベルス 2002年9月発行 ISBN 4-06-182271-3
- 講談社文庫 2005年11月発行 ISBN 4-06-275257-3(解説:菅聡子)
漫画
シリーズ一作目である『黒猫の三角』は、皇名月の作画で2002年に漫画化がされている。ストーリーは原作に忠実なものになっており、原作者である森博嗣もその完成度を高く評価している。あすかコミックスDXから発売されていた物は絶版となり、2007年に幻冬舎よりバーズコミックススペシャルとして復刊がされた。また、2012年には文庫化されている。また皇は文庫判の解説と台湾版の表紙も担当している。
- 黒猫の三角(角川書店、あすかコミックスDX、2002年8月、ISBN 4-04-853530-7)
- 黒猫の三角 Delta in the Darkness(幻冬舎、バーズコミックススペシャル、2007年2月、ISBN 978-4-344-80973-4)
- 黒猫の三角 Delta in the Darkness(幻冬舎、幻冬舎コミックス漫画文庫、2012年1月、ISBN 978-4-344-82423-2)
- 黒猫の三角 Delta in the Darkness(幻冬舎、バーズコミックススペシャル、2007年2月、ISBN 978-4-344-80973-4)
- 黒猫の三角 Delta in the Darkness(幻冬舎、幻冬舎コミックス漫画文庫、2012年1月、ISBN 978-4-344-82423-2)
テレビドラマ
2015年2月6日、『瀬在丸紅子の事件簿〜黒猫の三角〜』のタイトルでフジテレビ系列の『赤と黒のゲキジョー』枠でテレビドラマ化された。瀬在丸紅子役を演じるのは檀れい。
キャスト
- 瀬在丸紅子 - 檀れい
- 根来機千瑛 - 長塚京三
- 林刑事 - 神保悟志
- 保呂草潤平 - 萩原聖人
- 小鳥遊練無 - 千葉雄大
- 香具山紫子 - 相楽樹
- 小田原静江 - 川上麻衣子
- へっくん - 田代輝
- 東尾繁 - 吉家章人
- 久野慶子 - 松田並子
- 井口由美 - 鈴木華絵
- 家政婦・酒本 - 笠木泉
- 小田原長治 - 梅野泰靖
- 小田原政哉 - 佐戸井けん太
- 浅野美雪 - 東野佑美
- 鷲田詩音、川島雄作、真下有紀、山本修、吉岡奈都美 ほか
スタッフ
- 脚本 - 黒岩勉
- 監督 - 星野和成
- 取材協力 - 大島まり(東京大学大学院情報学環・教授)、日本科学技術振興財団・科学技術館
- アクションコーディネーター - 大道寺俊典
- ボディスタント - 井上雄稀
- ガンエフェクト - 早川光
- 技術協力 - バスク、ジースタッフ
- 照明協力 - 照太郎
- 美術協力 - テレビ朝日クリエイト
- 音響効果 - スポット
- 編集・MA - ブル
- 編成企画 - 羽鳥健一
- プロデュース - 遠田孝一、八巻薫
- 製作著作 - MMJ
フジテレビ系列 赤と黒のゲキジョー | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
おばさん弁護士 町田珠子
(2015年1月30日) |
瀬在丸紅子の事件簿
〜黒猫の三角〜 (2015年2月6日) |